藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

向精神薬と線維筋痛症とベトナム戦争


皮肉にも戦争がある度に医学は発展すると言われます。あれこれは扠措き、線維筋痛症(以下 FMS)や慢性疲労症候群(以下 CFS)と言われる症状はベトナム戦争の兵士及び、その時代から散見されると言われますが、恐らく、より前の時代から類似症状を抱えていた方々はいたでしょう。症状固定の無い、当該疾患では直接的に死亡しない、症状は主に全身性に渡る疼痛や極めて強い疲労感他、多岐に渡る中枢神経系症状等々。
戦争では不安や恐怖を取り払う為に、古くから中枢神経系に反応を及ぼす薬物は頻繁に利用されてきた事は既知の事と思います。日本ではヒロポンが代表的で、戦争時は様々な呼び名があります。向精神薬はその性格により様々な用いられ方がされています。集中する為、不安を取り除く為、意志を高める為、痛みを和らげる為etc…。それは今も当たり前のように用いられています。日本でもそうでしょう。
ベトナム戦争の少し前、ベンゾジアゼピン系が登場しました。その以前にも向精神薬は存在しましたが、登場したばかりのベンゾジアゼピン系とベトナム戦争への兵士への処方という時系列が気になります。
戦争には兵器として神経毒が多く使用されてきた歴史はありますので、世間一般での「医療」「治療」としての分野のみに於ける中枢神経系に至る薬物のみ害反応として取り扱う事は出来ないかもしれませんが、予々推測している現代のFMS、CFSは、医原病の隠れ蓑になっている可能性は大いにあり、そしてそれは臨床反応上でも示しています。
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ジョン・ケイドによるリチウムの抗躁作用の発見あるいはクロルプロマジンの合成と治療効果の発見をもって、近代における精神薬理学の幕開けとされる。
1949年にジョン・ケイドがリチウムの抗躁作用を見出す。1952年には、フランスの精神科医ジャン・ドレー(英語版) (Jean Delay) とピエール・ドニカー(英語版) (Pierre Denike) がクロルプロマジン統合失調症に対する治療効果を初めて正しく評価し、精神病に対する薬物療法の時代が幕を開けた。
1957年には、ベルギーの薬理学者パウルヤンセン(英語版) (Paul Janssen) がクロルプロマジンより優れているとされる抗精神病薬ハロペリドールを開発する。1957年に、スイスの精神科医ローラント・クーンによってイミプラミンが、精神賦活作用を有することが見いだされ、うつ病薬物療法への道が開かれた
1960年頃までに、初のベンゾジアゼピン系の抗不安薬であるクロルジアゼポキシドと、その類似の化学構造を持つジアゼパムが販売されるようになる。 wiki
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参考→ジアゼパム副作用
セルシンの添付文書から。昔は粗雑且つ、このようなデータは存在しなかったと思います)
眠気、ふらつき、眩暈、歩行失調、頭痛、失禁、言語障害、振戦、霧視、複視、多幸症、黄疸、顆粒球減少、白血球減少、頻脈、血圧低下、悪心、嘔吐、食欲不振、便秘、口渇、発疹、倦怠感、脱力感、浮腫、刺激興奮、錯乱、呼吸抑制
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湾岸戦争時もベトナム戦争に参加した兵士と同様な症状を持つ患者が多く見られた事から、情報量としては湾岸戦争の時代のほうが新しく精度も高いと思われる為、以下は湾岸戦争病、湾岸戦争症候群の情報から1部抜粋します。
1)湾岸戦争病は、1990年から1991年の湾岸戦争の帰還兵の間で、明らかに高率で発症する複雑な症候群
2)定着した医学的診断法や標準的な臨床検査では説明できない、複合的で多様な症状
3)典型的な症状には、「記憶障害」と「集中力低下」、「持続的な頭痛」、「説明できない疲労」、「全身に広がる疼痛」があり、「慢性的な消化不良」、「呼吸障害」や「発疹」
