藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

気付きを得た人間の強さとは

鍼灸治療は腰痛一つ取り上げても、相当広範囲の疼痛を包括出来る力を持っています。
発症初期であればある程、軽症の時期であればある程に
僅かな治療回数と治療期間により完治まで引き上げる事が可能な治療手段ですが、
不本意ながらも各種運動器疾患の終末期的な拠り所となっている当院の現状を如何に打開し、
如何に軽症患者が来院してもらえるようにし、如何に軽症期に来院してもらえるような業界にし、
 
且つ治療結果を約束出来る体系化した治療方針と治療理論にて、
如何に鍼灸業界をオーバーグラウンドに持ち上げるかが私にとっての今の課題であり、
今後の業界の発展と強固な治療理論の構築、確実性と再現性を持つ治療技術の精度の向上、
現代医療の整形外科的疾患に対しての数々の誤りと過ち(金絡みの確信犯的要素も含め)に対して、
一般患者にも目を向けてもらいたいが如く動いているのではありますが、
 
なかなかそんなに上手く行く訳もなく、相変わらず自立歩行不能状態まで我慢してから
来院されるパーセンテージが非常に高い本院から現在はブログを書いています。
 
本院来院時に「ここが最後だ」という患者の声を聞く時がありますが、
前々から当院の事を知っていたのであれば、回りまわってここに来るよりも、
最初からここに来れば良いんですよ。本人にも伝えていますがね。
その方が無駄な金も時間も使わずに済むし、当院を知った段階で即座に来院されていたら
軽症の状態で来院可能だったでしょうから、通院に掛かる疲労度も桁違いに楽だったはずですわ。


私は既にある程度構築された理論を武器に対応しています。
その為にどんな重症患者を見ても基本的に淡々と振舞っていますし、驚く事もありません。
簡単に言えば、患者の感情と一緒に揺れ動くハートフル的な対応も基本的にありません。
感情的になっているのはブログだけで充分です(苦笑)
「俺はこれだけ痛いんだっ!」と感情を顕わにされても
私が冷静にし過ぎているのか、拍子抜けするのも仕方ないかもしれません。
無論、CRPSだのFMSだのと聞いて、どっかの治療院のように予約が一杯ですとか嘘を付く事もありません。
 
そして、鍼は直接体内にアプローチが出来る為、
鍼を打つ角度、深度の抵抗感から得られる経過予測も簡便に告げられます。
且つ全てを第三者的視点で天井から常に冷静に見ています。
  
一緒に熱を上げて治療をするのも嫌なもんでしょ(苦笑)
朝から街頭で列を成して大声張り上げて挨拶しているような整骨院スタッフのノリとは違います。


治療には患者の「治したい」「治りたい」という強い意志が必要です。
何かに依存している以上は、本来の自己の強みは発揮出来ずに、
自己を正当化する事は間違いではなくても、
自己正当化のベクトルが大いに曲解した状態に陥る事もシバシバあるものです。
 
痛みに対して不遇な時間を過ごしてきたかもしれません。
整形外科では患者側すら応対予測が出来る程に、再診毎に同じやり取りを繰り返したかもしれません。
医「調子どう?」
患「痛いです」
医「では引き続き薬を飲んで様子を見ましょう」
患「分かりました(何時まで様子見なのだろう…)」
 
過去に継続通院していた病院で不遇な対応をされたかもしれません。
医「手術は成功しています」
患「でも痛いんです」
医「頭おかしいんじゃないの?別な科を紹介しようか?」
患「…」
 
患者の対応一つで、単なる腰下肢痛にも関わらず、要らぬ診断名を上乗せさせられたかもしれません。
手術で良くなると言われて手術を行ったのにも関わらず、変化が無ければ悲哀の感情も噴出するでしょう。
そのような患者の感情に擦り寄ろうと思えば、術者は何処までも擦り寄れます。


しかし、依存を取り除く事が治療の一貫である事も患者には覚えておいてもらいたいものです。
前項では、痛みや痺れを覚えた段階から患者は様々なものに手を出し始めると書きました。
 
「依存」という言葉を聞くと「薬」というイメージがありますが、そうではありませんね。
腹筋背筋、健康器具、健康書籍、健康思想、治療法、薬、手術。
これらも全て依存となる対象であると私は捉えています。
痛みや痺れを覚える前は上記の赤字なんて目にも入らなかったでしょう。
 
そんなこんなで現状の焦りと不安感は急激な情報収集能力を発揮するかもしれません。
しかし、全てを鵜呑みにしてしまうと必ず「間違えている」モノにも引っ掛かる可能性もあります。
 
特に、肩凝り腰痛患者は業者にとっては良い商売にもなるのです。
その相手はアナタが信じて止まない医者様であるかもしれません。
そして、痛みを抱えている患者程、甘い言葉に引っ掛かり易いものです。
医療業界は聖域ではありません。予想以上に弱みに付け込むドロドロしたビジネスが転がっています。
 
