藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

臨床的疼痛学問が発展し難い理由


病態定義が不十分故に脊椎変性疾患の無効手術、それに伴う脊椎不安定性の惹起から一層の構造的異常が経時経年で生じ、異なる脊椎高位の神経損傷に至るケース、向精神薬オピオイド系の適応症拡大によるリスク増、これらのネガティブを僅かでも減少させるには根本的な症状発症由来を知る必要性と、病態定義の矛盾点の洗い出し、各当該部位により研究者も異なる事から生じる摩擦とズレ、情報発信内容等など、個が症状を解決するに至る迄、本当に多くの障壁が第三者的視点に立って見てみても分かるものです。
年々検査機器は発達していますが、生きている人間の神経上膜内、神経周膜内でのミクロな損傷と推測される同一神経叢由来症状による症状発症部位の差異等、様々な状況をクリアして初めて多くの問題が解決され、症状は納得と相互理解を深めた上で改善されていくものと思います。しかし末尾にも書いている通り、原因を知る為の検査機器の登場は何時になるか分からないジレンマ、可視化出来た事が症状改善へと直結したケースは過去を振り返っても予想以上に少ないと言うジレンマも付き纏う中、出来るだけの事は考え、出来るだけの症状に対応し、更に治療上の効率化向上とリスク低減、再現性と確実性を高めた治療が出来るよう考える必要はあると思います。
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http://www.hazardlab.jp/know/topics/detail/1/8/18493.html を見てフト思い出したのですが、成長期やストレートネック、頚椎後彎を避けられない作業を強いる事で発生する内臓器に器質的異常が伴わない胃部不快症状(胃痛、吐き気、膨満感、頻回なシャックリetc…)等はc3~5(横隔膜神経)か第X脳神経を由来とする事が治療部位及び治療反応上から推測が立てられるものですが、アプローチの仕方(強低周波※参考「低周波治療に伴う神経障害」・強揉み
※軟部組織損傷に伴う度重なる血腫形成により柔軟性不全状態の惹起・強回旋※参考「医業類似行為~」)で悪化しかねないのも浅層を走行する頚腕神経叢かもしれません。作用を求めれば反作用はあるもので、それは全ての物事に於いて言える事です。要は外傷ですね。ムチウチに近い多根神経根症状態やバレリュー症候群みたいなものとイメージするのが早いのでしょうか。
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診断名は何であれ、発症起因となる経緯や経過、発症部位を伺えば原因部位は見えてくるかもしれず、当該部位に対しての処置で症状の改善が得られた場合、当該部位が原因だと推測、時系列に沿ったVAS値変動の状況によっては若干異なるか、又は近傍か、又は(推測が)当たっているか等を張り巡らせるものですが、私がしている事は人の身体に針を刺している行為でしかなく、良くも悪くもそれ以上でもそれ以下でもありません。
それしか出来ないと言うスタンスは一見ネガティブ且つ退路がない治療手段に見えますが、身体内部の機能を使い症状が改善すると言う事は、凡ゆる病態の根本的要因が見えてくるものであり、その周辺組織に何があるかで様々な症状を自覚する事になるとの見方も又出来るものです。後述する事になりますが、純粋な末梢神経系領域の場合は患者自身も発症起因の原因は自覚し易く、腰を使い過ぎたから腰を傷めた、肩を使い過ぎたから肩を傷めた等のエピソードは持っているものの、では、中枢神経系症状の場合、それこそ千差万別の症状を呈します。
逆の見方をした場合、それ程迄に中枢神経系機能と言うのは莫大な情報を処理し、人間の活動を司っていると感じられるものですが、末梢神経系領域の疾患とは異なり、何故、このような症状が、その個に生じているのかと言うエピソードが不明瞭かもしれませんし、発症起因の自覚がない以上、由来を追えない事となり、そして凡ゆる検査でも原因不明と言う状況の為、必要なき投薬が継続され、何れ薬剤耐性に伴う種々害反応が生じ、リスクが上回る要因となるのも中枢神経系症状かもしれません。