4)同様の過剰症は、米国のさまざまな地域に派遣された部隊の湾岸戦争帰還兵や英国をはじめとするその他の連合国の退役軍人の研究結果で等しく認められてきた
5)湾岸戦争病の発症率が、湾岸戦争帰還兵のグループ別ごとに変化することが示されている。湾岸戦争に派遣された陸軍兵士と海兵隊員の間では、海軍と空軍兵士よりも湾岸戦争病の発症率が高く、将校より下士官と兵士の間で高い。研究結果によれば、湾岸戦争病の発症率は兵士が派遣された地域によって異なることも示されており、前線に派遣された兵士の間で発症率がもっとも高い。
6)その他にもいくつもの重要な健康問題がある。研究結果の示すところでは、1990年から1991年の湾岸戦争帰還兵の間には、この地域に派兵されなかった退役軍人と比較して筋萎縮側索硬化症(ALS)の発症率が2倍
7)1990年から1991年の湾岸戦争に従事した兵士は、他の戦時派遣にも共通している多くの肉体的、精神的負担に加えて、多くの危険物質に曝された。
8)湾岸戦争帰還兵の研究は、一貫して、次の2種類の戦時被曝のみを湾岸戦争病の重要な危険因子として指摘している。それは、神経剤に対する防御手段としての臭化ピリドスチグミン(PB)錠剤の服用と兵士の展開中における殺虫剤の使用 心理的ストレス クウェートの油井火災 劣化ウラン(DU) ワクチン 殺虫剤 神経剤 感染症 戦場でのその他の被曝 被曝の組み合わせ 
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>>ベトナム湾岸戦争後も、米軍は覚せい剤は無害で兵士を助けるものだとし、 服用は自由意志に基づくとされているが、 パイロットがアンフェタミンやモダフィニルを使用しないならば、地上勤務を命じられることもある。 地上勤務、すなわち飛行任務を外されるということは、パイロットのキャリアに大きな傷がつくことを意味する。
自衛隊では、自衛隊法第115条の3第1項((麻薬及び向精神薬取締法等の特例))により、 一般では非合法な覚せい剤が合法的に使用できる。 自衛隊で使用されているかは、不明。戦車のほうが航空機よりも高価な時代にも、覚せい剤が使用されたのだから、 現代のように、航空機が高度にハイテク化、高価格化し、その価値が増大した時代ではなおさらだろう。
>>かつては、モダフィニルが睡眠不足状態にない健常者に対しても、短期記憶力と実行機能を促進すると、メタアナリシスやシステマティックレビューにより信じられていた。しかし、それらのレビューは、2015年度のより大規模で行われた、短期記憶力の向上がないことを明らかにしている臨床試験を含まない(難しい課題においては向上があるとしている)。さらに、他の研究では、反応時間測定のパフォーマンス低下を指摘している。疲労を軽減することにより、注意力・気分・処理速度・実行機能の向上などの報告が多くある。特に、睡眠障害や過眠症にも効果的とみられている。湾岸戦争フランス軍が使用したことや、イギリス国防省が24,000タブレットを購入したことなどが報道され、一時話題となっていた。
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参考(CCHRより)
軍隊生活は厳しいものです。常に警戒し、決断力を持ち、集中するよう訓練されます。 身体的にも精神的にも最高の状態にです。 これは不可欠です。しかし、兵士たちが向精神薬を服用して行動することは逆効果になるだけです。
それにも関わらず、軍の電子記録によると、少なくとも兵士の6人に1人は向精神薬を服用していることが示されています。 この数字はおそらくかなり控えめなものでしょう。なぜなら最前線では処方記録が取られておらず、薬物が衛生兵と兵士の間で何の処方箋もなく頻繁にやり取りされているからです。
向精神薬の危険性は長い間知られています。 抗うつ剤に関して言えば、今では処方者や患者に対して副作用の注意を喚起するため、欧州連合やその他10ヵ国の薬物規制当局によって100件近くの警告が発せられています。その警告には敵意、暴力行為、自殺が含まれています。
