藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

相模原市障害者施設での殺人事件


相模原市の19人殺人、20人重症の事件。多くの方が精神科通院歴(入院歴)及び向精神薬投与の件を懸念、予想していましたが見事に的中していました。ただ個人的には、その前後の患者背景も考えていきたいところです。一方的な決め付けも良くないですしね。
仮にも精神科病棟に措置入院となったからと言っても、現段階では向精神薬の投与及び服薬の事実も発表されていない訳ですし、今年2月の大麻による禁断症状なのか、若しくは退院後も大麻を使用していたか等の観点を踏まえて考えれば、向精神薬だけに責任を負わす事は些か時期尚早かもしれません。あ、でも大麻向精神薬も作用は同じか。
と言う訳で、パキシルジェイゾロフト等のSSRIが世に出始めた頃よりメジャー(公け)になってきた向精神薬の反応(作用とか副作用とかって書き方は敢えてせず)である「攻撃性」「暴力性」「衝動性」「他害危害」「自殺念慮」「自殺企図」等々の問題ですが、別にこれらの状態と言うのは抗うつ薬に限った話ではなく、ベンゾ系でも起きます。
最近、私がベンゾ系とは書かず、睡眠薬抗不安剤等と書いているのは、「ベンゾ系と書かれても分かんない」と患者から言われているからです。確かに知らない人にとっては自分が飲んでいる薬が、ベンゾ系なのか、向精神薬なのかも分からない人も多くいます。なら、ハッキリと睡眠薬抗不安剤気分安定剤と書いたほうが分かると言う事ですね。最近はGABA受容体に作用しない睡眠薬も出てはいますが、これは又別な機会に(相互作用無視の処方が多すぎ。健忘を発症している患者が結構います)
因みに、ウチの患者でも2016年、向精神薬の因果関係が明確な事故は数件発生しています。2名がオーバードーズで自殺未遂(警察⇒救急搬送⇒精神科送り)、1名が飛び降りで自殺未遂(警察⇒救急搬送⇒精神科送り)、1名が行方不明⇒後に死亡が確認、です。不明瞭なところでは、車両事故が1件。年代迄は書けませんが、皆若いです。内、1人は精神科から退院後に会う機会がありましたが、恐らく統失の薬を飲まされていたのでしょう(薬名不明)。以前には見られなかった幻聴や幻想、叫ぶ等々の症状が出ています。
この患者は職場内で「発達障害」と苛められ、その後の結果です。職場全体で性格や特徴、コミュニケーション能力に対して、病人扱いされれば、時として、このような事態を招くと言う事は皆にも知ってもらいたいところです。この方がどのような職に就いていたか迄は書きませんが…。
幸い?にも、この相模原市で起きたような人殺しは出てませんが、可能性はある、と言う事です。もしかしたら、ただ単に私が知らないだけなのかもしれません。あくまで上記は報告が入ったから知っただけの事ですから、全ての患者を追跡したら状況は少し異なっているかもしれません。アシュトンマニュアルは有名な本なので知っている方も多いと思いますが、そのP20から一部転載します。
明らかな再発のほとんど全てのケースにおいて、症状の再発の増悪原因が、環境ストレスの増大であることが分かります。認識さ れないこともある新たなストレスや心配事が引き金となりうるため、症状の再 発は前触れもなく突然起こるようです。感染症、手術、歯の問題、仕事上の問 題、疲労、死別、家庭内の問題、睡眠不足、薬の副作用、環境の変化などの、 ほとんど全てのストレスが再発を引き起こす要因となり得ます。また、加齢や長期に亘る悩み事によって、脳のストレス対処能力が単に低下することも要因となるかもしれません。更には、無意識の中に埋もれていた過去の不快な心配事、思い、記憶が再度表面化し、今なお長引いている可能性もあります。何故なら、脳が過去にそれらに十分に対処出来ていなかったためです。トラウマティックなベンゾジアゼピン離脱を経験した人は、心的外傷後ストレス障害PTSD)の要素が関係している可能性があります。この場合、過去のトラウマ(精神的外傷)を想起させる些細なことが引き金となり、再発が引き起こされる状態です。あたかも、何らかの新たなストレスが、その人のストレス対処能力の限界を超えてのしかかるかのようです。前述したように、ベンゾジアゼピン治療を長期間受けていた患者の中には、たとえ断薬後であってもストレス耐性が低下したままの人たちがいます。ですから、彼らは新たなストレスあるいは再発するストレスに対して、より脆弱になっているのです。
転載終了
このような状況は「如何なる状態の人が」、「如何なる状況で発症するか」を広い視点で考えた事はありますでしょうか。これは減薬中や断薬後の問題ではなく、服薬中の患者にも発生すると言う事です。残念ながら、多くの服薬者は、耐性や、それに伴う常用量離脱の問題を知りません。5年10年服薬し続ける方々なんて日本ではザラです。他国では、これらの状態を懸念し、4週間迄と処方期限が定められているのですが、残念ながら日本では期限がないのです。故に、同量を飲み続けて一見、主訴が安定しているかのように見受けられる状態とて(それが仮にも睡眠障害や不安や焦燥等々のカジュアルに投与されている状況の患者群も含め)、同量の中長期服薬は耐性獲得の可能性は十二分に考えられる為、飲み続けながらにして離脱症状が発症し、このような状況に陥る患者が後を絶たないのです。
さて、別に私は穿った見方をしている訳ではありませんが、ベンゾ系の長期服薬者、抗うつ薬の長期服薬者には、「とある共通項、共通点」がある事は臨床現場を通して感じている事があります。この話に関しては以前、詳細を書きましたので置いときまして、
仮にも立場的にも、向精神薬にスポットを当てた「何か」をしなくとも、純然たる別疾患で訪れる方々とて、向精神薬を服薬している方々と言うのは極めて多くいます。それが世間一般で言う「精神病」と言われるものでなくても、眠れないからとベンゾ系や抗うつ薬を飲んでいる人もいますし、気分が落ち着かないからと、ベンゾ系や抗うつ薬を飲んでいる人もいます。整形領域疾患の患者も疼痛緩和や疼痛を由来とする不安改善を目的とし、ベンゾ系や抗うつ薬を飲んでいる人も沢山います。
その為、現場で接する立場であれば向精神薬の服薬者とは必ずと言って良い程、遭遇します。それは恐らく私だけではありません。だから、それを踏まえて考えれば、最悪のケースに至らない予防線から張らなければならない訳です。その予防線とは「何か」に関しては各々対策を練るのが一番良いか思います。別にこれって「私と患者」と言う立場だけの枠内だけの問題ではないし「どこかの治療者と患者」でも有り得る訳ですし、「患者と患者」も有り得ます。「非服薬者と服薬者」、「隣のオッサンと隣のオバハン」だって考えられますし、「レジ打ちとお客さん」と言う間柄でも起きるのです。
ある程度、こちら側は掌握しているので何て事はないのですが、これらの状態を既知していない場合、一触即発な状態に陥る可能性があります。そんな面倒臭い事まで考えて、脳内を強制的に薬物で変えられている状態まで既知して接するなんて、普通に考えて面倒な事でしょう?但し、事実はそうなのです。
ベンゾ系とアルコールの作用は似てますから、ベンゾ系を知らない人は酔っ払いを想像すれば良いのではないでしょうか。酔っ払いに喧嘩を吹っ掛けてみると、どうなるか想像が付くと思います。そして、シラフの人に喧嘩を吹っ掛けるのとは状況が異なる事は容易に想像が付くと思います。前者は極端に落ち込んだり、攻撃的になったりしませんか?これが先ほどのアシュトンからの話ではありませんが、外的刺激に伴う鋭敏性であり、感情制御が出来ない状態に容易に陥りやすくなるのも、リミッターが解除される(され易い)、薬物反応の1つとして見ても良いのかもしれません。
じゃあ皆して「酔っ払い」や「向精神薬服薬者」との対応を考慮しろったって、現実的には無理な話です。ベンゾもアルコールも合法ですから。と言う訳で、このような凄惨な事件や事故は今後も発生する可能性と言うのは大いにある訳です。自害なり他害なり、発生すれば必ず他人に迷惑を掛けます。他人に迷惑を掛けたくない人は、さっさとシラフに戻る為の知識を仕入れ、取り掛かったほうが良いですよ。

