藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

交感神経症状と伝達不全含む受容体損傷示唆症状の治療反応性の差異


【広島往診4】の日取りは決定しています。ご治療を希望される新規の方はメールでご連絡下さい。関東以西からのご依頼、ご依頼者さま宅内でのご治療希望、広島県周辺でのご治療希望等々に関し、全ての患者さまが公平に経済的コストでメリットが生まれた場合、積極的に検討しております。
 
通常行っている単独往診とは異なり、皆さまでコストを分散頂き、広域に渡る範囲を移動しながら各治療場所を点在する場合、ご希望通りの日時に行えない場合も御座いますが、ご連絡頂ければ大まかなスケジュール等はお伝え出来ると思いますし、可能な限り柔軟に対応出来るよう務めて参ります。

推測を挙げるにあたり極めて慎重にならなければならず、そして恐らく推測の域を脱する事が出来難いのが複雑に入り組んだ脳と言う分野でもあり、あくまで私が治療を行ってきた治療反応性の枠内からの推測論でしかない事も前提となり、それは極めて不確実で不安定な要素も多分にあるかもしれないが、現実に治療を行い患者から直接反応性を伺っての話でもある為、事実性の高い内容ではないかと思う。

中枢神経系は各々がフィードバックしながら連動及び機能している側面も多分に含まれている事から一概に断定出来兼ねる部分はあり、ノーマンズランドである脳に反応を及ぼす治療手段に関しては、選択的な機能回復が不可能であるのも現状であり、包括的に機能回復を見越す手段しか存在しない。包括的な栄養が可能である事は患者にとって副産物的要素も大きいメリットもあるかもしれないが、術者にとっては結果的に良くなったとしても、脳の何処の部位がどのように傷んでいたのか迄は実際に分からない結果論で進行していく、累積データが取り難い部分もある。累積データが取り難い側面もある事から、あくまで発症している症状から当該部位の損傷である事は既存学問から抽出する事になるのだが、その既存学問すらも時代が変われば内容も異なり、そしてそれが事実である根拠もない。

上述の通り、様々な理由により包括的な栄養に成らざるを得ない手段は副産物的要素も多大に恩恵を受ける事は現場を通して見ているが、さて、中枢神経系症状のカテゴリ内の1つである向精神薬離脱症状は、その症状と治療反応性より2群に分けられる印象がある。但し、離脱症状と安易に表現したが、その患者の多くは現在も服薬中(減薬中)である事には変わらず、そこに孕む諸症状の関連を紐解く作業は一筋縄ではいかない。本音は、現在の症状の由来が何処からくるものか断定出来るものではない。

現症が常用量離脱症状なのか副作用なのか、単剤服薬ではない場合、他の薬物の常用量離脱症状や副作用の可能性もある。他の薬物も中枢神経系に反応を及ぼす薬物の場合は、服薬期間により常用量離脱症状である懸念や、過去にスイッチングしてきた向精神薬の存在も考えられる。そして、患者自身が今、どのような環境下で生き、どのようなストレスを抱え、どのような栄養を摂っているかでも大きく変動するだろう。それが又、薬剤性由来を含めない基礎的内外環境因子が現症に悪循環を招いている部分もあるかもしれない。元々、離脱症状は脳幹由来をメインとした大脳や小脳等の広域に及ぶ甚大な中枢神経系症状を出し続けている事には変わらない。その為、未知な人間の場合、単なる自律神経症状に見て取られる。そして残念ながら、これらの根拠も真摯に考察すれば、ない。

その為、何を以てどのような理由で現在の症状を惹起させているかと判定するのは極めて難しく、症状とエピソードを聞けば推測も立ち易く治療脊椎高位も選定し易い末梢神経系症状とは異なる問題でもある為、推測の域を超える事は出来ないのだが、個々の症状と治療反応性と経過を伺い続ける限り、1つの共通点があるような印象を受ける。そして、その共通点は興味深く、それは離脱症状群を2群に切り分けられ、幾多も生じる離脱症状群に於ける症状と治療反応性と経過予測の事前伝達が、回復に至る迄の安心材料に僅かでも寄与出来るのではないかと思う。
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他国の多くは依存性や耐性獲得の問題により処方期限が制限がされているベンゾは、日本には期限が存在しない事から特有の問題が起き続けており、その結果からかベンゾ処方量はチエノジアゼピンデパス/エチゾラム)を含めれば世界一の処方量である。その為、ベンゾ離脱関連で記載してみようと思うが、改めて簡単にベンゾ離脱を復習すれば、簡便に表現すると脱抑制状態の持続である事に変わりない。元々がGABA濃度を上げ、抑制を標榜する反応を持つ存在である物質が途端に切れた場合や耐性が獲得された場合は逆転現象が生じるのは誰しも簡単にイメージは付くと思う。

