藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

患者を絶望に陥れたのは誰ですか

74歳の義祖父が椎間板ヘルニアが原因の右下肢の痛みにより
座る、立つ、歩くという動作がほとんどできなくなりました。食事の時も起き上がれずに、
寝たままの状態で食べ、お風呂にも入れません。トイレは部屋から近いため、
激痛に顔をゆがめ、杖をつきながらどうにか行っていますが、しびんにすることもあります。

病院では、なるべく手術はせずにブロック注射で様子をみましょうと言われています。
しかしあまり注射の効果はなく、このまま毎日ほぼ動かずに寝たままでいると、筋肉が衰え、

ヘルニアが改善されたとしても寝たきりになっていまうのではととても心配です。

本当ならば、病院で直接担当医に訴え、手術をしてもらうのが良いのではないかと思っているのですが・・・。
(ヘルニア手術の評判の良い病院なので余計に)
義父母が行動を起こさないため、それを差し置いて孫嫁の私がどうこう騒ぎ立てるのが非常に困難な状態です。
義母・義祖母では病院に付き添いでいっても用が足りないこと多く、義祖父が可哀そうでなりません。


来院時の患者の症状の度合いによって左右される事もあるでしょうけど、
既存医療にも痛み治療に対しての手段、段階があります。
 
上記の患者の場合、
初診時にMRIを撮影(正確には初診日は撮影の予約だけで後日撮影)
その後、椎間板ヘルニアから発生する腰下肢痛と診断を受ける。
来院当時は腰下肢痛も比較的軽度だった為に飲み薬と湿布を出され、2週間後の再来を促される。
経過が芳しくない、及び悪化している気がするとの事だったので、硬膜外ブロックを行う。著効なし。
神経根ブロックに切り替える。著効なし。
 
手術を行えば良くなるという話が頭から離れない為に、
患者家族は手術をしてくれる病院を探す。
 
上記の赤字ではここまでしか書かれていませんが後日談があります。
 
その後転院し、PELD。著効なし。
及び3週間後に再撮影し、異なる高位に再発していると言われる。
LOVE法にて手術。術後2週間は腰下肢痛が軽減されるも再燃。
 
その後、術前程の痛みでは無かった為に飲み薬と湿布で様子を見るように言われる。
 しかし数週間後、痛みが強くなりブロック施行。著効なし。
年齢的にも脊椎を固定したら良いと言われ固定術。著効なし。
 
最後の最後で「原因は分かりません」と告げられる。
手術をされるだけされ、最後には「分かりません」と。
手術も時には患者の症状に対しての評価材料にはなります。
特定し難い症状に関しては、切ってみなければ分からない世界があるのも事実です。
しかし、各種精査は全てシロの上での
整形外科領域に於いて原因不明を最後に通告するのはどないなもんかと。
 
患者及び、患者家族が怒り狂う姿が目に見えませんか?
全ての患者が同じ道程を辿る事は少ないかもしれないが、
現実的には全国至る箇所で起きています。
 
患者を諦めさせたのは誰ですか?
この患者にとっては雲の上のような存在であった「医者様」が
原因不明と言ったから治る事を諦めたのではないですか?
 
「高齢」「ストレス」「原因不明」
患者は医者様に言われたからと諦めた。
都合の良い逃げ口上で患者を突き放してしまっただけです。
しかし、放ってしまった以上、患者は行き場を失う。
 
スーパードクターが華麗に手術をしては、翌日から患者が歩いている姿をテレビで見た。
「この人なら」と旅費に大金を注ぎ込み手術を受けるも著効なく、言い逃れをされる。
最終的には「高齢」「ストレス」「原因不明」だったと。
 

医療業界にもコンサルタントを行う会社は多く存在します。高額な登録料を支払い、
「神の手」「凄腕」等などと冠を付け、様々なメディアに出させるように働きかける会社も存在します。
もし、貴方がテレビや雑誌で見たスーパードクターだと信じて止まない医師や治療家が
そのような会社を通していたら何か嫌ですよね。この現実を知ると、
患者にとっても治癒が遅れたり疑心暗鬼になるでしょうから、誰々とは絶対に書きませんけどね。
誰々をコンサルしたとか秘密にしときゃ良いのに、それを宣伝材料に更に営業を掛けるから
一般人の耳にも入りそうで危ういのなんのって(笑)

 ――けがしてから変わった内容のファンレターが届くようになったとか

 斎藤:良かれと思い病院やクリニックを紹介してくれる人もいれば、医師本人から手紙が来ることも…。
捻挫した大谷にも起こりそうだけど、新人だけにキッパリと断る対応の仕方を知らなそうで心配だ。
自分なら治療できると売り込んでくる人たちは話がうまくて「すぐに治せる」「絶対に良くなる」とか
甘い言葉を並べるけれど、リハビリはそう簡単じゃない。以前は乗っかってしまいそうにもなったけど、
中垣さん(トレーニングコーチ)の指導の下で少しずつ前進することの大切さを学んだ。


 
>>リハビリはそう簡単じゃない。
 
スポーツ選手のように過去にも大なり小なり怪我と付き合いながら生きている方々は、
自分自身の身体を事を良く分かっています。
今の痛みが一筋縄ではいかず、治療には時間が掛かる事も知っています。
自身の治っていく過程を事細かに自己観察し、自身の信頼出来るコーチと二人三脚しています。
 
>>医師本人から手紙が来ることも…。
>>新人だけにキッパリと断る対応の仕方を知らなそう
>>自分なら治療できると売り込んでくる人たちは話がうまくて「すぐに治せる」「絶対に良くなる」
 
