藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

Q,理論の原点を知りたい。


腕や脚にしこりが複数でき、針やナイフで刺された痛み、絞られたような痛みが常時続いています。
ロキソニンなどの鎮痛剤もあまり効きません。
ベーチェットやリュウマチの検査も受けましたが、違うようです。
ペインクリニックで痛みを和らげようとしていますが、効果が出ません。
痛みが酷く耐えられません。


3~4年前からへそから左の方が電気が走るような、ナイフで切り裂かれた痛みがあります。
毎日ではありませんが、ひどい時は1日に何回も痛み、生活に支障をきたすぐらい大変です。
うってかわって何週間も痛まないときもあります。
痛んだ時は、芍薬甘草湯を飲めばしばらくは痛みはでませんが、
1,2時間後に痛みがでることがしばしばあります。その後まったくでない時もあります。
薬は1日3回と書いてあるので、飲んで1,2時間後に痛んだ時はすぐ飲むわけにはいかので、
ひたすら我慢するしかありません。
それが、ものすごくストレスで最近はそれがしばらく続いてる状態で疲労困ぱいです。


困っている症状 
・首の痛み、首の延長部分から始まる頭痛、右肩から腕、手指に掛けての痛み
 (ナイフで刺されたような痛み、ひどい時は歯磨きが出来ない。)
・左手足の痺れ。特に左足は、どくどく液体が流れている感覚になったり、刺すような痛みが出る。
・職場で、朝礼時メモを取る体制で痛みが強くなってくる。パソコンをし始めると、痛みが強くなってくる。
 職場復帰を試みては、痛みが悪化して休み、また復帰を試みるの繰り返し。
経過
・1年2か月前、頭部に鉄の扉が落下。病院に運ばれ、背骨部分と首が痛くなる。
・強い痛みがあり、頭痛がときどき起こるが、画像は問題ないと言われました。
 痛む状態で、約2週間後に職場に行くも、
 痛みが悪化してただ座っているだけでも耐えられない痛みが治まらなかった。
・昨年7月に接骨院にて電気治療。昨年8月から今年6月までマッサージ。
 (当初、鍼だったが体質が合わないと言われ。)
 一日置きごとに通い、耐えきれない痛みの時に駆け込むという状態。
線維筋痛症の検査で、11箇所以上だが、9箇所だから違うと言われる。
・症状から胸郭出口症候群の疑いはあるが、精密機器がないから検査出来ないと言われる。
・今年6月には、右肩から腕、手指に掛けての痛みがひどくなり、6月15日から、
 痛みの酷いときは、「テルネリン」「ノイロトロピン」を服用。


線維筋痛症で苦しんでおります。通院しておりますが、なかなか完治せずに病んでおります。
痛みの病気ですが、体がかちこちに固まる感じ、耳鳴り、ドライアイ、毎日痛みの場所や痛みの症状の変化。
何をやっても楽しめない、慢性疲労、日中の眠気、いらいら、夜間の睡眠障害等色々出てきてます。
家族を抱えてますが、たまに自殺したい衝動も駆られます。


私は3年程前に線維筋痛症を発症しました。原因は交通事故です(当時、重体でした)
起こしたのは友人で、私は助手席に乗っていました。
この病気は外観では全く解りません。なので家族からは
「病院に行くな!!友人に迷惑だ!!!働け働け!!!!」と、ののしられました。
その結果自分を限界まで追い詰め働き、医療費をまかなっていました。
(リハビリや、市販品で最善を尽くして補いましたがとても辛かったです)
職場でいじめに遭い、過呼吸で倒れた(最近救急車で運ばれて過呼吸だと知りました)
時はもう既にうつ病に掛かっていました。
派遣だった事もあり、すぐに退職し、自宅に引きこもり苦しみつつも、精神科を何とか
探し、今受診している病院に通院し、2年になります。
この2年で入院している期間の方が圧倒的に多いです(現在も入院しております)が、
老人介護と精神科をごっちゃにし、入院しても看護師が冷たかったり、主治医に余裕が
無く、精神病の治療を適切に受けれる環境が無くなり、入院していても、毎日死にたくなりとても辛いです。
何より私の抱えてる悩みが解決されないので、転院を決意しました。
線維筋痛症と整形外科は適切に受診できています。
ですが、心労からか、過労状態になり、肺炎にかかり、その数ヶ月前にはインフルエンザにもかかり、
体の衰えを感じ、いつ倒れるか怖いです。(過呼吸も)
今は殺意まで抱くほど悪化し、死にたいと思う思いも、失望感も強く、希望をあまり持てません。
助けてください、、、お願いします。

