藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

Q,鍼灸師です。痺れの患者に処方するNSAIDsの理由って?

 
先日は脊柱管狭窄症術後、再発で左臀部から左足親指迄の痛み痺れが酷くなった件で再度MRI検査後、
神経孔の狭窄はないと診断されました。 ただ開窓術後、L5に少し狭窄が再発したようだが、
痺れが出る程酷くはないと言う事で暫く「リリカ」で様子見ましょうとの事でした。
後、狭窄症体操も朝晩実行しています。
少し痛みは取れたようですが…痺れは相変わらずで長時間正座後の痺れ感です。
右に体を倒すと少し楽になります。このままの治療で大丈夫でしょうか?


3年前に整形外科にて脊柱管狭窄症(老化による)があることがわかりましたが症状は出ていませんでした。
最近右足指の第2~4指の感覚が無くなりました。正座した後にしびれた状態です。
指に力は入り他に痛みなどはありま せん。整形を受診しましたが麻痺が無く、平常に歩けるため、
異常なしとの診断です。しかし感覚が無いというのは大変いやな症状です。
このまま放っておいて大丈夫なのか心配です。


足のしびれについて教えて下さい。
普通、正座をして足がしびれますがしばらくすると治まりますよね。。。
最近の私は2~3分の正座で両足の膝から足の指先までジンジンしびれます。
ここからしびれがすぐ治る方法を知っているので、やるのですが3時間もそのジンジンのしびれが取れません。
痛かゆい感じです。そのしびれが耐えられず、湿布を貼ってやっと和らいできます。
今までは、治まるのに5分もかからなかったと思いますが・・・。
私はこの正座をした時だけではなく、
よく感じるようになったのはゆっくり座った後にベッドにうつ伏せに横になると膝下が同じように
ジンジンしびれます。歩いている時などはそんなに感じることはありません。

腰痛について質問です。
1)座骨神経痛と言われたのですが、右足から太ももまでが、
ここ1週間ほど24時間正座した後の痺れたような状態とか足がつって痙攣したような状態です。
腰は全く痛くありません。座骨神経痛って こういう病気なんですか?
2)あまり痛いなら、手術もありうる。と言われたのですが、
・・・親知らずを抜いた時も鎮痛剤なしで過ごしたもので・・・右足は痺れたような状態で、触るとぴりぴりします。 車の運転中 熱を持ったようにひりひりしたりします。 正直、少し『ビッコをひく』『引きずって歩く』状態です。
これは手術が必要と言われるレベルなんでしょうか。

両足の痺れについて教えてください。昨年の9月くらいから足の痺れが続いています。
一時期落ち着いていたのですが、2週間ほど前からまた強くなっています。
 昨年は右足の足首下くらいだったのですが、現在は両足膝下って感じです。
痛くはありませんが、正座あとのようなのが続いて違和感ですね。考えられる病気は何でしょうか?

痺れがずっとあって普通のわけはないですよね?


A、~腰部脊柱管狭窄症という診断名は頭に置かずに…(整形外科領域外にて各種精査済み)~
各患者共に、年齢、体格、筋肉量、生活姿勢、生活様式、仕事内容等は異なります。
受傷機序が不明(本人談)、詳細な発症日が不明、症状の発生の度合いが日内変動を伴い、
姿勢変化にても痺れの箇所の変化を自覚する。問診時に於ける患者から発せられる症状というものは、
患者自身が過去に経験した痛みや痺れ等を疑似化させ、
今の症状へと変換し、口から発せられるものかと思います。
今回、赤字で紹介する5人の症状に共通しているものは
 
「正座後の痺れ」
 
という症状です。この正座後の痺れというのも今ひとつ解明されてないようですが、
取り敢えず仮説を立てて話しをしていきます。誰も答えを知らんなら、
仮説の一つも立ち上げなければ話も治療も進みませんので。
先ずは正座とはどのような姿勢か改めて見てみましょう。
 
