藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

コーヒーブレイク5

1442億円(前年比14.9%増)で2011年国内売上トップでした。


 
2011-03-02 02:16:31
 
長年の経験で、神経伝達物質に影響を与える薬は、
思わぬ副作用や本来の作用と逆の作用(奇異反応)などが出ることがあり、
慎重に使用しなければいけないと考えている。
私が対応してきた患者には、レビーが多かったので今考えると当たり前のことである。

レビーの方で一番注意しなければいけないのは、薬に対する反応が過剰で、
副作用がでやすかったり、奇異反応が見られたりする薬剤過敏性なのである。

これがあるからレビーの薬物法は非常に難しくなる。
あと妄想・興奮しやすいなど、ドパミン過剰で起こる症状とパーキンソンニズムで
ドパミン不足で起こる症状を同時に持つこともあるが・・・。

神経伝達物質とは、神経細胞間で刺激をつたえる物質のことである。
神経伝達物質としてドパミンを使用する神経細胞を、ドパミン作動性ニューロンなどと表現する。

アリセプトは、神経伝達物質のうち、アセチルコリンの働きを良くする。
これによって短期記憶障害を改善する。
しかしアリセプトの本来の作用は、短期記憶障害の改善だけではないと私は考えている。
アリセプトは、短期記憶障害を改善が確認される場合が珍しくない。
MCI(軽度認知機能障害)の段階で使うと、著明に改善する場合が珍しくない。
私が一番最初にアリセプトを使用した方は、劇的に改善した。
 
その方は、アリセプト使用前は、台所に薬を飲むための水を持ちに行き、
何をしに来たのか忘れて、そこでうろうろするなど短期記憶障害がかなり進行していた。
それがアリセプトを飲み始めて1~2週間で著しく改善し、1か月くらいしたとき、
妹さんから私に渡す菓子折を、ひとりで私に渡すことができるようになった。
私が受取部屋の隅において、わざと忘れると、「先生忘れもの」と
言ってそれを持ってくれるまで改善した。
 
ただアリセプトの短期記憶障害の改善作用は長続きしない事が多い
1年もすると、飲み始める前より短期記憶障害が進行して来ることがほとんどである。
そのような薬剤をなぜ長期飲み続ける必要があるのか?
 
アセチルコリン作動性ニューロンは、視床あたりから大脳全体に分布し、
その刺激に応じて大脳が活動していると考えられる。
これが意識を保つ大脳賦活系になるのかどうか、
不勉強な私にはわからないが、
アリセプトが大脳全体の機能を高めている可能性がある
 
このため、日常生活動作(家事や着替え・排泄行為など)がアリセプトを使用しない時に
比較して維持できる場合があると考えられる。この作用があることは、
アリセプトの中止が早いと、これらの日常生活動作が急速に失われる方が多いことから、
間違いなくあると考えている専門家も少なくないようである。
 
それ以後もやめると日常生活動作の保持が難しくなって私自身もアリセプト
最初に使用した方で、それを強く感じた。くることを経験している。
アリセプト中止後4週間ほどたつと、アリセプトの効果がほとんどなくなってくるため
日常生活動作の喪失が徐々に目立ってくる。
 
あと高齢者のアルツハイマー認知症に対しては、
短期記憶障害による不安などを感じさせなくなるようである。
このため、アリセプトを服用している方は、短期記憶障害が非常に強い以外、
大きな問題もなく認知症があること(アリセプトを服用してもらっていること)を
私が忘れてしまうこともあるくらい、良い状態を保つ事も珍しくない。
 
こう書くとアリセプトは、非常に良い薬としか思えない。
エーザイも、最近でもアリセプトには「下痢や軽い消化器症状以外問題となる副作用はない。
下痢や消化器症状も少量から慣らしていけば、ほとんど問題にならない」と宣伝している。
 
しかし、本当だろうか?
 
私自身、アリセプトの副作用に気がついたのは、つい最近である。
昔在宅で認知症に対応していた当時、近くにある認知症疾患センターと呼ぶ、
厚労省の肝いりで各県に作られた認知症専門の医療機関があった。
そこは精神科で入院もあった。
同じ敷地に一般病院もあり、認知症疾患センターや一般科などに入院治療をお願いしていたが、
認知症疾患センターの担当医は、すぐアリセプトを中止していた。
私は前期のアリセプトの効果しか意識していないので、
何でやめてしまうのか疑問(不満)に思っていた。しかし理由があったのである。

それはなにか?