兵士や退役軍人にこのような薬物を処方しても効果が得られないにも関わらず、合衆国国防総省と退役軍人局は精神障害を治療するために2001年から20億ドルを費やしています。 この驚くべき金額は合衆国だけの問題ではありません。オーストラリア退役軍人局は退役軍人のメンタルヘルスに関して、毎年1億6000万ドルを費やしています。
世界中の軍隊において、精神医学に対して巨額の費用が支出されています。しかしながら、この費用によって現役軍人の心の問題を解決し、その入院率を減少させるような成果は上がっていません。 その上、自殺率も上昇し続けています。
2012年に自殺した英国の兵士と退役軍人の数は、戦死者数を上回っています。 過去10年間におけるオーストラリア国防軍の自殺者数は前線での戦死者数を上回ります。2001年から2009年の間、アメリカ軍では2,100人が自殺しています。この数字はアフガニスタンでの戦死者数の3倍、イラクで死亡したアメリカ人の半数に相当します。 同じ期間、自殺念慮や行動を引き起こすことで知られている向精神薬に対する軍の発注は76%上昇しています。
アメリカの退役軍人の問題はさらに深刻です。 アメリカの退役軍人は65分に一人の割合で自殺します。何と一日に22人です。
戦地にいようといまいと、兵役に就いていたもしくは現在兵役に就いている人々は、緊張し戦争に疲れ、しばしば心の傷と向き合っています。兵士が不安や不眠、悪夢、ストレス、うつ状態などの苦悩を抱えるということは、何世紀にわたってよく知られた問題でした。 しかし、最近、戦争における精神的・肉体的苦痛といった正常な反応に対し、これまで以上に「心的外傷後ストレス障害」(PTSD)という名の「精神障害」として取り扱われるようになっています。
少し前なら、戦争での心的外傷は思いやりや理解、愛情によってケアされていました。 しかし今では、兵士に共感し彼らの経験に耳を傾けることへの意欲が、抗うつ薬抗精神病薬、興奮剤、鎮静剤、抗不安薬を使用する「お急ぎ治療」という安易な処方に取って代わられています。
その一方、このような化学化合物は有害な結果を生み出します。多発する兵士の自殺や不審死が、増え続ける向精神薬の使用によって引き起こされているという証拠を次々と目にします。
2001年から2009年の間に軍隊の自殺率が150%以上上昇した一方、向精神薬の注文はこの間76%上昇しました。 この急上昇している数字を戦争での恐怖のためだと言うことはできません。なぜなら自殺した被害者の兵士の85%は戦闘を見たことすらないのですから。 この事実は、さらに多くの現役兵士と退役軍人に対する多剤処方を正当化するために、PTSDの診断が広く行われていることを示唆しています。回復の見込みのない、心の状態を変える薬物の処方のためにです。
現役兵士、退役軍人とその家族向けの公共サービスとして制作されました。 これは、精神医学的製薬業界から暴露されることのない情報を視聴者に提供するものです。 兵士のためだけではなく、メンタルヘルスへの膨大な予算がどのように軍隊をひどく裏切っているのかを把握しようとしている政府関係者や軍当局者のためにも発表されています。
2013年の初め、合衆国国防総省の公式ウェブサイトで、2012年の軍内部で発生した自殺件数が戦死者の総数を遥かに超え、1日の平均自殺者が約1名に上るという驚くべき統計値が発表されました。 1ヵ月後、合衆国退役軍人局からさらに驚愕すべき統計が発表されました。退役軍人の自殺者数は1日平均22人、年間約8000人に達しているのです。
この悲惨な局面に際し、合衆国国防総省は軍隊での自殺を「伝染病」と呼びました。このように多発する自傷行為は戦争によるストレスのためだと主張する人もいますが、 軍隊での自殺者の85%は戦闘を見たことがなく、52%は戦地に派遣されたことすらなかったということが明らかにされています。では、軍内部での自殺率を急増させている思いがけない要素とは何なのでしょう?
