藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

続・続・鍵コメさんからのご質問に対して

ご質問頂き有難う御座います。
ご質問頂く事で私自身も再考察及びアウトプット出来る機会となり、
大いに自身にとっての勉強となります。感謝致しております。


6・4/3:04/3:17の内容に関して。
 
源流は中医学になるはずです。
具体的なワードを書くと特定される為に書きませんが、○○○は
脊髄から出ている神経を短縮した大腰筋が締め付ける事で痛み痺れを出すと捉えています。
この理論が中医的なモノかどうかに関しては、
私が中医を学んだ事が無いので分かりませんが、
大腰筋を処置する事で坐骨神経痛と言われる類の症状の改善を目指していると言っています。
生理学的要素が中医に有るのか無いのかも分かりませんが、
神経障害説を唱えている以上、生理学的観点からの視点とは異なると考えられます。
 
この事により、椎間板ヘルニアと診断された腰下肢痛の症状を持つ患者群に対しては、
大腰筋の筋緊張を取ってもヘルニアが神経を圧迫している以上、
腰下肢痛の症状は取れないと解釈しています。
 
但し、改善率を50%と提示している為、治る患者も存在している訳です。
これは少し不可解な状況かと考えられます。
「圧迫=痛み・痺れ」なら、鍼灸治療での改善率は0%になるはずです。
まさか鍼にてヘルニアをこそぎ落とす訳でもないでしょうしね。
 
実はという訳ではないのですが、先方の理論は置いといたとしても
大腰筋へアプローチを行う事で得られる効果は大きいと考えています。
私も、関東住まいの患者さんには治療院を紹介した事が数度あります。
出向いた患者さん方は幸いに症状も改善に向かっていきましたが、
後々聞くと、内転筋群の緊張が残るケースが多いようです。
 
当時は私自身も○○○の理論に傾倒していた為に、似たような状況が発生しておりました。
今書いていて思い出したのですが、もしかしたら今の理論は内転筋群の緊張が残るのは何故か?
という部分から派生したような気もします。結構前の話なのでうろ覚えですが…。
 
大腰筋+臀部に対して処置を行うという点では、当院と然程差はないのですが、
○○○は短縮した筋に対して着目をしている為に、処置した部位は弛緩されるのですが、
処置していない箇所は、「そのまま残る」という状態に陥りやすいようです。
 
患者側の生活環境や仕事内容により
治癒が働きやすい環境が整っていれば、
時間の経過でその後の自然治癒による改善率も高まりますので
問題は無いのかもしれませんが、あくまで筋緊張に対しての処置という考えで
治療を組み立てる以上、局部的に症状が残る感覚は出てきてしまうと考えられます。
 
内転筋群を統括している箇所へのアプローチを怠る事により、内転筋群の緊張が残った場合は、
股関節は屈曲傾向に成り易く、且つ視線を床と併行に保つ為の代償作用が働く為に、
腰部の緊張及び倦怠感等々の愁訴が現われ始める可能性もあります。
その結果、中長期的に見た場合、再発の可能性も若干高いのではないかと考えております。
以前書いた内容のコピペともなりますが、
下記の内容が中途半端な状態で一時停止するような状況と申しましょうか。
上手く説明が出来ずに申し訳ありませんが、少し参考になさって下さい。
 
Q2、間欠性跛行のように、歩けば痛みが出るならわかりますが、ちょっとわかりません。
 
過去から今現在に掛けて、ヘルニアによる神経根圧迫で発生する
腰下肢痛は無い旨を書いているのと同様、
世間一般では間欠性跛行を示す代表的な疾患の脊柱管狭窄症と診断された患者に対しても、
腰下肢痛の発生は別物として考えています。
 
ヘルニアや狭窄症と診断された患者の症状は、0か100かでしょう。
要は、無症候か馬尾障害及び麻痺の二極化であり、痛みや痺れ、筋力低下は他に原因があると考えています。
 
