藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

椎間板ヘルニアに対しての疑問2

今回は神経根ブロックを行う目的から椎間板ヘルニアに対して考えてみましょう。
 
神経根ブロック⇒
神経根ブロックとは、レントゲンの透視下で痛みの原因と考えられるそれぞれの神経の根元
(神経が脊髄から分かれたすぐのところ、すなわち神経根)にブロック針を誘導して、
局所麻酔薬や炎症をとる副腎皮質ステロイド薬を注入する方法です。
 
とのことです。
患者が病院やクリニックに来院し、足の痛む箇所を医師に伝えます。
その際、医師は足の痛む箇所に対して、
脊髄後根の皮膚知覚が司る箇所からブロックする高位を定め注射を行います。
その際の目安というのが皮膚知覚を有する基準となるデルマトームとなるでしょう。
下図がデルマトームです。デルマトームの図は作成者により若干の違いはありますが、
大体このようなものだと思います。
 
イメージ 1
 
L5領域に痛みや痺れを発していた場合はL5に注射、L4領域に痛みを発していた場合はL4に注射し、
針が目的部に達し、デルマトーム上に痛みを確認した後、麻酔薬を注入するものです。
 
神経根ブロックを実際に行われた方なら分かると思いますが、悲鳴を上げる程の激痛が走る場合があります。
どっかの鍼灸院で「イッテー」と言ってるレベルではないと思います
前回の話題とリンクしてきますが、神経根はマッサージ等の物理的圧迫では痛みを感じませんが、
周膜や上膜を針で貫通させ突き進んだ場合、無意識で足が浮き上がったり、激痛が走ります。
 
もし仮に神経根に膜が無かったとして、
ヘルニアが神経根を圧迫して痛みや痺れが出ると解釈した場合、
同じような激痛がデルマトーム上に走り続けていても不思議ではないのですね。
 
しかし、実際にMRIを撮ると、ヘルニアの発生高位や、ヘルニアの大小、水分量の問題では解決出来ない
問題が多くあります。例えば、MRI上はL5/S1にヘルニアを認められるのに、痛みや痺れの領域は
L4/L5領域に認められる場合もあるでしょう。
そして、キレイにこのデルマトームやミオトーム通りに痛みや痺れが出ているかと言ったら、実はそうでもない。
 
イメージ 3
一つの目安として図を上げますが、痛みや痺れの発生箇所はこのような領域だったりもしています。
(注:私はMPSの概念は有してますが、TrPは指標としておりません)
 
しかも、時間帯により症状の増減があったり、痛み痺れの箇所が変化したりするもんですから、
ヘルニア発生高位の神経根にブロックしたところで著効を示すかと言えば、ほぼ無い。
 
勿論、治療手段は神経根ブロックだけではないでしょうから様々なブロックを試みますが、
患者の痛むラインが画像所見と一致しない、痛むラインが変わる、
その日で痛みの度合いが違うでは、にっちもさっちもいかず、治療ももぐら叩きとなり、
最終的には結果が伴う可能性の低い手術に踏み切ったり、
心療内科や精神科を紹介されたり、FMSだと言われたり、ロクな事にならないのです。
診断権を持つって怖いですね。武器を持ちすぎれば武器に振り回される結果になるとは正にこの事です
 
 
イメージ 2
もう一つ。
前回の有名ドクターのQ&Aの中で、
「ヘルニアはお尻から足にかけての坐骨神経痛がある」
とあります。
 
色の付いたラインが坐骨神経です。
ヘルニアになると坐骨神経痛が出るという事ですが、
坐骨神経と完全に一致した
痛みが走っていますでしょうか。
仮に、坐骨神経に針なりで傷を付けた場合は
完全に走行と一致する痛みを刺傷箇所から
足先まで発しますが、患者の訴える痛みや痺れは神経の
走行と一致していないと思います。
 
もしかしたら、痛みが臀部で止まっていたり、
大腿部までしか痛みが無かったり、
お尻から足先まで痛みはあるものの、
神経の走行と一致していなかったり、
腰を捻ったり前屈する事で痛みが誘発されたり、
ズボンや靴下を履く姿勢で痛みが増強されたり
してませんか?
髄核が脱出していると画像所見で認められた場合、
大なり小なり神経根にはヘルニアは触れ続けています。
それであれば、どのような姿勢を取っても
痛み続けなければならないにも関わらず、
朝は痛いけど昼は楽だったり、
横向きでは痛みが少ないけど仰向けが辛かったりと、
時間帯や姿勢変化で症状が変化する事はないのです。
 
前回の内視鏡手術の動画では、ヘルニアを掴んで引っ張り上げる部分のみでしたが、
実際にヘルニアに到達するまでは、様々な組織や骨を切りながら突き進んでいきます。
これは何を意味するかと言うと、大なり小なり術後は癒着が発生します。
術後患者が症状が変わらずに鍼灸で治療する場合、
癒着の処置も並行して行う事になる為、些か時間が掛かります。
「コッテマスネー」だなんてどっかのマッサージみたいな軽々しい事は言ってられなくなります。
 
何にせよ、患者は医師を信じて手術を行ったのにも関わらず症状が変わらないもんだから
鍼灸院には相応の覚悟と人生を掛けてやってくる訳なんです。
覚悟を決めて取り掛からないと、患者はジプシーと化してしまいます。
我々が止めないと、後は誰が止められますか?
最深部まで直接アプローチ出来る鍼灸は、常識を覆す程の力を持っているはずです。
 

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