藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

向精神薬由来症状/離脱症状の安全な取り組み方の検討と治療 6

純粋な肩こり腰痛神経痛患者が、いつの間にか訳の分からない言動を取ったりギャンブルや買い物に依存したり、不思議な交通事故を起こしたり自殺未遂をする度、これまた「あ~〇〇さんはウツ病だからね」と随分な言われようを世間や隣近所にされる背景に向精神薬は大概絡んでいるものです。

向精神薬投与を未然に防ぐ為には初発の病態を知る事が大切~

現症が薬剤性か否かを知るには時系列に沿ったエピソードで察しは付きますが、自然発症の病態と治療反応性を既知している事が先ずは重要です。薬剤性と言えども皆が皆、視覚的に分かる症状を出している訳ではありません。四肢抹消に症状を出す例も多い薬剤性由来は、頚椎症性脊髄症と類似するような整形領域疾患や、多発性硬化症その他の自己免疫疾患と類似する症例の割合は高いものですが、薬剤性の場合、必ず感じるのが治療反応性による経過等々を含めた違和感です。その違和感を突き詰めて構築する事が新たな前進と発展へ繋がるものですが、非薬剤性の一般的な病態理論と臨床像と治療反応性を先ずは知る必要があります。ぱっと見似たような症状でも、末梢神経障害と中枢神経障害の治療反応性は経過含め全く異なりますし、常々述べている向精神薬絡みは更に異なります。しかし末梢神経障害1つ取り上げても、元々の病態定義の情報に多くの誤りがある事を知らなければ先に進めないのも事実ですし、私自身が切った貼ったされたり薬を飲んだりする話ではない為、具合の悪くなった方が知る話です。

症状と表現するネガティブな因子を抱える要因に、耐痛閾値を超えた状態を前提とすると、自己が各々の器官の脆弱性の存在を事前に既知する事が大切です。その事で仮に症状自覚のタイミングに苛まれてもポジティブに過ごす事が可能かもしれません。何故不安や焦燥に駆られるかと言えば、その症状が未知で、長期化し、進行増悪する事が1つ、病態が誰にも理解されない事が1つ、治療手段が存在しないと言われる事が1つです。例えばそのような中、熱いヤカンに触ったらヤケドする事は皆知っていると思います。それは熱い物に触るとヤケドをする知識があるからです。上記を踏まえた場合、ヤカンに触れてヤケドをし、当初は驚いて痛くても、平然と時を過ごすタイミングが早期に訪れるのは、過去に類似的にも経験した過去があり、冷やしても放っておいても治る安心があるからです。このように単純な病態は知っているから焦りません。また、日常や社会生活にも大きく支障を来す例でない事も理由の1つに挙げられます。

情報は大きく分けて2つあります。基礎学問と臨床学問です。臨床学問は、例えば腰部椎間板ヘルニアという状態に対して、切除や除圧をして神経圧迫の理由を取り除き、症状の改善を見越す手段が臨床です。基礎学問は、神経圧迫そのものが症状発症の起因になるかを考える事であり、犬猫の神経根に電流を流して脱分極の度合いを見たりします。そして私達はこれら2つの情報から、ヘルニアだから痛い、という将来性を危ぶむ直結的な図式が知識として刷り込まれますし、テストでも点数が貰えないようになっています。実際は罹患部の脊椎高位のみならず、上下の脊椎変性疾患の有無、椎体の摩耗や圧壊のレベル、罹患部に残存する椎間板の厚み、ヘルニアの硬度や突出/脱出の角度、椎間孔への侵襲度、当該部位の癒着や走行異常、偽関節や骨棘等の存在、黄色靭帯や後縦靭帯の肥厚や硬度、神経根を代表とする先天的な走行異常の有無等で以後の改善速度や再燃率は変化すると思いますし、寛解増悪は当該部位の負荷の掛け方で如何様にも変動します。

