藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

向精神薬症例の治療反応性と不幸


当ブログは文字制限の関係より、治療反応性から推測される臨床論を含めた内容は右記URLに記載していますhttps://www.facebook.com/kouta.fujiwara1/posts/1505395926218335

末梢神経系由来症状は、運動・知覚・自律と選択的脊椎高位の処置による栄養から派生する現症変動による治療、或いは病態根本理由の検証は可能かもしれませんが、選択的手段が不可能なのが中枢神経系症状であり、検証からの発展性が乏しい理由の1つかもしれません。
かと言って、凡ゆる中枢神経系症状が出ていたとしても当該損傷部位の推測は付くでしょうし、当該損傷部位に対しての処置も不可能な話ではありません。選択的に栄養が求められずに全般性を示す為に検証がし難いと言うだけの話であり、
回復を求む患者思考、回復を求む患者視点で捉えればポジティブな因子でもあるかもしれませんし、脳内血流量全般の回復により、主訴の改善と共に副産物要因も生まれるのは悪い話ではないかもしれませんが、良くも悪くも治療者側には場数を踏む度に課題が増えていくのも中枢神経系症状の特徴かもしれません。
悪くなるにもプロセスがあり、良くなるにもプロセスがあり、そこを偶発的事象で完結させてしまう事は発展性が乏しくなるものです。
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多くの検証は壊す事で生まれ、多くの情報は壊す事で知ることが出来た情報を私達は見る事になります。電気を流して壊す、アルコールを放って壊す、毒を放って壊す、切断して壊す等、様々な壊す手段はあるかもしれませんが、壊して生じた症状(状態)が検証材料となり、それに応じたアゴニストでありアンタゴニストでありを作動させた情報が一般的には目に入る情報となるかもしれません。
当該損傷部位の神経機能が如何なる働きをするかに関して、治療者側は何処までこれらの情報を現場にフィードバック出来ているのか、又はフィードバックしても良いかも含め考えるのも大切な部分かもしれませんが、個人的には壊れた原因を治す前提行為に関しては、これらの情報源の正確性の精査は極めて難しいと考えられます。
其処には時間進行による凡ゆる修復作用、修復概念が存在せず、最も大切な、壊れたなりでの適応性概念が存在しない為、これらの情報価値は治療者にとって何処まで価値の高いものかは現段階で未知数です。
可逆・不可逆問わず神経変性疾患の患者表現を集積すると、症状変容の速度は損傷度合い等の事情により一概には表現出来ませんが、たった1本の神経の更に其の又1本の神経内部の運動・知覚神経の周径等々を踏まえた上でも、そして当該神経1本の損傷だけだとしても、患者個々により症状発症部位、症状の内容、症状の度合い、そして患者表現の異なりから、全く異なる症状である印象を受け、
又は患者自身が体験した既往との照合、又は外部からの情報により、事実が捻じ曲げられるか誇張されるか修飾されるかの道程を辿る事も少なくなく、その時に下された診断名等によっても患者思考は変動するかもしれませんが、この時点では未だ実害を被っていない事だけは事実で、もう1つの事実は向精神薬の服薬が仮説を本説にし、脳内変動で苦しんでいる人が後を絶たない状態です。
勿論無害の状態であれば、多数の自然発症性の症状は放っておいても自然治癒に至る例も多いかもしれません。しかし、多くは放っておいても自然治癒に至らない場合は、当該損傷部位に栄養を求める手段を得なければ(与え続けなければ)早期回復を得られない事も又分かりますし、神経変性は時間経過により症状が変容していくことも特徴的で、早期に引き上げなければ後々面倒臭い事になる事も凡ゆる年代の患者を見ていれば分かるものです。
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私達は何故自然治癒するのかの発想も必要かもしれません。治療者であれば何処にどのような目的で処置し、どのような反応性が有まれる事で症状改善に至ると言うプロセスを考える行為が自然ですが、自然治癒の道程は考えないかもしれません。治療をすると言う治療者が、放置療法である自然治癒を考えても無意味だからです。
