藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

続・鍵コメさんからのご質問に対して

6月2日~6月3日に掛けてコメント頂いた内容について再考致します。
以前も僅かに触れた内容ですが、
TrPでも硬結に関しても、組成された結果を叩く治療ではなく、
組成要因を取り除く必要性があると考えております。
 
筋断裂(肉離れ)を例にしてみます。
受傷後2~3日は炎症を拡大させない為に固定やアイシングは必要不可欠かと思いますが、
それ以降は筋の柔軟性を高めなければ生活に支障をきたす為に、鍼灸治療が非常に有効になります。
固定処置を済ませた後のリハビリ的な運動も併行し、治療を行う事で飛躍的に回復は早くなります。
 
筋断裂の度合いや受傷箇所にもよりますが、
浅部であれば短時間で、深部であれば数日掛けて内出血が確認出来るようになります。
この状況に於いて、身体内部は筋断裂の箇所に対して血流量が増大し、
血腫形成が行われます。その際、血流が過剰に入り込んだ筋群に関しては、
伸収縮機能が以前の状態に比べれば極端に低下している状態となります。
 
この状況にて考えられる身体状態というのは、
仮に好発部位である腓腹筋とした場合、
腓腹筋の筋断裂による、その後の連鎖反応を簡単に書くと
(内側頭か外側頭でも若干の違いはあるでしょうけど、取り敢えず今回は簡単に)
腓腹筋⇒脛骨前面の筋群⇒大腿後面⇒大腿前面⇒臀部にある股関節屈曲筋群へと
連鎖が発生していく状況が生まれやすいものと捉えられます。
 
確かに、外傷性による受傷発生箇所は腓腹筋と明確に判断が付けられます。
その為に、原発としての考察箇所は腓腹筋になるでしょう。
しかしながら、補助的な治療を行う事で、初めて治療としての意義が出ます。
患者が態々来院頂き、「来て良かった」という価値を生み出す為には
腓腹筋だけへの治療では、そこらの鍼灸接骨院でやっている接骨鍼となんら変わりませんね。
 
そして、私はそのような理論無きチープな手段は治療と呼んでもいませんし、
それが針立て屋と言われる所以でしょうし、存在意義も価値も無いと思っています。
痛めた箇所、痛い箇所だけに鍼を打って治るようであれば、
晩御飯のメニューでも考えながら鍼を打ってると思います。
 
鍼灸院として看板を掲げているプライドがある以上は、
患者が期待する結果のその先を越えていかなければなりません。
期待以上の結果を出す事で、初めて鍼灸院としての存在意義と価値があるのです。
良好な身体状態に改善及び保持する上では、
上記に記述した連鎖反応を先ずは考察する必要性はあるかと思います。
かと言って、全ての筋群に鍼を落とし込む必要はないのですね。
 
受傷箇所である腓腹筋を含め、
これらを制御出来ない状況下に陥っている筋群の開放を念頭に行う事で
初めて血流改善ではなく、血流確保が出来るようになると考えています。
血流改善だけで良いのであれば、鍼を打たれに行くよりも、温泉に行ったほうがマシですね。
しかし、温泉やホットパックの作用では一時的な症状改善にしか至らない状況である患者群を
極々短期間で完治へ引き上げていく為には、
血流改善ではなく血流確保を行い続ける治療が急務になってきます。
常に開放し続け、常に確保され続ける事で、
患者は治療現場から日常生活に戻り、今まで通りの生活を行う事で
日増しに症状の良化を自覚し始めるようになるのです。
 
外傷性か非外傷性かで治療手段は異なるかもしれません。
外傷性と非外傷性では原発の定め方も違いますが、最終的に私が見ているポイントは一つであり、
常に開放され続けている身体を作る事が最重要課題となります。
その為、鍵コメさんが仰られた通り、開放され続けた身体がなければ、
幾らでも身体を飛んで歩く筋膜刺激を派生するような身体状態に陥ってしまうと考えています。


では、今回の問題であるNMS…あ、打ち間違えた。FMSですね。
何処かの何方かが言っている下記の内容ですが、
 
アメリカで2006年に出版された
線維筋痛症とそのほかの中枢性の疼痛症候群」
(Fibromyalgia & Other Central Pain Syndromes)には、
線維筋痛症が、中枢感作といわれる痛みをめぐるメカニズムによって
引き起こされる疾患グループの一つであることが示されています。

1965年に、MendellとWallは、通常は痛みと感じない程度の
刺激を皮膚に連続的に加えると、人体が徐々に本物の痛みを感じる現象について
研究していました。そして研究の結果、皮膚に対して連続的に刺激を加えた場合に、
皮膚の感覚受容器から脊髄に送られる痛みの信号じたいは増加しないにもかかわらず、
その一方で、脳に送られる痛みの信号は増加しているという現象を見出しました。