自身の身体を良く分かっている方々は、甘い言葉には乗りません。
特に治療院系のHPには随分と怪しい甘い言葉が並んでいますね。
予想し得ぬ身体の痛みは甘い言葉に騙されやすいものです。
当たり前の事ですが、発症から時間が経てば経つほど、症状が重ければ重いほど、
治癒までの時間は掛かります。その為に、私は常に早期治療を行うように訴えかけているのです。
 
過去から赤字で紹介している患者含めなのですが、このように紹介出来るケースは相当限られています。 
鍼灸治療は初めてで、且つ誰の紹介も無く来院される患者というのは、
探究心のある方、痛みにある程度向き合える方、及び痛みと向き合ってきた方、意を決し違う見解を求めた方と
お会いするケースが多いのですが、上記数点の条件を満たした人ばかりではないのが現実ですね。
 
1)ネット環境が整っていない為に、情報源は新聞やテレビ、週刊誌だ。(まぁネットも相当怪しいですが
2)田舎の為に頼る病院(医者)がそこしかない。若しくは無医村だ。
3)診断名に対しての見解が、医師及びコメディカル、家族が口裏合わせでもしたかのように同じ。
4)親身になってくれる相談相手も医師と同じ意見だ。
5)自身の人生が関わる大事にも関わらず、真偽は問わずマジョリティを好む体質。
6)治っても治らなくても「医者様の言う事を聞いてれば間違いない」という患者家族及び周辺環境。
 
医療の選択が出来ない環境下にいる患者、
目の前の医療しか知らない(知る事が出来ない)患者、
様々な医療が有るのにも関わらず、知る事が出来ない環境下にいる患者。
様々な医療が有るのにも関わらず、治らない状態でも医者が相手なのだから良しとしている環境。
そして、全く治らない治療をドグマ的に行い続ける治療者。
 
東京から引越して来て一年半。
一番痛感したのは1)~6)の状態が蔓延していた事でした。
絶対に当たり前ではあってはならない環境が当たり前の環境は危なすぎます。
 
その為に、本院からも出張所からも随分と離れた箇所とはなりますが、
交通量の比較的多い地域に「鍼灸」と書かれた大きな看板を立て、
もっと鍼灸治療を取り入れてもらうように動き始めているのです。
人によっては「まさか」と思う距離かもしれませんが、
この「まさか」以上の距離から車や電車で訪れる患者がいるのです。
その為、患者の厚意にて青森市にも横手市にも出張所が出来たのです。
患者に近い距離に立っていなければ、適宜適切な対応が出来ない事も多くあります。
その為には私が動き回るしか現段階では良い方法がありません。
 
当院に訪れる患者の口々から発せられる青森や秋田周辺の病院で行なわれている
行き当たりバッタリ過ぎる痛み治療のスタイル100%本当だったとしたら、私は相当恐いです。
患者を生かすのが医療のはずだと思っていたのですが、疑念を抱いてしまいます。


筋骨格系や脈管系問わず、変性を伴う疾患(症状)に関しては、
「痛みをその場で止める麻酔的な役割」を行う事は即日可能でも
痛みが出続けた原因を治す為には、発症日や既往歴、
過去の治療歴により左右され、患者の希望ラインは異なるでしょうが、
即日の完治というのは原則的に非常に難しいものであります。
 
過去に不可逆化を起こす程の無理な治療を受けた事で、
謂わば患者本人の気付かぬ損傷をしている状態も多く見受けられます。


更に先行く治療が間違えていると、悪循環を繰り返すだけです。
間違いに間違いを重ね、悪化の一途を辿るだけで一向に良くならない。
痛みが消えた事を「治った」と私は思いません。症状改善と完治は異なります。
痛い所に麻酔でもぶっ放せば、痛みは消えた気になるでしょう。但し、「良くなった気がする」だけ。
 
それを治ったと思いますか?単なる症状改善でしかなく、
原発は常に悪化している事を麻酔により麻痺させているだけですね。
その為に、数時間~数日後には再燃しているでしょう。
 
一般患者はこの違いを分かりません。
 
永続的な症状の軽減及び消失が、患者にとっての望むべき姿であるはずなのに、
ブロック注射をして直後効果に著効を示した事に対して
「著効あり」と自身の論文には好き勝手書けますが、患者の為には全然なっていません。
 
そして、何度も何度も100回も200回もブロックを施行する事になる。
原発を考察せず、痛みに対して追い掛け回す治療しか行わない為に、いつまでも治らないのです。
そして最終的に患者を放り出す。
 
治らぬ理論及び治療法には疑問を持つべきです。
それは、対医師だろうが対鍼灸師だろうが同じ事。
僅かも改善を自覚出来ぬ治療は「間違っている」のです。
 
痛みに対して堪えている患者は弱っている。
そんな患者を待ち受けているのは怪しい物売りばかりで、
藁にも縋る思いの患者は買ってしまう。こんな患者は山ほど見て来ました。
 
患者に希望を齎すのも絶望に陥れるのも、全ての責任は治療する側の人間が背負っているのです。
治療を行う立場の人間が逃げたら患者は転げ落ちるだけです。
既存の痛み治療が間違っている事を訴え続け、目の前の患者を治し続けなければなりません。
 
患者の人生を背負う立場の人間は絶対に逃げてはなりません。
一つの症例に対し逃げたら、患者は一人死んでいくと覚悟をするべきです。
日々痛みに堪え続ける患者は強くない。心身ともに参っている。
既存の医療に疑問を持ち、立ち向かえる患者は一部だけです。
 
だったら我々が立ち向かうしか手段はない。


 
今を戦えない者に、次とか来年とかを言う資格はない。―――ロベルト・バッジョ
 
 
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 青森から鍼灸治療の意識改革を~