藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

可愛らしい名前とは裏腹に 1

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~話は2010年に遡ります~

今日は痛み治療の新薬の話です。
今回ファイザー株式会社より、一般名プレガバリン(Pregabalin )、商品名リリカという新薬が、
この帯状疱疹後神経痛の治療薬として、16日に日本での製造販売承認を取得しました。
従って、数ヶ月のうちには発売になる見込みです。
この薬は実は全く新しいメカニズムの薬、という訳ではありません。
1973年にドイツで創薬されたガバペンチン(Gabapentin )、という薬があり、
1993年から、アメリカで抗痙攣剤として使用されました。その後この薬には帯状疱疹後神経痛を初めとして、
所謂「慢性疼痛」に効果があるのでは、という研究成果が多く発表され、
次第にそうした用途にも適応が拡大されるようになります。

その商品名はガバペンです。
実は今回のリリカと言う薬は、基本的にはガバペンと同一の薬効で、その構造を少し変化させることにより、
その作用をパワーアップした、という性質の薬剤なのです。
 
もし、この薬剤の疼痛に対する効果が、主に脊髄に対するものなら、
脳には作用せず脊髄のみに作用するような、そうした薬剤こそ最適ではないか、と思われますが、
今回の薬は残念ながらそうしたものではなく、脳へも当然少なからぬ作用を及ぼすのです。

神経因性の疼痛に有効な治療薬はあまりなく、その意味では痛みに苦しむ患者さんにとって、
有用な薬剤の1つであることは間違いがありませんが、それを抗痙攣剤の一種だ、という自覚を持たず、
単純に安全な痛み止めのように使用することで、新たな問題を生むのでは、という危惧もあります。
製薬会社の適切なプロモーションを期待したいと思いますし、その副作用と適応の範囲を含めて、
今後の動向を注意深く見守りたいと思います。


リリカカプセルは末梢神経を麻痺させる薬だと整形の先生に言われました。
下肢の痛みで服用してますが、両手の指が手のひらにつかなく、腕に力がなく感じます。
握力も6キロ落ちました。これは、何でもなかった腕まで、麻痺してると言う事でしょうか?
添付文章では脱力感とありますが、
この場合CPKに異常がなければ、リリカとは関係ない症状と言う事でしょ うか?

リリカの副作用について。※誤字脱字が目立つ為、当院で修正。
歩くのも足を引きずる、小股でしか歩けない、疲れて歩くのが辛い(階段で登下りは特に)、
手を洗うのに力が入らない、風呂場で身体洗うのも頭を洗うのも力が入らず、
雑巾も強く絞れず、喉の吸引力が低下しているのか呑み込めが悪い、
ご飯粒を落とすようだ、味噌汁もこぼす時が最近多い(唇の横から)、
肺を除き諸検査で問題なしとの診断を頂いたが、この脱力症は段々悪化している様な気がする。
 
この頃、話し方も口が良く回らずはきはきしない喋り方、
腰痛があり整形外科にて注射投薬を受ける。
治りがまだ悪いので4月24日MRを撮り、検査。
注射をし、診察では神経に骨が当たり痛くなる1週間で完治するとの結論。
 
痛みは3~4日で治る。但し脱力感があり薬の副作用問題が疑念を抱き3日間で服用止めた(薬名リリカ)。
以降ふらつき、たちくらみ、力が抜けるようになり、日を増すにつれ症状が悪化し、現在にいたる。
どのような検査で原因の究明が可能か悩みの日々です。どうかお力をお貸し下さい。

去年の7月から、朝の指のこわばりと手足の指の痛みや腫れ、
足の筋肉の痛みと異常な疲労感があり、膠原病を疑い、
何か所かの大きな病院で血液検査やレントゲンなどの検査を 受けましたが、
何も異常はみつかりませんでした。抗核抗体は40で、膠原病らしい症状は見当たらないといわれました。

リウマチでもなく、線維筋痛症の専門の先生にも診て頂きましたが、線維筋痛症でもありませんでした。
現在、近所の内科で、末端神経障害性疼痛との診断を受け、
星型神経節ブロックのレーザーを週3回と、リリカカプセル25mgを朝夕2錠づつ飲んでいます。
しかし、1ヶ月続けていますが症状は全くかわりません。