すべての証拠はある事実に集約されます。それは、2003年から始まった向精神薬の処方率の急激な増加です。 増加する攻撃性と自殺願望などで知られる、この種の薬物の処方による副作用は、軍内部の家庭内暴力児童虐待、性犯罪だけでなく、自傷行為の増加傾向に反映されます。
さらに調査を進めていくと、精神科医が特に兵士と退役軍人の心的外傷後ストレス障害PTSD)に関して、「精神障害」が意味する定義の枠を広げ続けていることが分かるでしょう。 精神医学においては、PTSD人格障害社会不安障害などの診断が行われると、必然的に少なくとも一種類の向精神薬が処方されます。
精神科医は、処方薬が実際には何も治癒することなく、単に症状を覆い隠しているだけであることを理解しています。 また、依存の可能性を含む、多くの危険な副作用にも十分に気付いています。 それにもかかわらず、精神科医はその効能は副作用を上回ると主張します。 そして、兵士の抱える本当の問題は放置され、その健康状態は悪化します。
この痛ましい軍人による自殺の統計にもかかわらず、さらに多くの資金が精神医学によって浪費されています。合衆国国防総省は今やメンタルヘルスだけで年間20億ドルを費やしています。 退役軍人管理局におけるメンタルヘルスに関する予算が急上昇しています。2007年に30億ドル以下だった予算が、2014年には約70億ドルに達する見込みです。その一方、状況は悪化の一途をたどっています。
兵士と退役軍人が精神医学と向精神薬の本当の危険性について啓発されるよう訴えられています。 十分かつ誠実なインフォームド・コンセントの権利と、治療を拒絶する権利の行使が解決策となります。 ここで重要なことは、戦闘の恐怖というストレスへの安全で効果的な精神医学以外の解決策が存在することであり、その解決策は人々の健康を悪化させ続けるだけの危険で有害な治療を用いるものではないということが広く知らされることです。
1945年、世界的に著名な精神科医でイギリス陸軍准将のジョン・ローリングス・リースは、軍隊を精神医学の最適な実験室と見なし、こう述べました。「陸軍やその他の軍隊はかなり独特な実験集団を形成する。というのも、それらは完結した共同体であり、一般市民に対して行うには難しい実験でも、ここでなら可能だからである。」
それは巧妙な戦略でした。援助という大義名分で実態を隠すことができるからです。 結局、兵士は常に、命令には絶対服従で、決して逆らうことのできない立場です。 世界各地で、精神科医たちは非常に危険な治療法を試すためにこの機会を利用しました。 彼らは兵士に電気ショックを与え、他の兵士を昏睡状態にし、心を変換させる強力な薬物を試し、さらに多くの兵士に対して実験を繰り返しました。精神科医たちは、軍における兵士の募集や人事、訓練、懲戒にも関与するようになりました。
1950年代から1970年代までの間、イギリスやアメリカ、ソビエト連邦といった国々の精神科医たちは、自国の軍隊を実験場として使い、LSDなどの新しい実験的治療を行っていました。 アメリカ陸軍では、少なくとも1500名の兵士がこの時期にマインド・コントロール実験の一環としてLSDを投与されていました。 軍の被験者には、実験による健康被害の可能性についてほとんど知らされませんでした。
今日でさえ、使用するために研究されたことも、あるいは規制当局によって認可されたこともない精神医学による薬物が兵士たちに投与され続けています。 大抵の場合、その薬物の組み合わせが試験されることはありません。J.R. リースの時代と同様に、軍隊は未だに精神医学の巨大な実験場なのです。
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湾岸戦争症候群 概要及び症状 
(※ポイントは戦争中ではなく(暴露中ではなく)遅発的と言う事)
診断と治療の方法は確立されていません。このため、医師は症状の緩和に重点を置きます。湾岸戦争症候群の症状を訴える帰還兵たちは、同世代の人と比較して入院率や死亡率が特に高いということはありません。