先日も記載したかもしれないが、代表的な逆転現象は、不安となり、不眠となり、筋肉は緊張し続け、痙攣する。また、反応部位の受け皿となる受容体は大脳や小脳にも多く存在する事から、中長期的に服薬し続ける事によって、何歳であろう認知症のような状態となる場合もあるし、外傷・非外傷問わず高次脳(低次脳)機能障害の諸症状のような状態となる場合もある。自動運動が勝手に生じる時もあるだろう。勿論、症状も単独で出る事はなく、様々な症状が織り交ざりながら、且つ日内日差も激しく生じ続ける事になり、更に最も不幸な事情が、これらの由来を世間が中々認めない事であり、薬剤性由来を無視した更なる病名増加と言う乱暴な手段しか持ち得ていない事であり、それに伴い他の性格を持つ薬物が追加され続ける事である。

さて、表題の1つであり2群の内の1つである交感神経症状とは、不安や不眠、筋緊張や筋硬直の継続が当てはまるかもしれないし、その裏腹に凶暴性や攻撃性、易刺激性や易怒性も抱える事になるかもしれない。離脱発症に伴い絶不眠を訴える人間がいる一方、意識を失うように何処でも急に眠るナルコレプシーのような状態になる人間もいるかもしれない。もしかしたらナルコレプシー向精神薬離脱の隠れ蓑の病名になっているのではないかと思うほど、エピソードを伺えば伺うほど疑いたくもなる。また、筋緊張や筋硬直と文字で起こせば随分とカジュアルなイメージもあるが、本人にとっては腕も足もちぎって捨ててしまいたくなる位の痛みを発症している人間もいるだろうし、単肢であれば未だしも全身に及ぶ可能性もあるのが中枢神経系由来の特徴でもあるだろう。

また、これら交感神経症状が継続する事で生じる弊害は数多く、ホルモン異常や血糖値の乱高下、それらに付随する下垂体や視床下部、副腎等々の疲弊もあるだろう。強いストレスが継続すれば副腎からコルチゾールが分泌し、そのストレスの火消しの役割を持っている事は誰しも知っているかもしれないが、そのコルチゾールの濃度も高まれば、それが単独で脳神経細胞の破壊を来す事は有名であり、且つネガティブフィードバックの懸念より、下垂体機能も低下する。

離脱症状を抱える多くは、これらの事情から低血糖様症状や甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏様症状と称する人も少なくないかもしれないし、実際に数値に反映されている人間も少なくない。勿論、免疫力も極端に低下する事から、易感染性となるのも自然な成り行きかもしれない。しかし大切な事は、これら個別結果は、向精神薬由来の結果論に過ぎない事を既知していれば、当該個別症状に対しての対処は何処まで意義のあるものかも多くの過去患者が既に実践しており散々教えてくれた。

個人的には脳幹から派生する脳神経系由来の諸症状が顕著に生じているようにも見受けられ、向精神薬の弊害を既知としていない場合は単なる自律神経失調症で片付けられるかもしれないが、自然発症性の自律神経症状の多くは脳幹由来迄である事も現場を通して知れば、脳幹含む他部位由来の症状も併せ持つ離脱症状群の極めてデリケートな治療反応性は、その事情を知らなければ双方が不幸になるだけかもしれない。

離脱症状の多くは自然発症でも起こりうる自律神経症状(中枢神経症状)がメインであるものの、真摯にヒアリングすれば自然発症とは異なり極めて強大で継続性が高く、治療反応性に関しても、特に服薬中の患者は異質性も高いリバウンドリスクも併せ持ち、症状改善に至る迄の道程に関しても、不安定性を著しく感じる。その理由は実に簡単なものであると思う。症状惹起由来を患者は朝昼晩と取り込み続けているからであり、現環境の状態で1度症状を落ち着かせる為には相当に骨が折れる場合もある。患者自身にとっても辛いのは、中枢神経系症状は自己で制御が出来ない事であり、その事で疲労とストレスに晒され続け、生活の質は一気に落ちる。
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参考迄に離脱症状と思しき1人の人間が抱えた諸症状とエピソード挙げる。ご存知ない方の為にも書くと、カタカナで羅列されているのは、その患者が今迄服薬してきた薬物である。


