藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

治療反応上から推測される若年性線維筋痛症及び類似性症状の病態


※下段の参考関連を先にお読み頂ければ今回の内容もご理解頂き易いと思います
若年であれば疼痛も激烈であり、良い意味で円背傾向を示し、椎体の圧壊が生じた高齢者であれば、激烈な疼痛が少ない傾向も示す事になり、移行椎や二分脊椎、破格や奇形等の先天的な構造以上や、成長期と言う時期に過度なスポーツ等で分離・すべりになっている場合等も含め見えてくる現象と言うものもある。
残念ながら、ここ最近は「成長痛」と言うカテゴリすらも「心因性=精神異常者」のレッテルを貼り、向精神薬を投与したがる人間も増えてきて、且つ、安易に自らオピオイド系の鎮痛剤を求める10代患者も増えてきているようだが、どの方向から見ても将来を見越すと危険と言う文字しか浮かばない。
恐らく、その被害者(?)として挙げられるのが、若年性線維筋痛症と言うどうでも良い診断名が告げられた群ではないかと思う。

一部抜粋
JFM 症例の症状は,全身痛,関節痛,筋肉痛,頭痛といった“痛み”のみならず,過敏性大腸炎や膀胱炎,睡眠障害や低体温などの多彩な筋骨格系外症状も伴うため,患児の ADLは著しく阻害される.
本邦小児線維筋痛症33例の検討では,全身疼痛を全例に認め,慢性疲労感も32/33例(97.0%)と高頻度で,本疾患の中核的症状であった.関節痛28/33例(84.8%)や筋肉痛23/33例(69.7%)も頻度が高く,診断確定前に整形外科の受診例が多かった実態を裏付けた.
また線維筋痛症に特徴的なアロディニア(通常では痛みを引き起こさない刺激,触刺激,温度刺激,圧刺激などによって生じる痛み)は25/33例(75.8%)に認め,睡眠障害は24/33例(72.7%),平熱として36度未満の低体温は12/33例(36.3%)に認めた(図1).
これらの「疼痛」は,長期経過において増悪と改善を繰り返し,台風や雨天時などの疲労,天候不良などのストレスを感じるときに疼痛の増悪を自覚する一方で,自分の興味あることに従事するなどストレスから開放されているときには疼痛の軽減がみられる傾向がみられている
また睡眠は寝覚めのすっきりしない,浅い睡眠状態が特徴で,入眠困難中途覚醒を訴える児が多い
線維筋痛症のメカニズムは全て解明されているわけではないが,様々な研究がこれまでにされている.その一つが functionalMRI(fMRI)によるアプローチである.これは脳の活動に関連した血流動態反応を視覚化する方法で最近の機能的脳画像診断の中でも最も発達した手法の一つである.
線維筋痛症の患者では,痛み刺激に対する疼痛関連領域である一・二次体性感覚野,前帯状回前頭前野の活性化が健常人に比較し強く認められる.その現象をもたらすと解釈されている“Cen-tralsensitization(中枢性の過敏化)”は,中枢神経系の侵害受容ニューロン,特に脊髄後角で生じる過敏化現象である.
脳脊髄液中に発痛物質として知られているサブスタンスPが増加し,下降性疼痛抑制系の中心と考えられているセロトニン前駆体やその代謝物の減少が指摘され,疼痛に関する情報伝達の異常が線維筋痛症の原因と考えられている.
また現在では線維筋痛症の発症に関する遺伝的な要素として,HLA-DR4の関与5-hydroxytryptamine(5-HTT transportergene, SLC6A4),ドーパミン(D2 and D4receptorgenes),カテコールアミン(catechol-0-methyltransferase,COMT)などの関連遺伝子の多型が報告されている.
抜粋終了
「ベンゾ 低酸素脳症」で文献を漁っていたら、若年性線維筋痛症の論文(2014 ※HPVV由来も含めて書いているので興味ある方は読んでも良いかも)が出てきたので僅かに書きたい事があり、且つ、これらは今件の若年性線維筋痛症に限らず、仮にもそれが若かろうが年寄りだろうが共通して言える事を現場を通して散々見ている、と言う事も大前提としているが、
先ずは診断名如何問わず、症状自覚の起因としての原因に、
>>一・二次体性感覚野,前帯状回前頭前野の活性化が健常人に比較し強く認められ…
とあり、脊髄後角での過敏化現象であると推測され、その結果、成人であればリリカ(以前はガパペンチンかな)が第一選択肢として用いられたり、その他はNSAIDsや向精神薬が利用されているようだが、
仮にも、若年性の線維筋痛症の病態とは何ぞやを臨床反応上から考察すると(一応はオピオイド系鎮痛剤や向精神薬服薬前である事とする。これらの中長期服薬は薬剤そのものが”このような病態を作り上げる”事になる為)、単なる「神経痛」と「自律神経症状」としか言えない部分もある。
確かに、このような極めてシンプルで乱暴な表現に異論を唱える人間は多くいるかもしれないが、先ほどの『自律神経とは何ぞや』の項にも内容は散りばめているつもりだから、そこを読んでもらえれば、その理由も分かると思う。
もう少し書けば、表現は適切ではないかもしれないが、私は人の身体の症状を筋肉で見ていない、と言う事であり、肩こりも腰痛も「神経痛」扱いで処置を行っている事にも由来するだろう。筋肉に針を刺せば、まぁ緩むだろう。但し、持続性はどうか、持続性が短期であれば、患者の回復は遅い⇒場合によっては極めて多回数の治療を短スパンで受療し続けなければ持ち上がらない⇒相互疲労が起こる。と言う図式は得てして起こりうる。場合によっては症状に変動がない時もある。
