藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

患者の声が医療を変える時はくるはずだ 1

東大病院、563人分の医療費誤請求 返還手続き進める
 
患者が声を上げなければ変わらない事も多くあり…
患者が声を上げなければ気付かない事も多くあり…
そして、患者が声を上げなければ医療業界の隠蔽事は明るみにならないのです。
 
目を瞑ってはいけません。耳を塞いではいけません。
現実を逃避した患者から、医療をビジネスとする人間達が襲い掛かるのです。
 
まだ若い年代なら疑問や不信感を抱いた時から気付きを得られる場合もありますが、
これが高齢者や子供だったらどうしますか?
医師の言葉に洗脳された患者家族がいたらどうしますか?
過沈静にてADLを急降下させ、寝たきりにさせる事が良い事なのでしょうか。
 
気付いた時には既に遅いのです。早く引き上げなければなりません。
先ずは事実を知る事です。
情報を得る事です。
 
誤請求が明るみになったキッカケは一人の患者が抱いた不信からでした。


 
 根底には治療への不信感
 
 そもそも不正請求に気付くことになる発端は、女性(E子さん・46歳)が入院していた
2009年4月の治療費が、1ヶ月で30万円を超えたためだ。
一体、どんな治療をしているのか不信を抱いたご主人が診療明細書を取ったのである。
 
 その内容を詳しく調べてみると、E子さんの主治医は精神保健指定医の資格を持っていないにも関わらず、「入院精神療法Ⅰ」として34回も請求していたことが判明したというわけだ。勿論、治療費に対して疑問を抱くことになったのは、入院期間中にE子さんに
施された治療そのものに対する不信感、医師への不信感がその根底に大きく横たわっていたからだ。
 
東大病院におけるE子さんの体験を紹介する。


 
入院を拒んだ途端に注射される
 
 2009年1月23日、E子さんは家庭内のゴタゴタから将来が不安、気力が湧かないなどの状態となり、精神科Aクリニックを受診した。そこでは話を数分聞いただけで
パキシルガスモチンを処方。しかし、E子さんはよくよく考え、結局薬は飲まずに捨ててしまった。(薬を飲んでも家庭内のゴタゴタがなくなるわけではないと)2月になると、もともと別の精神科クリニックに通院していたご主人が、E子さんと同じAクリニックに転院し、夫婦ともどもAクリニックの患者となった。
しかし、その後すぐにE子さんはセカンドオピニオンを求めるためBクリニックに転院。B医師はじっくりE子さんの話をきいてくれ、薬も出さなかった。

E子さんのメールから
 
「私はBクリニックを出て、美容院へ行った。私には、もう精神科は必要ないと思った。しかしながら、主人がAクリニックに私の入院をお願いしていたのです。」
つまり、E子さんのうつ状態が改善していないと考えたご主人は、
Aクリニックの医師に相談をして、東大病院への受診をE子さんに迫ったのである。
「大きな病院でちゃんと診てもらいなさい」というのがご主人の主張だ。

無理やりタクシーに乗せられたE子さん、
「東大病院の医師なら優秀だから、話をすれば私がうつ病でないことくらい、
すぐにわかるはず」そう思ったという。


ところが、である。
外来で診察室にE子さんが入っていくと、主治医の第一声は「点滴しましょう」。
Aクリニックからの紹介状には確かに「うつ病」と書かれていたとはいうものの、
この時点でまだ一言も話をしていないのだ。
そして、しばらくすると、「○○さん、うつ病だから入院しましょう」と言い出した。
 
