藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

横紋筋融解症に関しての余談

FB投稿分 6月22日
 
横紋筋融解症に関しての余談。

近年、食品が薬に及ぼす影響が注目されています。
食品そのものには毒性がなくても、薬との併用で重篤な有害反応を起こすことがあります。
これまでに判明している食品の中でも、特に注目されているグレープフルーツ・ジュースについて述べます。

薬といえども生体にとっては異物であり、
一連の酵素の働きによって体外に排泄され易い型(水溶性)に代謝され、尿中や胆汁中に排泄されます。
経口投与された薬は小腸で吸収され肝を経て全身循環に入ります。
 
その際、腸上皮細胞や肝細胞にある薬物代謝酵素トクロームP450(CYP)や
その他の酵素の働きで代謝されます。 このCYPは40種類以上ありますが、
中でもCYP3A4が約30%と最も多く重要な薬物代謝酵素であり、
CYP3A4を阻害すると血中薬物濃度が上昇し過ぎて有害反応が出現します。
 
この酵素は、臨床で使用されている薬品の50%以上の代謝に関...与しています。
グレープフルーツに含まれるフラノクマリンは、このCYP3A4活性を強力に阻害するため、
グレープフルーツ・ジュースを飲用すると血中薬物濃度が上昇し、
時に重篤な有害反応を引き起こすと考えられています。

コレステロール血症治療剤リピトール(物質名はアトルバスタチン)は、
日本では2005年より販売されています。メーカーの説明では、
この薬による横紋筋融解症などの重篤な副作用の発生率は低いとされています。
ところが、この薬にグレープフルーツ・ジュースを飲み合わせると重大な副作用を起こす可能性があります。

リピトール(アトルバスタチン)は生体内でのコレステロール成を抑えるとともに、
血液中からのLDLコレステロールの取り込みを促進する作用があるため、
高脂血症の治療薬として使用されています。
(但し、この作用によって、心筋梗塞脳梗塞の発症率を低下させるか否かは現時点では不明です。)
 
このアトルバスタチンによる有害反応には横紋筋融解症があります。
この中の1例は、発症前の2ヶ月間に、1日2~3杯のグレープフルーツ・ジュースを飲み、
アトルバスタチンを、1日10~60mg(2ヶ月間に増量)を経口投与していました。
この他では、バイアグラクエン酸ルデナフィル)との併用で血中濃度が約40%上昇するため、
併用注意とされています。

この他でCYP3A4によって代謝され、グレープフルーツ・ジュースの影響を受けやすい薬は、
 
マクロライド系抗菌薬
 
・カルシウム拮抗薬
 
・HMG-CoA還元酵素阻害薬
 
 
・ベンゾジアゼピン系睡眠誘導薬
 
・抗アレルギー薬
 
などが知られています。
 
いずれも日常の診療でよく使用されている薬ですので注意が必要です。

グレープフルーツ・ジュースを飲用すると、
酵素活性が50%回復するためには23時間必要とされています。
飲用した後は、その日はこれらの薬は飲まないことが賢明です。
グレープフルーツはスイート・オレンジとマンダリンの交配によって作られましたが、
スイート・オレンジはさらに、プメロとマンダリンの交配によるものです。
これらの中でフラノクマリンが含まれているのは、プメロ、スイート・オレンジ、グレープフルーツです。

商品名のLyrica は、lyric(叙情的)に ca (カルシウム)をくっ付けた言葉です。
この薬は一種のカルシウム拮抗薬で、神経細胞にあるカルシウムの出入り口である、
カルシウムチャネルの開閉をコントロールしている、α2δ という蛋白質にくっついて、
その門からカルシウムが入らないようにしてしまう働きを持っています。

リリカ添付文書には上記危険性の記載はありません。

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