因みに攻撃性(暴力の誘発)を反応として持つ薬は群を抜いて禁煙補助薬であるチャンピックスでしたね。ソースは何処かに飛んで行きましたが、自殺願望や他者攻撃性が出て、アメリカでは2週間で3000件ペースの裁判が起きているようです。
Chantix (Varenicline)(チャンピックス) 18.0   
Prozac (fluoxetine) (プロザック)10.9            
Paxil (paroxetine)(パキシル) 10.3            
Amphetamines(アンフェタミン)9.6                
Strattera (atomoxetine)(ストラテラ) 9.0 
Halcion (triazolam)(ハルシオン) 8.7 
Luvox (fluvoxamine)(ルボックスデプロメール) 8.4 
Effexor (venlafaxine)(エフェフサー) 8.3 
Pristiq (desvenlafaxine) (プリスティーク)7.9 
Zoloft (sertraline)(ジェイゾロフト) 6.7 
Ambien (zolpidem)(マイスリー) 6.7 
Lexapro (escitalopram)(レクサプロ) 5.0 
Celexa (citalopam)(セレクサ) 4.3 
Abilify (aripiprazole)(エビリファイ) 4.2 
Amitriptirine(トリプタノール) 4.2
OxyContin (oxycodone)(オキシコンチン) 4.1 
Wellbutrin/Zyban (bupropion)(ブプロピオン) 3.9 
Geodon (ziprasidone)(ジオドン) 3.8 
Ritalin/Concerta (methylphenidate)(リタリンコンサータ) 3.6 
Trazodone(トラゾドン) 3.5
Remeron (mirtazapine) (リフレックス、レメロン)3.4 
Neurontin (gabapentin)(ガバペン) 3.3 
Keppra (levetiracetam)(イーケプラ) 3.3 
Valium (diazepam)(セルシンホリゾンジアゼパム)3.1 
Xanaz (alprazolam) (ソラナックス、コンスタン)3.0 
Cymbalta (duloxetine)(サインバルタ) 2.8 
Klonopin (clonazepam)(リボトリールランドセン) 2.8 
Risperdal (risperidone)(リスパダール、リスペリドン) 2.2 
Seroquel (quetiapine)(セロクエル) 2.0
Lamotorigine(ラミクタール) 0.8
Valproic acid(デパケンバレリン) 0.8
Phenytoin(アレビアチン) 0.4
Carbamazepine(テグレトールテレスミン) 0.3
Paliperidone(インヴェガ) 0.7
Clozapine(クロザリル) 0.6
Lorazepam(ワイパックスロラゼパム) 0.3

