藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

自律神経と向精神薬副作用/ストレスと顆粒球増加(交感神経優位)

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自律神経という身近な例と共に、分かりやすくまとまっているページがありましたので転載させて頂きました。

安保徹先生と面談し、お話を伺ってきました。

前もって幾つかの質問を送ってありましたが、
向精神薬については勉強中とのことで、質問に答えるのは容易でないと仰っていました。
しかし、面談の為に、安保先生の著書やサイトを幾つかを事前に読んで、
面談に臨みましたが、改めて読むとその理論で、向精神薬副作用の多くが説明できることに驚きました。

詳しくは、今月のメールマガジンにてお伝えしますが、その整理を兼ねて、今日はその要旨を書いてみたい。

自律神経は、交感神経と副交感神経のことである。
交感神経は、エサ取り行動、つまり日中のアクティブな活動を司り、
副交感神経は睡眠時や食事などゆったりした状態をもたらす。
交感神経が優位であれば、様々な活動の臨戦態勢を取るということですが、
唾液の減少、血管の収縮(高血圧)、気管の拡張(酸素を多く取り込む)、
心拍数増加、集中力や運動性の向上など、身体に対していわばストレスをかける状態です。

副交感神経の優位は、その逆で、膵液の増加、血管の拡張、気管の収縮、
心拍数の減少などリラックスした状態です。また分泌系ホルモン(成長ホルモン)などは、
副交感神経優位の状態で分泌されます。

交感神経は、アドレナリン、ノルアドレナリンドーパミンというカテコールアミンという
神経伝達系によって支配されています。方や副交感神経はムスカリンやニコチンといった
アセチルコリン系によって支配されます。

交感神経と副交感神経は、シーソーの関係で、
交感神経が優位であれば、副交感神経は劣位となり、
逆に副交感神経が優位であれば、交感神経が劣位となります。

これらの自律神経の働きと、
向精神薬の薬理作用(作用、副作用)を照らし合わせると見事に一致することに驚きます。
交感神経優位に働くのは、アドレナリン、ノルアドレナリンドーパミン作動薬で、
また副交感神経優位を邪魔するのが、ムスカリン遮断薬です。
後者は抗コリン作用を持つ抗精神病薬(定型抗精神病薬ジプレキサ)や3環形抗うつ薬などです。
これらの薬は、覚醒剤であれ、抗コリン作用薬であれ、交感神経優位に働きます。

自律神経が、交感神経優位であるか副交感神経が優位であるかは、
白血球の顆粒球とリンパ球の比率で分かります。
顆粒球が多ければ交感神経優位、リンパ球が多ければ副交感神経優位という事です。

顆粒球過多つまり交感神経優位の状態が長く続くと次のような症状が現れます。
倦怠感、不眠、不安感、便秘、食欲不振、肩こり、腰痛に始まり、
さらに高血圧,白内障,胃潰蕩,多臓器障害,発癌などが誘発される。
さらに副交感神経優位で行われる内分泌、外分泌細胞の働きは停止し、
血糖は上昇し(インスリンが分泌されない)、口渇となる。頻脈も。
さらに抗コリン作用で認知症リスクも高まる。
 
さらに、副交感神経優位では、物事を認知する能力が高まるが、
交感神経優位では回りが見えなくなるなど認知機能が低下する。

どうでしょう?
交感神経優位の状態が長く続いて引き起こされる症状と
向精神薬の様々な副作用症状が見事に一致することが判ります。
逆にドーパミン遮断によるパーキンソニズムの涎れも説明できます。

ということは、向精神薬の様々な副作用は、
副交感神経優位(リンパ球の増加)になれば解消されるということが出来ます。

以前、あおぞらクリニックの菊池医師が、
向精神薬ユーザーは自律神経が固定化されていると仰ってましたが、
それはつまり交感神経優位に固定化されているということでしょう。

安保先生には、自律神経を整えるにはどうすれば良いのかということをお聞きしたかったのですが、
やはり、特効薬的な対処方法は無いということです。唯一、確実なのは、
副交感神経優位になるには、身体を温めることだという事です。
冷え症の改善が、向精神薬の副作用の軽減に繋がるということです。

また、交感神経を刺激する薬物の継続的な長期使用しているうちは、
これら副作用症状は改善されないという事です。
また、交感神経優位では、成長ホルモンも分泌されず、血管も収縮し、
睡眠の減少、認知機能低下を起こしますので、これらの薬剤を長期に使用すれば、
子供の成長、知能、知覚の発達も阻害されるという事です。
これは浜六郎先生も別の知見から同じ結論に至っています。

ここまでで、
生命維持に必須な自律神経にみだりに外部から干渉することが
如何に馬鹿げたことか分かって頂けたでしょうか?

