藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腰部脊柱管狭窄症の手術成績について

腰部脊柱管狭窄症の手術成績について
                             http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php
執筆年月日:2012年9月28日
掲載年月日:2013年2月5日
腰部脊柱管狭窄症の手術成績について
高橋和久
千葉大学大学院医学研究院整形外科学・教授

ポイント
高齢というだけで腰部脊柱管狭窄症の手術を回避する理由とはならない。
 
手術適応と判断された患者において、罹病期間が長すぎると手術により十分な改善を得られないことがある。
 
手術によっても、安静時の下肢しびれはよくなりにくい。

背景
高齢社会をむかえたわが国において、腰部脊柱管狭窄症は移動能力の低下をきたす、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)を呈する代表的疾患である。
高齢者であっても、日常生活動作(Activities of daily living:ADL)の維持や生活の質(Quality of life:QOL)に対する要望は高い。
このような中で、腰部脊柱管狭窄症患者に対しても、積極的な手術治療が行われている。
しかしながら、第一線の医師にとって、どのような場合に脊椎外科専門医に患者を紹介すべきかを迷う場合も多いと思われる。



最新の研究成果
Arinzonらは、75歳で分けた手術成績を比較し、高齢であっても同等の術後成績が期待できるとした。
さらに、65歳以上の後方除圧術患者において、高齢であることや糖尿病を合併していることが手術回避を勧告する理由とはならないとした。
Liらは、全米の病院データベースに登録されている、腰部脊柱管狭窄症に対し非固定椎弓切除術を受けた471,215例を検討し、年齢が高くなるほど、また術前の内科的合併症数が増えるほど術後合併症発生率が増加するとした。
ただし、高齢であることが手術の禁忌とするほどの結果ではないとした。Ngらは、手術治療においては罹病期間が短い方が成績は良いとした。しかしながら、この結果は手術適応を著しく拡大してよいという根拠にはならない。
原田らは、手術後1年以上経過した298例のうち78.2%に足部のしびれが残存していたと報告している。


臨床上の意義
以上の報告は、腰部脊柱管狭窄症の手術適応を決定する際には、単に高齢であるという理由で手術を回避する必要はなく、むしろ個々の患者の全身的な状態を評価する必要があることを示している。
また、手術治療によっても、足部のしびれが高頻度に残存することは術前によく説明し、了解を得る必要がある。


診療ガイドラインとの関係
2011年11月1日に発行された、日本整形外科学会および日本脊椎脊髄病学会監修による「腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン」には、Clinical Quesiton 14として「腰部脊柱管狭窄症の手術治療成績に影響する因子は何か」についての記載がある。
この中で、「75歳以上の腰部脊柱管狭窄症患者は、除圧術により65歳以上75歳未満の患者とほぼ同等の手術成績を期待できる.高齢という理由だけで手術回避を強く勧める理由とはならない.(Grade C)」、「手術適応と判断された患者において、罹病期間が長すぎると十分な改善を得られないことがある.(Grade B)」、「安静時の下肢しびれは消失しにくい.(Grade B)」との記載がある。


今後の展望
現在、わが国の腰部脊柱管狭窄症患者数は240万人と推定されている。今後、人口の高齢化は一層進むことが予想され、本症の重要性はますます高まることが考えられる。
一方、国民の健康寿命に対する要望も高まりをみせている。腰部脊柱管狭窄症に対しては、保存治療に加え、手術治療を適切に行なうことにより、高齢者のADL, QOLの維持をはかることが大切である。
 
イメージ 1
 
 
全ての患者が何を原因にして固定術を行ったかが定かではありませんが、
所謂一般的な腰下肢痛患者に対して、写真を撮った結果
狭窄が原因だとし、固定術を行ったとした場合、患者のニーズである痛みや
痺れの除去が8割も取れない手術は行うべきではないと思います。
 
写真ばっかり見てないで、よう患者の話を聞きなはれ。
そこに原発を特定出来る答えはゴロゴロ転がってますがな。
これだけ手術の成績が悪いのに、未だに痺れや痛みの原因を
画像所見で探そうとしてもキツイんじゃないですか?
 
一日で何人も診なきゃいけないからと、話もロクに聞かずに写真で
狭窄が見つかったからハイ手術じゃ患者が可哀想ですよ。
 
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