もう少し簡単な例で書けば、スポーツ障害や成長痛とも捉えられている「鶩足炎」や「オスグッドシュラッター」等に関しても同様な事が言え、仮にも脛骨粗面部や鶩足部に疼痛及び圧痛が生じているからと、基本的に私は疼痛部位に対しての処置を施す事も無ければ、基礎的概念である大腿前面部や後面部の筋細胞の持続的収縮に伴う疼痛とも言われているかもしれないが、処置を行う際にもこれらの部分は無視をして症状の改善を果たしている。
これも1つの針屋のメリットと言えるかもしれないが、針屋に来る多くは「何をやっても駄目だった人が来る」傾向が極めて高い事から、今件の症例以外もそうだが、どのような治療が「無効治療」であるかと言うのを既知し、既に前提として情報を持っている事である。
疼痛部位に何をしようが、筋細胞の持続的収縮部位であると推測される部位に何をしようが、結果が芳しくない為に「針屋に来た」と言うバックボーンは、それは患者にとっては辛い事かもしれないが、こちら側にしてみれば、その事自体が有意義な情報に繋がるものである。
話は反れたが、さて、若年性線維筋痛症が成長痛かと一言で済ますと誤解も生じる乱暴な表現であろうから少しだけ触れるが、基本的に凡ゆる疾患の概念と言うのは「積極的な針治療を施したデータが無い」状態で構築されているものであり、「薬物治療を主体としたデータが多い」状態で構築されている。スポーツ障害系であれば、ストレッチをしたり筋トレしたりアイシングしたりホットパックをしたりと言う内容も含まれてくるかもしれないが、実際に、その効果は如何だろうか。
別に重箱の隅を突くような書き方をしている訳ではないが、「筋細胞の持続的収縮部位に対して、伸張位を意図的に臨むストレッチをしても、治るのか」と言う根本的疑問符を持たなければならないし、当該支配領域の筋細胞を運動し、知覚する支配下は何処かを見越した内容且つアプローチがされた文献や実際と言うのも残念ながら私は知らない。
仮にも針治療の論文を見ても如何だろうか。疼痛部位に針を刺しているデータが大半ではないだろうか。いわゆる、圧痛点治療と言われるものや、トリガーポイント治療と言われているものである。それは、過去の患者が散々経験し、「効かない」と証明してくれている。
仮にも初期的な投薬(NSAIDsやアセトアミノフェン)で効果を自覚し、疼痛部位に対して針や注射針を刺して治るのであれば、「若年性線維筋痛症」と言う症候群名も生まれていなかっただろう。
話は成長痛に一度戻すが、成長痛と言うのは筋骨格系症状「のみ」、だろうか、と言う観点である。ここで勘の良い方は「成長痛 自律神経」と調べるだろうから先回りして書いておくが、
http://www.成長痛.com/article2/に書かれているような
『成長痛を訴える子供の統計的データを見てみると以下のような条件にあてはまる子供に心意性の成長痛を発症している傾向が見られている。
心意性の成長痛を感じやすい子供
☆神経質な子供
☆兄弟がいる場合は上の子供
☆甘えが強い子供(あまえんぼう)
このような状況下にある子供は、自分でもわからない不安を抱えている事が多い。』
と言う事ではない。恐らく、これは自律神経と心因性を混同している結果であり、このような医者に掛かれば、遅かれ早かれ向精神薬が投与されるだけである。
そう言う訳ではなく、『自律神経とは何ぞや』でもチラと触れた通り、【脊椎の成長に伴う脊髄のテンション過多に伴う神経根及びDRG由来の各当該脊椎高位の神経支配領域症状並びに、それに伴う脳幹や視床下部の支配領域症状】と言う事を、現場を通して実感するものである。
勿論、これに伴い内分泌及び外分泌異常も伴っている場合に関しても、初期的には数値異常が認められていたものも、経時経年的に、その後は数値が適正範囲内に落ち着くと言う事実も、この理屈の整合性が高いと言う証拠でもあるとも感じている。
取り分け、今回は若年性線維筋痛症と言うのを例に挙げたが、若年性の多動や注意欠陥障害、及び凡ゆる精神症状と言うのも、やはり、身体状態が悪い故に多動となり、注意散漫となり、そして自律神経系の過剰亢進が伴ってとの結果論にしか過ぎず、その結果論的症状に対して抗うつ薬覚せい剤を投与したところで、いつまで経っても治る訳もないどころか、無駄なリスクを背負うばかりなのである。
例えば、これも別例を挙げてみよう。加齢に伴う脊椎変性疾患の代表格は脊柱管狭窄症と診断が挙げられるものであり、間欠性跛行を主訴とするものである。
その多くは中長期歩行動作に伴う筋緊張及び重力下に於いての行動により派生する椎体間の易狭窄より、椎間孔の狭窄が優位となり、当該神経支配領域の圧迫から下肢痛へと発展していくものであるが、これらの病態に対して、リリカやトラムセットやサインバルタを飲ませても治るのか?と言う事であり、治るどころかリスクしか背負わないのと同じである。
このように、確かに診断と言うものが存在し、確かに、そのような診断に基づいた症状を軽減及び改善自覚させる薬物が存在したとしても、結局は、原因が器質的(現行医療や学会定義では器質的異常は「ない」と現段階では定義付けしているかもしれないが)であり、且つ中長期服薬に伴いリスクが増加していく薬物と言うのは極めて多く、激烈な痛みから初期的に逃げる事は出来たとしても、それを良い事に長きに渡って服薬し続けるとリスクばかり増大していく事が分かると思う。

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