藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

Q,鍼灸師です。鍼灸は何に効くの?

同業の方からのご質問です。有難う御座います。
同業同士でも、適応疾患には差異が生まれるのが鍼灸業界。
古典派、現代医学派、中国医学派、更にそこからの枝葉での考察の違いを
全て述べていくとなると、各理論に柱はあるかもしれませんが、
実態を把握する事は難しいでしょう。これが一人一派と言われる所以でもあるでしょう。
 
せっかくなので、私自身も再考察しようと思います。
 
他科の診断名や保険病名で治療を行う事が無いのが鍼灸ではあるのですが、
一般の方々にとっては、椎間板ヘルニアや狭窄症と診断されて鍼灸院に来院されます。
私にとっては「足が痛くて痺れている人、もしかしたらお尻も痛い?」としか捉えていません。
 
ここ最近、新規の患者も増えてくる中で、「アレには効く?コレには効く?」という質問も多い訳です。
 
原則的に鍼灸治療は筋肉由来の疾患に適応し、
血管由来や神経由来の疾患に関しては、不適応の場合が多くあります。
内臓疾患由来の関連痛的要素が入り混じった状態で来院される患者に関しては、
早期段階で他科での精査依頼(高診依頼書)なる書類を持たせ、
一度は検査をしてもらうようお願いしている場合も、当院に関しては多いかもしれません。
双方共に、「何で治らんのやろ」と不安を抱えたまま治療が進むのは精神衛生上宜しくないですからね。
 
先ずはWHOの適応疾患を見ながら再考してみましょう。

【神経系疾患】
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー
 
【運動器系疾患】
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症
 
【循環器系疾患】
心臓神経症動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ
 
【呼吸器系疾患】
気管支炎・喘息・風邪および予防
 
【消化器系疾患】
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾
 
代謝内分秘系疾患】
バセドウ氏病・糖尿病・痛風脚気・貧血
 
【生殖、泌尿器系疾患】
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎
 
【婦人科系疾患】
更年期障害乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性血の道不妊
 
耳鼻咽喉科系疾患】
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎
 
【眼科系疾患】
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい
 
【小児科疾患】
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・
小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

多くの治療院に掲げられている内容かと思いますが、
私自身、鍼灸適応か否かのラインが他院とは異なるので掲げていないんですね。
 
私の治癒ラインというのは来院しなくても良い状態まで引き上げる、
完治を標榜した院である以上、WHO基準よりも狭くなります。
「改善・有効・効果有」と「治癒」はイコールではないと考えていますので、
上記のWHO基準に挙げられている疾患に対して治療を行う事で効かない事はないのでしょうけど、
100%まで持ち上げられない疾患もあり、これらに関しては事前にお伝えしています。
 
例)脳卒中のように、「脳細胞の損傷による半身麻痺等々に関しては、100%」というのは約束出来ない。
 
例)狭心症心筋梗塞のように、血管由来ではあるものの、絞扼部位の開放により、
肩背部等々に発生している、ある程度の内臓関連痛は抑えられる事は出来る。
 
もう少し砕いた例であれば、
椎間板ヘルニアや狭窄症と診断され、神経圧迫由来で派生していると整形外科で言われた腰下肢痛はあくまで神経由来ではなく筋肉由来である為に最適応ですよ。
 
理論のベースがMPSである他、整形外科的考察とは身体観が異なりますので、
世間一般で言われている「神経痛」という概念と私の視点は異なります。
 
以前も書いたかもしれませんが、所謂「神経痛」とはウイルスの侵食や切断及び損傷によるものであり、
椎間板ヘルニアや狭窄症等々の神経圧迫由来の腰下肢痛に関しては、
神経痛ではないと考えています。寧ろ、整形外科には神経痛である所以を教えてもらいたい位。
 
まぁこの辺りは整形にもガイドラインがあって、当人はそう思っていなくても、
ガイドラインに沿った治療を行わなければ色々と上からの視線や評価の関係もあるそうですよ。
その辺り、開業組は強気でトコトンいけるのが、我々にとっての強みなのかもしれません。
 
基本的には整形外科に通うような痛みや痺れ、マヒと言われた方々に対して、鍼灸は圧倒的に効きます。
とは言っても、鍼灸師個々人でのベースの理論も異なれば鍼を打つ箇所も異なりますので、
全てがとは言い切れない面も多いのも現実です。これは医者でも同じ事が言えるかもしれないですけどね。
 
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一応、当院の入り口にも効果的な疾患名は記載して書いています。
本当は「筋肉由来」と一言だけで済む内容なのですが、
一般の方では分かり辛いと思いますのでこのようにしています。
 
適応疾患はこれだけでは無いのですが、そもそもこの紙を見る方というのは
「建物内に入った方しか見れない」「来院する患者でしかない」為に不要かと思いましたが、
何かの参考になるかなと思い貼っています。
 
骨の器質的異常は痛みとは相関しない旨もそうですね。
例えば膝OAが代表的な例かもしれませんが、幾らヒアルロン酸を注射しようが効かないのには
理由があって原因が異なる箇所に存在する為に、その場凌ぎor無効治療に終わるケースが多いのです。
その為に、膝OAだからと膝に鍼を打たないのはその為。
 
頚部、胸部、腰部の脊柱起立筋がナンボこっていようが、
前腕がナンボ引き攣られていようが、下腿がナンボ痛かろうが、
一切手を付けないのも原因の箇所が異なる為なのですね。
原発さえアプローチしていれば、発症箇所の症状は縮小されていきます。
 
ここが患者ニーズと異なる点ですが、患者サイドには理解してもらいたい点。
症状発症箇所に何らかしらの手を付けたとしても、一時的な緩和は得られるでしょう。
但し、その事によって、本来の症状がぼやけてしまい、治療評価が立てられないケースが発生する。
治療評価が立てられないと言う事は、レッドフラッグを見落としてしまう事になるのです。
 
鍼灸院やトリガーに傾倒している院で恐いのがコレ。
「頭痛は乳突筋のMPSです。」「下肢痛は小臀筋のMPSです。」
で片付けられないケースも当たり前のように存在します。
前にも脊椎カリエスやら脳挫傷やらの患者が、他院でトリガーを受けて効かないからと
当院に来た事がありましたが、マジで恐いから止めてくれ。効く訳が無い。
 
ガン、感染症等々を始めとした、
早期段階で精査及び他科で治療しなければ死を招きかねない循環器疾患等々もそうですね。
その為にも事前説明をしていますし、治療後の症状変化を直後のみならず、
数日単位で観察してもらうのもその為なのですね。
 
そんなこんなで朝ごはんを食べてきますので、後で追記していきます。

と思いましたけど、
鍼灸師だったらステンの針金が身体に入ればどうなるかを考えれば適応疾患も導き出せるでしょう。
患者さんは受療予定の院を見つけたら、電話でも良いから聞いてみるのが一番だという事で今日はオシマイ。

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