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等のような、構造的異常から派生すると考えられている痛みの原因は、
単なる筋肉の脆弱化と持続的短縮による各愁訴の発症による疼痛性跛行と捉えており、
本来の間欠性跛行はASOやTAOに代表される血流障害性の疾患に限局されるものと捉えています。
 
患側立脚期時に於ける疼痛に関しては、
中臀筋や小臀筋の股関節外転筋の異常緊張含む
脆弱性の可能性及び、股関節外転筋を制御する内転筋群や大殿筋、
外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、 大腿方形筋、梨状筋等の外旋筋群の異常もあるでしょう。
 
ここで、青字の筋群を統括している母体は何かと考えた場合、
継続歩行による症状軽減の理由が見えてくると思いますし、疼痛性跛行が起きる原因も見えてくると思います
 
但し、暖簾分けされている治療院に関しては、
術者独自の理論を組み込んでいるところも多いようなので、一概には言えない点はあります。


血流確保と言っても血管に鍼を刺す訳ではなく、
強い筋緊張を発している筋肉を見極め、鍼を打ち込み、血管の圧迫部位の開放を目的とする事になります。
参考になるか分かりませんが、人間には内臓器に於いて生理的狭窄部というモノが存在しますね。
食道あれば、食道入口部、大動脈弓~左主気管支との交叉部、食道裂孔部。
尿管であれば、腎盂尿管移行部、総腸骨動脈交叉部、膀胱尿管移行部なんてですね。
 
これは骨格筋に対しても言えると思うのです。
生活姿勢や環境、仕事内容でも若干の変動はあるかもしれませんが、
人間は立って座って寝る生き物です。これらの動作により、骨格筋に対してでも
生理的とは言いませんが、継続的に圧迫される部位というのは導き出されます。
 
ヒントを下記に↓
『Fontaine分類を示す患者は、脈管系障害より発生する疾患です。
しかし、上記の赤字患者群は筋骨格系異常より派生する脈管系異常であると推察されます。
そして、正座による痺れは意図的に発生させた脈管系障害より痺れという症状を呈したものです。
正座の痺れは各種筋群の異常伸張及び異常短縮に伴う各動脈の絞扼から発生したもの。
Lactic Acidosisが呈した症状である事が仮説として立てられます。
 
では、再度赤字の患者の症状を見てみましょう。
彼等、彼女等は正座という姿勢云々に関わらず正座後の痺れという症状を自覚されています。
一番上の患者はリリカも飲んでいますが、一番上の患者含め、全員NSAIDsを飲んでいます。
改めてNSAIDsの作用を復習しましょう。
イメージ 1
効いたか効かずか処方した人間より「効果判定には時間が掛かる」とか
「2週間飲み続けてみて」とか言われている患者も多いかもでしょうが、
仮説が正しい場合、NSAIDsは上記赤字患者に対して一切の効果が無い事が分かります。
勿論、リリカも効きません。効きませんというか、上記患者には必要の無い薬です。
 
効果が無いのは薬のせいではありません。NSAIDsもリリカも症状により著効を示します。
現行の症状を呈する患者に対して処方した人間が、症状を取り違えている為に効果が出ないのです。
 
原則的に赤字患者の症状は自然治癒の可能性が有り得る症状群です。
生活姿勢の見直し一つで治癒機転が決定付けられるケースも多く存在します。
我々の責任とは、上記赤字患者がLactic Acidosisから発生する痺れと仮定付けた場合、
治癒へ運ぶ手助けをしなければなりません』
 
余談ですが、今後も各種整形外科的領域で言われる痛みや痺れの症状に対しては、
処方する側が神経障害だと思っている以上、リリカが幅広く処方され続けるのではないかと、
日々不安視しているのです…。
 
そして、継続的圧迫された箇所に関しては、その箇所を見極め鍼を落とし込み、
且つ、結果として出ている筋硬結やTrPと言われる類の処置も併行して行う事で、
より一層治療効果は高まるものかと思われます。
何度も書いている通り、「症状発症箇所≠原発」です。
 
多鍼や少鍼の点に関しては明確な基準がありませんので、
私自身の治療が多鍼か少鍼かは分かりませんが、
原発+硬結やTrPを処置していく事になると、どうしても鍼数は多くなりがちです。
 
