藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腰を痛める前に

様々な痛みは予防知識(回避出来る知識)を備えておけば避けられます。
 
路面凍結や雪かきに追われる時期に入り、腰を痛める方も増えてくると思います。
最近取り上げている精神科領域の薬物に関しては、
知識さえ備えていれば回避する事は容易いかもしれませんが、
筋骨格系の症状は、労働環境や労働内容、天候等々により
避け難いケースもあり、幾ら気をつけても発症し易いかもしれません。
それでも、少しばかりでも知っておけば良い事があると思います。
 
今回は、過去の当ブログの中から、腰痛発症のヒントを幾つかピックアップしてみました。
 
痛みの発症原因を知れば、痛みは回避出来ます。
 
人間は実際に自分の身に痛みが降り掛かってから始めて「気付く」ものです。
取り返しが付く痛みであれば幸いですが、取り返しの付かぬ状況まで粘らぬよう、
筋骨格系の症状に関しては、常に労働と休養を明確にし悪化因子を避けていきましょう。
 
1人で痛みや痺れ等々に悩んでいる時間なんて、自身の人生に於いて多大な損失をもたらしています。
痛み自慢をされても薬の多さを自慢されても周囲は喜ばないですよ。
痛みを理解する事、結果ではなく原因を突き止める事が大切です。


筋肉痛⇒
運動後数時間から1~2日後に痛みが生じて、1週間程度で自然に消滅する筋肉痛である。
不慣れで強い伸張性収縮運動
eccentric exercise contraction: ECCに伴って、しばしばDOMSを生じる。 ECCとは、筋肉が引き伸ばされながら力を発揮する収縮。筋長が最大限に伸びた時に       伸張負荷が加わると、ECCが生じ やすく、筋力低下、腫脹も顕著になる。
筋肉が短縮する動作のみの等尺性や短縮性収縮運動 concentric exercise contraction: CECでは
ほとんど生じない。下り坂走 downhill runningDOMSを誘発することは知られている。
 
運動により筋線維にミクロの損傷ができ、それに伴い一連の炎症反応が起こることで痛みを感じる。
DOMSの本態は、筋と結合組織の損傷後の炎症反応に伴う現象。
痛覚受容器は、筋線維そのものにはなく、筋膜に存在する。
 
筋線維の微細損傷の修復時にみられる炎症過程で発痛物質が発生しこれが筋膜を刺激して
痛みが起こる。伸張性収縮運動を行い、筋が損傷を受けると、筋線維の傷害を反映している
クレアチンキナーゼ(CK)の血中濃度で増加する。CKは運動後34日目にピークに達する。
CKのピーク時点で、筋線維は壊死し、白血球の浸潤や腫脹などの炎症像が見られる。


筋膜痛⇒
筋肉が収縮する際、運動神経線維の末端からアセチルコリンが放出され、
筋線維から終板電位が発生する。 これが引き金となり、筋線維から活動電位が発生する。 
 
活動電位が筋線維の横行小管に伝わると、筋小胞体の終末槽からカルシウムイオンが
細胞質(筋奨)内に放出され、太いミオシンフィラメントの間に細いアクチンフイラメントが
滑り込んで収縮する。
 
筋線維への過大な負荷により筋小胞体が傷害され、
活動電位が出なくても筋小胞体からカルシウムイオンが筋漿に出ていく。
この結果、太いフィラメントの間に細いフィラメントが滑り込む。このようにして筋線維が短縮する。
このとき活動電位が出ないので、収縮と呼ばず拘縮と称している。
 
拘縮が発生すると、血流が障害され、これに拘縮によるエネルギー消費の増大が加わって
代謝産物が蓄積し、ブラジキニンが産出されて痛みを生じる。このときプロスタグランジンも産出され、
ブラジキニンの発痛作用を増加する。筋肉が痛みの発生源となると、
反射性筋収縮や血管収縮が加わって痛みを強め、痛みの悪循環ができ上がる。
また太いフィラメントの間に滑り込んだ細いフィラメントが元に戻るのにATPのエネルギーを必要とする。
血流が悪いとATPの産生が減ってなかなか拘縮が解けない。 
 
