藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腹筋背筋


最近腹筋をしているんですが、昨年末検査で腰椎椎間板ヘルニア(4,5番)判明しました。
腹筋する度に腰に違和感を感じ悪化が怖いです。
ジャパネットた○たで今紹介しているじつは!腹筋くんライトは座椅子型の腹筋マシーンで
足を固定できるのですが、これでも身体を痛めてしまうでしょうか?

座骨神経痛が酷く、痛み止めを飲まないと、夜寝付けません。
医者からは血液の循環を良くする薬をいただいており、
安静にしつつ、腹筋背筋を鍛えて様子を見るようにと言われました。
しかし今の腰痛が悪化したのは、私が以前腹筋を鍛えようとし、失敗した結果です。
なので、また悪化するのではないかと思ってしまい、自分で筋トレするのが怖くなっています。

お尻が痛いんです。事務職で座りっぱなしのせいか尾骶骨の辺りが痛くて座ってられません。
2
年ほど前から腰が痛くなり整形外科では椎間板ヘルニアだと言われました。
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ケ月ほど病院には行っていませんが、腹筋を毎日始めたせいか腰はさほど痛くないんです。
でも、1週間くらい前からお尻が痛くて・・・段々ひどくなってきます。
今は立っていても寝ていても傷みを感じます。

椎間板ヘルニアになって一年3ヶ月になります(MRIでは手術の必要なし、痛みは有るが歩ける)
最初の半年は牽引と病院から貰うビタミン剤とコルセットで全く効果なしで止め、
残りの期間はグルコサミンと適度に腹筋背筋を続けてます。
いつになったら治るのでしょうか?最近痛みが増した気がします…。

腹筋と腰痛について質問です。私は部活とかしていないんですが、かなり頻繁に腰が痛くなります。 元々は中学の部活のバレーボールで腰を痛めてから調子が悪いのですが、腹筋がないのも関係してるんじゃないか…と思っています。でも腹筋をするとまた腰痛が悪化します(>_<。)頭だけ上げる腹筋をしたりしていると、効果が感じられません。


私は12年ほど前から腰痛があります。普段はそれほどひどくないですが、
お腹を引き締めようと腹筋をすると(ほんの10回程度でも)翌日腰痛になります。
産後、インスパイリングエクササイズをやった時も日に日に痛くなり、
1週間ほどで続けられなくなりました。なわとびをしても痛くなります。
子供の運動会で立って観戦していた時も、じわじわと痛くなってきて、つらくなりました。
運動不足かな?とウォーキングをしたら、スネがすごく痛くなります。


事前に書いておきますが、
腰下肢痛患者に対して私は一切筋トレを勧めません。
目先の筋肥大を望む為に筋トレを行うようであれば良化の保証は致しませんし、
妥協案的な生活アドバイスが入り込む余地も無くなります。
 
私は患者に対して良化に伴う理想論を先ずは述べます。
しかしながら、大半の方は出来ないものです。
皆仕事や家庭があり、様々な過負荷の蓄積にて発症した症状に対して、
今後も止める事は難しいケースも多いでしょうし、妥協案を述べながら治癒へと進む事も多くあります。
 
特にスポーツ選手等の非日常的な世界で生きていく方々にとっては、
常に怪我のリスクが付き纏いますし、筋線維や靭帯等々の軟部組織に相当の
ダメージを加えながら、日々を過ごす事になります。かと言って、怪我をしたからと
引退宣告を私が言う訳にもいきませんし、彼等彼女等にとっての生業を怪我で
止めてしまう事は、今後の人生にとっても屈辱的ですし無念なものでしょう。
 
怪我と付き合いながらも都度都度の最高のパフォーマンスを発揮して
試合や練習に打ち込んでもらえるようにするのが我々の務めだったりする時もあります。
ここ最近はスポーツの現場から離れ、仕事すら不可能になっている患者群を
診る機会が多い為にあまり書く事はありませんでしたが、スポーツ障害に対しても鍼は良く効きます。
 
このように、患者は同じ腰痛にもレベルがあり、
患者背景を考慮した上でアドバイスをする必要があります。
今回述べる内容というのが、よくある一般的な腰痛患者が行う腹筋背筋という問題です。
スポーツを生業にしている方々でも無く、仕事が出来ない程の痛みに苦しんでいる方々でもなく、
所謂腰痛に悩みながらも、仕事や日常生活を送り、時には整形外科に行き、
モーラステープとNSAIDsを渡され、「効かないわね」と同僚に愚痴をこぼしつつ、
退社後は会社の飲み会に参加し、座敷から立ち上がろうとした途端、
腰が伸びずに「イテテ」というレベルの患者群を対象にした話です。
そもそも、これ以上痛くなれば筋トレする気すら起きなくなるものですが、
何故か人は腰痛を抱えると様々な物に手を出したがります。


腰痛に限らずですが、肩凝りでも頸凝りでも何でもそうですが、
痛みが無かった時には一切手を出さず、見もしない商品に対して目がいくようになります。
車が欲しくなったら車屋に目がいくのと同じように、
腰痛グッズや整体等々の殺し文句が輝き始めるものですね。
 
「どこに行っても治らない腰痛、ご相談下さい」
「一回で治します」etc…
 
「時間掛かりまっせ」と言われるよりかは惹かれる内容でしょうが、
私は「時間掛かりまっせ」と当たり前に言います。残念ながら私の治療に奇跡はなく、
確実性と再現性だけを追いかけた現実的な治療を行います。
実際に治療に来られた方なら分かりますが、私は問診と症状で一回で治ると確信した患者に対しては、
治療前に一回で治ると言いますし、時間の掛かる患者に対しては正直に予測回数を伝え、
希望ラインまでの症状改善時期を伝えます。
 