但し、大切なのは「この患者に対して効果が有るのか効果が無いのか」であり、
見た目のインパクトの有無で「エー」だの「キャー」だの言っているのはお門違いなのですね。
全く免疫の無いど素人が初めて解剖実習に行ったのとは違うんですし。
以前、何かの雑誌でどこかの先生同士が対談した記事の中で
「アンタの治療は患者を鍼山にしている」と書かれた内容が頭を過ぎりながら治療を行う時もありますが…。
 
とは言っても、鍼山だろうが何だろうが、「必要な量を打ち込む」事は至極大切な事であり、
患者を早期回復、及び早期回復過程に乗せる為には、「痛いですか?ごめんなさいね。」
なんて患者の顔色を伺いながら一本一本打っているのは患者の為かと思うと疑問符も付きます。
 
東洋医学は一切信用していないですから気や経絡の概念も一切無いですし、必要ありません。


TrPや硬結という分類も、私自身そんなに分け隔ててはいないのです。
と申しますのも、TrPも硬結も同じだと考えていますので…。
以前も書いた事があるかもしれませんが、例えば大臀筋一つ取り上げたとしても、
大臀筋という筋肉も、一つ一つの筋線維の集合体で成り立っています。
 
大臀筋の起始停止に関しては
(起始)
後殿筋線の後方、仙骨・尾骨の外側縁、胸腰筋膜、仙結節靭帯らに付着。 
(停止)
浅層は、大腿筋膜の外側部で腸脛靭帯に移る。
深層は、大腿骨の臀部粗面に付着。ですね。
 
患者説明時には分かり易いように大臀筋大臀筋と説明してはおりますが、
あくまで大臀筋として成り立っている筋線維の集合体の、
局部的なポイントに対して鍼は落とし込まれる事になる訳です。
 
やはりそのポイントというのも触診ありきで定められる箇所とはなるのかもしれませんが、
あくまで私の場合は定型的要素が強い面もあると思います。
 
幾ら筋腹を揉もうが鍼を打とうが一時的なリフレッシュ作用しか得られないのは、
あくまで筋硬結しかアプローチ出来ていない証拠で、
原発及び、原発を作動させ続ける箇所の処置が出来ていない以上、
治療回数は重ねても毎度の事リフレッシュ作用しか生まれないと考えています。
この事により、患者サイドで得られる身体症状は「その場限りの症状改善」となります。
 
発症期や重症度合い等々によっては、1~2度の治療では軟部組織の補正が行われずに
治療後も一時的な軽快は得られても数日で戻るという場合もあるかもしれませんが、
常に原発さえ定められた治療を行い続け、器質的変性を定期的に加え続ける事が可能であれば、
身体症状は改善傾向へと変化していく事と思います。


6・4/3:56の内容に関して。
 
一番難しいと思います。
治療とは患者の身体に作用を起こすものです。
作用が起こる治療には、必ず反作用が付き纏います。
 
鍼治療も例に漏れず、強い作用を起こす治療を行う程、反作用も強くなります。
私自身は物療器等々を用い、作用は出しつつも反作用を消すという作業を
治療過程に於いて行っていますが、あくまで身体の最深部まで打ち込まれる鍼の作用を
消す道具は存在し得ない状況です。その為に、強い作用を出そうと
思うと患者側のリバウンドも残念ながら避けられぬ状況となります。
 
とは言っても、患者個々でリバウンドが出るか出ないかは大きく違いますし、
出たとしても治療後~翌日程度まで長風呂に浸かった時のような身体の重ダルさが続くとか、
打ち込まれた鍼の箇所が引っ張られるような違和感があるという程度です。
大は小を兼ねる治療を行う以上、重症度の高い患者層に合わせた治療を標榜して
理論を構築している以上、常に患者意識に寄り添った治療を行う必要性はあると思います。
それがオーダーメイド治療なんて言うのでしょうか。
何か言ってて小っ恥ずかしいですが(苦笑)


 青森から鍼灸治療の意識改革を~