藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

続Q,理論の原点を知りたい。


○○でおしりの足の付け根辺りから足のふくらはぎの裏辺りまで痛みがあり
痺れよりも痛みが強すぎてかなり困ってます。ブロック注射をうちましたが痛みは全く変わらず、
薬も服用していまが変わりなくまた座薬も入れていますが全然効果がないような気がします。
○○みたいです。
母が太ももの裏で お尻の下が泣きたいほど痛いと言います。
前から腰も痛く、そのせいでしょうか。病院には行ってますが良くなりません。


○○でお尻にある筋肉のしこりが痛くて座り仕事がつらいです。
またこれにより○○も起こっているらしく足も痺れて痛くてたまりません。
一応いまトリガーポイント注射の治療もしており、
痛みが治まることもありますがなにかきっかけがあるとふいに痛みだします。
これも効いたり効かなかったりです。
他の整形外科にもいきましたが なにかうやむやにされて湿布を出されておわりでした。


今主人が○○と診断されて現在は通院していますが、足までしびれるといいます.


○○で・手術を2年前に行ったが・いまだに腰・下肢が痛くてたまらない。
手術を行った医師は・手術は成功したといわれるが・なぜ痛いか聞くと・ 姿勢が悪いせいだ。
と言われている。


○○で、手術して20日目です。足先のしびれがとれません。この痺れとれてくるんでしょうか?不安です。


腰痛から足の痺れがひどくてヘルニアと思い病院にいったのですが「骨はすごくきれいだね」といわれ
湿布と薬をもらって帰りました。次の日整体にいったのですがやはりよくなりません。


○○と診断されました。左足の激痛としびれで夜も眠れません。
毎日リハビリに通い、今日はブロック注射も打ってもらいましたが、全く痛みはひいてくれません。
手術も考えといてほしいと言われました。ブロック注射もあんなに痛いのに全然痛みはひいてませんし、
手術しても再発したり、完全に治らないようなので…。


上記の患者群は、整形外科で全て異なる診断名が告げられた患者群です。
MRIやX-ray、血液検査等は終わらせており、所謂レッドフラッグは除外されている鍼灸適応患者です。
このように、診断名を伏字にしてしまうと治療方針が立てられなくなるのが現代医療のガンなのです。
痛み治療としてTPBが取り上げられ久しいですが、現行ではそのTPBすらも
大きな効果を出せていない現状であるが故、彷徨い続ける患者が後を絶たないのです。
 
患者は、自身の症状が長期化する、及び、症状が憎悪していく感覚に恐れ、様々な情報を仕入れ、
様々な健康グッズや食品、薬、治療法を試みます。それでも症状改善が得られない場合、
嫌悪の矛先が外部に向くか内部に向くかによって、精神状態の崩壊が伴う危険性が示唆されます。
 
患者にも仕事や家庭がある以上、経済状況を加味した上で、治療を選択しています。
しかし、それでも改善が得られない場合、様々な観念的要素にマヒが生じ、
高額な保険外適応の手術や医療、薬、怪しい商法に手を出すようになります。
それでも良くならなかったら…。
 
という段階で、ようやく鍼灸治療院の門を叩く人がいるケースも多く見受けられます。
当院に来られる患者の大多数は長期間に渡り他の治療法にて時間、経済、体力を使用し、
既に困憊状態で訪れます。その患者に対して、私は高額な治療費を取る訳にはいきません。
 
その為、保険診療や労災の取り扱いも行い、
なるだけ経済的に負担の掛けぬように努めてはおるのですが、
保険や労災の取り扱いには医師の同意書が必要となります。
しかし、患者の医療選択を奪うかの如く鍼灸受療を進めず、同意書拒否の問題等、
我々にも闘わなければならぬ状況というのは相応にしてあります。
 
結果的には患者側が自費にて鍼灸治療を行う事になり、不満と憤りを医師に向けるハメになっております。
電気掛けても牽引しても、バスが来るまでの時間潰しに電気バリと称する謎の治療を
行っても全く良くならない以上、患者に対しては全く有益になる事も無く、
診療所や病院の点数稼ぎにしか見えません。
 
我々の古くからの政治力の弱さが鍼灸業界の弱さに直結していると言えるでしょう。
そのような制度的な基盤の弱さが伴う鍼灸業界に於いても、
自費治療にて鍼灸治療を受けに来られる患者には私は敬意を称しています。
 
では話は本題に戻りますが、
現代医学に於いて行われている医療というのは、
全ては仮説に基づいた理論体系、治療であるのは、
鍼灸のみならず、他の治療法、手術全て含めて言える事です。
その為に、日進月歩で様々な考察や理論、治療法、薬が生まれているのは
ご存知の事かと思います。
 