現実的には外傷を伴うような高エネルギーが加わり損傷しない程度では、柔らかな突出物で馬尾性の構造を持つ腰神経が、広い空間を持つ椎孔で押された位で症状は出ないでしょう。比較的硬い物質で神経膜が存在しない部位に刺激が加わらないと症状自覚は得られないと思いますし、画像所見で異常が取れずとも、同様な症状を抱える人間は沢山います。ガッチリとスクラムを組むような骨性のインピンジメントなら別かもしれませんが、このような話は数年前に散々したので省略し、相当数が保存的手段で日常/社会/競技生活に復帰している現状を鑑みると、観血的手段の必要性も幾度となく検討する必要があるのかもしれません。勿論、画像所見で異常があっても無症候の人間も沢山いますし、術後芳しくない人間も沢山いますし、長期経過は如何なものでしょうか。また、概して多くは慢性症状に移行した病態にNSAIDsの類はミスマッチである(地味に上っ面に効く場合もあります)為、リリカやトラムセットを主軸に向精神薬が処方されるようになり久しいものですが、中枢神経に反応を及ぼす物質が罹患部を治す役目はありません。

このように臨床学問は極めて不安定な土台に立っており、目で見える異物でさえ症状の原因にならない例も沢山あり、且つ標榜は治療薬ですが治療ではないのが現状です。しかし常に華々しく情報を提供して私達を魅了し、メディアの露出度は桁違いです。大切な事は腰に存在するヘルニアをどうこうする事ではなく、ヘルニアだから痛い、の直結した図式が刷り込まれている知識が間違いであると気付く事で、今件に限らず様々な発症起因に対しても述べられ、応用を利かせられるようになります。このように初発の病態を知る事で以後の人生は大きく変化していくものと思いますし、向精神薬由来症例への発展を未然に防ぐ一因になるでしょう。日常/社会/競技生活を送る上で個々人の働き方は異なります。その為、傷め方も異なるかもしれませんが、中には全く傷めない人もいます。反面、いつも肩を傷める人、いつも腰を傷める人も当たり前にいます。車酔いをする人、お酒に弱い人も大体いつも同じ人です。

~脆弱部位を事前に知る重要性~

ベンゾ離脱の基礎病態は広範囲に渡る中枢神経の持続的な過興奮と捉えて間違いない印象は持ち、追随するように興奮性細胞死や内分泌異常、糖代謝異常等々の推測的な病態が追い、様々な症状を自覚すると考えるのが妥当かもしれません。また、酸素消費量の高い脳細胞がベンゾ離脱で更に消費量が高まり続けた事で発生する細胞死は、損傷度で症状の内容も変化するかもしれず、また、断薬後の継続理由に繋がると考えられます。レセプタへ滑り込むように結合し、シナプス間隙のGABA濃度が上昇する事で、脳や脊髄の鎮静/抑制が見込まれるのは既知の事ですが、耐性獲得後や退薬時に生じる当該部のダウンレギュレーションやレセプタの変性が示唆された身体環境は、常時抑制が見込めない状況となり、それに伴う現象は全身に及ぶと推測されます。

初期の服薬契機は恐らく自然発症による何等かの症状かと思います。この何らかの自然発症というのも極めて曖昧な表現ですが、各科で付く所謂病名は自然発症です。知覚神経や自律神経由来の大半とイメージして問題はないはずです。脳血管障害や脳挫傷、脊損、骨折等による投与例も珍しくありませんが、契機は中枢神経の受傷部位による痙性的な筋硬直以外に不眠や不安等の2次的に誘発された症状も目立ちます。いずれにしても、今の症状が如何なるものであれ服薬に伴う反応が変わるものではありません。ベンゾ離脱は人間の弱い部位を狙い撃ちするとは有名な説で、私もその話は臨床上でも一致するケースが多い為に信頼を寄せており、服薬契機の主となる症状が離脱時も重症度が高くなる印象を持ちます。