このような案件で疲弊している方々も多くいると思います。その為、私なりの考え方も少し書いて終わりにしたいと思います。結論から言えば、全ての物事は他者との根底的思考のマッチングが成し得ない限り、人対人と言うのは「どうにもならない」、と言う事です。だから、幾ら力を入れても無駄な時もあります。力を入れても相手の思考が異なれば、単に「この人、ヤバイ」で終わるだけです(苦笑)
「寄り添う」と言う視点が重要視されるような業界ですが、リード側がミスを気付く事なく寄り添っている場合もあり、リード側がミスだと気付いてなく寄り添っている場合もあり、且つ「寄り添った側」も何故「寄り添った」のか迄を考えると、何と申しますか申し上げづらい節はあるのですが、
別に「その部分」に関しては医療行為と言う観点の問題ではない事で「寄り添い」、「寄り添って」いると言う事に気が付かなければならないのかもしれないですね。分かりづらいですね。ちょっと例を挙げます。
A)睡眠薬は安全ですよ
B)睡眠薬は危険ですよ
と言う2種の思考を持った人間が存在した場合、A)に賛同する人も、B)に賛同する人もいる訳です。A)側にはA)側の意見があるでしょうし、B)側にもB)側の意見がある訳です。お互いがドレだけ詰めて議論するかは扠措き、A)の意見を提示し、賛同する側の背景があり、これはB)も然りです。
では、何故A)及びB)の思考に「その人が」至ったかも知らなければなりません。仮にも発信者であるA)もB)も、オギャーと生まれた瞬間から、自分の頭の中に存在するGABA受容体に対して外的から投与される薬物に対して検証し続けている訳はなく、
もしかしたら、自身で感じた背景があり、周囲の環境で考えた背景があり、その後に読んだり見たりしたもので、過去の自身及び周囲環境との合致や不都合等々を考察しながら構築していく訳です。
だから、オギャーと生まれた人間が、いきなり「睡眠薬は危険」、「睡眠薬は安全」と言う思考には至らない訳です。恐らく、そのような過去から現在迄の流れと構築があり、もしかしたら私が見ている情報も「そのような」ものに偏向しているかもしれませんし、結局はフェイスブック上で流れてくる情報と言うのも似通ってくるのも否めません。
「そうだよね」と言う賛同性の高い情報は、見ている側も実は気持ちが楽なのでしょう。見ていてもストレスが掛かりません。しかし、自身の思考とは異なる意見が流れてくると、やはり人間とはストレスの掛かる生き物かもしれません。
故に、仮にもそれが、このようなネットだとしても、社会だとしても、同一的思考を持つ人間同士が集まる傾向である事は、今も昔も変わりません。それは何故かと考えると、「楽だから」、「ストレスが掛からないから」、「居心地が良いから」と言うだけの事かもしれません。
結局は何が言いたいかと言うと、仮にも「医療」や「健康」と言うカテゴリ内でも、このような事象は当たり前に起きている訳です。では、この辺りの視点でもう少し見てみると、「楽だから」、「ストレスが掛からないから」、「居心地が良いから」と言うのは、自身にとって「ベネフィットが上回っている状態」の事を示します。だから、日々が充実しているかのように自覚出来るのですが、それも中長期と続く事はありません。
人間は生きていれば「慣れ」も生じますし、自身には不都合な「アクシデント」も生じます。それが「常用量離脱」や「副作用」と言う、ベネフィットを上回る不便に苛まれた時に、初めて自身の立ち位置に気付く事が出来ます。それでも尚、ベネフィットを上回る不便(リスク)に気付いた人は、未だマシなのです。残念ながら、その多くは気付いていないのが現状です。
何故なら、それが冒頭でも生じたリード側が「医療」や「健康」のカテゴリには存在する訳で、仮にも、そのリード側が「副作用」や「常用量離脱」を「疾患の悪化です」とリードし、更なる薬物の増量をした場合、ますます患者は抜けられなくなります。ここで私は「抜けられなくなります」とネガティブな書き方をしましたが、それすらも意味や意図が分からない方々と言うのも多く存在します。
その為、このように無限のループはいつまでも続く事になるのですが、無限のループが続くと言う事は、そもそも「医療」や「健康」には答えが存在しないと言う見方をしても、あながち間違いではないのかもしれません。結局は、それすらも「寄り添う」側と「寄り添った」側が根底的思考がマッチングしたと言うだけであり、
「医療」だとか「健康」、「治る」とか「治す」、「根治療法」だとか「対処療法」と言う観点では「ない」と言う事でもあり、もっと簡単に書けば、「寄り添う」側は、自身に都合の良い人間が「寄り添ってくれれば」、大先生ヅラしていられるし、不都合な人間がよって来たら苦虫を噛んだ感情になる、と言うだけの問題です。前置きが長くなりましたが、そのように考えると生きるのが楽になりますよ。と言うのを言いたかっただけです。