中枢神経系が機能破綻を起こしている場合、如何なる症状であったとしても治療部位は往々にして同一部位に絞られてくるかもしれません。その為、治療という観点から見た場合、中枢神経系症状に関しては実は然程難しいものではない事を追々知る事になり(全ての症状が治ると言う意味ではありません)、コンスタントに栄養を求める事で良好な結果が得られるかもしれませんが、
しかし、何故、その個がその症状を出しているのかに関して考えなければ「(良くなったけど)不思議だね」と言う曖昧な評価しかされないものでしょう。可視化出来ない症状群との対峙はあくまで患者表現でしか成立しない部分もあり、その時の体調や気分で表現方法も大きく変動していく懸念もあり、疼痛分野を代表としたこれらの諸症状は如何せん困難さを極めるのは今後も変わる事はないでしょう。
先日「経口薬と選択的脊椎高位治療による症状解釈の差異」を書きました。全身投与となる薬物は原因部位が何処であれ、症状の軽快や改善が可能であるかもしれませんし、症状の内容と服薬タイミングがマッチングすれば力強い存在かもしれません。しかし、良くなればそれで良いと言う観点は、症状を改善させると言う臨床的、疼痛的な学問の進行を妨げているようにも見受けられるもので、年々オピオイド系や向精神薬が純粋な整形領域疾患にも浸透してきた事がその証拠なのかもしれません。
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頚神経叢由来、腕神経叢由来、腰神経叢由来問わず、何故患者によって惹起される諸症状が異なるのか、と言う非常に原始的な疑問に立ちあたって久しいものです。私自身は筋肉や筋膜と言う存在を標榜してはいません。筋肉は筋肉に栄養を送れず、筋肉は筋肉を動かさず、筋肉そのものが損傷したとしても、筋肉が私達に症状として教えてくれる事もありません。幸いにも針と言うツールは人の手を超える手段を容易に成し遂げられる事から、其処から見えてくる病態と言うのは筋肉や筋膜と言う発生学的にも後付け的な細胞に対して処置をしても症状回復には非常に遠因である事も臨床反応上分かるものです。それを前提としての以下の話とはなります。
例えば純粋な末梢神経系領域を抱える患者がいたとして、同一腰神経叢由来症状だと思しき人が、同一治療部位で症状改善は得られると言うのに、何故、人は皆異なる部位に症状を発症するのでしょうか。腰部痛、殿部痛、下肢痛、大腿裏痛、下腿裏痛、大腿前面痛、下腿前面痛、鼠径部痛、又は単独ではなく混合的に症状が発症するのか。勿論、脊椎損傷高位も単独なのか複合かでも変化はしてくるでしょう。同一腕神経叢由来症状とて同様で、僧帽筋上層部痛、肩甲上腕関節部痛、上肢痛、前胸部痛、肩甲間部痛、又は混合的に症状が発症するのか。こちらも同様、脊椎損傷高位が単独なのか複合かでも変化はしてくるでしょう。
その何故かの理由はもしかしたらシンプルなものかもしれません。例えばL5から末梢へ走行する神経1本取り上げても、その1本の中には数え切れない程に無数の神経が走行している為、その1部が損傷した事で異なる部位に症状として自覚させていると考えるのも自然な事かもしれません。しかし、この損傷はあまりにもミクロな為、神経上膜の内側、神経周膜の内側でのトラブルの為、可視化は不可能でしょう。MRIで表出出来るのは、脊髄や其処から枝分かれする各脊椎高位のメインとなる神経のテンションであり、その内部損傷は見えるものではありません。冒頭の話に戻りますが、このようなミクロな損傷は検査上、陰性となる為、原因不明と言う迷宮へ入り込むものなのかもしれません。