恐怖感、希死念慮、不随意運動、過呼吸、不眠、嫌な事を思い出すと頭が今にも破裂しそうな感覚、1分ももたない頻尿など。29歳の娘の母親です。娘は、「薬で自分の思考回路が変わってしまった。本人だから離脱かどうかの区別は付く。今の症状は離脱ではない。脳が壊れてもう治らない」と確信しています。私は精神薬の副作用と離脱症状だと思いたいのですが、知識が無いため説得出来ずにいます。精神科に通うことになったきっかけは、学校での教師及び生徒からのいじめです。(当時はPTSDと診断)。

さいころから要領が悪く、皆についていけない場面がありました。ショックな出来事にその場で対応できず、ずいぶん経ってから記憶がいっきに甦り、初めてそれが重大な事態だったと判明したようなこともありました。“後になって思い出す”これにも疑問を感じています。精神科にかかり、13年間精神薬を服用し続けました。一昨年、薬を変更・増量した頃から、一旦は薄れていた学校に関する感情が強く再燃しました。何を見ても瞬間的に思い出し、些細なことも異常に気にし怖がるようになりました。

それを抑えるためさらに薬を増量することになりました。そのころから異常な恐怖感を訴えるようになり、次第に「怖い、怖い」と一日中泣き続け、食事も睡眠もまともにとれない状態となっていきました(そして統合失調症と診断名が変わる)。これらの急激な悪化から、精神薬に疑問を持ちはじめ、減薬に踏み切りました。

減薬当時服用していた薬は、リントン、エビリファイコントミン、アビリット、ルーラン、タスモリン、メイラックス、頓服でレキソタン。4カ月かけて減薬し、リントン、エビリファイコントミンを断薬(現在、断薬後8カ月が経過)。残りの薬も減薬中で、現在服用しているのは、アビリット106.3mg、ルーラン2.55mg、タスモリン0.5mg、メイラックス0.031mgここまで1年かけて減薬しました。頓服だったレキソタンは10mg前後/日で服用しています。

この間の離脱症状は、恐怖感、希死念慮、不随意運動、過呼吸、不眠、嫌な事を思い出すと頭が今にも破裂しそうな感覚、1分ももたない頻尿などです。容赦なく襲う症状はとても辛そうでしたが、減薬期間の4カ月間と、3種類の薬の断薬後3カ月、計7カ月ほどで、これらは治まっていきました。問題は、現在も続いている精神症状についてです。

今の主な症状は・日常の全てに過剰に反応し学校での出来事と関連させる。それが自然にごく当たり前のように発展し、説明しがたい嫌悪感でいっぱいの考えになる。(言葉、仕草、状況が当時と似ている、あいつも同じ事言いそう、しそう、言っていたらこうなるはず・・・とリアルに想像して止められない。脳がクルクルと回転している様な感覚で発狂しそうになり、もの凄く嫌な感情で収集つかなくなる。)

・常に不安とイライラがある。(四六時中嫌なことに繋がるきっかけを探しているよう。)・自分や家族の少しの間違いも、異常に気になる。(何か大変な事に発展してしまいそう。)・プラスイメージのものに、自分をいじめた教師や生徒を投影する。(自分をいじめつつ上手く立ち回り、皆には受け入れられていた事を思い出す。)・マイナスイメージのものに、自分を投影する。(教師や一部生徒に言いくるめられ、皆から悪い噂や無視をされていた事を思い出す。)

・寝る前は特に、無意識に嫌な考えに囚われる。・あるひとりの生徒(同性)のことが異常に気になる。(自分のあらぬ噂を信じて誤解しているのではないか。また、自分をいじめた生徒が、この生徒とも仲良くしていたことも嫌でたまらない。)・学校に関連しないことでも、ふと思ったことに対する考え方がおかしい。(我慢できずに発狂するほど言い表せない嫌な感覚。脳が壊れたと実感する。)

・思考が混乱・興奮し、これらが終息するまで、気をそらすことも振り払うことも出来ない。(この間、悲鳴、暴言、暴力、物を投げる、外へ飛び出すなど、人が変わったようになる。)など他にもまだ沢山あります。これらの症状が、一昨年の状態が悪化した時から続いています。映像、言葉、文字など、あらゆるものがパニックの引き金となるため、気を紛らわせる手段だったテレビや本やパソコンも、全くさわれないようになっています。