只、今一度ベンゾ離脱を除いた体性神経や自律神経由来等の受療及び再燃エピソードを振り返る限り、脆弱部位を狙い撃ちされるのは離脱症状に限った話ではなく、自然発症例でも脆弱部位の症状自覚が初発となると、ベンゾ離脱の基礎病態論も明確且つ説得力も増すかもしれません。では以下に、簡単にベンゾの服薬契機となる症状とベンゾ離脱後の経過を幾つか挙げてみます。例えば服薬契機は肩こり腰痛だったが、離脱の際には酷い肩こり腰痛が継続する、緊張で顔が強張るからと服薬したが、離脱の際は酷い顔面硬直が継続する、睡眠障害で服薬したが、離脱の際は一睡も出来ぬ日が数週間から数か月続いた、日々得も言われぬ不安感に襲われ服薬したが、離脱の際は酷い不安感が継続する、頭が痛くて服薬したが、離脱の際は酷い頭痛が継続する、目眩が酷くて服薬したが離脱の際は更に酷い目眩が継続するなど色々かもしれませんし、個人が惹起する離脱症状が上記のように単独である事は万に一つもありませんが、初期は症状の数も少なかったと思います。

問題なのは同量維持の継続でも起きる可能性もある為、当該事情を知らない場合は増量の経過を辿る事になると思いますし、何らかの理由で休薬に至った際に既存症状が厳しく増悪したと訴えても、元々の疾患や障害が治っていない/悪化したと説明されるのがオチです。しかし、疾患や障害という言葉の定義に振り回されず、人間は如何なる状況でどのような状態や症状を惹起するかを既知しておく事で弊害は避けられるはずです。また、これらの事情により患者自身が常用量離脱症状離脱症状の存在を知る迄には相当なタイムラグという大きな犠牲が生じます。他、上記症状例は脳幹や脳神経、脊髄由来で説明は可能ですが、ベンゾそのものは脳の広範囲や脊髄のレセプタへの反応を標榜し、離脱時は大脳や小脳、間脳由来の症状群も高確率で併発する為、見慣れた自然発症例とは異なり分かり辛いものですし、服薬歴も十数年に及べば、振り返れば古くから常用量離脱の気配があるようなエピソードも後々出てくる等、明確な線引きが存在しない為に分かりにくいものです。

その為、一旦はイメージの付き易い腰骨から足に伸びている3~4本の末梢神経を例に挙げた後に応用的な考察を入れる事で理解は深まるかもしれません。そもそも人間とは何故弱い部位を持っているのか、そして弱い部位とはどのように形成されるかを知る事で、ベンゾ離脱の重症化する症状の理由の考察や、症状との向き合い方の一助になるかもしれません。筋骨格系や神経系は内/外部から血管を介して血液により栄養されており、使用部位の頻度や負荷の掛け方に応じて酸素消費量が変動します。そして仮に低酸素に陥ったとしても、酸素分圧を保持する機能により血管拡張が自律的に行われ、低酸素の解除にベクトルは向き続けます。では何故症状が持続するのか、又は寛解後も同部位の再燃率が高いケースが何故存在するのかも考える必要があります。整形領域的な視点で見た場合、脊椎の非生理的な湾曲による頸~腰神経の持続的伸長度の高まりや、椎体周辺や椎間板等々の構造的な不安定性の保持が大半です。これを基礎としての易発症部位は可動域にも依存する為、大概の発症部位は類似します。

また、脳や網膜は他の器官よりも酸素要求量は高く、更に脳神経も各々で酸素需要量が異なる為、消費量の高い視神経や内耳神経由来の症状が出ます。但し、脳神経由来の症状に対する表現は千差万別かもしれませんし、単独で受傷する事は割合的に少数となる為、例えば耳鳴と目眩という内耳神経でも蝸牛神経と前庭神経の両側を由来とする症状が出る事は全く珍しくありません。感染や腫瘍等のレッドフラッグが除外された症状群に対して、1つ1つ突き詰める努力は無駄ではないと考えていますが、実は其処の極めて各論的な部位の罹患理由を考えると日が暮れると感じており、更にあまり意味がないと常々感じています。前項で述べた通り、臨床学問は驚くべき種類の豊富と速さで変化し続けています。その何故かは案外違う事情もあるかもしれません。