E子さんは「私はうつ病ではないです。点滴も結構です。入院もしたくありません。
帰ります。ありがとうございました」と言って席を立った。
 しかし、E子さんは捕まえられ、注射をされて、ストレッチャーで個室に運ばれた。注射で眠らされてしまったので、それ以後のことはカルテ開示をしてわかったことだが、ストレッチャーから下ろされると、数人の看護師によって全裸にされ、紙おむつ、病衣を着せられ、ベッドで胴、上肢を拘束。膀胱カテーテルをされたらしい。
 そして、気がついた時には、携帯電話も財布も着ていた服もどこかに持っていかれ、連絡方法を完全に失っていた。セレネースの点滴が左手に入り(1週間続いた)、右手はベルトでベッドにつながれたまま、食事のときも外されることはなった。歩けるにもかかわらず、トイレに行くことも禁止され、ベッドの上で仰向けになって、容器を尻の下にあて「しなさい」と言われた。(そのような状態で排便することはできず、結局、10日間におよぶ便秘となったという)


 
 病名は「重症うつ病
 
カルテによると、病名は、ICD-10 F323。
「精神病症状を伴う重症うつ病エピソード」である。
点滴、膀胱カテーテルをしながらの拘束は3日間続いた。
「退院させてください」「拘束をはずしてください」と何度訴えても無駄だった。
 その頃はご主人も、東大病院に入院させたことを後悔していた。E子さんはご主人と相談して、せめてトイレが自由にできる部屋に移動したいと申し出た。すると、鉄格子のついた保護室に移された。トイレを使うことはできても、水を流すことができない(看護師に連絡をして流してもらう)。前よりひどい状態である。
点滴をしながら、薬も処方されていた。どのような薬なのか、説明もない(カルテによれば、リスパダールコントミンワイパックスアナフラニールなど)。
E子さんは薬を飲まずに捨てていた。すると看護師に見つかり、それ以後、飲みこんだか口の中を点検されるようになった。
しばらくして、やはり薬は飲みたくなかったので、E子さんは飲んだふりをして、ティッシュに吐き出し、トイレに捨てた。しかし、それ以前に飲まされていた薬のせいで離脱症状に襲われた。吐気、冷や汗、頭痛……。                


 
 治療に対する不信感
ある日のこと、研修医が来て、「○○さん、眠れていないようなので、新薬の睡眠薬を飲んでもらいます。この薬は治験で、効く人と効かない人がいるんです」と言う。 E子さんは「飲みたくないです」と答えた。
すると、すぐに主治医に個室に呼ばれて「○○さん、もっと(重度のうつ病の)患者らしくしなさい。先生の言うことを聞かないと任意入院から、また医療保護入院に戻しますよ。来週の試験外泊も取り消します。入院も長引きますよ。あなたは母親としての自覚があるんですか?」
こうしたことが「入院精神療法Ⅰ」となっているというわけだ。
そしてE子さんが「主人と相談させてくれ」というと、なぜか新薬は飲まなくてもいいことになったのである。
入院2日目のこと。ご主人は主治医に対して、E子さんが膀胱カテーテルをされていることに不満を述べた。そのようなことをするとは聞いていない。また、点滴をしているが、何の点滴なのか説明がないこと、排泄は自由にさせるといっていたが、約束が違うこと。カルテの記載を見ると、ご主人はこうも述べている。「妻は物忘れもしていて、もっと人間的な扱いをしてほしい」
そして、その日、セレネース1アンプルが2アンプルに増量されているのだ。
東大病院は電子カルテである。入院2日目のこの日(4月7日)のカルテ24時間分がすべて4月8日の朝4時15分に書きかえられていたことが後にわかった。