筋肉を意識して収縮させることを筋収縮と言う。
意識して筋肉をコントロールできる範囲のことで、意思に反した収縮を筋拘縮、
さらに進んで硬く固まった状態を筋硬結、慢性化して痛みの原因となっている。
 
パターン1
過度の収縮や伸張、外傷などで筋組織に微小な損傷がおこる。
それにより損傷部位周辺にCaイオンが放出され、筋は持続的に収縮する。  
その結果、周辺の毛細血管が収縮した筋に圧迫され続けることになり、組織の酸素不足、
エネルギー不足、代謝老廃物の蓄積へとつながり、発痛物質が産生される。
 
パターン2
繰り返し動作や、同じ姿勢の維持などによる持続的収縮により、ATPが不足する。
その結果、筋の収縮と弛緩を司るCaチャネルが働かなくなり、
筋繊維の一部が持続的に収縮する。
このように筋繊維の一部が持続的に収縮し硬くなった状態を「筋拘縮」さらには「筋硬結」という。
こうなると、周辺の毛細血管の流れが悪くなり、血液が足りない虚血という状態になる。  
それにより細胞から興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が漏出し、
それが筋膜などにある知覚の受容器を興奮させ痛みを感じさせる。
いずれにしろ、局所循環の傷害により、感作(発痛)物質が産生されて、圧痛が生じる。

ギックリ腰のように急性的に激痛を引き起こす誘因も、
腰部筋群の脆弱化に伴う成れの果ての結果です。
全ては悪化因子の蓄積により、何らかの拍子で悲鳴を上げます。
 
ギックリ腰に至った経緯を改めて振り返ってみますと、
重い荷物を持ち上げた時のような典型例から、
2~3センチの段差に目を奪われ、足を通常より挙上した時、
靴紐を結ぼうとした時、靴下を履こうとした時、下に落ちた紙を拾おうとした時、
レジに並んでいて斜め前に並んでいたガムに手を伸ばした時、
シートベルトを引っ張ろうと身体を捻った時等など、
 
例を挙げればキリが無い位に、発症時に関しては
本当にふとした拍子に誘発されるケースが圧倒的に多く見受けられます。
 
軟部組織を強く損傷した状況(ビリビリと音を立てる等)とは異なる、
一般的に多く発生するギックリ腰に関しては、
瞬間的な「グキッ」や「カクッ」で始まり、音を立てずに崩れ落ちます。
 
その後は炎症が拡がり、発痛物質が身体に対して危険信号を出します。
上記赤字でも軽く触れられている「3日経てば良くなる」と言われる所以も、
恐らくこの事から話がきているのかと思われます。
 
炎症期~治癒期に至る時間は凡そ72時間以内程度です。
その期間中は炎症物質の拡大を防止する為に、発痛部位に対して
アイシング等を行い、痛みの沈静を待ちます。
 
但し、原因は発痛箇所に無い以上、
原発に対して負荷姿勢を加え続けていると
発痛箇所となった部分に関しての疼痛は軽減されるものの、
他の部位に対して疼痛を自覚する事になってきます。
 
この原発箇所に関して発症初期に加療せぬと
下肢へ痛みが拡大したり、肩背部に至るまで引き攣れを感じる結果となります。
ほんで、そもそも論からとはなるのですが、2枚の写真を見てみましょう。

イメージ 1
 
イメージ 2

この姿勢は一般的に「中腰(ちゅうごし)」と言われる姿勢かもしれませんが、
実際に「腰」は使われていますでしょうか。
前項でも書きましたが腰椎椎間関節の可動域は5度程度です。
これらの姿勢を作る事により、腰腹部、胸部、肩背部、頚部等々の
各器官は抗重力作用を生じますが、腰の可動域が低値である以上、
「腰」そのものに原因があるという事は考え難い。
 