アリセプトによる興奮である。

認知症疾患センターの担当医は、
アリセプトをやめると興奮が収まりBPSDがそれだけで改善する例を数多く見ていたのだと思う。
今考えるとそれが真実だたと思う。
 
最近、有料老人ホーム入所者で内科系の主治医で対応できない方などを中心に、
認知症に対応する認知症専門医療機関で仕事をしていた。
このとき興奮の多くは、アリセプトの影響であることを、私も確認している。
依頼があった方の2~3割がアリセプト過剰で興奮しているのである。
アルツハイマーで良く見られる。
 
レビーの場合も起こるが、5mgでは興奮は起こらず、
0,5mgで再開すると興奮で使用できない方が多かった。
エーザイがこの副作用についてきちんと医師に伝えないため、
知らない医師は認知症のために興奮していると判断してしまうようである。
このため介護者は興奮する認知症の方をどうして良いのか判らず、
非常に苦しめられていることが多い。アリセプトを一時休薬して、
その後以前の量より少ない量で再開すれば問題ないことである。
これができる医師が非常に少ない。
 
この興奮は、アセチルコリンが大脳全体の働きを良くする作用があることで説明がつく。
量が多すぎると大脳の働きを良くしすぎ、それが興奮となって現れると考えれば納得が行く。
この興奮は、M3と言うサイトに乗っていた記事で、
何らかの理由でアリセプトを3mg以下にしている患者の割合を複数の医療機関で調査した
データが載っていた。そのデータによると、アリセプトを3mg以下で使用している患者の
割合は2~9%ととあり、その理由は興奮が1/3で有ったことより、
全患者の2~3%程度はアリセプトによる興奮があったと推定される。
 
河野先生の場合15%程度あると言っておられる。
この数字を見ると、興奮と言う副作用が決して少なくない事が判る。

ここで話は一時的にちょっと変えさせていただく。
アリセプトを始め、今度発売になるメマリーなども適応はアルツハイマー認知症のみで、
レビー小体型認知症では使用できない事になっている。ただ小坂先生の研究を見ると、
レビー小体型認知症の方は、病理学的にアルツハイマー性病変も持っている。
 
アルツハイマー認知症と言う診断は、
病理(脳の組織の標本を使用して顕微鏡で確認する)学的な診断である。
このため小坂先生の研究から、レビーの方を、アルツハイマーも合併していると考え、
アルツハイマー認知症と診断することには、医学的な問題はないともいえるのである。
 
河野先生も、この前の東京セミナーでこのことに触れていた。
ただこの考えを強く推し進めると、レビー小体型認知症を独立した疾患とみるか否かと言う、
医学的な論争を引き起こしかねないので、大きな声で言えない事であるので、
河野先生も講演ではさらっとした表現で済ませていたが・・・・。
 
この考えに立てば、レビーの方でも、アルツハイマー認知症と言う病名をつけて、
アリセプトやメマリーなどアルツハイマーの治療薬を使用することは、全く問題ないと考えている。

今度は、「アルツハイマー認知症」+「レビー小体型認知症」(レビー小体型認知症のことであるが)に対するアリセプトの効果を考えていく。
 
幻視や妄想などに効果がある場合が珍しくない、
私の義母はアリセプト5mgで妄想が軽減されていた。
アリセプトを中止してアリセプトの効果がなくなると、
今まであった妄想が顕在化し、興奮してどうしようもなくなった。
アリセプト再開で改善したので、効果があったことは間違いないと思う。
このように、レビー特有の症状にも効果が出ることが珍しくないが、副作用も多い。
 
レビーに多量のアリセプトアルツハイマーの標準量)を飲ませると、
脳の活動性が悪くなり、抑うつ的になり食事摂取もままならなくなることが良くある
この場合も認知症が悪化したので仕方がないと片づけれれている場合が多いと思う。
最後に誤嚥性肺炎を起こして短時間で亡くなる方もいるかもしれない。
 
逆にせん妄になり、非常に興奮して手がつけられなくなる場合もある
先ほど書いたアリセプトの意識に対する作用が影響している可能性がある。
過剰に効果を示し、一部の大脳の領域が興奮しすぎてせん妄になっていることが考えられる。
奇異反応で逆に意識レベルが低下し、活動性が落ちていることもある。
このようにレビーを合併したアルツハイマーに使用すると、大変な事になる場合がある。
もちろん問題ない方も多い。
河野先生によるとレビーで5mgのめる方は、効果もない方が多いと言っておられたが、
その通りである。フェルガードを試用開始した後、多くの方でアリセプトを減量中止したが、
日常生活動作の悪化は感じなかった。

エーザイに、この問題を伝え、考えるように促した。
一時副作用の問題に取り組む様子もあったが、最近販売拡大路線に再度大きく舵がふられ、
販売にマイナスになる要素は隠し通す作戦に出てきたようである。
金の力に任せて、反対派を取り込んでいくのがエーザイのやり方である。
 
最近認知症を学ぶ会の掲示板にも投稿があったが、「認知症を学ぶ会」の世話人であり、
なおかつコウノメソッド実践医である某医師(代表世話人が経営しているクリニックの院長)が、
M3と言う医師向けのサイトでエーザイの広報用コンテンツに出ていた。
重度アルツハイマーの場合、早期からアリセプトを10mg使用したほうが良いと述べていた。
明らかに重症と言える前に増やしたほうが良いと取れる内容であった。
恐るべしエーザイと言わざるを得ない。

