藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

コーヒーブレイク4

こちらのCM。ご覧になった方も多いかもしれません。
今回は経済という異なる視点から考えてみましょう。


~2012年7月~
 
米製薬大手のイーライリリー(NYSE:LLY)は6日、
抗うつ剤サインバルタ」(一般名:デュロキセチン)の有効性を
小児患者で調べた臨床試験(治験)を実施したことから同薬の米国特許期間が6カ月延長されたと発表した。
ただリリーは治験の結果、小児における有効性に一貫性がないことから
小児への適応については米食品医薬品局(FDA)に承認申請しないと述べた。
 
サインバルタの米国特許保護期間は13年6月までだったが、13年12月までに延長された。
 
同薬の後発版はこの特許失効後に投入可能となる。
FDAは医薬品の小児における安全性・有効性を調べるよう製薬会社に促す目的で
先発期間を6カ月延長できる。リリーは6日、同社がサインバルタの小児での先発期間延長に
ついてFDAの要件に合致したと述べた。
 
同薬は成人における糖尿病性神経障害に伴う痛み、大うつ病性障害、全般性不安障害
腹圧性尿失禁の適応症ですでに承認されている。サインバルタの医薬品表示(ラベル)では、
抗うつ剤は小児・思春期世代や若年成人において自殺念慮・行動を引き起こすリスクを増大する
可能性があると強く警告している。サインバルタの小児への使用は承認されていない。
 
リリーによると、サインバルタについてうつ病の小児や若年層を対象に調べた2つの治験で、
サインバルタ投与群と別の抗うつ剤であるフルオキセチン(一般名)投与群はいずれも
プラセボ(偽薬)投与群に比べ有意な結果を示さなかった。

リリーは4月、サインバルタの1-3月期の売上高は23%増の11億1000万ドルと発表した。
昨年10月の抗精神病薬ジプレキサ」の特許切れなど主力製品の相次ぐ特許失効に見舞われている。
買収、自社での研究のほか、
別の製薬大手との提携を通じた新薬候補(パイプライン)の補充に取り組んでいる。
同社株の6日終値は前日比0.19ドル(0.44%)安の42.66ドル。株価はここ12カ月で13%高となっている。


~2013年10月~
米製薬大手イーライリリーは、
2014年の財務目標達成に向けコスト削減を進めるとともに、
年次配当を補うため50億ドルの自社株買いを時間をかけて実施する方針を示した。
同社は3日、業界アナリストと製品に関する会合を開いた。
 
デリカ・ライス最高財務責任者(CFO)は、新興国市場の成長鈍化や円の下落といった
「逆風要因」が業績を押し下げており、2014年の最低売上目標の200億ドルを達成するのは
困難になると指摘。通年の利益目標に向けて、
売上高を達成するための適切な措置を模索しているとしたほか、コスト削減を進めると述べた。
 
同社は2014年までの年間純利益の最低目標を30億ドルとしている。
同社は2011年以降、統合失調症治療薬「ジプレキサ」など製品の特許切れが相次ぎ、
厳しい状況が続いている。
 
12月には抗うつ剤サインバルタ」の特許が切れるほか
14年には主力の骨粗しょう症治療薬「エビスタ」も期限を迎える。
ライス氏は、アナリストは「サインバルタ」と「エビスタ」の特許切れが
利益率に及ぼす影響を過小評価している可能性があるとする一方、
業績見通しでは適用税率が誇張されている可能性があると述べた。
また、同社の事業費の削減能力が完全に反映されていないとの認識を示した。
アナリストは2014年の1株利益(特別項目を含まないベース)が、
今年の予想の4.14ドルから33%減少し2.77ドルになるとみている。


~2013年9月~ 
 
"Eli Lilly and Co. settles wrongful death lawsuit"
(イーライ・リリー社、不法死亡訴訟に決着)
Apr 9, 2013

http://www.indystar.com/article/20130409/BUSINESS/304090105/Eli-Lilly-Co-settles-wrongful-death-lawsuit?&nclick_check=1

抗うつ薬サインバルタ (Cymbalta) の服用を始めて4週間後に自殺したサウス・ダコタ州に
住む16歳の少年の両親が、息子が自殺したのは同薬に自殺衝動を引き越すことがあることを
知りながら適切な警告を怠ったためであるとしてイーライ・リリー社を提訴していた問題で、
裁判開始を来月に控え、今回示談が成立。金額や内容は明らかにされていない。