〇〇神経痛1つ取り上げても研究者が異なれば解釈が異なります。その為、論文を並べてあーだこーだ言うよりも、目の前の患者に針を刺して経過を聞いたほうが100倍真実です。では簡単にその理由を述べてみます。前項の脊椎変性疾患で罹患部がL5とした場合でも、個々人で発症部位は異なります。腰部、臀部、仙骨部、大腿部、下腿部、足背、足底、足趾及び混合型です。損傷度合いで、冷様感、灼熱感、絞扼感、疼痛感、痺れ、麻痺感覚等々と変貌を遂げます。L5を1本輪切りにしても、無数の知覚神経と運動神経が内部には走行しており、各々が様々な部位に分枝していると推測されます。例えばL4も追加されたらどうなるでしょうか。鼠径部や大腿前面の各症状も追加され、内臓器へ走行する自律神経も併行して異常を来すと考えるのは得てして自然ですし、運動神経障害も絡めば運動麻痺や痩せも生じます。

また前項でも述べた通り、画像所見の状態と症状の原因はリンクしないケース、多根に渡り損傷を負っているケースは珍しくなく、仮にL2やL3も併発してダメージを受けていた場合、L4のみを選択的にボルトで固定したり椎間孔を開大した場合、術後経過も芳しくないのは想像に容易く、輪切りにして神経内部の神経を覗け、傷んでいる神経を見つけたからと選択的に回復させる手段も存在しません。実際問題、生きた人間の神経を輪切りにした時点で神経は機能しなくなり検証は不可能となる為、この実験の答えは永遠に見つからないと思います。それでも尚、罹患部位を大雑把にでも選択的に探る事の出来る脊椎変性疾患は、中枢神経由来と比較すると鑑別し易い側面があります。更にこれを前提とした場合、基礎的な脆弱性を考える必要があります。基礎的な脆弱性とは生まれ以ての脆弱部位、生まれてから今までの間に生じた脆弱部位を意味します。例えば先天的な異常や、事故や怪我による構造的な不安定性の保持、感染、骨性や(良性)腫瘍の圧迫等が一般的でしょう。

栄養等の問題も大きいかもしれませんし、左記のように誰でも納得のいく脆弱部位の保持のみならず、日常的に暴露される肉体/精神負担も十分な理由になるでしょう。人間は食べて寝てれば大概は回復出来るかもしれませんが、回復を上回る破壊が続けば脆弱度は高まり、これらを理由に各々の脆弱部位やレベルが決定すると推測されます。その脆弱部位は何故惹起されたかを冒頭の推測に戻り再考察する事で、ベンゾ離脱の基礎病態と離脱時の易発症部位が見えてくるかもしれません。

服薬契機の症状と脆弱部位を、惹起した離脱症状から読む~

※印以降は分かり易いように追記した部分です。その時々の内容に応じて書き方が少々異なりますので、今件の内容に沿うよう削除した部分もあります。服薬契機は快楽目的を除けば、大半は何かの症状の改善目的だと思います。以後に惹起される懸念のある離脱症状と尾の引き方を考えれば、服薬自体が極めてリスキーな印象を常々持つものですが、今回は元来の脆弱部位が服薬から離脱惹起時に掛け、どのように変化するかを見ていきます。また、睡眠は時間や質、入眠の善し悪し、中途覚醒等で評価し易い側面もある為、睡眠の問題に少々沿わせた内容です。その為、中枢神経の何処の部位が受傷するとどのような症状が出るとイメージし難い場合は睡眠の問題を基軸に読むと分かり易いかもしれません。

このように並べると症状の幅にも個々で大きな差がある事が顕著に分かりますが、仮に今がどのような状態であったとしても、常に今が自分にとってはベストな状態と思えば、冒険的な手段は防げるのかもしれません。また先ほど幅があると書きましたが、向精神薬絡みの症例は一気断薬をしてしまっても全く問題のない症例から、誤って口の中で余分に溶かしてしまった程度で過鎮静に陥る例、ヤスリで少し削っただけで寝たきりへ追い込まれる例まで様々です。