患者の発する言葉に全て同意し、笑顔で頷いていれば患者も心を許すものです。
「この人なら大丈夫かも」で失敗に陥ったケースなんて、どれだけ見てきたことか…。


幸い、私はどんな社長でも有名人でもプロスポーツ選手にでも駄目だしが出来る性格を持った人間なので、
甘い言葉を吐く事はないでしょうが、世の中にゃいるんですわ。
 
おかしな擦り寄り方をする術者が。
 
この話は後日にでもしますが、患者が患者として来ている事を術者が忘れた瞬間、
若しくは「患者」という肩書き以上の何かを知った場合、治療は治療でなくなります。


では、痛み痺れに苦しむ患者群は何に頼れば良いかという事になりますね。そこが問題ですよね。
そして、この思考が既に依存の対象を探索している事にもなり、悪循環を招いていきます。


今回の本題というのは、私の治療内容というものは患者に気付きを与えるというものです。
鍼灸治療では、患者の症状が改善且つ快方に向けて走り始める事でしょう。
それは私にとっても大変喜ばしい事です。
患者が笑顔で帰っていく姿を見送るのは、私自身非常に気持ち良いものでもあります。
が、この鍼灸治療というものも、患者にとっては依存の対象となり得ます。
 
「鍼は薬と違って副作用も依存性も無く安全なのでは?」
との声も聞こえますが、そんな事はありません。
鍼には副作用(リバウンド)もありますし、依存性もあります。
 
過去から書いている内容ではありますが、
非外傷性の疼痛や痺れ、筋肉の脱力等々に於いては、
日常生活に於いての持続的不良姿勢及び
持続的な過剰負荷の労働環境等々が起因となる事を述べてきました。
 
これらの根本の解除が一番の症状快方の要因とも言えますが、
分かっちゃいるけど仕事だって家庭だって相応の負荷を強いられた状況と
日々立ち向かわなければなりません。そのような中でも、一筋の快方要因を探り出し、
且つ治療にて持ち堪えられる身体にしなければならない事が我々の目的でもあります。
 
症状快方には二つの歯車が必要です。
一つは、鍼灸治療にて現行の症状の消失並びに再発防止処置を行う事。
一つは、患者自身より、負荷姿勢を理解頂いた上で、回避する努力。
この二つが上手く回らない事には、いつまで経っても回復し難い身体になります。
 
要は、治療で身体が楽になっても、今まで通りの生活をしていれば簡単に症状は再燃します。
勿論、身体状態が良い姿勢を保ち続けられるように治療をする事が私にとっての課題でもありますが、
家庭内環境での生活姿勢や家具や寝具類の見直しまで口うるさく言うのは
良化の加速をしてもらいたいからです。家に不良姿勢を招く椅子があれば、
それすら禁止にしてもらっている事は、来院患者であれば耳にされた事はあるかもしれません。
身体が良くなっても悪化の原因である椅子を除かない限り、再発の可能性は高まります。
 
そこに薬に改善を求めても、鍼灸のみに改善を求めても効果は薄い事を理解して頂きたく思います。
ギックリ腰のように、不意な姿勢でビクッとかビリッとなり、痛みに耐えられないような状況であれば
鎮痛作用を持たせるような治療もケースバイケースで行いますが、
私の治療は以前にも書いた通り、「痛みや痺れを起こさない身体」にする事を主目的に行っています。
治療を行う事でアドバイスをした内容の理由が、帰宅後、明確に分かるようになってくると思います。
 
この姿勢では痛まないけど、この姿勢では痛み始める。
この座り方では痛まないけど、この座り方で痛み始める。
この布団の硬さでは…、この枕の高さでは…、この椅子の高さでは…etc。
 
それらの気付きを得られる為には、
鍼灸治療で現行の症状を快方してあげる事で、
明確に不良姿勢による悪化要因に気付き始めます。
この事により、患者自身が納得して正して頂ければ、症状回復は更に加速していくことでしょう。
 
そんな訳で、鍼灸治療は患者に対して症状快方を与える事は可能ですが、
依存しようと思えば幾らでも依存出来る対象となります。
且つ、薬のような内臓器に襲い掛かるような副作用は無く、
精々治療後に身体がダルイとか、長風呂した後のような状態となる程度のものなので、
患者によってはそれすら心地良いと感じる人もいます。
その為に、安全性の高い依存性であり、逆を言えば薬以上に依存性は高まる可能性があります。


そのような状況の中で、日常生活の習慣を正してくれた患者から治療を卒業していけると思うのです。
鍼灸治療に頼る事の無い強い自己を得られた時から、
各種依存対象も必要の無い心身共に素晴らしい状態となるでしょう。
私はとことん患者の治りたいという気持ちを後押しします。
 
その為には、とことん患者側も努力を惜しまずに日々を過ごして頂きたいと思います。
気付きを得られた先にはどれだけ強い人間になれているか。
足を止めてはなりません。足を止めたら人間は腐るだけです。
私は患者達の強さを信じています。
最終的に自身の将来を切り開けるのは、患者であり患者家族なのです。
 
 
イメージ 1
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~