藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

治療はブレーキを掛けている筋群の解除から。

凄く基本的な事になるのかもしれませんが、治療にも流れが存在します。
 
・治療ベッドにさえ横たわれない場合は、座位にて治療を始め、身体が伸びるようにする
 
・治療ベッドに身体を預ける事が出来たとしても、うつ伏せにも仰向けにもなれない患者さんもいる
 
・その場合は、横向きの状態で治療を始め、うつ伏せや仰向けになってもらえる体勢を整える
 
・うつ伏せや仰向けになれても、同じ姿勢が長時間出来ない人もいるので、長時間でも耐えうる体に整える
 
一つの対応策としては、胸部にパッドを入れたり、膝下や足首に枕を入れてみたり、頭部の枕を高くしてみたりと、道具を使う方法もあります。高齢者等の場合、骨が変形している方も多いので、道具に頼らざるを得ないケースもあるのですが、そのような構造上問題がないにも関わらず、平坦なベッドに身体を伸ばせない場合は、先に伸ばせない筋群を伸ばす治療を行う事により、先に挙げた道具類を使う事もなくなりますし、核となる原因筋にアプローチした際にも刺痛等がマイルドになると共に、効果の持続性が高まる傾向にあります。
 
少し話は遠回りになるのですが、車やバイクの運転をする時の事を考えると、
アクセルとブレーキって同時に踏まないですよね。(レーサーや走り屋は例外として)
通常時における運転の際、アクセルとブレーキを同時に踏んだ場合起こり得る現象は、
 
1A、思った通りにスピードを上げられない
 
1B、車に負担が掛かる
 
1C、ブレーキを踏んだ状態でスピードを上げるには、必要以上にアクセルを踏む事になり燃費が悪くなる
 
と思います。これを身体に当てはめていくと、
 
2A、思ったとおりに前に進む事が出来ない
 
2B、身体の各器官に負担が掛かる
 
2C、疲れやすくなる
 
という現象が生まれてくるでしょう。日常の生活に起因する症状に関しては、日常の生活を正す事により
負担は軽減されてくるのかもしれませんが、様々な雑誌やテレビで改善策として紹介されているのは
 
3A、思ったとおりに前に進む事が出来ずに、つまづくようだったら、もっと足を挙げて歩きましょう
 
3B、身体の各器官に負担が掛かるなら、筋肉をつけて体力作りをしましょう
 
3C、食事の見直しや、サプリを摂取しましょう
 
と言われているのが一般論として出回っていると思います。
勿論、これらはとても重要な事だと思いますし、実践する事により改善されてくる場合もあるでしょう。
しかしながら、2A、2B、2Cの状態で、3A、3B、3Cを行った場合、リセットを行う前の身体に対して
上乗せしていく結果となるので、明らかに効果の浸透力は激減してきます。
 
もしかしたら何事にも言える事なのかもしれませんが、一度、白紙状態に戻してから蓄積していかなければ
土台が非常に不安定な状況になってくると思うのです。その為、3A、3B、3Cの取り組みを始める前に、
2A、2B、2Cの状態が、何故このような状況になっているのかを考え、原因を探り出し、リセットしてあげる事
が最重要課題となってきます。要はブレーキの解除の為に、何をしてあげるかです。
 
誰しも、朝起きて、歯を磨いたり、顔を洗ったり、ご飯を食べたり、仕事をしたり、遊んだりと様々かと思いますが、一般的に目覚めた時点から身体のアクセルは嫌でも踏まれ続けているのです。そして、嫌でもアクセルを踏み続ける中で、外的内的問わず、様々な要因が原因で踏み続けなければならないアクセルと同時にブレーキも踏み始めていく事で、身体が悲鳴をあげ始める状況が生まれてきます。
 
これを治療という枠で考えた場合、ブレーキとなっている筋群を緩ませる前に、アクセルとなる筋群にアプローチしても大した結果は得られない(効果が長続きしない)ケースが多く見受けられます。故に
 
・アクセルとなる筋群のみにアプローチを掛けても、ブレーキが掛かりっぱなしでは治療の意味がない
 
・ブレーキとなる筋群のみを緩めても、アクセルとなる筋群にアプローチしなければ患者さん側は治療を受けた  実感ががない
 
・アクセルとなる筋群からアプローチした後に、ブレーキとなる筋群を緩めても、効果は今ひとつ。
 何故なら、鍼灸治療という一つの枠の中でも、時間は進んでいるからです。治療中であったとしても、
 患者さんの身体には鍼で傷が作られ、傷が治癒していく過程が存在するからですね。
 僅かな時間の間であっても、それが一つの「治療」という枠組であったとしても処理の順序を間違えると効果が  乏しい場合が多い。
 
その為、ブレーキとなる筋群を緩めてから、アクセルとなる筋群に対してアプローチを掛けていく流れが
ベストな身体の状態を作れるのかなと考えています。
 
ブレーキのみの解除が「慰安」としての鍼灸治療になり(サッパリしたかな位の効果)、
アクセルとブレーキに対してのアプローチ(ガンガン走れる車作り)が「治療」になってくるのではないでしょうか。
 
では、今までダラダラと書いてきたアクセルやブレーキとなる筋群とは何になるのかは、
患者さんの姿勢を見るのが早いと思います。
 
疼痛による抑制姿勢が見受けられた場合は、先ずはその姿勢を緩和させる事が手っ取り早いのでしょうけど、
日常生活で積み重なってきた疲労は、患者さん自身に自覚がなくとも他覚的に読み取る事ができます。
 
大きな視点で見た場合、主に身体の前面の筋がブレーキになっている場合が多く見受けられます。
しかし、人の身体は教科書通りにはいかない訳なんです。
 
一般的には伸筋や屈筋と、筋肉は分類されているのかもしれませんが、
場合(症状)によっては伸筋が良くも悪くも屈筋の役目を果たしてしまう事もある。
場合(症状)によっては屈筋なのに、良くも悪くも伸筋の役目をせざるを得ない状況になってしまう事もある。
 
それを更に原因筋と代償筋に分類し、患者の発している症状に対して代償筋の時系列を追っていき、
終末部より治療する。そして、今後発生するであろう代償筋を予測する。終末部を間違えれば、1からやり直し。
 
全てが仕上がれば、いよいよ中枢感作へ訴えかける治療(これが難航中)
 
身体の見極めというのは本当に難しいものです。
 
長くなりました。最後はキレイな夕焼けで終わりましょう。
 
 
 
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