他、度々ながら慣れたり減らしたり止めたりして具合が悪くなった状況下である以上、その段階から減らせばもっと具合が悪くなりますし、下記掲載症例及びURL内にも記載していますが、増やせば万事解決するものでもありません。その為、誰の真似も出来るものではない事を大前提に励むしかないと思います。様々な情報が飛び交う中、手探りでいくしかない崖っぷちの答えを前向きに捉える事が出来たら、きっと上手く進むはずです。
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四肢抹消を中心とした全身性の振戦 眼瞼痙攣 肩頸部及び腰部に激痛と硬直感 背部に違和感 下肢脱力により歩行不能 膝関節及び足関節に強い違和感 頸部後面及び胸部前面に熱感 急激な体重減少 味覚及び嗅覚障害 副鼻腔炎様症状 眼痛 羞明 眉間痛 一睡も出来なくなる 唾液分泌過多 毛髪、髭、爪が伸びない 頻尿 皮膚のたるみ及びくすみ 不安感 焦燥感、うつ状態、現実喪失感 上記症状が惹起された為、再受診するも身体表現性障害、うつ病等と診断※服薬契機に不眠含む。離脱後は上記症状も並ぶが、数か月に渡り絶不眠に陥る
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age 40 sex m 
昨年よりリボトリール6㎎の減薬を開始。0.25㎎まで減薬した際、動悸、身体の揺れ、吐気、一歩も歩けない症状等が生じつつも、3回の断薬失敗の末、今年5月以降は服薬していない 。身体に力が入らない(ほぼ寝たきり/移動は車椅子)、手足の浮腫み、肌や白目の部分が黄色くなる、足の皮膚感覚異常、足の冷え、足の指が時折動かなくなる、耳が出てきている、お尻が勝手に動く、右半身を中心とする身体の揺れ、胃腸が常にバクバク動いている、37℃台の持続的な微熱、食事量は変わらず、2年前は175㎝95㎏の体重が昨年夏に70㎏、現在48㎏※服薬契機は流涙症が主。以後再服薬する事になるが、1日2時間程度の睡眠時間に短縮される他、流涙症が再燃。他、呂律が回らなくなる、歩行時のふらつき、誤字脱字やひらがなが極端に目立つようになる、暴力的になる、キレる、過食になる等の新規症状が惹起される
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a) age 60 sex f ※ベンゾ
両耳感音性難聴(60db) 左顎関節症様状態 左顔面運動麻痺 左顔面部全般の疼痛 左奥歯に釘を刺されたような痛み 頸部前屈により強い目眩 左側頸~左肩甲背~左前胸、左上肢~左手指に至る痛みと痺れ 両下位腰椎の動作時痛及び左下肢後面痛及び左下腿外側痛 両足底知覚鈍麻 他※服薬契機に不眠含む。以後、上記症状の他、1日1時間程度しか眠れない日が約10年継続

b) age 30 sex m ※ベンゾ 抗ヒスタミン
両耳閉塞感 両耳膨張感 両耳感音性難聴(スケールアウト) 眼痛 羞明 嗅覚及び味覚障害 両側頭及び顔面痛 両側頸及び両肩甲背痛 他※服薬契機に不眠含む。以後、上記症状の他、入眠障害中途覚醒が目立つ

c) age 60 sex f ※ベンゾ SSRI SNRI メジャー
副鼻腔炎様症状では説明出来ない程の広範囲に及ぶ顔面と鼻の詰まり 坐位~立位~歩行時問わず背部に重さを感じる コートが極端に重く感じる 頸部後面及び背部を後ろから引っ張られている感覚 何処までも床が沈み込む感覚による歩行恐怖 直立位の場合、左足を軸としてクルクル回る 両側及び両後面頸部疼痛 他 ※服薬契機に不眠含む。以後、上記症状の他、3~8時間/1dayの不安定な睡眠となる

d) age 15 sex m ※ベンゾ SSRI メジャー
横紋筋融解症の既往を理由としてか、抗重力筋を主とし、動作時痛を顕著に自覚 立位~坐位~臥位問わずの揺れ 頭頂部から足趾に至る全身の知覚鈍麻(温冷痛覚の全脱失とは異なり、半脱失に近い感覚) 両足関節より遠位に掛けて常時痺れ 他※服薬契機は不眠以外。上記症状の他、徹夜を続けても問題ないと訴えるようになる。それを不眠と呼んでも良いのかもしれない

e) age 15 sex f ※ベンゾ SSRI
数年来、36℃後半から37℃前半の微熱が持続 頸部前屈により何百メートルも垂直に急降下する感覚 手関節より遠位、足関節より遠位に振戦 頸部から下肢に渡る知覚鈍麻(顔面部、頭部以外の部位を触っても、全て感覚が遠い印象を受ける)他※服薬契機は不眠以外だったと記憶しているが、服薬契機の記録がない為に不明