元来、腰椎は広範に渡る自由度は皆無なのです。
自由度が低いという事は、原発と成り得る可能性は低く、
他部位の脆弱化に伴い、腰部筋群の脆弱化へと至る事が示唆されます。
 
これらの症状を持つ患者群に対して
腰椎に原因を求めた治療を行った場合は
如何なる手段となり、如何なる結果が生まれるでしょうか。
 
昔々書いた記憶があるのですが、
何処に行ったか引っ張り出せないので概要程度ですが、
腰に牽引を掛ける、ぶら下り健康器を使用する、治療ベッドにうつ伏せで寝かせ、
腰部に対して垂直に圧を掛ける。
 
この事で、
 
牽引を外して立位を取ってもらう瞬間に腰が抜ける。
ぶら下り健康器から降りた途端に腰が抜ける。
治療ベッドから立位を取ろうとして腰が抜ける。
 
極端な例かもしれませんが、このようなケースはゼロではありません。
 
そして医者が呼ばれ、結局腰部に原因を求めている医者も腰部にブロックを打つも一切効果が無く、
担架で運ばれ、「後は寝とけ。体力消耗も激しいからついでに点滴でもしとく?まけとくよ」的な
患者にとっては何とも無念なシチュエーションに発展します。
 
これが誤処置です。

現行医療の大問題である対処療法の縮図を垣間見れる瞬間です。
発痛箇所と原発は異なる箇所で発生し、悲鳴を上げ続けているのです。
原発は牙をむくタイミングを刻一刻と待ちわびているのです。
 
それを結果となる発痛箇所への処置がどれほど危険である事か、
患者に対しては後遺障害とも言えるような状況を引き起こす可能性を高め、
長期に渡りQOLを急激に低下させる要因となってしまうのです。
 
強い発痛状態に陥っている患者の腰腹部筋群は強い防御反応を示しており、
筋緊張状態に逆らうような治療手段、治療姿勢、
そして原発の取り違えは症状の急激な悪化を招きます。
 
痛みは患者にとって酷な時間かもしれませんが、痛みは過活動を防いでくれているのです。
このような結果的に防御反応を示して守ってくれている部位に対して、
結果だけを取り除く処置を施した場合どうなるかは目に見えますね。

一度大きなダメージを受けた筋に関しては、非処置、誤処置のまま時間を過ごした場合、
上記の赤字患者群の如く、症状が各部位へ拡大していく可能性があります。
2次的発症箇所に関しては、患者の体重や筋肉量、仕事内容、休養時の姿勢、
既往症等々により変動し、発痛度合いも異なってきます。
 
これらの症状に関しては、未加療でも自然治癒の可能性はあります。
但し、その期間が1~2週間程度経過しても良化へ転じない場合もあります。
 
勿論、発症から治療までの期間が早期であればあるほど、
治癒までの期間は短縮されますので、早いに越した事はありません。
しかしながら、人間は受傷後も骨折等の歩行不能状態に陥るような状況にならない限りは、
なかなか受診されずに時間の経過に身を委ねるものです。
 
周囲の意見、自身が過去に痛めた際に受診した際の対応や治癒度合い等々を鑑み、
放っておくという手段を取る方も少なくないのが現状かと思います。
それは、整形外科であっても鍼灸院でも整骨院でも同じでしょう。
「だって行ったって湿布貰って電気かけるんでしょ?」的な。
 