この現象は、簡単には[wind up]と呼ばれ、
脳の中枢が、疼痛の感度を増大する機能を持っていることを示しています。
健康な人でもこの[wind up]は起きますが、
顎関節症線維筋痛症、慢性疲労性症候群、原発性月経困難症、過敏性大腸炎では、
健康な人とは異なり、痛み感度の異常な増大が起こることが報告されています。
そして、この異常な痛み感度の増大が起こる[wind up]のことを、
中枢感作と呼びます。(図1参照)
そして、この中枢感作のメカニズムは、
そのほかにも図1に示されているようなさまざまな疾患を引き起こす可能性があります。

イメージ 1
 
これらの疾患名や症状に関して中枢感作が関与していると言われているのでしょうけど、
正直なところ、こんなものは治療を行う上で一切必要ないのですが、
患者はこれらの疾患名を携えてくるものですから名前位は知っています(苦笑)
 
脳ミソに原因を求められてしまうと、元も子も無い状態になってしまう状況が作られやすくなります。
そこで、薬を飲んでウンチャラという話になってくるのでしょうけど…。
私は各種派生症状から推測及び追求した原因を筋肉に捉え、治療を行っているだけです。
 
後は患者が何を信じるかですね。
脳に原因を求めた患者は脳に原因を求めている医療機関へ受診
するでしょうし、筋肉に原因を求めた患者は、筋肉に原因を求めた医療機関を受診するでしょう。
若しくは現行の症状の原因を知るべく医療機関に足を運んだら脳へ原因を求められたか、
筋肉へ原因を求められたかの違いです。
同じ「医師」でも「鍼灸師」でも自身の主観によるものである事を念頭に受診されるべきです。
私の内容も全て主観によるものなので、信じるか信じないかも自由です。
 
既存の所謂現代医学的視点からのFMS患者への治療後の予後の状況が
どうなっているかのデータはあるのですが(私のモノではないので真偽は不明)、
今のところアップしないようにしておきます。
患者にとっては常にニュートラルの状態で何らかしらの医療機関に足を運んでもらいたいものですし、
こんなチッポケな私の戯言ブログも患者にとっては何らかしらの情動を操作し兼ねないですしね。
 
私はそこまで強く患者に対して減・断薬を求めませんし、
求める立場では無い為に必要以上の事は言いませんが、
先ずは上図の状態に陥った患者が、初発で鍼灸院をチョイスする事は少なく、
先ずは薬を出せる何処かの医療機関で薬を貰い、飲み続けている状態鍼灸院に来院します。
薬の種類や飲んでいる期間の長短にもよるかもしれませんが、
特定の薬を飲んでいる患者群に対しては、鍼先の抵抗感が特有な硬さを示す事があるのです。
不勉強故、この先の件に関しては、あくまで言い切れない為にこれ以上の事は書きませんし、
その薬も特定してはいるのですが、何の成分がどうなってこうなっているかも
未確認要素が多分にある為に書きませんが…。
 
んま、ここで逃げたら患者の人生が壊れると思いますので、暫くはこの件に関して考え続けます。
運動器疾患患者に関しては、イレギュラーな事態が起きぬ限り予測が可能です。
しかし、薬が入り込んでいる患者に関しては、予測不能な状況に陥るのも残念ながら正直なところです。
 
但し、薬も時と場合、患者によっては必要なケースも多くあると思います。
医師の指示を仰ぐ事なく断薬し、症状が悪化した(死亡まで至ったケースも含む)患者は山ほどいますしね。
勿論、指示通り薬を飲み続けて症状が悪化した(死亡まで至ったケースも含む)患者も山ほどですが…。
 
この身体状態さえ掌握する事が出来れば、鍼灸業界は飛躍的に発展出来ると思うのです。
 
因みに、○○○の理論は神経障害説で唱えている為、生理学的には完全に間違えています。
但し、皮肉な事に生理学的に間違えてはいるものの、
同じ箇所に鍼を落とし込む事により生まれる結果は「同じ」です。
 
記憶が正しければなのですが、椎間板ヘルニアと診断された
腰下肢痛患者の改善率は50%位と書かれていたでしょうか。
 
何にせよ、椎間板ヘルニアと診断された腰下肢痛患者に対して、
大腰筋を原因として捉えたアプローチを行い続けた場合の治癒率はその位かと思います。
 
ここが前項でも書いた通り、
原発の取り違えにより、治る患者と治らぬ患者が(治るという表現も正しいか分かりませんが…)
生まれる原因なのでしょう。原発さえ取り違えなければ、更に改善率は上昇すると思います。
 
後日、続きを書きますです
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~