もうひとつエーザイがらみのお話である。
薬剤が原因のせん妄も良くある。睡眠薬や抗パーキンソン病薬などがあるが、
最近ある種の胃薬と言う表現を良く見るようになった。
これは何かと言うと、ヒスタミンH2ブロッカーと呼ばれる、
胃潰瘍急性胃炎の治療薬である。最近PPIと呼ばれる薬剤にその主役を奪われてきている。
このヒスタミンH2ブロッカーの代表的な薬剤が「ガスター」である。
 
ガスターの発売元であるエーザイが何らかの圧力をかけて、
ヒスタミンH2ブロッカー認知症専門医に言わせないと考えざるを得ない。

このようなエーザイの反社会的な対応は、批判を受けてしかるべきだと思う。
ガランタミンなどのアセチルコリン賦活系の薬剤で、アリセプトの必要性がなくなってきた現在、
アリセプトの副作用問題が出てくるのは間違いないと思う。私もその方向で動くつもりでいる。
エーザイが真摯に対応しないなら、アリセプトの発売中止と言う事態が起こりかねないと思っている。
 
現在のエーザイの対応を見ているとアリセプトが発売中止になって欲しいと言う気持ちが強い。
いま仕事が無くて困っている弁護士が多いと聞いているので、
社会派の弁護士に動いてもらおうかとも思うこのごろである。
まだアリセプトを必要とする方々が多い現状では、そんなことをするわけにはいかないが・・・・。



効能又は効果に関連する使用上の注意

1. アルツハイマー認知症と診断された患者にのみ使用すること。
2. 本剤がアルツハイマー認知症の病態そのものの進行を抑制するという成績は得られていない。
3. アルツハイマー認知症以外の認知症性疾患において本剤の有効性は確認されていない。
注) http://www.eisai.co.jp/news/news201361.html  平成25年10月31日、レビーへの認可を追加申請
 
※ 一体この薬は何なのでしょうか

重大な副作用

副作用発現率は無視したほうが良い。実際には数値異常の副作用が発現している。
 
1. 失神、徐脈、心ブロック、QT延長、心筋梗塞心不全 失神(0.1%未満)、徐脈(0.1~1%未満)、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)、QT延長、心筋梗塞心不全(各0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 
 
2. 消化性潰瘍、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血
本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)(0.1%未満)、十二指腸潰瘍穿孔(頻度不明)、消化管出血(0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 
 
3. 肝炎、肝機能障害、黄疸 肝炎(頻度不明)、肝機能障害(0.1~1%未満)、黄疸(頻度不明)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 
4. 脳性発作、脳出血、脳血管障害
脳性発作(てんかん、痙攣等)(0.1~1%未満)、脳出血、脳血管障害(各0.1%未満)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 
 
5. 錐体外路障害(0.1~1%未満)
寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
 
6. 悪性症候群(Syndrome malin)(0.1%未満)
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。 
 
7. 横紋筋融解症(頻度不明)
横紋筋融解症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。 
 
8. 呼吸困難(0.1%未満)
呼吸困難があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、
適切な処置を行うこと。
 
9. 急性膵炎(頻度不明)
 
急性膵炎があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、
投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 
 
10. 急性腎不全(0.1%未満)
 
急性腎不全があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、
投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 
 
11. 原因不明の突然死(0.1%未満)
 
その他の副作用
 
1. 過敏症 0.1~1%未満   発疹、そう痒感
2. 消化器  1~3%未満   食欲不振、嘔気、嘔吐、下痢
3. 消化器  0.1~1%未満  腹痛、便秘、流涎
4. 消化器  0.1%未満  嚥下障害、便失禁
5. 精神神経系 0.1~1%未満  興奮、不穏、不眠、眠気、易怒性、幻覚、攻撃性、せん妄、妄想、多動 
6. 精神神経系  0.1%未満  リビドー亢進、多弁、躁状態抑うつ、錯乱、無感情
7. 精神神経系  頻度不明  悪夢
8. 中枢・末梢神経系 0.1~1%未満  徘徊、振戦、頭痛、めまい
9. 中枢・末梢神経系 0.1%未満  昏迷
10. 肝臓  LDH、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTP、Al‐Pの上昇
11. 循環器 0.1~1%未満  動悸、血圧上昇
12. 循環器  0.1%未満  血圧低下
13. 循環器  頻度不明  心房細動
14. 泌尿器 0.1~1%未満  BUNの上昇
15. 泌尿器 0.1%未満  尿失禁、頻尿
16. 泌尿器 頻度不明  尿閉
17. 血液  0.1~1%未満  白血球減少、ヘマトクリット値減少、貧血
18. 血液  0.1%未満  血小板減少
19. その他  0.1~1%未満  CK(CPK)、総コレステロール、トリグリセライド、アミラーゼ、尿アミラーゼの上昇、けん怠感、むくみ、転倒
20. その他  0.1%未満  顔面紅潮、脱力感、胸痛、筋痛
21. その他  頻度不明  発汗、顔面浮腫、発熱
 
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