藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

Q&A 「椎間板ヘルニアに対しての疑問4」のコメントより

いつも参考にさせて頂いています。
・長時間に渡る座位での静的姿勢で悪化。
→座位による股関節屈曲による腸腰筋の短縮で宜しいでしょうか?
・歩けば痛みが軽くなる。
→間欠性跛行のように、歩けば痛みが出るならわかりますが、ちょっとわかりません。
藤原先生でしたら、上記の患者にはどのようにアプローチしますか?宜しければ教えて下さい。
 
コメント頂き本当に有難う御座います。
コメント欄にて返信をすると、文字数が多くなり読みづらくなるので、こちらに書かせて頂きます。
今までご覧になっていて気付かれているかと存じますが、私は一切答えを書いておりません。
不特定多数の方々がご覧になる事が出来るブログでは、具体的には書かない主義である事をお許し下さい。
 
コメントの文面より同業の方かと思われます。未熟ながらも私論を述べたいと思います。
 
Q1 長時間に渡る座位での静的姿勢で悪化。
   →座位による股関節屈曲による腸腰筋の短縮で宜しいでしょうか?

先ずは、座位による静的姿勢の悪化は腸腰筋の短縮であるとお考えのようですが、
腸腰筋は股関節の屈曲筋群です。
座位姿勢のような腸腰筋の持続的短縮を発生させる姿勢は、
腰痛患者にとって持続的な緊張姿位であるとは受け止めがたく感じられます。
 
一例として、腰痛発症時の患者は、持続的に腰部を屈曲させる(腰を伸展出来ない)傾向にあると思います。
他、就寝時の姿勢は、横臥位にて身体を丸める傾向が大半を示しているのではないでしょうか。
成らざるを得ない姿位を維持する理由というのは、
腸腰筋の短縮姿位が患者にとっては非緊張状態を作れるからだと思われます。
 
老齢の場合は、各姿勢制御筋の脆弱化も伴い、
器質的異常の有無を問わず円背傾向を示していると思います。
しかしながら、相談サイトに寄せられた男性患者は、現在40代という事と、
既往の記載はありませんでしたが、症状発症の初期段階では、
まだまだ軽微な腰下肢痛が発生していただけと推察すると、
(痛み痺れの感覚は個人差ありますが、後ほどの劇症化時と比べたらということで…)
視線を地面と平行に保つ為の代償作用により、腸腰筋の短縮を無理に伸張させていた事、
及び姿勢制御筋となる起立筋群の結果的な異常伸張により、
立位の際は、常に腰部全般の筋群は緊張を強いられていたと考えられます。
 
上記の考察により、持続的短縮が発生している筋群を伸張させるような立位とは異なり、
座位による腰部の持続的屈曲姿位のほうが、腸腰筋にとっては負担は少ないと思います。
その為に、腸腰筋が原因ではないと私は考えています。
 
以前、SBの小久保選手の項にて、ヘルニア発生の原因は腸腰筋だと書きました。
あくまでこれは、ヘルニアを発生させた原因が大腰筋(腸腰筋)の異常緊張であるというだけで、
突如として腸腰筋が異常緊張を起こした訳ではないと捉えています。
腸腰筋に持続的な負荷を掛け続けた原因は別にあります。
この部分を取り違え、腸腰筋をファーストチョイスした場合、症状を暴発させる可能性が高まります。
 
では、上記の内容を踏まえつつ、次に移ります。
Q2、間欠性跛行のように、歩けば痛みが出るならわかりますが、ちょっとわかりません。
 
過去から今現在に掛けて、ヘルニアによる神経根圧迫で発生する腰下肢痛は無い旨を書いているのと同様、
世間一般では間欠性跛行を示す代表的な疾患の脊柱管狭窄症と診断された患者に対しても、
腰下肢痛の発生は別物として考えています。
 
ヘルニアや狭窄症と診断された患者の症状は、0か100かでしょう。
要は、無症候か馬尾障害及び麻痺の二極化であり、痛みや痺れ、筋力低下は他に原因があると考えています。
 
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症等のような、構造的異常から派生すると考えられている痛みの原因は、
単なる筋肉の脆弱化と持続的短縮による各愁訴の発症による疼痛性跛行と捉えており、
本来の間欠性跛行はASOやTAOに代表される血流障害性の疾患に限局されるものと捉えています。
 
患側立脚期時に於ける疼痛に関しては、中臀筋や小臀筋の股関節外転筋の異常緊張含む
脆弱性の可能性及び、股関節外転筋を制御する内転筋群や大殿筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋、上双子筋、
下双子筋、 大腿方形筋、梨状筋等の外旋筋群の異常もあるでしょう。
 
ここで、青字の筋群を統括している母体は何かと考えた場合、
継続歩行による症状軽減の理由が見えてくると思いますし、疼痛性跛行が起きる原因も見えてくると思います。
 
Q3、どのようにアプローチしますか?宜しければ教えて下さい。
具体的には書きませんが、私は人間を細かい単位で考えています。
個々として考えた後に全体として考え、その後、個々にバラシて治療を組み立てます。
 
一見、行っている事は大変簡単に見えると思います。実際に治療を受けた方なら分かるかと思いますが、
私は刺鍼箇所の触診はロクにしていません。私は「感覚」という、
客観的評価が乏しい治療法は全て排除した治療法を構築しています。
職人技で成り立つ技術は鍼灸業界を衰退させる一因と考えていますので、
経穴やTrPとも違います。その為、触診技術の優劣で治療結果が変わるような事はなく、
誰が行っても同じ結果が出る治療を常に考えています。
 
今は消したので残ってませんが、ブログ開設の当初よりマニュアル化が必要だと書いていました。
私はとことん突き詰めたマニュアル化と強固な理論が無い限り、自分自身が嫌なのです。
その為に、ベースは変わらずとも作っては壊しを繰り返しているので、日々治療内容は変化しています。
 
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もう一つ、私は刺鍼角度に相当拘ります。
その為、薬指と小指に鍼を挟めつつ治療を行う方法はとりません。一本一本鍼皿から摘みます。
上から下からアレヤコレヤなので、このような持ち方をしていたら危険極まりないのですね(苦笑)
 
以上です。
全然答えになっていないと思いますが、少しでも参考になればと思います
 

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