胃潰瘍、胃痛というと、胃酸を抑える薬が使われる。
これは、医療の常識として広く知れ渡っていますね。ところが安保先生の研究ではそうではない。
ストレスやその他の原因によって交感神経緊張状態が生じ,次に顆粒球増多,
してついに胃潰揚が発症するが,消化説はなぜ生まれたのであろうか.
それは胃の特殊性(酸分泌)と生体の保護(防御)反応を見誤ったことから生じたものと考えられる.
 
ストレスによって副交感神経の働きが抑制されると食欲が低下しこのままでは生体は飢餓状態となる.
これを救う反応として,胃潰蕩患者には急に一過性の副交感反応が引き起こされる.
つまり,突然に胃の蛸動運動と酸と消化酵素の分泌反応が起こるのである.
この反応が起こった時,食事を摂ると!嬬動運動によって生じた胃の痛みは
消失する.空の胃が動くと痛みを伴うが,食物が入ると正常状態になって働き出すからである.
 
こうして患者は飢餓から救われることになる.
このお助け反応を,痛みが伴うゆえに,原因と見なしたのが“胃潰傷の消化説"と考えられる.
そして,まちがって多くの制酸剤が投与されることになったのである.

胃酸が多いから胃粘膜が破壊されたのではなく、
ストレスにより引き起こされた顆粒球増加、それに伴う顆粒球死滅時に放出される活性酸素
より胃粘膜が破壊されるというのだ。胃酸過多は交感神経優位の状況下で引き起こされる
食欲不振に対する生体防御機能としてもたらされるとする。

胃酸過多説と顆粒球増多説このどちらが正しいのでしょう?

向精神薬の害に気が付いている人なら、
当然、顆粒球増多説に軍配を挙げざるを得ない。
なぜなら、胃酸過多説は、単なる対症療法であり、
その病因も発生メカニズムも説明出来ていないが、
それに対し、顆粒球増多説は、病因(ストレス)から、
胃酸分泌という生体の防御反応までの一連の反応を全て説明しているからだ。

結局、胃薬も向精神薬と同じですね。

この胃潰瘍発症のメカニズムは、
同じストレスで引き起こされる様々な心身の不調の発症メカニズムにおいても
応用できると考えるのが自然だろう。
安保先生は、産後の不調や免疫疾患なども同じメカニズムで解明している。

ストレスで引き起こされる様々な精神疾患も説明できるのではないだろうか?
少なくとも、向精神薬の引き起こす副作用の多くは説明可能であるし、
その副作用が新たな精神疾患の原因となっていることも説明可能である。

精神科薬物治療は、当然のことながら全て対症療法である。
DSMなどはその症状分類に過ぎない。
特に悪質なのは、その唯の対症療法を疾患の治療薬としていることである。
ねつ造された様々な精神疾患名は一度整理して、
原因不明、対処法不明の自律神経失調症に戻した方が良い。
現在の医療水準からすれば実にぴったりくる。

ある精神科サバイバーが、
「不快な(離脱)症状の多くは、人間の持つ生きるための生体反応だと思って乗り切る」と言っていたが、
その通りだと思う。全ての症状には理由があり、それは人間の生存に資する正常な反応であるように思う。
何万年、何億年、いや生物が発生して以来、その途方もない年月をかけて作り上げられた人体という
カニズムに対し、人間の関与できることはほんの僅かである。
 
ならば、医療の守備範囲もおのずと限定される。
あたりまえだが、そうした神の藝術品ともいえるメカニズムに対し、
単なる化学物質である向精神薬で干渉することはほぼ不可能だということだ。

向精神薬で、心の病は治せません。

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