娘は、服薬し続けたせいで脳が壊れてしまい、もう元には戻らないと確信しています。最近では、「このまま改善せず、気晴らしさえ出来ない生活なら、もう生きる意味が無い」と自殺願望が強くなり、いっときも目が離せなくなりました。「今の症状は薬の影響だから離脱が進めば時間とともに改善していく」と説得しても、「こんなに考え方がおかしくなる離脱症状はない!」と納得しません。

本人がそう確信しているのは、リスパダールテグレトール等をメインに服用していた時期、錯乱と同時に・脳が「ギチュギチュ」と鳴って逆流する感覚・発狂し暴れだす位の気持ち悪さ・脳が「ガシャ」と恐怖に切り替わる感覚・頭を殴られたような「痛い!」「怖い!」などの異様な感覚・不安薬のレキソタンを時間を空けずに過剰に飲んでいた事。などを体験したことからきているようです。このころ、パンクロックのヘッドバンキングのように頭を振りまわしたり、ビクンビクンと痙攣したりすることもありました。恐怖感が異常であり、妄想と現実の区別もつかなくなっていました。

このため、担当医に「この薬は飲みたくない」と訴えると、「これは新薬で凄く効くから」「暫く服用しないと効果が出ないから」「元の症状が悪化してきたようだ」などと言われ、嫌々ながらも結局約1年服用し続けました。娘は「あのときの感覚は異常すぎた。その時、脳が壊れたとしか思えない。それから次々に他の薬も飲み続けたせいだ。離脱や減薬中に感情が大きくなる症状があったがそれとは今の症状は違う」と言います。すでに2年以上、今の状態が続いています。
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どのように読み解けば良いだろうか。パニック障害か、不安神経症か、双極性障害か、統合失調症か、発達障害か。そのような病名が頭に並んでいる内は絶対に治る事はないし、遅かれ早かれ病名ありきで、そのフィルター越しに患者を見ている内は、その患者の将来は鎮静剤で終わる。治療は病名を治すものではなく症状を治すものであり、病名を有り難がっている人間は精神科医と駆け落ちするしかない。それが嫌なら、それを回避したいのなら知らなければならない事は、薬剤性由来は存在無きものとして、又は隠蔽されてきた歴史を知ることからかもしれない。簡単に症状を羅列してみる。

>>恐怖感、希死念慮、不随意運動、過呼吸、不眠、嫌な事を思い出すと頭が今にも破裂しそうな感覚、1分ももたない頻尿など

他にも山ほど抱えているかもしれないが、キリがないので冒頭部分のみを羅列したが、この中の恐怖感や希死念慮過呼吸、不眠、嫌な事を思い出すは扁桃体や迷走神経、網様体賦活系の要素が高いと思われる交感神経症状であり、不随意運動は恐らく大脳基底核由来である。では、ここで冒頭の2群の意味を再度持ってくると、脳幹由来と思しき交感神経症状と大脳や小脳含めた受容体損傷、又は脳神経伝達物質の自己分泌能不全由来症状である事も分かる。パーキンソン病は比較的確立された病態である為、そちらを思い浮かべてみるとイメージは付き易いと思うが、本来出るものが適切に出ていなければ人は不具合を抱える。

リスパダールテグレトール等を服薬していた時期に更に症状が現れてもいる為、全てがベンゾ離脱とは言い切れないが、改めて端的に書くと、薬剤性由来の中枢神経系症状は、脳幹由来の交感神経症状(厳密に書くと副交感神経神経症状もあるかもしれないが)と、受容体損傷及び自己分泌能低下関連の症状である事も又分かる。患者自身にとって大切な事は、このような2群を併せ持つ症状を抱えている場合、どちらが安定的に回復に至り易いかであるのだが、個人的には受容体損傷関連の諸症状のほうが安定的に回復に至る印象を受ける。