湾岸戦争症候群はまだ十分に解明されていません。ペルシア湾からの帰国後数カ月以内に、米国、英国、カナダの異なる部隊の帰還兵が、頭痛、疲労感、不眠、関節痛、胸痛、皮膚の発疹、下痢などさまざまな症状を訴え始めました。しかしほとんどのケースで、患者が訴えた頭痛や吐き気などの症状は、医師による客観的な確認を得られませんでした。皮膚の発疹など症状が確認できたケースでさえ、原因の特定には至っていません。
症状は主に神経系です。記憶力、論理的思考力、集中力、注意力などの低下、不眠、抑うつ疲労感、頭痛などがあります。その他の症状には、身の回りを認識する能力(見当識)の喪失、めまい、勃起障害(インポテンス)、筋肉痛、筋肉疲労、脱力感、チクチクする感覚、下痢、皮膚の発疹、せき、胸痛など(執筆者: Margaret-Mary G. Wilson, MD, United Healthcare, Maryland Heights) 
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湾岸戦争後、これらの症状を呈した兵士に対し
イギリス海外ドキュメンタリー  湾岸戦争症候群 1993 より 1:50~
https://www.youtube.com/watch?v=Vkvb5wTXFbQ
病状が酷く働けなくなった者もいれば、自殺を図った者もいます。帰還兵の一連の病状を指す湾岸戦争症候群という言葉も生まれ、議会も原因究明に乗り出しました。
「呼吸器に異常があります」「出血すると血が止まりません」「下痢 吐き気 むかつき 歯茎から血が出て歯が抜け 目やに 鼻水が止まらない」「時々、記憶がなくなってしまいます」「はじめは自分だけだと思っていました ところが同じような帰還兵が大勢いる事が分かったんです みんな 倦怠感や関節の痛み 皮膚の異常など様々な症状を訴えていました」「当局はそれらを、全て「心理的な要因」によるものだと片付けていました」
「身体の調子がおかしくなったのは湾岸戦争が終わって直ぐ 2週間の内に体重が27キロも減って身体が思うように動かなくなってしまったんです 歩くこともままならず、這って戦車に入り仕事をし、出てきて休むというのを繰り返していました」「私は自分の病気が何か調べてほしいと頼みましたが、軍の病院は「精神病」だと言う主張を変えませんでした」

以下、当院収集の臨床像及び治療反応性
「既存病態定義と選択的脊椎高位の治療」
http://blogs.yahoo.co.jp/anti_white_supremacy/14195469.html
軽重問わず自然治癒に至らぬ難治例の多くは脊椎脊髄に帰結する事を治療反応上知り、横軸損傷であれば上肢や体幹、下肢等の体性神経関与の諸症状や内臓器の自律神経関与の諸症状へ。縦軸損傷であれば脊髄近隣に存在する延髄や橋、中脳、視床視床下部等をメインとした身体症状や精神症状への発展、
その複合的な症状は傍から見た場合、極めて謎めいた諸症状に見えるかもしれませんが、全身投与となる薬物治療ではなく、選択的に内臓負担の無い治療を用いる事で病態は見えてくる場合もあります。代謝過程で内臓器に負担を及ぼさない治療手段を持つ事、そして保険制度に依存しない治療手段は、限り無く積極性を持たせた治療も可能でもあり、既存病態定義に対しての詳細な因子や誤認を掴み取る事も出来ます。
検査機器で所見が取れなくても、損傷部位に対して継続的に加療し症状が改善していくのであれば、現在の機器能力では所見が取れない程の微細な異常だと仮定する事もでき、病態定義の誤りの発見、「心因性」「気のせい」「思春期」「更年期」「老年期」「精神異常者」等、凡ゆるレッテルを貼られて爪弾きにされてしまう、又は高負荷な薬物治療を回避させる為の一助になり、医療は1歩前に進めるかもしれません。