脊椎の構造的異常や日常生活時に於ける易負担部位なのかもしれませんが、例えばこれが中枢神経系症状も同様なのかと言う疑問が実は前々からあります。当該損傷部位は症状をヒアリングすれば分かる事ですし、そこへ栄養を送る手段と言うのも限られてくる事になる為、凡ゆる中枢神経系症状の治療部位と言うのも同一治療部位に集約される事にはなるのですが、例えば脳幹とした場合、反回神経由来の嗄声、内耳神経由来の耳鳴や難聴、三叉神経由来の顔面痛等など、更に詳細な説明は必要かもしれませんが、仮に原因不明とされ他因子が無い場合、そして患者も当該部位に負担を掛けるような日常を送っていなくとも症状が出るケースと言うのは少なくないです。
中枢神経系症状が惹起される理由に関しては縦軸の脊髄リスクが高度になる事で発症していると言う推測は立てられるもので、その結果、脳幹や間脳由来の諸症状が発生しているのだろうと思われるのですが、何故、その個が難聴で、その個が嗄声となるのか、同一部位の脳幹由来でも異なる症状を呈するのかと言うのは非常に興味深いものです。一般的には原因不明の中枢神経系自律神経症状群を自律神経失調症と称されるものですが、残念ながら現行での定義は「分からない」が定義となっている為、それを一歩進めなければならないのも課題の1つです。
では、この自律神経症状が強化される由来から因子を見てみます。自律神経症状が強化される1番の由来と言うのが向精神薬の長期服薬に伴う常用量離脱症状や、無理な減~断薬時に発生する離脱症状群から学ぶのが早いのかもしれません。
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日本心身医学会が挙げている症状以外にも色々と症状はあるかもしれませんし、この症状群の中にも向精神薬服薬者、又は服薬経験者からピックアップした症状も含まれているかもしれませんので厳密な切り分けと言うのは出来ないかもしれません。
先日、薬剤性反跳性筋硬直の病態由来に関して推測論を書きました。向精神薬離脱症状の類に関しては「その個人の弱いところを狙い撃ちしてくる」と言う表現が一般的かもしれませんが、個人的な臨床反応及び臨床像を見る限りでの推論では、「その個人の弱いところ~」と言うよりも、その人間の個が所有する脊椎高位の可動性の高い部分から派生している神経系症状が色濃く出ていると言う印象を受けると先日書きました。自由度が高い程、その部位の損傷率も高度になるのは自然発症性の凡ゆる症状でも同様かもしれませんが、皆が皆、健常な背骨を持っている訳ではありません。経年により構造的な変形を呈している人もいるでしょうし、先天的に変形している人もいるでしょう。
その為、どれがどれ、と言う話も推測の域を出るものではありませんが、ジストニアのような強度な硬直ではなく、例えば手指の強張りや上肢下肢の痛み等の由来が当該脊椎高位の痛覚を感知するレセプター近傍で症状が改善するとすれば(ポリモーダルレセプターでは無く)、それならば中枢神経系の症状はどうなのか、と言う事でもありますが、向精神薬云々関係なく、例えばそのような過去背景がない人でも、何故、その人は難聴や耳鳴りになったのか。何故、その人は頭痛や頭鳴となったのか。何故、その人は急に副鼻腔炎のような症状になったのか。
このように、何故、その人はアレコレと、皆異なる中枢神経系症状を呈するのか、と言うのも又不思議なものです。これが服薬背景のない方で、且つ整形領域疾患であれば何となく本人も原因は掴み易いものです。抹消領域で最も負担が強いられる動作には2つあると思い、それは同一姿勢の継続と反復運動の継続が挙げられると思います。これを繰り返す事で、当該部位の暴露時間も増えれば摩擦炎症牽引等々により脆弱性は増し、何れ当該個人の耐痛閾値を超えた時に症状として自覚する事になるでしょう。
では、中枢神経系は何故?と言う疑問も浮かびます。大音量で音楽を聴き続けなくても難聴や耳鳴になる人もいますし、頭痛や頭鳴になる人もいます。
そして検査をしても異常なしで、当該薬物にも反応しない。全く原因が分からないのに生じる症状だから分からないを定義としているのですが、分からないを定義としたままであるから向精神薬処方となるもので、その継続服薬によりリスクが上回ると言う話は前々からしてきたつもりではありますが、さて、何故このような状態になるのかというのを知り、そして改善策を獲得しなければ、何時まで経っても堂々巡りにも感じるものです。