冒頭でも書いたような認知症様症状や、高次(低次含む)脳機能障害様症状群であり、大脳や小脳由来と思しき諸症状の事であり、反面、不安定な回復過程を示すのが交感神経系症状と思しき症状群である。何故前者が安定的に回復し、後者が不安定かの理由は断定出来るものではないが、1つの推測を立てると、後者は凡ゆる内外因子に極めて鋭敏に反応し続ける事が1つの理由であると思われる。向精神薬由来の諸症状の多くは今の症状が向精神薬由来であると検査上出ない事であり何処までも推測の域を超え難い観点から匙を投げられる。一見、自然発症性の症状群と同様、症状固定がなく日内日差が著しく、もっと簡単に書けば嫌な出来事で症状が悪化し、好きな出来事で症状が良化し、休まなければ悪化し、休めば良化する場合も軽度では起こりうるからであり、それが得てして病的な状態であるサインとは異なる印象を他者は認識しがちな側面もあるからだろう。
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このような症例も過去受療機関で誰も知らない教えない認めてくれないから患者に不幸が訪れる。年齢は伏せてはいるが比較的高齢であるこの患者は、早期タイミングで脱する事が出来たから良かったものの、ズルズルと引き伸ばされていれば、単なるボケ老人扱いで施設行きである。下記にも記載のある通り、向精神薬由来と思しき新鮮例は極めて珍しい。そして、陳旧例患者が大半であり、数ヶ月~数年と治療期間が要する可能性の高い患者方には申し訳ない話だが、新鮮例は回復速度も著しく早い。治療回数は2回で略治となった。

「ベンゾ服薬歴/1年のキノロン系抗生剤投与に伴う離脱症状発症」

如何なる傷病名を抱えていたとしても、そして如何なる処方理由及び服薬理由であれ、耐性が獲得されていると思しき時期のベンゾ服薬者が、キノロン系抗生剤を服薬すると離脱症状を発症する話は有名で、その発症間もない症例を参考まで。

age 伏せ sex 伏せ 服薬歴 ベンゾ/1年

1ヶ月程前に内科的疾患を煩い外来で通院治療。その際にキノロン系抗生剤を投与。内科的疾患に関わる諸症状は点滴及び抗生剤投与で軽快したものの、約3週間後より 右上肢及び右下肢の感覚鈍麻と痺れ 右上肢が挙上し難い(脱力感) 舌の痺れ 味覚脱失 嗅覚過敏 不眠 食欲減退 不安 離人感etc…を発症。これらの諸症状より患者は脳卒中を疑い救急を受診。検査の結果陰性。原因不明と告げられる。また、内科受診、及び慢性的に患っていた他疾患も有していた事より、こちらの疾患から発生しているのものと推測し他科へも受診。

各々の科では身体的所見が乏しい理由により、精神的な問題でしょうとされ帰される。当院(藤原)受診は上記症状発症より約1週間。但し、治療中の会話より抗生剤投与後から「飲めば飲むほど具合が悪くなる」とも言っていた事から、正確には抗生剤投与間もなくより身体及び精神的違和感を覚え始めていたのかもしれない。あくまで上記症状に至る迄が3週間と言う見方が良いのかもしれない。

当院受診理由は、数ヶ月前に別件で整形領域の神経痛症状により、器質的異常が乏しい理由でNSAIDs程度で濁されていた状態を、1~2度の治療で仕事復帰出来た過去があったからと告げられる。向精神薬症例を取り扱っていると、離脱症状発症から何をやっても奏功しないまま数年と言う時間を経て、極めて厳しい状態にまで追いやられてから訪れる患者が大半だが、今件のように明確なエピソードを持ち、離脱症状発症から僅か1週間で当院を訪れた例は珍しい。元々薬剤過敏もあるらしく、過去にも何かの薬物で1度具合が悪くなった経験があるようで、この度のベンゾ+キノロン系にも過敏に発症したものと思われる。

理由は分からないが、1度薬剤に対して過敏反応を起こした過去を持つ場合、その後も何かしかの薬物を服薬する際には注意したほうが良い印象を持つのは、この患者に限った話ではない。治療上は左右頚椎椎間孔近傍及び左右頚椎交感神経節への処置。度々書いているが、交感神経節は人によって配置箇所と数が異なる場合があり、杓子定規に処置していては結果は付いて来ない為、確実性と再現性を見込み、全頚椎高位へ処置をしている。

治療直後より右上下肢の諸症状、舌の痺れ等々は軽快。腹が減ったと帰る。他症状は日常生活との関わりを持って評価してもらう事とし、今後もフォローアップ予定。再度書くと、離脱症状発症から極短期且つ明確なエピソードを持つ新鮮例は個人的にも珍しい。患者も前回の神経痛様症状の治療結果を過去に持つ事から、幸いにも私の話には信頼を寄せて頂いている。これらの理由もあり、回復迄は簡単に漕ぎ着ける事は出来ると思う。