上記患者群は全て、所謂ギックリ腰からの派生です。
赤字患者の声を改めて抜粋していきますと、
 
>>右足が痛くなり、足首も痛くなり、ついには両脚の膝が痛み出しました
>>両脚が熱をもっていた様で熱かったです
>>左膝が痛み、右足首内側と甲に打ち身の様な痛みが発症しました
>>足首の腫れも酷くなっていきます。
>>1ヶ月経ちましたが右脚のしびれが消えず、毎朝疼きます
>>脚に感覚がないので足首は捻挫するし歩き方はおかしいし、膝や股関節も痛くなってきました
>>右のおしりと右足のひざから下、ふくらはぎあたりの痛みが2週間ほど続いています
>>左足膝の裏も痛くなってます
>>右足に激痛を感じました
>>右足の痛みは取れず足の筋肉がビクビクしてる気がします
>>ひきつるような痛みが続き、たまに激しい痛みになります
 
このように、痛みの箇所が腰部だけではなく、下肢へと拡がっています。
今回は全て下肢痛患者を対象としましたが、中には上半身へ発痛が拡がり、
腕や首への痛みまで拡がる方もいます。
 
仮に、この段階で整形外科に行った場合の対応というのはどうでしょう。
通院する患者自身もオチが読める展開になるでしょうから敢えて書きませんが、
基本的に画像診断に頼る限り、上記赤字の連鎖的愁訴を追求する事は出来ません。
 
仮に発症前に器質的異常(椎間板ヘルニアや狭窄)が無かった場合でも
数ヶ月~数年単位で痛みを堪えていた場合、
急激に短縮及び伸張、短縮若しくは伸張している筋群により、器質的異常は生じるでしょう。
そんな折、写真を見て異常があった場合は、
下肢痛の原因をヘルニアや狭窄だとされる可能性も高まります。
 
但し、これは結果として器質的異常が生じただけであり、原因ではありません。
そして、この結果に対しての処置(除去、固定、下肢への電気やマッサージ・鍼等の各種アプローチ)
をしただけでは、症状の変化はほぼ無いものと捉えられます。
 
これらの患者群に対しての観血的治療の非に関しては過去にも沢山書いてきたので省略しますが、
下肢への電気やマッサージ・鍼等を用いた場合に関しても、
一時的な循環機能の改善は得られるかもしれませんが、
あくまで一時的なのは患者自身もよく分かっているのではないかと思います。
 
そして、器質的異常が無かった場合、どのような流れになるかも過去に述べた通り、
原因不明、ストレス、歳じゃないの?の決まり文句の他、今は都合の良い病名もありますね。

発症からの時系列を追う事で、原因は見えてきます。
 
前項にも記載しましたが、
患者が一度病院に掛かられた場合、告げられた診断名をぶら下げて来院されます。
我々がその診断名に振り回されると、患者への対応や立ち回りも整形と同一となり、
結果的に症状改善~治癒へと引き上げる事が出来なくなります。
 
一つの見立て方としてギックリ腰に至った誘因からとはなるのですが、
ギックリ腰一つとっても単なる筋肉の引き攣れから軟部組織の損傷まで幅広いかもしれませんが、
来院する頃には既に発痛箇所の自覚的疼痛は既に拡大しつつあるのが現状かと思います。
 
例えば受傷箇所がL5近辺だったとしても、
既に強い筋緊張より腰部全体の姿勢制御筋の引き攣れや痛みであったり、
椅子に腰を掛ける時、車に座る時、治療院のベッドに横になる時にグキッと出るような痛みだったり、
かと思えば、腸骨上方の「ここ骨じゃないの?」みたいな場所にも痛みを感じたり、
足が重だるかったり、腰部にガチガチにコルセットを巻いてきたりとか様々ですね。
 
既にこの段階では疼痛箇所は患者自身も訳が分からなくなっていると同時に、
受傷初期の強い痛みと焦りと不安で問診もままならなくなります。
では、何故L5近辺を受傷したのでしょうか。
受傷原因は患者が一番把握されていると思います。
 