2004年には19歳の少年が尿失禁の同薬治験中に首つり自殺しているが、
こうしたケースの多くは今回同様に内容が明らかにされることなく示談となる。

この件について、イーライ・リリー社側はノーコメント。


2013年12月にサインバルタの特許が切れます。
 
そこで塩野義製薬とイーライリリーの「うつ 痛み」のキャンペーンの展開です。
ここまで書けば、今回のキャンペーンが何を意味しているか分かるかと思います。
 
売り尽くし市に他なりません。
 

10月7日から、再びうつ病キャンペーンが始まったらしい。
いわゆる疾患啓発活動だ。以前のキャッチフレーズは「うつは心の風邪」だったが、
今回のは、「うつの痛み」なのだそうだ。曰く――
うつ病では、こころの症状だけでなく、頭の痛みや肩の痛みなど、からだの症状も現れます。うつ病患者のおよそ6割が苦しんでいる、このからだの痛み」ということだ。
うつ病を克服し元の生活に戻るためには、このこころとからだ両方の症状を改善することが重要です。
 
しかしながら、「からだの痛みがうつ病の症状だとは知らなかった」という理由で、
医師に相談することなく、適切な治療を受けずにいる患者さんも多く存在しています。
日本イーライリリー塩野義製薬では、からだの痛みがうつ病の症状のひとつであることを訴求する
「うつの痛み」疾患啓発活動を、テレビCM、ウェブサイト、新聞広告等で展開しています。
うつ病へのより良い理解が、より適切な治療につながり、
ひいては患者さんの寛解に貢献できればと考えています。


2013107日:プレス発表資料
塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区代表取締役社長:手代木 功、以下「塩野義製薬」)と日本イーライリリー株式会社(本社:神戸市中央区、代表執行役社長:アルフォンゾ・G・ズルエッタ、以下「日本イーライリリー」)は、「うつの痛み」疾患啓発活動を、本日107日より、テレビCM、新聞広告、ウェブサイトなどを通じて展開いたします。
うつ病患者さんやそのご家族等を含む一般の方々に、うつの痛みについて広く理解いただくことで、専門医でのより適切な診断と治療、ひいてはうつ病の回復への支援となることをめざし、疾患啓発活動を実施することにいたしました。
うつ病には抑うつ症状などの精神症状とともに、頭痛や肩の痛みなどの身体症状もあります。
うつ病に伴う身体の痛みは、頭痛、肩の痛み、胃や腸など消化器の痛み、首の痛み、腰痛、背中の痛みなど多様で、うつ病患者さん及び医師を対象とした調査結果によると、うつ病患者さんの64.0%が痛みを経験したと回答しています
 
その一方で、医師はうつ病による痛みの症状がある患者さんの割合は17.6%と回答しており、
痛みを経験している患者さんの割合と大きなギャップがあります。うつ病患者さんが主治医に痛みの症状を話さなかった理由としては、「痛みがうつ病の症状と思わなかったから」(69.2%)が最も多いもので、うつの痛みに関する疾患啓発活動の必要性を示しています。
 
一般社団法人 うつの予防・治療日本委員会 代表理事長崎大学 名誉教授 / 出島診療所  中根 允文 先生 コメント
「患者さんが、自分の治療に、より主体的に治療方法の決定に参加して、お薬を飲み続けていくという「アドヒアランス」という概念が、世界的に取り入れられてきています。そのためには、ご自分の病気、症状をしっかりと把握、理解することが第一歩です。「うつ病」という病名の認知度は大変高いものの、病気への正しい理解という点ではまだ十分とは言えません。うつ病を正しく理解いただくことで、「うつの痛み」についても医師に相談いただき、苦しいうつの症状がやわらぎ、一日も早い回復につながればと願っています」


いずれもイーライリリー、塩野義製薬のHPから引用した。
ここでは「うつの痛み」かどうかを確認するチェック項目があり、
もし「うつの痛み」ならそれに対応してくれる病院検索もできるようになっている。
 
 イーライリリーのページ、CM。
 十数年前の悪夢の再来


イーライリリー、塩野義製薬抗うつ薬――つまりサインバルタの販促ということだろう。
痛みに対して抗うつ薬が処方されるというケースはこれまでもあったが
――繊維筋痛症抗うつ薬が使われたり、胃痛や腰痛にも抗うつ薬が使われることもある――
今回のこれは、それを逆手にとったかのようである。痛みには抗うつ薬が効果がある。
抗うつ薬の効果があるということは、痛みという症状のうつ病も存在する(しかもうつ病の6割以上が!)
 