あらゆる病名が生まれ、もしくは保険取り扱いに出来る診断名に患者を押し付け、治療を進める。
既存の症状から少し枠が外れると、新たな病名ができ、治療法や薬が開発される。
上記の赤字の患者群も例から漏れず、画像診断機器の発達により、
全て違う診断名に振り分けられた患者達です。
 
患者は病名を知りたがります。原因不明が一番恐いのは分かります。
その為に、診断権を持つ人間も器質的異常を見つけるのに躍起となり、
少しでも所見ありの場合は診断名を付ける。
 
ここまでは良いかもしれませんが、問題なのは、「器質的異常=痛み・痺れ」と
即座に判断する事が問題であると思うのです。
上記の患者群は全て診断名は違いますが、当院に於いては全て同じ治療法で済みます。
患者の口から発せられる症状こそが本質であり、
画像診断なんてレッドフラッグが立たないものに関しては、診断名はどうでも良いのです。
結果的に画像所見で異常が無かった場合は、現代医療は原因不明としか言えなくなったのも
画像診断に頼りすぎた結果であるとしか言えません。
しかも、診断名は変われど皆にNSAIDsと湿布薬では
赤字患者も原因不明患者も結局は分かっていないのと同義です。
 
前項でも書いた通り、
私の腰下肢痛患者に対しての治療は、対FMS患者用に構築してきた治効理論を分化させている治療法です。
他の非外傷系の運動器疾患に関してもFMS患者と対抗出来る為に構築した治療の分化です。
何故なら、本質は変わらないと思っているからです。RSDもCFSも本質は同じだと考えています。
鍼灸治療は一般的に整形外科領域の患者が大半なので、
思考も整形外科領域に傾き気味になるかもしれませんが、
他科に於けるFMS、RSD,CFS等に対しての解釈が大いに鍼灸治療には役立ちます。
※治療者側の方へ⇒恐らく気付かれているかもしれませんが、上記赤字患者群とFMSと診断された患者群に
 対して、時系列にて症状を伺うと大変興味深い共通点を見出す事が出来ます。ここで原発を引き出せます。
 
そして私は患者の発する症状に答えを求めるので、診断名はどうだって良いのです。
特に整形外科領域に於ける各種診断名は、裏で巨大ビジネスが動いているだけにしか見えません
 
情報が増えすぎたのは患者サイドだけではありません。
鍼灸業界に於いても、理論や治療法は腐るだけあります。
知りすぎた故、溢れた情報から得られる知識は、時として逃げ口上に変化する時もあるという事。
私はそのような事が無い様に、経絡経穴もトリガーも現時点では否定して構築しています。
            ※トリガーの組成要因に関しては、筋線維の硬度的容積変化より派生する筋膜刺激での
              発痛、及び、組成要因の器質的変性処置から見える開放論はその通りだと思います。
 
勿論、医学から情報を得ようとすると治療はドツボにはまり一切治せなくなる事は以前も書きました。
全て白紙にして治療法を構築しない限り、見えてこないものもあります。
私は医学ではなく生理学がベースなので話す内容も異なるのは仕方ないかもしれません。
 
経穴やトリガー理論のように1が存在すれば2にも3にも構築する事は簡単です。
しかし、1が間違えていれば、2も3も間違え続ける事になり、階段を昇る程に曲解した解釈や
無理矢理押し込めるような解釈、論説が発生すると考えています。要は無理が生じてきます。
そのような理論を現場で落とし込めず、結果が伴わなかった場合、患者は治らないし、
術者は理論に責任を押し付け、治療自体が双方にとって無益なもので終わります。
しかも、横から貰ってきた取って付けたような理論では、
治って患者が喜んで帰った場合ならまだしも、
治らなかった場合は説明責任も治療責任も果たす事も出来なくなります。
 
「経絡経穴の本にはそう書いていたから…」
「トリガーポイントの本にはそう書いていたのに…」
「整形外科学の本にはそう書いていたのに…」
「教授が…」「上司が…」「提携医師への連絡が…」
「治らないのは患者が悪い」
 
こんな思考は愚の骨頂です。
このような事態になる事が私は恐いのです。
その為に、隙の無い治効理論を0から積み上げる必要性がありました。
術者の目の前にいる相手は、本の著者でも上司でも教授でも提携医師でもなく、
目の前で痛みに悩み苦しむ患者です。患者を治せなかった責任は、全て手を施した術者が背負うべきです。
我々は死ぬ気で理論構築と治療を行っても現実的には死ぬ事はありませんが、
妥協に妥協を重ねた適当な治療を患者に施し結果が出せなければ、
FMS患者は本当に自決の道を選択する場合もあるのです。
そうなったら、全ては術者の責任です。
死ぬ気で治療に励みましょう。
 
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 ~痛みに悩み苦しむ患者が勇気の花を開かせた時、症状は快方に向かうであろう~
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~