以前も書いた通り、椎間関節間の可動域なんてたかが知れていますね。
その為にL5に受傷時に痛みを感じていたとしても、L5の筋群には原因はない。
原因が無いと言う事は、揉んでも鍼を刺しても効果は乏しい事が分かります。
L5を制御している筋群は何処でしょうか。脊柱を制御している箇所は何処かと考察していきます。
脊柱を制御(支持)している箇所となると、答えは見えてきますね。
 
且つ、下肢痛の発症要因も見えてくるのではないでしょうか。
これは、MPSとしての考察だけでは幾分足りない部分であり、
所謂トリガーの発症箇所を探るのではなく、発症要因となる箇所を探ることになります。
そうなると、答えは一つになりますね。
 
上記赤字患者群の原因は全て同一箇所に絞る事が出来ます。
たまに患者さんより、「色々な症状を持つ方がいるから大変でしょ?(運動器疾患の患者に対して)」
と聞かれる事がありますが、実はそんな事もなかったりするのが本音だったりもしたり
例外は時にあるかもしれませんが、原則的に患者は違えど症状は違えど
似たような刺鍼箇所に帰結するのもココに理由があるんですね。
 
この状態で治療回数を追う事により、患者に対して生まれるメリットとして
 
・症状の変化が一切見られない場合、改めて精査依頼を上げられ易くなる
・良化、悪化の日常生活姿勢が明確に把握出来るようになる
 
となります。
 
筋肉由来の各症状というものは、日常生活に於いて必要不可欠な活動材料であり、
良化させるも悪化させるも日常動作で左右される事が患者自身に納得してもらえれば、
幾らでも回避してもらえるようになるものです。

 
患者は基本的に治癒機構が備わっているものです。
その為に未加療であったとしても治癒へ向かう可能性は大いにあります。
筋肉由来の痛みであれば、寝てれば治るという話も時としてアリなのです。
しかし、大方の患者は何日も寝ていられるような時間的余裕はありません。
 
仕事や家事により、痛みを堪えながら動かなければならないでしょう。
痛みのあまり、就寝姿勢すらも分からなくなる時があるでしょう。
このような状況であれば、痛みが拡大していくのも無理のない話しです。

患者側の生活環境や仕事内容により
治癒が働きやすい環境が整っていれば、
時間の経過でその後の自然治癒による改善率も高まりますので
問題は無いのかもしれませんが、あくまで筋緊張に対しての処置という考えで
治療を組み立てる以上、局部的に症状が残る感覚は出てきてしまうと考えられます。
 
内転筋群を統括している箇所へのアプローチを怠る事により、内転筋群の緊張が残った場合は、
股関節は屈曲傾向に成り易く、且つ視線を床と併行に保つ為の代償作用が働く為に、
腰部の緊張及び倦怠感等々の愁訴が現われ始める可能性もあります。
その結果、中長期的に見た場合、再発の可能性も若干高いのではないかと考えております。
以前書いた内容のコピペともなりますが、
下記の内容が中途半端な状態で一時停止するような状況と申しましょうか。
上手く説明が出来ずに申し訳ありませんが、少し参考になさって下さい。
 
Q2、間欠性跛行のように、歩けば痛みが出るならわかりますが、ちょっとわかりません。
 
過去から今現在に掛けて、ヘルニアによる神経根圧迫で発生する
腰下肢痛は無い旨を書いているのと同様、
世間一般では間欠性跛行を示す代表的な疾患の脊柱管狭窄症と診断された患者に対しても、
腰下肢痛の発生は別物として考えています。
 
ヘルニアや狭窄症と診断された患者の症状は、0か100かでしょう。
要は、無症候か馬尾障害及び麻痺の二極化であり、痛みや痺れ、筋力低下は他に原因があると考えています。
 
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等のような、構造的異常から派生すると考えられている痛みの原因は、
単なる筋肉の脆弱化と持続的短縮による各愁訴の発症による疼痛性跛行と捉えており、
本来の間欠性跛行はASOやTAOに代表される血流障害性の疾患に限局されるものと捉えています。
 