離脱症状は、慢性的なベンゾジアゼピン使用者に起こる通常の反応であり、また副作用と薬物耐性の結果である。薬物の服用量が減少すると症状が現れるのが典型的である。GABAは中枢神経系において、2番目に最も共通する神経伝達物質である(最も共通するのはグルタミン)。それは圧倒的なほど最も豊富に存在する抑制性神経伝達物質であり、4分の1から3分の1のシナプスはGABAを利用している。

ベンゾジアゼピンの使用は、脳と身体機能のほとんどあらゆる面で直接また間接的に深い影響を持っている。ベンゾジアゼピンノルアドレナリンセロトニンアセチルコリンドーパミンを減少させる要因となる。これらの神経伝達物質は正常な記憶、気分、筋緊張および協調、情動反応、内分泌腺分泌、心拍、血圧の制御に必要である。しかし慢性的にベンゾジアゼピンを使用しているとそれらの作用の大部分に対して急速に耐性が形成され、そのためベンゾジアゼピンから離脱した場合には、GABA作動性の抑制作用が無くなり様々な神経伝達物質が暴走する。その結果として離脱症状が出現し、中枢神経系において生じた適応が身体的に逆転するまで持続する。

離脱症状は、一般にその薬物の作用の鏡像となる: 鎮静作用と睡眠の段階におけるREM睡眠と徐波睡眠の抑制は、不眠症、悪夢、入眠時幻覚に置き換わる;抗不安作用は不安とパニックに置き換わる;筋弛緩作用は筋けいれんや筋肉痛に置き換わる;また抗てんかん作用は発作に置き換わり、特にcold turkeyや過剰に急激な離脱において顕著である。

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