4月10日には、頭部CT検査のあと、研修医からご主人に電話で「前頭葉が委縮している可能性が見受けられます。委縮するとアルツハイマーになる。つきましては、脳血流を検査することで状況が明確にわかるのですが、いかがされますか?」と言ってきた。ご主人は心配なので二つ返事で承諾。
脳の血流を調べるこの検査はスペクト検査といって、料金は1回9万円かかる。      研修医はその料金説明をいっさいせず、またどのような方法で調べるかの説明   (放射性医薬品を使用する)もしていない。
そして、出てきた放射線検査、CT読影医の所見は以下の通り。
「頭蓋内に閉塞、出血、腫瘤を疑わせる異常吸収値域は指摘できません。正中偏位などの偏在性の占拠性効果もありません。脳室拡大ありません。副鼻腔や乳突蜂巣の含気も良好です。」
 退院後、このことに関して、E子さんとご主人は病院側に説明を求めたが、そこでの回答は、「脳神経外科的な委縮とわれわれ精神科が考える委縮は違う。……ちゃんと調べると、年齢より血流が落ちていたり、脳の隙間が開いていたりする。そういう患者は薬の効き方や今後の経過が変わってくるから早めに把握しないと、精神薬の使い方も変わってくる。……」E子さんはこうした会話を録音しているが、こうした説明が医学的に正しいのかどうか……?しかも、このスペクト検査は、E子さんが電気ショック療法を受けている期間内に行われていたのである。

 ご主人は入院初日に医師から「うつ病が早く治るから」と電気ショック療法を勧められていた。   翌日も、携帯電話に今度は研修医から電気ショック療法を強く勧める電話が入った。 嫌だったらいつでもやめていいんですから、と。
一方、E子さんに主治医は電気ショック療法のことは一言も言わず、ただ「脳の検査をしましょう」と言っていた。ワンクール10~12回。
 「脳の検査」では、朝食抜き、麻酔薬や筋肉弛緩剤を点滴され、失禁することもあるのでおむつをつけた。E子さんは1回やって「嫌です、もうやりたくない」と言ったが、結局、6回の電気ショックを受けさせられた。そして、7回目、断固拒否して、 どうにか終わったのである。電気ショックを受けた後、E子さんは、呂律が回らなくなり、目の焦点も合わなくなり、ご主人が主治医に尋ねたところ、「心配はいらない」とのこと。

 しかし、後遺症は退院後も続いた。例えば、電車に乗るとき、スイカの使い方がわからなくなり、改札口でスイカを懸命に差し込もうとしたり、また、よく利用していたお店の名前が思い出せなくなったり、記憶がなくなっていたが、開示したカルテには、電気ショックでうつ病が改善されたというようなことが書いてあり、E子さんは唖然としたのである。


 
 コロコロと変わる病名
 E子さんの病名だが、最初はICDによる「重症うつ病」だった。しかし、その後のカルテを見ると、1週間ごと(あるいはもっと短い間隔で)変えられている。電気ショック1、2回目には「統合失調感情障害」、3、4回目には「うつ病」、5、6回目は「統合失調感情障害」。この点に関してもE子さんたちは病院側に説明を求め、その回答は録音されているが、私にはこの医師の言っていることがよくわからない。ともかく、わかるところだけ言葉を拾うと、
「感情障害はうつ病が含まれている。……うつ病でも感情障害でも、電気ショックをやることは、適法」ということになる。しかし、病名はさらに迷走を続けた。非器質性睡眠障害神経症てんかんの疑い等々、入院した4月だけで22の病名をつけ、さらに26の病名が付けられた月もある。

 また、主治医はE子さんが電気ショックを受けているときのビデオモニター公開(今後の医療の向上のためという理由)の欄に、勝手にOKのチェックを入れていることもわかった。E子さんはOKしたことはなく、退院の時もらった書類にも確かにチェックは入っていなかった。

 電気ショックのときは、オムツをつけ、上には病衣を着るだけ。医師は患者が失神している姿を見ることになる。失禁のチェックもされるから、そうした姿も映っているはずである。若い女性も電気ショックを受けていた。医師はそうした映像を見て、楽しんでいるのだろうか……?
E子さんの中で医師への不信感が大きく膨れ上がっていった。しかも、電気ショックのカルテにはE子さんの身長が、160.5センチにもかかわらず、150センチと記載されていた。また、同じように電気ショックを受けた患者仲間と診療明細書を見比べてみたところ、E子さんのほうが麻酔薬の種類が多く、料金もその人は1回3万円、 E子さんは3万3370円と高いことがわかったのだ。


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