藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

二日酔いを疼痛抑制姿勢から考察

破り続けられる約束もあります。男なんて弱いもの。
二日酔いになる度に宣言をしてきた禁酒。今回も約束を果たせませんでした。
お酒を飲む事は滅多にないんですよ。これはホント。
でも、飲む時は記憶がなくなるまで飲む。何事も全力です。
 
朝起きた瞬間、これはヤバイと思い、
胃洗浄を行い、肝臓を下にして丸まって横になる。とにかくこの不快感が去るのを祈る。
鍼屋にとっては屈辱的だが、胃薬をウコンの力で飲む。直ぐに戻してしまう。勿体無い…。
何とも良くならない。どないしよ。
 
・頭が痛い⇒側頚部の緊張が原因か。僧帽筋の上部もガチガチ。
 
・指先まで痺れや震えがある⇒斜角筋類や上後鋸筋の緊張が疑われる。
 
・体を伸ばすと腹部に激痛⇒胃痙攣が起きているせいからか腹直筋類の緊張が伺える。これが一番酷い。
 
・胸焼けと息苦しさが止まらない⇒大胸筋や小胸筋、三角筋前部が異常に硬直している。
 
自分で鍼を打つにも、この状態ではリスクが高すぎる。
その為、指で首からお腹にかけて一つ一つリリースしていくと、
症状の緩和と共に背筋が伸ばせるようになってきた。
 
それでも何だか今ひとつ。
全体的に不快感は軽くなってきたものの、未だに靄が掛かっているような状態。
 
他の症例でもよくあるケースなのだが、鍼灸や指圧で症状を軽減させても、核を見つけて退治しなければ
サッパリ出来ない時がある。Tpの世界で言ったら、責任トリガーポイントというものか。
 
要は今までのリリースは対処療法でしかない為、
現段階では不快感や痛みに対してフィルターを掛けている程度の状態なのだろう。
 
更に体を探ると、左右の肩甲骨下角から3~4センチ下辺りに、米粒程度の大きさの圧痛点が見つかる。
指で丹念にほぐしていくこと10分、ドンドン症状が軽減されていく。
 
完全に楽になったとは言えないが、VASで言ったら10→2位か。
 
ところでこの圧痛点の場所って、経穴で言ったら肝兪付近だったような。教科書的には魂門なんでしょうけど。
肝臓の疾患に奏功すると言われている肝兪が、二日酔いにより圧痛が表れるとは面白い。
 
ここからが問題で、何故に肝兪に圧痛が出たのかが大切なところ。
 
解剖図で見ても、肝兪の位置には肝臓がある。
 
しかしその場合、肝兪に限らず、肝臓周辺に大きな圧痛のゾーンが出来てもおかしくはないと思う。
何故限局した圧痛が表れたのか。
 
推論だが、
側頚部や僧帽筋の上部、斜角筋群、上後鋸筋、大胸筋、小胸筋、腹直筋の緊張が発生し、
身体を前屈にしていなければ苦しい状態だったが、リリースしていく事で症状の緩和が見られた。
 
背部の圧痛点も含め、各々の筋緊張がどのような時系列を追って出現したかは不明。
 
・朝は5時30分に目が覚める。
 
・起きた瞬間、昨日の記憶を辿るもうろ覚え。反省。
 
・ベッド上で身体を起こす。この段階では症状は自覚せず。
 
・ベッドから普段通り立つと同時に、急激な吐き気と頭痛と寒気。トイレで戻す。
  
・東京から来られた5人との会話を思い出す。内容は殆ど覚えていないが、
 久し振りの面々と東京の話、仕事の話をしたと思う。東京に帰りたくなりセンチメンタルになる。トイレで戻す。
 
・胃薬とウコンの力を飲む。トイレで戻す。
 
・目玉焼きでご飯を食べるも、直後に戻す。この頃には嘔吐物から内容物は見られなくなる。
 
・治療室に出向き、換気と掃除をする。戻す。
 
ゴールデンボンバーの他の曲を聴く。水を飲むも、受け付けず戻す。暫くは飲食を止めようと考える。
 
・東京からのお仲間を見送る。とても寂しい気持ちになる。僕も一緒に連れていってくれないか。
 
・カルテの整理、まだ時間はある。自分でこの二日酔いを何とか出来ないかと考える。
 
その後、自身のリリースを行っていき、診療に差し支えない位には回復出来た。
 
ここで、上記の箇条書きの中から考えられる事は、今回の二日酔いが重症化した理由に、
心理的な面が大きく関与している点も重要視しなければならないと思う。
 
今度どこかで書こうと思うが、キネティックチェーンは精神面に置き換えても説明は出来ると思う。
 
一つのTPが全身に波及する可能性があるように、運動連鎖の崩れが全身に様々な症状を起こすように、
精神状態も連鎖的に様々な症状として表れているのかもしれない。
 
精神状態が疼痛を増強させる事は昔から言われてきたが、
段階的に原因を除去していく事が可能となったら、様々な精神疾患への取り組みも変化していくだろうし、
寛解という医療者側の都合の良い言葉も無くす事が出来るかもしれない。
 
あくまで目指すべき最終ゴールは完治である。これは患者が最も望む事であろう。
 
話は戻すが、背部の圧痛は、飲食物を戻すという行為を繰りかえした為に出来たと思う。
トイレで戻す時は前屈となる。私は事故で右膝にROM制限がある為、膝の屈曲はないまま、
トイレの面積上、腰だけを曲げ、左手はトイレに掴まり、嘔吐を繰り返した。
その際、様々な事を考える。
 
・昨日は飲み過ぎた。
 
・仕事に差し障りはでないか。
 
・妻と子に冷たい目で見られないか。
 
・一緒に飲んだ人達の体調は大丈夫か。
 
・昨日の記憶がない。無礼は働いていなかっただろうか。
 
・内容物がなくなると、胃液が食道を傷めつけてくる。痛い。
 
・ご飯は食べられるか。 等など…。
 
そのような精神状態の下、横隔膜をせり上げるように、胃の内容物を押し出そうとする。
この時に、相当な負担が胸椎の9~10番目の両側辺りに掛かっていたと思われる。
 
そして、粗方回復するまでは常に前屈ぎみだった事も原因だろう。
腹部の急激な大きなゾーンでの緊張の抜け出し口となった場所が、背部の圧痛として表れたのかもしれない。
 
相当、ピンボケな推論かもしれない。しかし、今回の自身の症状にて、様々な疾患に対してのアプローチ方法が
浮かんできた。普段TPをメインで治療を行っていると、どうしても内科的な疾患に弱いですからね。
 
今の段階ではこれ位しか推察出来ないが、色々と思い出し次第、追記していこうと思う。
 
何にせよ飲み過ぎって良くないね。もうお酒は飲みません。
 
 
 
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