主に、輻射熱で皮膚を温める作用を持つと言われる灸頭鍼ですが、輻射熱以外にも、鍼体にも熱は確実に伝わっています。
実際に、灸頭鍼を身体に刺したまま付け替える際に、押し手で鍼柄やら鍼体を触ると相当熱い。この鍼体の熱を治療に使えないかしらと調べてみました。
只、この鍼体の熱を治療の作用として記載している文献を見た事がないのですね。
そもそも、ウチの本棚には東洋医学の本がないから当たり前かもしれませんが。その為、ネットで探してみるも、これと言ったモノが見あたらない。(どなたかご存知でしたら教えて下さい)
結局は自分に試してみました。鍼は、ステンレスのディスポ鍼(2寸 10番)を、陰陵泉付近へ刺入。
左の写真が、灸頭鍼をやる場合の一般的な刺入深度になると思うのですが、鍼体の熱を治療作用として考えた結果、右の写真まで刺入し、艾を付けてみました。
このままでは皮膚が熱いでしょうし、輻射熱は無視した試みなので、輻射熱を感じない位に折りたたんだ手ぬぐいで周囲に囲いを作り点火。
一壮目⇒艾が焼け始めて3分の2位のところで、若干、細いチリチリとした熱状の感覚を感じる。燃えきる時にピ ークを迎える。鍼は抜かずに二壮目へ。
二壮目⇒一壮目の感覚と同じ。
三壮目⇒同上。
四壮目⇒大した効果が感じられない為、手ぬぐいの囲いを外し点火。想像通り、輻射熱により相当熱い。
で、今に至る。抜鍼してから60分位経過しています。
刺鍼周辺がぼんやりと暖かい。これは鍼による反射でも、輻射熱の効果でもないでしょう。
明らかに深部から暖かい。陽陵泉付近も触わってみたら、こっち側まで熱が伝わっていて、良い意味で熱が留まっている状態が続いています。
雪の降る寒い寒い外に出てみる。やはり刺鍼周辺がボワッと暖かい状態が続く。
しかも、火鍼を置鍼するよりもマイルドな熱。これは利用出来るかもしれない。
僕は普段から灸頭鍼を行う場所というのは大抵決まっていて、太めの血管が表在を走っている箇所に行います。
「血管を暖める⇒血が暖まる⇒結果、身体全体が暖まる」という単純な理論でやってますから。
今後、応用が利かせられそうな予感です。