藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

患者の声が医療を変える時はくるはずだ 2


 
デタラメの数々
カルテ開示をしてみて、さまざまなことが判明した。ことに、主治医がまったく事実ではない内容をカルテに記載していたのには驚かされた。
例えばこんな具合である。
「(E子さんが」ティッシュペーパーを1cm×3cm大にちぎって、20個くらいを山積みにした」
「主人の面会を、2時間かけて病院にくるのに15分なんて。30分でも、45分でも長くして欲しい。紙もペンも無いから、先生にいう事を忘れないようにと思って、私なりに覚えておこうと思ってした(ティッシュの山積み)んですよ」(研修医の記録)
夕方、訪室するとテーブルの上にティッシュペーパーがきちんと同じ大きさ(約1cm×cm)にきられて、20個程度置いてある。尋ねると上記のような返答あり。
(主治医の記録) うつ病、午前中記載の通り。今回のティッシュペーパーをちぎっておいたこと=面会延長を伝えること との意味付けは今回入院中初めての現象。


しかし、そのときE子さんは「独房」にいて、そこはもちろんハサミ持ち込み禁止であるし、そもそもE子さんはこんなことをしてないという。
「独房」は24時間ビデオで撮影されているはずだから、退院後、病院側に「ビデオ映像を見せてください」と頼んだところ、「わかりました」と返事があったにもかかわらず、後日「ビデオはリアルタイムに見るもので、映像はもう消えているから、出せない」と言ってきた。本当だろうか?


 さらに、E子さんは退院後、東大病院の主治医が書いたAクリニックへの診療情報提供書の封を開けて読んでみた。(退院後はとりあえずAクリニックに通院することになっていたのだ。もちろん、E子さんはAクリニックに行っていない)。
 読んでみて驚いた。なんとご主人に「パニック障害」という病名が付けられていたのである。もちろん、ご主人は東大病院で診察を受けていない(診察券さえ持っていない)。にもかかわらず、勝手に診断を下し、それをクリニックに情報として渡そうとしたということだ。


 また、入院中、主治医は、ご主人にもE子さんにもCT、MRI、スペクトの検査結果の説明を一切しなかった。画像をみて説明を受けたのは、退院して、5ヵ月後。E子さんに対する不正請求の説明会の場においてである。


 
 医療費総額170万円
 E子さんの入院は80日間にも及んだ。その間の医療費総額は約170万円(3割負担)。薬漬け、検査漬け、電気ショック漬け、さらには偽りの入院精神療法Ⅰによる170万円というわけだ。
 退院の時の主治医の言葉がカルテに残っている。
「退院おめでとうございます。やっとここまで来ましたね。(どこまで来たの?)薬を2週間分処方するので、切れるまでに、紹介元のAクリニックに予約して行ってください。(行きません)今は状態はいいですが、これからが大変だと思います。再燃の可能性もありますから。最低限、しっかり薬を飲んで、薬を飲まなかったらすぐに悪くなります。(先生、薬を吐き出して2ヶ月以上たつのですが、悪くなっていません)。退院しても急に無理する事はしないでください」
 カッコ内はE子さんの1人ごとである。

退院後、E子さんは入院前に関わった2カ所の医療機関のカルテ開示を行った。
まず、セカンドオピニオンを受けたBクリニック。以前とは医師が変わり初対面の医師だったが、「あなたはうつ病ではありません」と言い、診察代を取られることもなく、開示手数料1000円、コピー代1枚10円。
 一方、東大病院へとE子さんをつないだAクリニックはカルテ開示に行ったE子さんに帰り際「お薬だしますか?」と聞いてきた。E子さんはもちろん断った。
 そして、カルテ開示に医師立会手数料として1万5000円を請求、コピー代1枚50円である。


 
 東大病院での「治療」の実態
 80日間の入院期間中、E子さんが目撃した東大病院精神神経科における治療の実態についても、さまざま私に伝えてくれた。その一部を紹介しよう。(E子さんのメールより)。
 
「仮に私の主治医をD医師と呼びます。私は初めての入院だったが、D医師の評判は悪かった。20代の女性が「私、Dに人体実験されてるみたい…」と漏らしていた。「Dの患者さんで入院が長引いた人いるよ」と言うので「なんで?」と聞いたら「電気ショック10回終わってないから」とか、そんな話をよく聞きました。
閉鎖病棟にいた時、Dのチームの研修医と20代前半の男性患者が口論となった。私は若い男性患者さんと一部始終を見ていた。サンダルばきで荷物をまとめた入院して間もない20代前半の男性は、「帰りますので、ここ(施錠されたドア)を開けてください。貴方は患者をなんだと思ってるんですか? 親を呼んでください」ほとんど叫んでいたが、私の言いたいことを代弁してくれたこの男性は、ナース室からぞろぞろ現れた男たち(白衣を着た大勢の軍団)に囲まれ、隔離部屋に運ばれて行った。「何するんだ! オレは悪いことしてない。ヤメテクレ!」叫び声は半分泣き声だった。翌日、若い男性患者さんが言った。「昨日の患者さん、強制退院になったよ」と。
友人にいじめられて高校を中退した男子は、Dの投薬で昼夜逆転し、Dが嫌いでDの外来に行かない方法を皆で相談していた。退院したら、引き続きDの外来に通うのが約束なのだ。私も入院中、退院したら東大病院に通って貰えるかと研修医に聞かれた。男子と同じ主治医Dなので私もグループに呼ばれた。「運が悪いね。なんでDに当たったの」と私が男子に聞いたら「Dの外来患者がキャンセル入れて、代わりに僕に順番がまわってきた。」と。
担当がDじゃダメだからと、ご夫婦で嘘をついて、さっさと退院しちゃった患者さんいるよとか。私の隣のベッドの70代の女性Yさんは、ヨダレを垂らしていた。主治医はDだ。Yさんに聞いた。「家に居たときも、ヨダレ出てたんですか?」Yさんは、「いいえ」と言った。薬の副作用で、唇がしびれるのだろう。
「主人も子どもたちも私を東大病院に入院さえさせれば治ると思ってる」とYさんは言った。Yさんは研修医に頭痛がすると言っていたが、「頭が痛いのを治すのが電気痙攣療法ですよ。電気療法しましょうネ」と研修医はYさんに優しい口調で言っていた。Yさんも電気ショックをされていた。
私はなかなか退院させて貰えないので、個室にいた時、「どうしたら強制退院できますか?」と研修医に聞いたことがある。答えは、「ガラス窓を割るとか、他の患者を殴るとかですね。でもね、理性の有る○○さんがそのようなことをしたら退院どころか、かえって入院が長引きますよ」と言われました。


開放病棟で20代の女性と話をした。仮にFちゃんと呼ぶ。Fちゃんはかわいいマグカップ(服薬のための)を持っていたので、「どこで売ってるの?」と聞いたら、ソニープラザですよ、と教えてくれた。他患者の影響を受けやすいからと、午後8時まで個室で施錠され、午後8時から9時までの1時間だけ鍵がオープンになる。トイレは部屋の中でポータブルトイレだ。(私も同様だった。)
Fちゃんも電気ショックをやると言われたそうだ。「私って、10年ぐらいうつ病で、ずっと家族に気付かれないで放置されてたんですって」とFちゃんは言った。その後、Fちゃんも、昼夜逆転して閉鎖病棟に移っていった。
ところがである。カルテを調べたところ、私のカルテにも「10年前からうつ状態」と書いてあったのです。これには私もびっくりした。46年間、精神科というものにまったく縁がなかったのに、いつの間に私が10年も前からうつ状態ということになったのか……?


 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~