何より今件に限らず、この手の薬剤性由来は、医師が否定した旨の話を患者に告げると、患者はその話を先ずは信用し、精神的な問題であると鵜呑みし、その結果、抜け出せない程の向精神薬を投与されるケースが大半となり、それが現場での混乱を生み、そして患者の将来を途絶えさせる。そもそも、ベンゾ+キノロンの話は他医科では出ていなかったようだから既知としていなかった可能性もある。様々な事情や感情が絡み合って回復する患者、脱落する患者もいるのが向精神薬症例の特徴かもしれないが、今回は脱落理由となる障壁は既にない。累積治療に伴う新鮮例と陳旧例の治療反応性の差異も含め、今後も注視していきたいところ。
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向精神薬由来症例の代表的症状群の多くは、間脳含む脳幹派生が大半であり、その多くは自律神経失調症と称される症状で、その内外因子に対しての過敏な反応性からも、極めて高い交感神経症状が継続的にしている印象を受ける。結果、仮に治療上は交感神経抑制を目的としつつも内外因子を鋭敏に受け止め、その状況は誇張され修飾され患者は自覚してしまう事から、簡単に症状の変動をポジティブにもネガティブにも振れ幅が大きく自覚する事になるのかもしれない。

反面、受容体関連の損傷が示唆された症状に関しては、上記交感神経症状を皮切りとした内外因子とは縁遠く(全くと言う訳ではないかもしれないが)影響を受け難い結果、治療をし、回復したら再燃する事なく維持出来るのかもしれない。では、改善まで不安定な道程を示す諸症状とは、どのようなものだろうかと羅列してみる。

本態性高血圧・動悸・頻脈・のぼせ・ほてり・顔が熱くなる・微熱・頭が重い・偏頭痛・めまい・ふらつき・耳鳴り・耳がよく聞こえない・音が大きく聞こえる・涙が出る・光が眩しい・瞼がけいれんする・声が出ない・どもり・口が渇く・顔色が黒ずんで悪い・胸が苦しい・胸がつかえる・胸が痛い・のどがつかえる・飲み下し困難・食物を飲み込む時に違和感がある・息が詰まる・のどが締め付けられる・ぜんそく・背中が痛い・胃の調子が悪い・胃潰瘍・大腸の調子が悪い・ガスが出る・便秘・下痢・慢性疲労・倦怠感・肩こり・冷え性・手足がしびれる・手が震える・多汗症・夜尿症・頻尿・インポテンツ・性欲が無い・不感症・神経性皮膚炎・じんましん・円形脱毛・生理痛・生理不順・強い不安感(漠然とした不安・特定のことに対する不安)・対人恐怖・人前ですごく緊張する・他人の視線が気になる・自分の視線が気になる・赤面恐怖・表情恐怖・体臭恐怖・外出できない・乗り物恐怖・高所恐怖・閉所恐怖・先端恐怖・不潔恐怖・確認癖・視界が気になる・イライラする・怒りっぽい・無気力・落ち込み・睡眠障害(眠れない・早朝覚醒)・集中力が無い・記憶力の低下・悲観的に考える・すぐに悲しくなる・暗い・死にたくなる・摂食障害(拒食症・過食症)。(日本心身医学会より)

上記は自然発症性の自律神経症状の羅列を借りてきたものだが、向精神薬由来では上記症状が更に派手に出続けていると考えて良いかもしれない。このような安易な表現は危険かもしれないが、内外因子に大きく変動して発症する症状ほど、回復まで不安定であると思えば簡単かもしれない。勿論、患者によっては発症時期も症状の軽重も異なるだろうし環境も異なる為、早期で治りきる人間もいれば不安定な人間もいる。その反面、受容体損傷関与と思しき諸症状がメインであると思しき大脳や小脳関連の諸症状(認知や見当識、記憶や書字機能、不随意運動等々)は一度改善した場合は維持される。勿論、これも推測である事には変わらず、症状惹起のリスク因子である薬物を服薬しながら等の場合は不安定性を示す場合もあるが、それでもどちらが安定感が高いかと言えば後者になる。
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これら反応性と経過を事前に知っているか知らないかで、事前伝達、事前予測が可能となり、治療を継続しつつも何故時折症状が憎悪してしまうのかの理由も患者側が知る事が出来れば、それもそれで安心材料に繋がると思うし、患者が治療を受ける事で恐れる1つが、改善後の再燃であり、再燃するなら何故再燃するかの理由を患者自身で理解していれば、そのリスクも避けられる事ができ、
更なる安定性の高い回復へ繋げられると思う。

参考関連 (クリックでリンク先にジャンプします)


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