イメージ 1
 
ドット数のチェックでもしているかの如くテレビに近い距離で正座をしていますが、
それは置いといて、各々先天的にも骨格が異なる為に膝関節の可動域も異なりますが、
上の写真を見る通り、正座を行う事により筋肉の伸張度、短縮度が直立姿位とは変化してきますね。
主にTH12から下位に起始を発する筋群より簡便にとはなりますが判断していきますと


健康な人間が正座という姿勢をした場合は、
 
腸腰筋(大腰筋、小腰筋、腸骨筋)⇒弛緩状態
背部表在筋群⇒伸張状態
各殿筋群⇒大臀筋を主に伸張状態(正座の仕方によっては踵による臀部の持続的圧迫)
大腿前面⇒伸張状態   大腿後面⇒短縮状態
下腿前面⇒伸張状態   下腿後面⇒短縮状態
足背から足指末梢にかけて⇒伸張状態及び、床面への持続的圧迫


ですね。
上記の各部位にての伸張状態より関連してくる内容とはなるのですが、
上記の持続的伸張状態の各箇所を走行している脈管は圧迫され続ける事になります。
鼠径、大腿、膝窩、足背、諸々。
日常的に出会う疾患にて、下記の症状を呈する疾患があります。
ご存知かもしれませんが、診断名に振り回されないように今は敢えて記載しないでおきます。
 
Fontaine 1度  下肢の冷感や色調の変化
Fontaine 2度  数十から数百m歩くと痛みのため歩行継続不可能になる症状。
Fontaine 3度  安静時疼痛
Fontaine 4度 下肢の壊死、皮膚潰瘍。糖尿病などによる末梢神経障害がない限り、患者は激痛を訴える。


上記の赤字患者とFontaine分類を必要とする患者の鑑別は簡単なものです。教科書的には…
但し、赤字患者もFontaine分類が適応となる鑑別にて陽性所見が見られた場合はどうしましょう。
脱臼患者が来院した時に患者への検査は異常感覚の確認の他、動脈拍動部の確認ですね。
何故、動脈拍動部を確認するのでしょうか。
 
様々な症状がこれでリンクしてきます。
 
Fontaine分類を示す患者は、脈管系障害より発生する疾患です。
しかし、上記の赤字患者群は筋骨格系異常より派生する脈管系異常であると推察されます。
そして、正座による痺れは意図的に発生させた脈管系障害より痺れという症状を呈したものです。
正座の痺れは各種筋群の異常伸張及び異常短縮に伴う各動脈の絞扼から発生したもの。
Lactic Acidosisが呈した症状である事が仮説として立てられます。
 
では、再度赤字の患者の症状を見てみましょう。
彼等、彼女等は正座という姿勢云々に関わらず正座後の痺れという症状を自覚されています。
一番上の患者はリリカも飲んでいますが、一番上の患者含め、全員NSAIDsを飲んでいます。
改めてNSAIDsの作用を復習しましょう。
 
イメージ 2
 
効いたか効かずか処方した人間より「効果判定には時間が掛かる」とか
「2週間飲み続けてみて」とか言われている患者も多いかもでしょうが、
仮説が正しい場合、NSAIDsは上記赤字患者に対して一切の効果が無い事が分かります。
勿論、リリカも効きません。効きませんというか、上記患者には必要の無い薬です。
 
効果が無いのは薬のせいではありません。NSAIDsもリリカも症状により著効を示します。
現行の症状を呈する患者に対して処方した人間が、症状を取り違えている為に効果が出ないのです。
 
原則的に赤字患者の症状は自然治癒の可能性が有り得る症状群です。
生活姿勢の見直し一つで治癒機転が決定付けられるケースも多く存在します。
我々の責任とは、上記赤字患者がLactic Acidosisから発生する痺れと仮定付けた場合、
治癒へ運ぶ手助けをしなければなりません。
以前、このような問答を別な先生とした事があります。


Q2、間欠性跛行のように、歩けば痛みが出るならわかりますが、ちょっとわかりません。
 
過去から今現在に掛けて、ヘルニアによる神経根圧迫で発生する
腰下肢痛は無い旨を書いているのと同様、
世間一般では間欠性跛行を示す代表的な疾患の脊柱管狭窄症と診断された患者に対しても、
腰下肢痛の発生は別物として考えています。
 