手の指は、しばらく動かさないでいるだけで、こわばって自分の手ではないように動かなくなってきてしまいます。
あと、足も立っているだけで、筋肉がかたくこわばるような感じで動かしづらくなってきます。
足に重りが付いているような、ひどい疲労感もあります。
近くのスーパーに歩いて行くのもゆっくりでしか歩いていけなくなりました。

肩から腕、背中にかけても、筋肉がキューツとこわばり、
硬い皮が一枚パーンと貼りついているかのような感覚があります。
メンタルヘルスを紹介されて、抗鬱剤を飲んでみましたが、症状には効きませんでした。
検査しても何でもないのに、とても毎日辛いです。

リリカの副作用について
父(64歳)が椎間板ヘルニアの痛み止めにリリカを処方されました。
リリカ服用期間は当初 25mgを1日2回 を2か月半、続いて75mgを1日2回を10日服用 した所、
75mgに変えた時点で 副作用が出てきました。
息苦しさと口内と喉のはれ、筋骨の硬直などで動けない状態になりました。
服用停止後3か月と10日経過しましたが苦しい状態が続いているようです。

手と足裏の痺れがあり、手は手根幹症候群と診断され、
リリカとメチコバールを処方されましたが、なんか気のせいかリリカを飲んだせいなのか、
リリカを飲んだあとに手足の痺れが強くなる気がします。自分には合わないのでしょうか?
それとも治療の過程でそうなったりするのでしょうか?
ちなみにリリカは朝75m、夜寝る前に75m×2です。飲み始めて二週間目です。

70代の父の話なのですが、腰部脊柱管狭窄症で整形外科に半年通ってます。
まだ少しは歩けてるからか手術はして貰っていません。
1ヶ月前に2週間入院し点滴しましたが予定のブロック注射はしていません。
最近足の裏の痺れ(砂を含んでいる感じ)と手の指先の痺れが出て、
本人は多発性ニューロバチーかと思い整形外科で相談したところ、
神経内科に行ってみなさいと言われ、リリカカプセル75mを処方されました。
 
大学病院神経内科では紹介状(整形外科で貰うのを忘れました)がないからと断られ、
国立病院で脳のCT、腰のX線、血液の検査しましたが特に問題ないという事で、
リリカは整形外科で貰いなさいと言われました。
所が薬が強いようで副作用でろれつが回らなくなったり筋肉痛、
やる気が出ないなど精神不安定になりましたので、先生に相談してリリカは中断しました。


~2012年~

プレガバリン(商品名リリカ)は、2010年6月に販売が開始され、
販売開始当初は「帯状疱疹後神経痛」のみの適応であった。
その後、「末梢性神経障害性疼痛」、
最近では「線維筋痛症に伴う疼痛」に適応が拡大され、医療現場で急速に使用が拡大しているようである。

ベンゾジアゼピン剤とカルシウム拮抗剤の両面を有すると考えられ、
そのことを示すように害は多種多様である。害の実態と作用機序が十分に知られないまま
使用が拡大することはきわめて危険である。
重大な事故防止のため、薬剤の性質と害についての理解が必要である。
最近、プレガバリンとその類似薬剤ガバペンチンによる「乱用(abuse)と中毒(addiction)」に
焦点を当てた報告がプレスクリル誌に掲載されたので、これを中心に紹介する。
 
リリカはGABA-ベンゾジアゼピン作用を有する
欧州連合EU)では、プレガバリンは、部分てんかん神経因性疼痛
全般性不安障害に、ガバペンチンは部分てんかん神経因性疼痛に対し、いずれも第二選択薬剤である。
日本のリリカの申請資料概要には、GABA系への影響がないかのように記載されている。
しかし、プレスクリル誌の記事で詳細にレビューされているように、
臨床的に依存・乱用・中毒・離脱症状が出現することは明瞭である。
また、ガバペンチンは、GABA合成増加、遊離促進、ヒト脳中GABA濃度増加、GABAターンオーバー増加、
分解抑制を示し、ガバペンチン離脱性のカタトニアが少量のロラゼパムで完全に消失した。
これらの点から、種々の機序でGABA神経系を促進すると考えられている。
また、電位依存性カルシウムチャネルの補助サブユニツトα.-δ蛋白と高親和性があり、
カルシウムの細胞内流入を阻害する。
 