誤解を生むような書き方かもしれませんが、私は患者の痛みを知りえる事が出来ません。
その為に、治療前後や再診時に詳しく症状の変化や痛みを長々と確認しているのです。
 
私自身、事故をキッカケに散々飲み薬や注射如きでは効かない痛みを経験し、
鍼にて助けられた立場であるが故、私が鍼にて助ける順番が回ってきたと勝手に考え、
鍼師となり現場に立つ身になっただけの人間であるのかもしれません。
今でこそ分かったような物言いをしているかもしれませんが、あの時に鍼ではなく、
飲み薬で良くなっていたら、鍼という存在すらも知らないで人生を過ごしていたでしょう。

過去にも散々ヘルニアや狭窄症が器質的異常から派生する痛みではなく云々と当ブログで伝えてきましたが、
仮にもですよ、ヘルニアや狭窄症という診断、及び、腰下肢痛という症状に関しては、
「ヘルニア=痛み、痺れ」と考える立場の人間、
「ヘルニア=痛み、痺れは起きない」と考える立場の人間問わず、
未だに論争の元とはなっていますが、
医師含む治療者が理論をぶつけ合える程の患者数がおり、症例は山のように抱えています。
 
しかし、上記赤字の線維筋痛症(以下FMS)に関しては、
画像所見や血液検査でも異常なく、ナイフで抉られるような痛み、
ガラス片が全身を巡るような痛み等々と治療の軸すら立てられない疾患というものが存在します。
ガイドラインや各種治療法、各種理論が存在する事を知っての上で書いてます。
 
以前も書いた通り、治療院の患者層というのにはカラーがあり、美容を主に扱う層であったり、
スポーツ障害や産婦人科の領域がメインだったりと様々ありますが、
当院関しては心疾患や脳疾患、悪性新生物の治療後の後遺障害に関しての治療や、
椎間板ヘルニアや狭窄症と診断された腰下肢痛に次いで多いのがFMSです。
世間一般の目から見た場合、心疾患や脳疾患、悪性新生物の各治療後の後遺症や、
椎間板ヘルニアや狭窄症と診断された腰下肢痛患者の場合、比較的周囲の理解はあります。
しかし、FMSの場合はまだまだ理解度が低いのが現状ではないかと思います。
 
詳しくは知りませんが、FMSの認知度が高まったのは
日本テレビのアナウンサーが痛みに耐え切れず自殺してからでしょうか。
若しく日本でリリカが販売されるようになってからでしょうか。
治療法が確立していない以上、且つ原因が見えない以上、
世間一般の理解度の低さ、及び、自殺まで追い込む程の痛みであるにも関わらず、
症状固定無き疾患であるが故、患者保護の出来ぬ国の体制等、
様々な問題を抱えているのが現状です。
 
A、私の治療に於ける理論構築の原点は対FMS患者用から派生しているものです。
 
そこから、狭窄症や椎間板ヘルニア等の器質的異常があるにも関わらず、
整形外科学と生理学との理論矛盾から考察した治療理論の構築であったり、
各種外傷、非外傷性の運動器疾患の理論構築へと発展していきました。
 
器質的異常の伴わぬ患者へ対しての痛み治療に関して、
我々はどこに目を付けなければならないか。
痛みを感じるのは脳ですね。
それは分かっている事です。
しかし、痛みとして感じているのは頸や肩、肘や指、腿や膝、脛、足首etc…。
無意識に波打つようにウネル患者もいれば、痛みを堪え硬直している患者もいる。
精神状態が崩壊し、攻撃的になっている患者もいれば、悲壮感に苛まれている患者もいる。
 