ヘルニアや狭窄症と診断された患者の症状は、0か100かでしょう。
要は、無症候か馬尾障害及び麻痺の二極化であり、痛みや痺れ、筋力低下は他に原因があると考えています。
 
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等のような、構造的異常から派生すると考えられている痛みの原因は、
単なる筋肉の脆弱化と持続的短縮による各愁訴の発症による疼痛性跛行と捉えており、
本来の間欠性跛行はASOやTAOに代表される血流障害性の疾患に限局されるものと捉えています。
 
患側立脚期時に於ける疼痛に関しては、
中臀筋や小臀筋の股関節外転筋の異常緊張含む
脆弱性の可能性及び、股関節外転筋を制御する内転筋群や大殿筋、
外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、下双子筋、 大腿方形筋、梨状筋等の外旋筋群の異常もあるでしょう。
 
ここで、青字の筋群を統括している母体は何かと考えた場合、
継続歩行による症状軽減の理由が見えてくると思いますし、疼痛性跛行が起きる原因も見えてくると思います。

整形の暖簾を潜る度に「取り敢えずNSAIDs」だなんて居酒屋の突き出しじゃないんですから。

もう一つ問題視しなければならない事があります。

患者 
【質問】60代の女性です。腰からお尻、太ももにかけて痛みが走り、歩けなくなりました。
日常生活が不自由になったため病院で精密検査をしたところ、坐骨神経痛と診断されました。
薬を服用していますが右下半身の痛みが取れず夜も眠れません。安静にして様子を見ていますが、
完治させるにはどうすればいいのでしょうか。

医師 
【答え】「坐骨神経痛」という病名は症状を表すもので、
この症状を起こす原因となる病気はたくさんあります。その中で主なものは二つあります。
一つは若い人に多い「腰椎椎間板ヘルニア」(腰のヘルニア)、
もう一つは年配の方に起こる「腰部脊柱管狭窄症」という病気です。
ご質問の方は60代ですから、後者の腰部脊柱管狭窄症である可能性が高いと思います。
 
~中略~

診断には、詳しい診察とレントゲン検査や磁気共鳴画像装置(MRI)の検査が有用です。
治療には、飲み薬、コルセット、温熱・運動療法、神経ブロックなどの保存療法と、手術療法がありますが、
まずは保存療法から始めるのが原則です。
日常生活では
▽前かがみを絶えず意識する
▽歩くときはつえを突いたりカートなどを押したりする
▽寝るときには横向き(側臥位)になる-といったことを注意するとよいでしょう。
それでも日常生活が強く制限されるようなら、手術も考えなければいけません。
手術についても小さな切開で行うものから大々的なものまであります。
詳しい検査も含めて疑問に思うことは整形外科の専門医にぜひご相談ください。

保存療法の使用は各医師にて異なるでしょうが、現代医療での保存療法とは記事内にもある通り
飲み薬、コルセット、温熱・運動療法、神経ブロックなどが一般的でしょう。
 
この保存療法が効かないのは散々書いてきたので省略しますが、
生活時の姿勢にて指導する内容というのも一つ問題があります。
▽前かがみを絶えず意識する
▽歩くときはつえを突いたりカートなどを押したりする
▽寝るときには横向き(側臥位)になる-といったことを注意するとよいでしょう。
それでも日常生活が強く制限されるようなら、手術も考えなければいけません
この注意点を丁寧に守り続けると、将来的に高確率で手術を行う路線に乗せられます。
楽な姿勢を患者に行い続けさせる(若しくは無理に避けるような指示)指導法は、患者の治癒遅延を招きます。
保存療法が効かないから患者は生活時の姿勢を指導通り行う事になります。
確かに、上記の生活指導通りの生活を続けると身体は楽です。
無論、急性期を除く時期での青字の姿勢を避け生活は患者にとっては酷なのです。
先ほどの青文字の3つの姿勢をせずとも楽にいられる身体にするのが治療する側の責任です。
 
そして、我々が最も得意とする分野でもありますね。
明確な答えは書かずに申し訳ないですが、大切な部分は自身で考察する事が何より重要かと思います。 
では今日はこんな感じで
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~