藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

鍼灸こぼれ話 (α・β遮断薬及びPDE3選択的阻害薬と鍼治療)


            
※写真と本文は無関係です

 鍼灸治療直後の一過性低血圧(脳貧血)(起立性低血圧)状態に関して」
 
その前に鍼灸治療(厳密に言えば鍼治療)が施された場合、体内での変化を知る必要性があります。
鍼(針)が刺入される事により、刺入箇所へは局所的に炎症が惹起されます。
一種の免疫応答により局所的に炎症が惹起された刺入箇所へは、
針を刺された傷を修復しようと動脈血が集約します。
 
(細々書けば長くなるから8割方省略し…)
 
動脈血が良い意味で強制的過剰流入した筋群は柔軟性を取り戻し、
直下及び周囲を走行する各種血管の開放(血管拡張作用という見方でも良いのかな)が見込まれます。
 
(※恐らく、揉み屋さんも似た作用機序を伴い治癒を目指しているとは思うのですが、
決定的に異なる点は、直接的な侵襲性を前述通りの理屈で理論立てられる点であり、
浅層~深層問わず、中途干渉無しで常に深達性を保持出来る事かと思います。
要は、治療前に構築した理論をそのまま現場で患者の身体に落とし込めると言う事であり、
浅層部に無駄なダメージを加える事無く深層部迄アプローチ出来るというメリットがあります。
とは言え、鍼屋さんや揉み屋さんによって考え方は皆違うと思いますので、一概には言えないと思います。)
 
例えば、頸部を主とした治療を行う事により、頸部のみならず、
肩背部及び脳内血流量の増大、維持、確保が見込まれ、
訴えられている諸症状の改善の目的達成を目指します。

では、この過程で何故一過性の低血圧状態を呈してしまったかを考えます。

考察1
 
服用しているプレタールとアーチストの血中作用濃度と鍼治療開始時刻(AM10:00)
 
「プレタール」
 
「アーチスト」

仮に朝、プレタールとアーチストを服用していた場合、
治療開始時刻のAM10:00から正午に掛けては、
比較的、薬物血中濃度が高い時間帯に含まれていると考えられます。
 
血中濃度が高い=薬物の作用が強く出ている時間帯」と捉えた場合、
プレタール及びアーチストが示している「効果」と言うものが強く出ている時間帯と捉えられます。
 
プレタール
 
アーチスト

その結果、通常時(非鍼治療)よりも血管拡張による降圧作用が伴い、
一過性低血圧に陥ったものと見られます。
では、この鍼治療による一過性低血圧を抑止する為には
 
1)1回毎の鍼治療の効果を敢えて落とす
2)薬物の血中作用濃度の薄い時間帯に治療を行う
 
多分、他にも抑止策はあるのかもしれませんが、上記2点に絞られてくるのかもしれません。
Kさんに関しては、AM10:00からの治療は極稀で、大概夕刻からの治療時にはこのような状況に
陥る事は無かった事、且つ発症タイミングを見る限り筋性防御とも異なるでしょう。
 
この手の薬を飲んでいる方はKさんに限らず多くいるでしょうし、
且つ、今件だけに限った話ではないかもしれません。
正直言えば過去にもいましたが、100人中100人がこの手の薬を飲んでいます。
 
勿論、薬物血中濃度の高い時刻に鍼治療を開始しても、このような症状が出ない場合もあります。
今後書きたいと思いますが、個々人による薬物代謝酵素等々の兼ね合いもありますし、
飲み合わせや食べ合わせの問題も生じてきます。
 
なので、あくまで可能性としての話です。

逆視点で見れば、先ほど書いた通り、私の治療内容は筋肉を標榜していない為、
比較的中長期に渡り治療を続けている方々は鍼治療による降圧作用により降圧薬が必要なくなります。
高血圧を主訴として来た人はいないので副産物的要素として発生する事象ですが。
 
仮に、筋肉だけを標榜とした治療の場合、「○○筋が凝ってますね~」と言う鍼屋にでも行き、
治療後の経過観察にて恐らく理由が分かると思います。私は聞かれたら答えますけど、
筋肉の弛緩を第一目的としていない為、「○○筋が~」という話を滅多にしないのがソレ。
 
余談ながらCa拮抗薬や利尿薬の類も理屈的に同様な事態になるかもしれません。
末梢血管の抵抗や心拍出量を抑制する類のもの全般でしょうか。
 
と、考えると、健康診断で血圧測定詐欺に引っかかって
「飲んどきゃいいよ」で漠然と飲んでいる多くの高齢者への
鍼治療は気をつけなければならないという超面倒臭い状況でもあると言えます。
 
中には薬を飲んでいる事を言わない患者、何の薬を飲んでいるのか自身が分かっていない患者もいるでしょう。
実際のとこ、本態性○○とか特発性○○とか「好きなもん食べていたいでしょ?」と薬を出されている場合、
「その薬、要らないんじゃないの?」と思う時もありますが、薬が好きな患者も沢山いますから。
付き合いで病院に行って同じ薬を貰ってくるとか、お茶を飲みに行くのと訳が違うんですから。
 
という訳で治療内容にも良いとこで折り合いをつけなければなりませんが、
鍼治療に折り合いを付ければ「全く効かない鍼治療」で終始してしまうのも事実。
 
薬飲んでない患者がメキメキ治り、治療直後もドカンと元気という状況を見ていると、
「よく分からないけど出されたから飲んでいる」群や「薬で治す」と本気で考えている群には、
さっさと考え直してもらいたいところもあります。その薬って「治る」の?と。

愚痴っぽくなってきたから話を戻しますが、
患者からの訴えがあって初めて分かる事もありますので、
治療を受ける他の方も遠慮なく教えて頂ければ助かります。
今後の治療成績を上げていく糧となります。

「身体がダルくなるかもしれません」等々の話は各患者にはお伝えしているかもしれませんが、
実際にダルくなったら患者によっては気分の良いものではありません。
 
ぶっちゃけ鍼灸治療院に来る患者は9割以上が何かしかの薬を飲んでいますので、
このケースだけに限らず色々とあります。今後も暇な時は小出しにしていこうと思います。
この手の話は結構あるし、大切な事かもしれません。
 
向精神薬の類が実は一番厄介になってくるのですけどね。
 
はい、鍼灸こぼれ話でした。今度は血圧計準備しておきます。
 
次回はこの理屈に対しての応用編です。
「過度及び継続的な選択的糖代謝から発生する諸症状と鍼灸治療の応用」か、
「N先生!プレガバリンなんて言うから分かり辛いの。リリカと言って!」か、
福田パン あんバターの秘密に迫る!! そして込められた想い」のどれかです。
面倒臭くなったら書きませんのであしからずですが

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  ~針治療から病態定義の見直しを~