治療者を嘲笑うかの如く変動する疼痛箇所や疼痛の度合い、
かと言って、痛みに対して追い掛け回す治療をしても良くなる訳でもなく、
結果的にはオーバードーズを引き起こしてしまう治療内容に終始してしまったりと、
以前は随分と苦労した日を送った事を覚えています。
 
今回の本題というのが、治療を行う上で私は今まで何を書いてきたかと言うと、
私の理論は経穴やトリガーの批判的姿勢から発展した治療理論であるという事ですね。
FMSの診断基準にある圧痛箇所の数なんて、数えたところでどうしようもないし、
圧痛の場所が何処であろうがどうしようも無い事は分かっている事です。
 
しかも、圧痛箇所に注射をしようが鍼を打とうが最終的には「変わらない」という、
何とも無残な結果に終わっているのが現状です。
注射でも鍼でも何らかしらの器質的変性を発生させる処置を行う事により、
筋の弛緩作用は起こるかもしれませんが、「何故痛み続けるのか」を考えた治療が
過去のFMS患者に対しての治療が行われていなかったのが現状でした。
 
圧痛点に注射や鍼を打つなんて、誰でも出来ますね。
只、何でそこに圧痛点が出来たのかを考察しない限り、イタチゴッコになるのは目に見えてます。
 
車がオーバーヒートしそうになったとします。
幾らタンクに冷却水を注いでも、タンクに小さな穴が空いていたり、
ラジエターホースにヒビが入っていた場合、
走り始めは良いかもしれませんが、直ぐに温度は上昇し、
車を停めねばエンジンが壊れてしまう状態に陥ります。
 
ここ最近の「痛み治療」と言われる分野に於いて、
先代が行ってきた治療はどのようなものでしたでしょうか。
どっかに穴が空いていようがホースにヒビが入っていようが、
故障の原因を考察する事なく、臭いものには蓋的に
冷却水を注ぎ込む事しかしていなかったのではないでしょうか。
 
「ここは腰の痛みに効くツボだから刺すのです。」
「ここにトリガーポイントがあるから刺すのです。」
 
このような客観的評価に乏しい治療が蔓延しているのが現状であるからこそ、
痛み治療に対しての発展性が乏しく、椎間板ヘルニアや狭窄症の論争に勝つ事も出来ず、
患者は無駄に手術をするハメになり、しかも結果的に良くならず、更に彷徨い続け、
あまりの痛みに自分の腹をナイフで切り開き、再発したヘルニアを取ろうとするも意識を失い、
救急車で運ばれる始末です。それ位にまで大変な痛みなのです。

「ここは腰の痛みに効くツボだから刺すのです。」
「ここにトリガーポイントがあるから刺すのです。」
 
経穴論者でもTrP論者でも構いませんが、
 
「何故ここにツボやトリガーが発生したのか」
 
を軸に考えなければ、結局は椎間板ヘルニア患者も狭窄症の患者も
手術好きな整形外科医の言いなりになり、手術の同意書にサインをする事になるでしょう。
 
人間はそう簡単なもんじゃないという反論があるのも重々承知の上です。
しかし、タンパク質を主にした有限の物体である事には変わりありません。
 
人間だけに関して、様々な観点や倫理観で見始めた為に、
心因性疼痛だの腰痛の85%が原因不明だのと適当な言い逃れを出来るような
スタンスを国絡みで作り上げてしまったのではないでしょうか。
 
「写真で異常が無いから分からない」
「血液検査で異常が無いから分からない」
「年だから」「ストレスだから」
こんな発展性も無く解決策の無い言葉は誰だって言う事が出来ます。
我々には何が出来るのかを言えるのが治療家としての在るべき姿です。
 
そして、患者は何を求めているのでしょう。
患者は我々の理論を求めているのではありませんね。
患者の求めているのはより良い結果であり、
我々は理論構築に基づいた再現性と確実性のある治療を行う事が重要なのです。
 
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 ~命を奪われた男たちの前に立って思う。生きている限り、彼らを死に追いやった相手と戦い続けると~
                                                      Florence Nightingale
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~