只、この自然治癒の道程に病態の根本的な理由を見出す事も可能で、病名云々ではなく症状云々で凡ゆる病態の根本的要因を考察すると、その初発の多くの契機となる自然発症性の症状に関しては、私達は当該罹患部位に直接的に栄養を送り込み、又は間接的に栄養を送り込む手段を目的とし、症状の改善を見込んできました。
結果、私達の行為は強制的に罹患部位へ非日常性の持続的栄養でしかない事に気が付くと同時に、それが自然治癒との親和性が極めて高い事も知る事が出来ますし、仮に不可逆性と称されたような軟部組織の異常、骨性の構造的異常等々を有していたとしても、人間は予想以上に適応性の高い生き物である事も知る事が出来ます。
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そのような中、最も不幸な道程を辿る症例が、向精神薬が濃厚に絡んだ症状群との対応である事には変わりません。治療者と患者が双方共に治療の反応性、薬物の反応性、受療タイミングで起きうるリスク因子を既知した上で取り組むのであれば特に問題はないでしょう。
しかし、両者が知らない、又は片方だけが知らない、又は理解がない、理解しない等で現場は混乱が起きます。患者自身の現症が向精神薬が濃厚に絡んだ症状を発症、又は併発している事による(常用量)離脱症状である可能性、治療する事で何が起きるかも想定した上での経過伝達の有無や理解が得られなくても問題は起こります。
向精神薬や精神医療は医療としてのカテゴリで、(薬物)治療としてのスタンスで世間一般では確立されており、アドヒアランス悪化を回避する為、副作用は濁され、依存性は無いものと教えられ、耐性獲得による離脱症状や減~断薬後の離脱症状、薬の性格、相互作用等々の問題が全て軽視された悲劇が今を生み続けています。
向精神薬症例問わず、治療は症状を動かす事が第一の目的です。それを1つのリバウンド現象と捉え、少々細分化すれば神経機能の賦活期、減衰期、安定期と、治療を重ねる過程に於いても、回復過程では凡ゆる症状の変動を呈しながら回復するのが一般的です。
そのような経緯を長期罹患者であれば高確率で経験する事から、如何なる症例であれど必ずリバウンドの話は踏まえて治療は行っているものですが、説明をしても理解が得られないケースも少なくない事から(治療をしたら(一過性ながらも)具合が悪くなった等)、このような積極的治療は適応・不適応症状以前の問題とし、理解力が問われる手段にもなってくるのかもしれませんし、
針治療の周知不足と言うよりも、神経機能の回復過程は、壊して検証を取ってきたデータには含まれない内容でもある事から、多くの患者にとっては未知の世界なのかもしれません。
何でもアリのように呈する中枢神経症状が破綻を起こした患者に対し、神経機能の回復を求む治療行為を行った場合、その道程ではリバウンド現象は著しく生じるものです。今日はそのような賦化期と減衰期、安定期に関して僅かに触れてみたいと思います。
私は針治療の内容は隠し包まず書き続けています。書き続ける事で自身が気が付く事も多く、場数が増えれば治療内容も変動しますし、使用している針やゼリーは市販されていない為、治療反応性や経過も私しか掌握していない部分も多く、文字に残す事の意義は大きいものと思います。
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1)賦活期 
寝た子を起こす時期となり、症状が最もポジティブにもネガティブにも変動する時期で、大凡治療後から2~3日間が該当します。軽症例であれば1)の期間に治りきるでしょうし、日常生活に支障が無いレベルまで回復していれば、後は時間の経過で自然治癒します。
2)減衰期
神経機能に外部作用にで栄養が与えられていた賦活期を過ぎた3~4日後から2~3日続く期間が該当します。この時期は波が引いていくような感覚を自覚する時期になるでしょう。賦活期にポジティブな自覚を得られた患者にとっては最も嫌な時期に入ります。症状が戻ってくるような感覚に陥ります。