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本態性高血圧・動悸・頻脈・のぼせ・ほてり・顔が熱くなる・微熱・頭が重い・偏頭痛・めまい・ふらつき・耳鳴り・耳がよく聞こえない・音が大きく聞こえる・涙が出る・光が眩しい・瞼がけいれんする・声が出ない・どもり・口が渇く・顔色が黒ずんで悪い・胸が苦しい・胸がつかえる・胸が痛い・のどがつかえる・飲み下し困難・食物を飲み込む時に違和感がある・息が詰まる・のどが締め付けられる・ぜんそく・背中が痛い・胃の調子が悪い・胃潰瘍・大腸の調子が悪い・ガスが出る・便秘・下痢・慢性疲労・倦怠感・肩こり・冷え性・手足がしびれる・手が震える・多汗症・夜尿症・頻尿・インポテンツ・性欲が無い・不感症・神経性皮膚炎・じんましん・円形脱毛・生理痛・生理不順・強い不安感(漠然とした不安・特定のことに対する不安)・対人恐怖・人前ですごく緊張する・他人の視線が気になる・自分の視線が気になる・赤面恐怖・表情恐怖・体臭恐怖・外出できない・乗り物恐怖・高所恐怖・閉所恐怖・先端恐怖・不潔恐怖・確認癖・視界が気になる・イライラする・怒りっぽい・無気力・落ち込み・睡眠障害(眠れない・早朝覚醒)・集中力が無い・記憶力の低下・悲観的に考える・すぐに悲しくなる・暗い・死にたくなる・摂食障害(拒食症・過食症) 日本心身医学会より
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易興奮性(イライラ・落ち着かない)、不眠、悪夢、睡眠障害、不安の増大、パニック発作、広場恐怖、社会恐怖、知覚変容(痛覚過敏等)、離人感、非現実感、幻覚、錯覚、抑うつ、脅迫観念、妄想的思考、激怒、攻撃性、易刺激性、記憶力、集中力の低下、侵入的記憶、渇望、痛み・筋肉の凝り(四肢、背中、頸、歯、顎)、ピリピリする感覚、痺れ、感覚の変容(四肢、顔、胴体)、脱力(下肢に力が入らない等)、疲労感、インフルエンザ様症状、筋肉がピクピクする、ミオクローヌス、チック、電気ショック様感覚、震え、めまい、朦朧感、バランス失調、霧視(ぼやけて見える、目がかすむ)、複視(二重に見える)、眼痛、ドライアイ、耳鳴り、過敏性(光、音、触覚、味覚、嗅覚)、消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、嚥下)、体重の変化、口渇、金属様味覚、嗅覚異常、潮紅、発汗、動悸、過呼吸、排尿障害、月経異常、皮膚発疹、かゆみ、ひきつけ ベンゾ系離脱症状群より
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例えば上記症状の原因部位の多くは中枢神経系機能の破綻からくるものだと推測され、そして臨床反応上からもその推測の信頼性は高まるものかもしれませんが、何故、この人がこの症状を、と言う所迄は現段階では分かりません。皆が皆、全ての症状を同じように発症する訳でもありません。様々な外的因子による誘導性、変動性の症状もあるでしょう。基礎的な免疫や代謝の問題、栄養摂取状態の問題もあるかもしれません。極めて微細な細菌やウイルス感染を由来とするものもあるでしょう。
しかし、これらを除外したとしても、やはりミクロな神経損傷や当該部位の極めて微細な栄養欠乏に伴う細胞仮死状態から発症した凡ゆる症状を厳密に見極める事が容易に出来る検査機器の登場を待ってからでは流石に日が暮れる事も分かるものですし、仮に可視化が可能になった時代が来たとしても、それが原因だったと判定するには治療をしてみなければ結局は分からない世界でもあると言うのも、臨床的な疼痛学問が進み難い一因でもあるのかもしれません。


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イメージ 1 ~針治療から病態定義の見直しを~