極めて多種多様の害反応 
そのため、ニューロンシナプスにおけるカルシウム拮抗作用だけでなく、
末梢平滑筋、免疫細胞、血球系、心筋などほぼあらゆる細胞のカルシウムチャネルに影響があると考えられ、それに伴う害とGABA作用に伴う害が重なり、多種・多様である。
両剤の害作用の種類は非常に類似し、精神神経障害、胃腸不良、体重増加、浮腫、肝臓の損傷などである。
プレガバリンは発疹、過敏反応、心不全も引き起こしうる。
 
日本の添付文書に記載のある、重要な基本的注意の
①めまい、傾眠、意識消失等(自動車事故に至った例、高齢者の転倒・骨折なども含む)や、
重大な副作用の①めまい(20%以上)、傾眠(20%以上)、意識消失(0.3%未満)などは
GABA作動剤の害に一致する。
 
②「急激な投与中止により、不眠、悪心、頭痛、下痢、不安及び多汗症等の症状」が生じうるため、
「少なくとも1週間以上かけて徐々に減量すること」と記載されているのは、離脱症状と、
その回避方法の指示である。乱用の危険は書かれていないが、十分にあり得る。
また、横紋筋融解症(脱力感、CK上昇、ミオグロビン上昇等)も離脱による筋固縮・強剛、
カタトニア-悪性症候群(※下記要参照)の結果と考えられる。
 
③体重増加・肥満はともに、浮腫による体重増加があり、心不全(0.3%未満)、
肺水腫などが高頻度に発症する。これはカルシウム拮抗剤の害に一致する。
 
弱視や視覚異常、霧視、複視等の眼障害も重大だ。
そのほか、腎不全、血管浮腫、低血糖間質性肺炎アナフィラキシー
Stevens-Johnson症候群が記載されている。
添付文書に記載されていないが重大なのは、感染症や心筋虚血、幻覚、攻撃性などの害反応である。
 
用量の増加
患者の何人かはプレガバリン7.5g/日まで、ガバペンチンは27g/日まで使用していた。
ほとんどの患者は、痛みを抑えるためだったという。
例えば35歳の女性は、鎮痛目的で処方された最初の2か月600㎎/日であったが、
プレガバリンの用量が3000㎎/日以上まで増加。
プレガバリンを入手するために、複数の医師を受診していた。
 
離脱症状と中止の難しさ
プレガバリン中止による離脱症状は、
吐気や嘔吐、発汗、動揺、混乱、妄想、暴力、過覚醒、悲しみ、感情のもろさ、泣き続ける、
鬱または「落ちていく」ような感覚などであった。アルツハイマー病患者では、
これらの症状と既存の症状(攻撃性、病的多弁を伴う興奮、妄想、治療拒否)も悪化した。
ガバペンチンでも中止後1週間以内に、
発汗や蒼白、眼球突出、疼痛、興奮、短気、不安、動揺、混乱、失見当識、動悸、震え、発作など
同様の離脱症状が出現した。入院や休職が必要になることも少なくなく、
中止後、既存症状の悪化と強迫観念、うつ、不眠症も起きていた。
 
害と利益の再検討を要す
神経障害性疼痛に対するプレガバリンの緩和効果は、アミトリプチリンなど三環系抗うつ剤より劣り、
害は耐性や依存、乱用、中毒、離脱症状を中心に大きい可能性が強い。
承認前の情報にとらわれることなく、十分な効果と害の検討が必要と考える。
 
参考文献
1)Gabapentin and pregabalin: abuse and addiction.
  Prescrire Int 2012:21(128):152-153
2)TIP誌2012年7月号(上記の翻訳と解説)

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