旧友からの連絡で、久し振りに旨い酒を飲む事が出来ました。
彼との付き合いは6~7年前からとなるのですが、都内近郊で2年間位一緒に仕事をさせて頂いた時期があります。
出合った当時の彼は
頭蓋仙骨療法を主軸に治療を行っていました。
温泉宿内の揉み屋で
まさに爆弾です(笑)
温泉宿に揉まれに来る人は、
ギッシギシに揉んでもらって「ホ~気持ちよかった」
を味わいたい人が大半なのですが、彼は頑なでした。
施「終わりました」
患「終わってねーだろ」
施「コリは取れたから終わります」
患「…」 ブスッとして帰る。
クレームも何度か発生しましたが、「コリを取る」というアプローチの仕方は沢山あります。
勿論、彼だって、頭蓋仙骨療法しか出来ない訳ではなく、様々な手技を持ってましたし、
強揉みだって出来る人間です。只、正直なところオステを当時は行いたかったんでしょうね(笑)
そう、彼は温泉宿マッサージに慣れている人にとっては、物足りないとも言えるオステの使い手なのです。
当時の僕は、前にも当ブログで書きましたが、骨折の好発部位や腱反射を行うポイントにアプローチをかけて治療を行っていましたが、オステやカイロを勉強している彼からは、カウンターストレインやガンステッド、ロベットブラザーパターン等の理論を教えてもらってました。
話は本題に戻しますが、ここで凄く難しい判断に施術者は追い込まれます。
顧客(患者)ニーズを掴む為に、コリの上にコリを作ってしまうような破壊的な強揉みをしておくべきだったのか、
サワサワ~っと、そよ風の如くコリを取ってしまうのが良かったのか。
「患者の身体<金」だったら前者。
「患者の身体>金」だったら後者。でしょうね。業界に入れば必ずぶち当たる壁です。
彼は後者を選びました。素晴らしいです。
恐らく、その施術を受けてクレームをつけた方々は、違う揉み屋でオステやカイロをバカにしながら
ギッシギシに揉まれているでしょう。でも彼は間違えていないのです。
彼の目的は慰安ではなく治療でしたから。
隠れた名手は山程います。只、受け手側の思考とリンクしていないだけなのです。
このような課題は、施術者側が教えてあげなければいけないのですが、現実は難しいのです。
言ってしまえば、客層が違う、客質が違うのです。
んま、そんな彼は今や看板を掲げずとも患者が押し寄せてくる名手へとなりました。
良かった良かった。
本当に腕のある人間は、どんなに不況になれど、社会が放っておきません。
社会のニーズに合わせる生き方ではなく、苦しい時期はあるかもしれませんが、
社会のニーズを自分が信じる手法で掘り起こした彼の大勝利です。
自分の信念を貫くってそんな事ですよね。格好良いですわ。