様々な発症原因はシンプルではなく、具体的に書けばヨリ多くの説明を要しますが、「診断をする」「責任部位を探る」と言うスタンスやスタイルではなく、「治療をする」と言う立ち位置の為、1番の優先順位は症状の改善となります。症状を伺えば、どの部位がどのような損傷を受けているかをイメージするのは然程難しいものではありませんが、既存の病態定義や概念が治療の妨げになっているのも事実です。
如何なる症状も早期介入が出来れば早期回復するのかもしれませんが、多くは重篤化してからと言う状況を振り返る限り、未だまだ針治療の底の浅さ、信頼性の低さを感じずにはいられません。
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重篤化した症状、発症から時間の経過が著しい症状は、既存の病態定義や概念からは大きく外れていく事になり、何処にも存在しない病態論を説く必要も生じます。しかし、何処にも存在しない病態論を説くと、その多くは「医学的根拠、科学的根拠が存在しない」「どの論文からか」「情報源はどこか」と意見を述べる方も時折見掛けるものですが、患者自身から発症している症状が全ての根拠であり、情報源だと言う事を多くの方は気付いていないものです。しかし、臨床結果は実際に治療を受けた個の患者のみにしか寄与されないものであり、他患者には寄与されない拡散性のない結果です。
目の前の患者が訴える情報が全てであり、根拠や論文、情報源と言うのは過去と合致するものは存在しません。しかし、それでは不都合があるからと全国一律の治療を定めているのが保険制度やガイドラインである事は以前書きました。発症時期、症状の内容、個が抱える構造的な問題、既往疾患、既往疾患に用いてきた薬物、既往疾患に用いてきた非薬物治療の内容、手術の有無、免疫や代謝の問題など、思い浮かんだものを並べただけでも、仮に過去の根拠や論文通りに治療して治っているのだとしたら、症状で悩んでいる人は誰1人いませんし、年々医学書が改訂される事もないでしょう。
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年々病名は増えていき、年々病態定義も改訂されています。1つは検査機器の発達や侵襲性の少ない治療手段の開発等もあると思いますが、もう1つは分からないから細分化している→その結果病名ばかりが増えていると言う事に気付く事も大切ですし、病名が創設されれば利益を得る人間もいると言う事に気付く事も大切な事です。多かれ少なかれ、どの病名が付こうとも根治が不可能だと判断された場合は、キツい鎮痛薬や向精神薬が処方されるだけであり、結局どの病名でも治療手段は同じ所に帰結してしまいます。
症状群が病名へ格上げされる事も多く、その時代毎に診断を告げられ罹患者の増大となるのですが、ここ数年の精神症状領域に関しては「うつ病は誤診→双極性障害」や「ADHD」が幅を利かせているようで、何故この2つの罹患者が増大しているかの出元を知る事も必要だと思います。出元を知る為には歴史と其処に携わる人物を知る必要があります。さて、疼痛性疾患としての身体症状がメインとなる病名でここ数年幅を利かせているのは線維筋痛症(以下 FMS)です。私は8~9年前に初めてこの病名を知り、様々な患者群の追跡をしてきましたが非常に興味深いものです。
雲を掴むような曖昧な診断定義であり、雲のように症状が変動する事、それに絡む薬物の保険適用迄の歴史、保険適応させた人物、線維筋痛症に限らずですが、凡ゆる検査でも異常を見せない難治例と言うのは凡ゆる人間が絡みます。中には有益な結果を得た人もいるかもしれません。しかし、残念な結果を残す群も存在するのは事実です。
これらの全身性に渡る身体症状や精神症状の原因を、脊椎脊髄の横軸並びに縦軸の複合的症状であると仮定した場合、そして主に向精神薬の害反応(主に中長期的服薬に伴う常用量離脱や副作用で発生する可能性のある体幹硬直から全身性に渡る疼痛惹起)からFMSと診断された群は、どのような理由があるのかを治療反応上から考えていきたいと思います。