※またa)~e)に関しては、呼吸障害や息苦しさ、随伴する痺れ、心窩部痛や動悸、胃腸障害、膀胱直腸障害や、青斑核由来や網様体賦活系の症状群、球麻痺(仮性含む)様症状群、興奮性や攻撃性、易怒性、衝動性、焦燥感、不安感、うつ状態も併発している例もありますが、雑多になる為に記載していません。
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a) age 50 sex f
両下肢電撃痛 軽度の両上肢痺れ 慢性疲労 不安 うつ 不眠 姿勢、動作問わず、安静時に於いても同様の激痛が両下肢に及ぶ。x-ray及びmriでは異常所見が認められない事より線維筋痛症と診断される。初発は片側の下肢痛のみ。

b) age 40 sex f
両頸肩部痛 頸部後屈困難 両鎖骨部痛 立位時のみ目眩 ドライアイ様症状 頭鳴 ファシクレーション(全身)不眠 長年に渡りマイスリーを常用。何かの契機でドグマチールを処方され乳汁分泌が生じる。その事を医師に訴えたところ、マイスリードグマチールからレキソタンのみに急速置換後、上記症状を発症

c) age 20 sex f
デパス リーゼ リボトリール カロナール 他(薬剤名不明)
両頸肩上肢の不規則な痺れ 両腰下肢痛 対人恐怖 不安 うつ 不眠 腰部痛を抱え、整形で観血的治療を施されるも改善せず、その後上記症状が経時経年で引き起こされる

d) age 30 sex f
両下肢に電流が発作的に流れる 動悸 呼吸困難 顔面麻痺 顔面痙攣 肩部硬直 リウマチ様症状 易ウイルス感染 皮膚乾燥 難聴 不眠

e) age 50 sex f
両眼の奥に硬い棒を突っ込まれているような痛み 羞明 靄視 頭痛 動悸 身体を動かそうと思っても動かない 全身が筋張っている 耳鳴 頭鳴 髪の毛を抜き続ける 脳全体が痺れた感覚 頭痛と吐き気で立位保持困難 パニック症状 うつ 不眠
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「頚椎変性疾患に対しての薬物治療に抵抗性を持つ中、針治療により症状改善するも向精神薬SNRI)の離脱症状からの脱却に苦しむ1例」

age 40 sex f 遅発性離脱症状SNRI)の疑い 主訴 左上肢の痛み 既往 特筆事項なし
1~4年程前に左上肢全般に激痛が発症し、MRIで頚椎椎間板ヘルニア(c5~6)と診断。NSAIDsやステロイドの経口薬他、神経根ブロックに対しても抵抗性を示し、ヘルニア切除の手術。一旦は症状が消失したが2ヶ月後に再燃。固定術を提案されるも本人の意思により経口薬で対処出来ないかと相談した結果、NSAIDs SNRI ベンゾ オピオイド鎮痛薬等を処方されるも症状の軽快が見られず当院(藤原)を受療。左上肢症状に関しては2ヶ月程度で消失(治療スパンとしては当初期は4~5day/1回、日常生活に支障がないレベルまで症状が落ち着いた頃から10day/1回に切り替え)した頃より、当初から処方され残っていたSNRIの減~断薬を3ヶ月掛けて行う。減~断薬過程では幸い離脱症状は起きず、断薬完了後も目立った症状は出ずに安定していたが、一ヶ月半後頃より「乾性の咳が止まらない」「鼻出血(片方)が止まらない」「一睡も出来ない」となり、検査するも原因不明。