治療内容は損傷罹患部位の神経周囲の小動脈拡張による栄養、又は間接的な中枢神経系への栄養がメインですが、神経内部にも血管走行はある為、恐らく双方共に引いているような印象を持つ症状変動を散見します。
3)安定期
治療後から約10日~14日後辺りに該当します。賦活期や減衰期とは異なり、症状の振れ幅が小さくなる時期です。賦活期と減衰期の大波小波を経験した時期を過ぎ、前回治療後の結果を最も評価し易い基礎的身体状態(状況)になります。
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と、このような時期を推移しながら回復する臨床例が多い事から、向精神薬由来症状が濃厚に絡むと推測される中枢神経系症状を抱えている治療スパンは10~14日程度毎に積み重ねていく事が最も症状変化を患者側は自覚し易い印象を受けます。
勿論、賦活化期を常に与え続けるような治療であれば3~4日に1回が良いのかもしれません。俗に言う週2治療です。これらの理由もあり、古くからの治療スタイルは週2が最も望ましいと言われてきた所以なのかもしれませんが、私個人として治療評価が不能になる側面もある事から、日常生活に耐えられない症状でない限り、10~14日に1回と言う治療を推奨しています。
一般的には開き過ぎな治療スパンに見受けられるかもしれませんし、患者によっては治療は毎日行えば良い、又は治療者も毎日行えば良いと言う認識を持っている人もいますが、それは自己のツールから派生する作用と経過、機能回復を認識していない証拠かもしれず、様々な負担が患者ばかりに伸し掛るような不誠実な対応です。神経細胞の回復は今日明日成し遂げられるようなものではありません。
このような治療スパンでも累積治療結果は必ず付いてくるものですし、中長期的に渡り頻回治療が必要な症例ほど、賦活期を重ねるような治療スパンでは治療の切りどころ(加療停止時期)も分からなくなるネガティブを抱えます。
そして1番大切な事は、極めて単スパンでの頻回治療は自己の基礎的身体状態を患者自身が掌握する事が出来ず、都度都度の減薬タイミングを術者が奪ってしまう事なのではないかと思います。
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特徴的なのは服薬中(減薬~断薬直後の血中薬物残存期含む)にこれらの症状変動が著しく起きると言う事で、この状況を治療者と患者が理解していないと、治療後に具合が悪くなった等の悪印象が勝手に生まれ、相互に不幸が訪れると言う事です。
その為、知識として知っているか知らないかでは雲泥の差が生まれるものですし、断薬から暫く経過している離脱症状群と思しき諸症状との対応時には著しい症状変動が生じないまま安定期まで持ち込む事ができ、症状の改善自覚を得られる事も特徴的かもしれません。
慎重性を高めれば断定的な事は言えるものではありませんが、大まかな印象としては服薬中(減薬~断薬直後の血中薬物残存期含む)の治療反応性は経過が著しく変動しながら症状の改善自覚を得る、断薬後、暫く経過している残存症状であれば、著しい症状変動がないまま症状改善に持ち込めるのは現場でヒアリングしていれば分かりますし、
最も不幸な事例が治療者や患者が向精神薬の反応性を知らずに手を出してしまう事だと常に思いますし、向精神薬が濃厚に絡む症例に関しては、患者への理解がないまま治療を行う事はリスキーである事が分かります。
治療は「あれに効く」「これに効く」なんて宣伝文句よりも、「今のタイミングで此処の部位に針を刺せばこうなるよ」と言う反応性で生じる事実の相互理解が最も重要であり、その過程の先にある結果論で、患者の自覚症状が改善している、と言うプロセスを踏む表現方法が最もかと考えています。
これらリバウンドのリスク因子を多大に抱えながらの患者に対し、理解が得られないまま治療を行う事を回避する為にも、石を投げれば数十年の向精神薬服薬により薬剤耐性が確実に獲得されているような身体状態を持つ患者に当たるような現状では、向精神薬の反応性は全治療者が知っていても損はない事だと思います。

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