FMSの診断の有無は問いません。恐らく他の病名が付いている方もいるでしょう。類似症例であれば血清反応陰性関節炎等が近いのかもしれません。FMSは賛否がある為、認める認めないは現在でも大きく分かれている事から、あくまで、全身性に渡る身体症状や精神症状が出ている方に対して治療をし続けて見えた結果を幾つかの由来に分けて以下は書いているものです。
私はFMSと言う病名の価値や意義を否定している側の人間です。そのような症状はある、と言う認識ではいますが、何でもかんでもFMSにしてしまう風潮は良くないと思います。その為、今回はFMSと診断された群に対して加療、追跡して見えた所感を幾つか書きたいと思います。治療反応性云々は過去に詳細を書いたので、今回は概要を簡単にまとめたものです。
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1)純粋な整形領域疾患が多岐に渡り重なった(個人的には多恨性神経障害と呼んでます。多発性神経炎や多発性硬化症の類とは異なり、あくまで純粋な整形領域の末梢神経障害が多根に渡り障害を受けたもの)。医療機関では単根~2根程度の神経障害なら真摯に見ますが(片側の坐骨神経痛とか、50肩のような片側の挙上不能など)、それ以上の本数の末梢神経が損傷を受けた症状を呈した場合、FMSと診断される群が少なくありません。これは以下に関しても全て同様な事が言えますが、FMSと診断する、されるには幾つかパターンがあり、医師がFMSと診断をするのが好きな人間か、患者がFMSと診断されたいかの2つの意思が根底として存在している事に気付く事は大切です。
脊椎の変形が著しい高齢者の多くに当て嵌ると思うのですが、この場合、何もせず帰させるか、リリカやトラムセット他、向精神薬等のキツい薬を投与して茶を濁すタイプの事例は多く見掛けます。他、各種脊椎変性疾患に対しての手術に抵抗した場合や様々な鎮痛薬にも抵抗性を示した場合でもFMSの診断を告げられる方はいます。両側性の頚腕神経叢領域の体性神経系症状、両側性の腰神経叢領域の体性神経系症状を抱え、それに伴い、各当該領域の自律神経系症状を抱える群と言うのは案外少なくないものです。
脊椎変性疾患とFMSの概念の違いを説く人間も少なくありませんが、神経根症や狭窄症、脊髄症、椎間板ヘルニア等の現行病態定義を保有したままFMSとの差異を説くと躓くのがこのパターンかもしれません。冒頭にも書いた通り、多くは薬物治療と言う全身投与→原因部位は分からずとも取り敢えず中枢でも末梢でも抑え込め、と言うスタンスであれば見えてこないものも多いかもしれませんし、数度神経ブロックして反応しなければ手術→著効しない→FMS、と言う訳でもありません。流石にこれでは誠実さに欠けます。
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2)不眠や不安・パニック気質・うつ症状(病)等、初期的な服薬理由は何であれ、向精神薬の中長期的服薬者の常用量離脱や副作用をFMSと診断した事例。恐らく全国的に見てもこのケースが1番多いのではないかと思います。ご存知の方であればご存知かもしれませんが、線維筋痛症の症状群と向精神薬の常用量離脱や副作用は殆ど同じです。中枢神経系症状が多岐を占める為、その誘発要素として濃厚な向精神薬を減らしていったら症状が止んだ例は多数ありますが、
既に薬物依存により止められない人も沢山いるのは事実ですし、この場合、向精神薬の害反応に対しての患者側の知識が追従出来ていないケース、医療機関側が常用量離脱や副作用を軽視及び無きものと取り扱いがちである為(副作用や常用量離脱と認めると面倒臭い事になりますから)が大半の為、向精神薬等を好んで服薬し、身体症状や精神症状が惹起されている場合は治療上トラブルの元になりやすい。トラブル回避のポイントは、既に告げられた診断名に盲目となり、診断名に対して患者自身が利得を得ている場合、積極的治療は仇になりやすい。