鼻出血の原因は粘膜に傷が付いたのでは?と言われるも、本人は特に傷付けた記憶もなく、毎日のように鼻出血が継続するのは傷を付けたものではないと疑問に思うようになる。他、一睡も出来ぬ不眠が1週間続く事から(不眠発症から2~3日経過した時に医療機関を受診。ベンゾを追加処方されるも改善なし)体力的に厳しくなり、先日断薬したSNRI離脱症状を疑い再服薬すると睡眠障害が改善される。この事より断薬から1ヶ月半程度後に惹起された諸症状はSNRIによる離脱症状と推測される結果になる。※元々不眠傾向。ベンゾ等の服薬が過去にあり
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「腰椎変性疾患の術後障害に対して精神病扱いされるも腰下肢痛は針治療で改善。当時処方されていた向精神薬(SNRI)の離脱症状からの脱却に苦しむ1例」

age 50 sex m 遅発性離脱症状SNRI)の疑い 主訴 両足趾の冷感 腰痛 既往 腰部脊柱管狭窄症に伴う手術(椎間孔開大)
5年前の腰部脊柱管狭窄症の椎間孔開大術から数ヵ月後、実際に触っても冷たくはないが、季節関係なく極めて厳しい冷感を両足趾に感じ、夏場でも靴下を2枚重ね履きしても落ち着かない事で受療。冷感自覚は大きく分けて2つあり、実際に触って冷たく感じる血流障害型か、腰部神経叢の知覚神経の損傷に伴う偽陽性型冷感に分けられ、今件は後者に分類されると推測される経過を臨床反応上示し、約数回の治療で症状が改善され始めるものの、MRI撮影を後日行うとL4/5に側方突出型の椎間板ヘルニアの所見が認められ、手術を勧められる(この時点で下肢症状は足趾冷様感のみ)。

手術は考え直したほうが良いのではないかと告げるも本人の意思は固く手術(LOVE法)。術直後は腰痛は軽減されるも2weeksで再燃。両足趾の冷様感は残存。症状の残存を医師に訴え、ファセットブロック×回数不明、仙骨ブロック×回数不明、神経根ブロック×3を施行するも症状軽減に至らず、術後領域とは異なる神経走行部位に症状が出始める。後述するが、当初は主訴の通り両足趾の冷様感及び腰部痛の症状が、両大腿前面、両下腿前面、両腰部、両臀部、両大腿~下腿裏へ激しい疼痛と、両大腿前面は皮膚知覚異常が出始める。1つの可能性を考察すれば、術後の脊椎の不安定性により、両上下の脊椎高位が神経損傷を起こした事に由来するものと推測される。

少し話は戻すが、先のブロック施行にも反応性が悪い事、更に異なる部位に症状が拡大した事を訴えると、固定術の提案ではなく、精神病院への紹介状を出され、精神科へ9ヶ月程入院する事になる。診断名 うつ病 身体表現性障害。その間、様々な薬物治療を受けた模様(この時点での薬剤名不明)だが、退院後はリリカ トラムセット デパス リボトリール サインバルタ ロキソニン ムコスタ等を服薬。処方内容に関しては取り分け珍しいものではなく、針治療受療により両下肢症状は約4ヶ月程度を経てvas10→1程度となり(4~5day/1回~10day/1回)、日常生活には支障のないレベルとなり、下肢痛は消失。

一部大腿前面の皮膚知覚異常は残存しているが、経時的に改善模様の為、今後もフォローしていく事になるが、症状の軽減と共に本人が薬物治療の必要性を感じなくなった事から、掛かり付けの医師に相談をしたところ(そこの外来には3人担当がいる)、1人は薬物を止める事を認めてくれなかった為、もう1人に相談したところ、そこの親分的存在から既に当該患者の情報が伝達されており(薬を止めたいと言う意思)、「止めるなら止めれば」と言われ、今後の診察を拒否される。本人も止められるチャンスだと思い断薬する事になる(自己判断に伴う一気断薬)。幸いにも1ヶ月程度は症状(離脱症状)を自覚する事はなかったようだが、その後、シャンビリ 頭鳴 耳鳴 めまい 歯肉出血 不眠 胃痛 動悸 肋間神経痛様症状に悩まされる事になり、本人も「精神科に入院させられる位なのだから精神病なんだろうな」と思い込むようになり、再度精神科を受療し同様な向精神薬を服薬したところ3日程度の期間を経てシャンビリ 頭鳴 耳鳴 めまい 歯肉出血 不眠 胃痛 動悸 肋間神経痛様症状が消失。この事から上記症状はSNRIによる離脱症状と推測される結果となる。※元々不眠傾向。ベンゾ等の服薬が過去にあり