ついでですが、一般の方もご覧になられているようなので書いておきますが、
湿布薬の注意事項にも書いているでしょうけど、
ケトプロフェン、フルルビプロフェン、インドメタシンフェルビナク含有の湿布薬は光線過敏症を
引き起こします。肌を露出する機会の多い季節ですから注意したほうが良いですよ。
 
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では、本題に入ります。
腰痛及び腰下肢痛患者のセルフケアの一つに、腹筋背筋を鍛えるという手段があります。
痛みを抱える患者に対して、腹筋背筋を指導する側の根拠が知りたいところですが、
とって付けた理論での指導の為に、大半の指導者が根拠無く腹筋背筋を指導しているのが現状です。
冒頭でも書きましたが、私は痛みを抱えている患者に対して筋トレを行わせる事は
悪化させるだけの処置としか捉えていない為、絶対に勧めてはおりません。
 
鍼灸治療は各筋肉の状態を鍼先の抵抗感で知りうる事が出来る為に、
患者側と同意の上で筋トレの解除をする事もありますが、原則的には勧めておりません。
理論背景を知る上で、筋膜痛の理論を引用してみましょう。

筋肉が収縮する際、運動神経線維の末端からアセチルコリンが放出され、
筋線維から終板電位が発生する。 これが引き金となり、筋線維から活動電位が発生する。 
 
活動電位が筋線維の横行小管に伝わると、筋小胞体の終末槽からカルシウムイオンが
細胞質(筋奨)内に放出され、太いミオシンフィラメントの間に細いアクチンフイラメントが
滑り込んで収縮する。
 
筋線維への過大な負荷により筋小胞体が傷害され、
活動電位が出なくても筋小胞体からカルシウムイオンが筋漿に出ていく。
この結果、太いフィラメントの間に細いフィラメントが滑り込む。このようにして筋線維が短縮する。
このとき活動電位が出ないので、収縮と呼ばず拘縮と称している。
 
拘縮が発生すると、血流が障害され、これに拘縮によるエネルギー消費の増大が加わって
代謝産物が蓄積し、ブラジキニンが産出されて痛みを生じる。このときプロスタグランジンも産出され、
ブラジキニンの発痛作用を増加する。筋肉が痛みの発生源となると、
反射性筋収縮や血管収縮が加わって痛みを強め、痛みの悪循環ができ上がる。
また太いフィラメントの間に滑り込んだ細いフィラメントが元に戻るのにATPのエネルギーを必要とする。
血流が悪いとATPの産生が減ってなかなか拘縮が解けない。 
 
筋肉を意識して収縮させることを筋収縮と言う。
意識して筋肉をコントロールできる範囲のことで、意思に反した収縮を筋拘縮、
さらに進んで硬く固まった状態を筋硬結、慢性化して痛みの原因となっている。
 
パターン1
過度の収縮や伸張、外傷などで筋組織に微小な損傷がおこる。
それにより損傷部位周辺にCaイオンが放出され、筋は持続的に収縮する。  
その結果、周辺の毛細血管が収縮した筋に圧迫され続けることになり、組織の酸素不足、
エネルギー不足、代謝老廃物の蓄積へとつながり、発痛物質が産生される。
 
パターン2
繰り返し動作や、同じ姿勢の維持などによる持続的収縮により、ATPが不足する。
その結果、筋の収縮と弛緩を司るCaチャネルが働かなくなり、
筋繊維の一部が持続的に収縮する。
このように筋繊維の一部が持続的に収縮し硬くなった状態を「筋拘縮」さらには「筋硬結」という。
こうなると、周辺の毛細血管の流れが悪くなり、血液が足りない虚血という状態になる。  
それにより細胞から興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸が漏出し、
それが筋膜などにある知覚の受容器を興奮させ痛みを感じさせる。
いずれにしろ、局所循環の傷害により、感作(発痛)物質が産生されて、圧痛が生じる。

要は無酸素代謝及び低酸素代謝を起こす結果、
各当該筋群の栄養源であるATPの枯渇及び乳酸の蓄積による、
筋伸収縮能力低下での筋硬結の組成により、
当該関節の不適切化にて発生する筋膜刺激より発痛を起こす図式は、
腹筋背筋を行う事で助長されます。
 
上記の患者群は、既に腰痛及び腰下肢痛という筋膜痛を患っている状態です。
この状況に対して腹筋背筋を勧める事による予後の予測は症状の悪化です。
 
冒頭でお伝えしましたが、患者は症状発症と共に、様々な物に手を出したがります。
手軽に行える手段が腹筋背筋です。整形外科で指導されたのかもしれないし、
回りまわって耳にした情報かもしれません。
しかし、実践してみて少しでも悪化した場合「腹筋背筋のやり方が違うのかな」ではなく、
腹筋背筋という行動が違うと認識したほうが良いでしょう。
 
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スタンダードな腹筋トレーニングの方法ですが、少しでも私の理論を聞いた事のある方なら、
一般解釈的な青字含め、この姿勢がどれだけ危険な状態に陥るかは分かるかと思います。
 
上の赤字の患者群の一文を抜粋します。
 
>>医者からは
   A血液の循環を良くする薬をいただいており、
    B安静にしつつ、
      C腹筋背筋を鍛えて様子を見るようにと言われました。
矛盾点が分かりますか?こんな適当な指導をされていたら患者は治る訳がありません。

 青森から鍼灸治療の意識改革を~