治療には目的と目的達成に向けて指針を取る中、常に濁り続ける事になる例が向精神薬由来と推定される症状群との対峙です。それでも尚、向精神薬を好んで服薬している状態と言うのは未だまだ症状としては早期段階で持ち上げられる群でもある事は確実です。医療機関との関係性も悪くない場合も多く、良好な経過を示せる場合が多いものです。
しかし残念ながら、先述した通り向精神薬に対して懐疑的な視線を送れない場合、常用量離脱や副作用を向精神薬の追加服薬で誤魔化し続けていると言う可能性に関しても考えてもらう事は殆どなく、症状の段階的収束に至るケースは低いものです。プラスとマイナスを常にぶつけ続けているようなもので、何時まで経っても先に進めないのがこのような例でしょう。そのような中、決心をした人間だけが症状の改善、段階的収束に至れます。
その割合は100人いたら数%程度かもしれません。残りの数十%は既に薬を止められない身体状態である事態を受け入れなければならない位の試練に只立ち竦む事になるかもしれません。全てが適正か否かは知りませんが、アシュトンマニュアルは誰でも読めるように読み易く翻訳されていますので、100回位読んでからにしたほうが良いのかもしれません。針治療を受けるだけなら治療ベッドに寝てれば済むかもしれませんが、向精神薬が絡む場合、針治療を受ける以上の努力を患者自身が要するものです。
そのような状況の為、当院(藤原)を受療する大半が、医療機関や自己判断で一気断薬し(させられ)、若しくは自然災害等で薬の供給が絶たれた事により引き起こされた極めて重篤化した離脱症状に苛まれているか、追加処方でも誤魔化しが効かない位の常用量離脱や副作用が生じてからと言う、厳しい状態に置かれてからとなり、且つ医療機関との関係も悪化してから、と言うケースも増えてくる為、益々改善迄も厳しい状況に置かれる事になります。
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3)若年性FMSと診断された群。成長に伴い脊椎と言う構造的な伸張に脊髄が追随出来ず、1)のような多岐に渡る横軸の末梢神経系障害や、縦軸の脳幹や間脳等の損傷より中枢神経系症状を引き起こしている事例。1)よりは症状の重篤度は低いように感じます。FMSや向精神薬の常用量離脱が多発性硬化症と類似すると時折提示される例として、時に急に症状が出れば、急に症状が消える症状を持つ方もいるからです。
これは神経痛そのものの病態だと私は感じていますが、それを知らなければ不安ばかり重なるのと、若年性の場合は大体親御さんが情報収集し、共に不安や焦燥に陥るケースも少なくなく、FMSと診断してもらえる病院をハシゴする例も多数散見されています。個人的にはFMSと診断されたところで症状が変わる訳ではないのですから、極力安全な手段を模索してほしいと願うところ。若年性の場合は成人のようにキツい薬が投与される事はないように方針は立てられていますが、飲まずに済むなら飲まないほうが良いと言うのは一般論ではないでしょうか。
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4)過剰な糖質摂取に伴う低血糖症状を更に糖質でフィルタリングし続けたり、糖質摂取に伴う体内消費のビタミン群の補充なしで時間の経過をした群。この原因は1)~3)の土台となる場合も多いような気がします。
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5)直接見聞きした事はありませんが、ヘルペスウイルスやカンジダによるもの。抗ウイルス薬や抗真菌剤で治ったとか、そう言う話もあるようです。
恐らく、FMSと診断されるまで凡ゆる検査をし(多くは陰性)、陰性であったとしても処方される抗リウマチ薬や抗炎症薬、そして向精神薬オピオイドが処方された上で「FMSですね」なんて言われるケースが大半の為、凡ゆるネガティブな側面も含めて考察すれば、1)~5)が混合していると考えるのも又大変自然な事です。

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