「精神病棟からの退院時、急激な減~断薬が行われた事に伴う急性離脱症状に対しての1例」
以下に挙げる診断名は医療機関が提示したもので、精神病名や定義不明瞭、病態定義不十分な疾患名も書かれています。(尚、具体的な薬剤名や年齢、性別、エピソードは若干改変しています)

age 65 sex m 診断名 逆流性食道炎 うつ病 線維筋痛症 
15年前に逆流性食道炎様症状が惹起され検査。同症状の改善目的で当該薬物が処方されるも著効せず2週間経過。その事を医師に訴えると「精神的なものでしょう」とされ、うつ病と診断。三環系抗うつ薬とベンゾ系薬を処方。本人曰く処方された薬物に好感触を得たのか、1週間程で逆流性食道炎様症状が改善された後も、日中は抗うつ薬、就寝前にベンゾ系、嫌な事があった時には頓服的にベンゾ系の服薬と、次第に量が増える。(服薬量の変動迄は分かりませんが)服薬内容は変わらず約5年後、両前腕と両下腿、両背部に姿勢変化問わず持続的な疼痛、不安感や焦燥感、睡眠障害等が惹起、これらの症状群から情報収集したところ、線維筋痛症と言われる病名を見つけ、遠方の病院まで診察に行き、線維筋痛症と診断を受ける。その際に抗てんかん薬を処方。

しかし当該薬物でも著効せず、次第にベンゾ系の量が増えていく。以降身体疼痛も全身に拡がり、精神症状も更に起伏が激しくなってきた頃、知人より精神病院を紹介され入院。入院直前迄は際限なく過量服薬する傾向があり、主にベンゾ系を服薬すると幾分落ち着く事から入院先での管理された服薬内容では納得がいかず、退院を申し出。退院以降もベンゾ系を主として服薬を継続するも症状が落ち着かない事から再入院。この頃から過眠と不眠が繰り返される。今度は高用量のベンゾ系や抗うつ薬抗精神病薬を処方された事から症状が一見落ち着いたように見えるも、患者家族が服薬内容を見て驚愕し(要は多剤大量処方)、退院と減~断薬の申し出をする。その事で病院側は患者の退院後、1週間で半分。2週間でゼロとされる。

その後、間も無く全身性の身体疼痛や精神症状以外にも、アカシジア、ジスキネジア、全身の痙攣や痺れ等が出始め、再度医療機関に掛かるも相手にしてもらえず、再服薬をするも回復なし。異なる医科を巡るも精神科の通院履歴がある事を理由に、入院先の精神科外来を受療するよう促されるか、異なる心療内科や精神科で向精神薬が処方される程度で回復の兆し無し。唯一ベンゾ系には若干反応していた為、ベンゾ系の過量服薬が再度始まる。その頃、当該患者と親交のある別の方より当院に連絡が入り治療開始となる。

治療中及び直後は全身性の疼痛や極度な不安感、焦燥感は治まるも、翌日弱再燃傾向を繰り返しの治療が2度過ぎた頃、知人が患者宅に用事で伺った際、患者の姿が異様な光景に見えた事から(アカシジアやジスキネジア、不安発作状態を見ての事と思われる。知らない人が見れば確かに異様と言えば異様と言う表現も分からなくもない)そのまま車に乗せ、以前の入院先とは異なる精神病院に連れて行き入院となる。後日連絡者の方から電話を頂き伺った話では、向精神薬の点滴とECT(電気けいれん療法)を受け、微動だにせず寝ているとの事。古典的な治療を好む精神病院に入院した模様。
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※文字制限の為、他はhttps://www.facebook.com/kouta.fujiwara1/posts/2122034937887761に記載しています

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イメージ 1  ~針治療から病態定義の見直しを~