製薬会社はうつ病に関して、どこまでこんな子供だましの
下手な物語を作り続けるつもりなのだろうか。
うつの痛み――抗うつ薬の痛みの間違いじゃないのか。
離脱症状の痛みの間違いじゃないのかと思ってしまう。
しかもこうしたやり方から予想できることは、これから先、きっと「痛み」に限らず、
あらゆる症状をうつ病に結びつけて、人々を「啓発」していくということだ。
それこそ、どんな症状も原因がはっきりしないとうつ病の症状にされてしまうに違いない。
 
そもそもうつ病とはどのような病気なのか、原因が特定できない病ゆえ、
製薬会社にとっては、すそ野をいくらでも広げられる(利用しやすい)疾患ということだ。


それにしても、長崎大学の中根允先生は、イーライリリーと塩野義製薬と癒着があるということだ。
こんなコメントを書くこと自体、それを自ら白状したということである。
こういう場面に顔をだす医師が、どういう立場に立っているのか、
消費者(患者)だってもうだいたい想像はつく。
が、それでも、痛みはうつ病の症状と信じて、受診する人は、この啓蒙をきっかけに激増するのだろう。
そして、治る人よりも、症状の改善もなく薬がどんどん増えていき、
最終的には、薬をやめることに苦労する人を量産する。
「うつは心の風邪」キャンペーンと同じことをまたやろうというわけだ。
製薬会社にしてみれば、「夢よ再び」ということなのだろうが。
 
【以下、副作用発現率TOP10】

サインバルタ  抗うつ剤 <イーライリリー,塩野義製薬> 90.2%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179052 M1022_2 _03/?vi ew=fram e_f

リフレックス  抗うつ剤 <明治製菓>    82.7%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179051 F1029_1 _07/?vi ew=fram e_f

コンサータ   ADHD治療薬 <ヤンセンファーマ> 80.2%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179009 G1022_1 _02/?vi ew=fram e_f

ストラテラ   ADHD治療薬 <イーライリリー> 71.9%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179050 M1023_1 _06/?vi ew=fram e_f

パキシル    抗うつ剤 <GSK> 68.5%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179041 F1025_2 _23/?vi ew=fram e_f

ジプレキサ   抗精神病薬 <イーライリリー> 65.0%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179044 F1029_1 _21/?vi ew=fram e_f

セロクエル   抗精神病薬 <アステラス製薬アストラゼネカ> 62.5%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179042 C1023_2 _11/?vi ew=fram e_f

リタリン    中枢神経刺激剤 <ノバルティスファーマ> 61.9%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179009 B1033_1 _01/?vi ew=fram e_f

エビリファイ  抗精神病薬 <大塚製薬> 60.8%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179045 B1021_1 _14/?vi ew=fram e_f

ジェイゾロフト 抗うつ剤ファイザー> 59.6%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179046 F1028_2 _02/?vi ew=fram e_f

※番外編
リスパダール・コンスタ(筋注用) 抗精神病薬ヤンセンファーマ> 81.1%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179407 G1026_1 _03/?vi ew=fram e_f

リスパダール  抗精神病薬ヤンセンファーマ> 31.24%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179038 C1027_1 _23/?vi ew=fram e_f

ロナセン    抗精神病薬大日本住友製薬,吉富薬品> 75.5%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179048 B1025_1 _07/?vi ew=fram e_f

ルーラン    抗精神病薬大日本住友製薬,吉富薬品> 62.2%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179043 F1032_2 _10/?vi ew=fram e_f

クロサリル   抗精神病薬ノバルティスファーマ> 98.7%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179049 F1021_1 _06/?vi ew=fram e_f
→対象が77例ということで他の薬剤と比べて安全性解析の対象となった例が少ない。

トレドミン   抗うつ剤旭化成ファーマ,ピエールファーブルメディカメン> 38.3%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179040 F1136_4 _06/?vi ew=fram e_f

レメロン    抗うつ剤シェリングプラウ> 82.7%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179051 F1037_1 _07/?vi ew=fram e_f

デプロメール  抗うつ剤明治製菓> 43.0%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179039 F1028_1 _30/?vi ew=fram e_f

ルボックス   抗うつ剤アステラス製薬アボット製薬> 43.0%
http:// www.inf o.pmda. go.jp/g o/pack/ 1179039 F1036_1 _30/?vi ew=fram e_f
 


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