患側立脚期時に於ける疼痛に関しては、
中臀筋や小臀筋の股関節外転筋の異常緊張含む
脆弱性の可能性及び、股関節外転筋を制御する内転筋群や大殿筋、
外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、 大腿方形筋、梨状筋等の外旋筋群の異常もあるでしょう。
 
ここで、青字の筋群を統括している母体は何かと考えた場合、
継続歩行による症状軽減の理由が見えてくると思いますし、疼痛性跛行が起きる原因も見えてくると思います』

血流確保と言っても血管に鍼を刺す訳ではなく、
強い筋緊張を発している筋肉を見極め、鍼を打ち込み、血管の圧迫部位の開放を目的とする事になります。
参考になるか分かりませんが、人間には内臓器に於いて生理的狭窄部というモノが存在しますね。
食道あれば、食道入口部、大動脈弓~左主気管支との交叉部、食道裂孔部。
尿管であれば、腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱尿管移行部なんてですね。
 
これは骨格筋に対しても言えると思うのです。
生活姿勢や環境、仕事内容でも若干の変動はあるかもしれませんが、
人間は立って座って寝る生き物です。これらの動作により、骨格筋に対してでも
生理的とは言いませんが、継続的に圧迫される部位というのは導き出されます。

筋断裂(肉離れ)を例にしてみます。
受傷後2~3日は炎症を拡大させない為に固定やアイシングは必要不可欠かと思いますが、
それ以降は筋の柔軟性を高めなければ生活に支障をきたす為に、鍼灸治療が非常に有効になります。
固定処置を済ませた後のリハビリ的な運動も併行し、治療を行う事で飛躍的に回復は早くなります。
 
筋断裂の度合いや受傷箇所にもよりますが、
浅部であれば短時間で、深部であれば数日掛けて内出血が確認出来るようになります。
この状況に於いて、身体内部は筋断裂の箇所に対して血流量が増大し、
血腫形成が行われます。その際、血流が過剰に入り込んだ筋群に関しては、
伸収縮機能が以前の状態に比べれば極端に低下している状態となります。
 
この状況にて考えられる身体状態というのは、
仮に好発部位である腓腹筋とした場合、
腓腹筋の筋断裂による、その後の連鎖反応を簡単に書くと
(内側頭か外側頭でも若干の違いはあるでしょうけど、取り敢えず今回は簡単に)
腓腹筋⇒脛骨前面の筋群⇒大腿後面⇒大腿前面⇒臀部にある股関節屈曲筋群へと
連鎖が発生していく状況が生まれやすいものと捉えられます。
 
確かに、外傷性による受傷発生箇所は腓腹筋と明確に判断が付けられます。
その為に、原発としての考察箇所は腓腹筋になるでしょう。
しかしながら、補助的な治療を行う事で、初めて治療としての意義が出ます。

⇒TrP以前に、大腿前面が何で緊張しているか、それは腰部が屈曲姿位になっているからに他なりません。
⇒では、何故腰部が屈曲姿位になっているか。腰椎のROMなんてたかが知れています。
⇒そこには股関節に関わる各当該筋群の伸収縮された筋群に他なりません。
⇒では、何故股関節の各当該筋群が不適格な状態に陥っているのか。
⇒何故、股関節の各筋群が制御不能状態に陥っているのか。
⇒では、股関節の各筋群が制御不能状態に陥っている状態を補正出来るべく統括している箇所はどこか等々

動画内のコメントにも幾つか重要な事が含まれて居ます。お手空きの際には聴いてみてください。
 
 
他にも当ブログの【整形外科領域】と【Q&A】には腰痛発症の原因のヒントは沢山あると思います。
理屈を知れば痛い所に湿布を貼ったりコルセットを巻いたりだのの対処療法に追われず、
原因と向き合えるようになると思います。


【予約制】 0173-74-9045 (繋がらない場合は090-3983-1921)
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イメージ 2 ~鍼治療から病態把握の見直しを~