藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

HPVV接種後に起きた有害反応に対しての症例


少しでも参考になればと思い、私が2014年2月から携わった症例を1件挙げます。


※掲載及び内容に関しては、事前許可を得た上で掲載しています。
Sex f  age14 
全身の痛み 体全体がガクガクする 右上肢・右下腿のチクチク感 左鎖骨部痛 殴られるような頭痛 左腰部痛 視力低下 皮膚感覚鈍麻(右半身のみ) 就寝中の不随意運動 脱毛 便秘 お腹の張り お腹がビクビクする 足の冷感 右膝が崩れ落ちる感覚 右手で箸が持てない
リズミック メインテート ロキソニン(とん服) ※抗てんかん薬(薬剤名不明)も当初は処方されていたようだが、飲むと具合が悪くなると言う事で1ヶ月程度の服薬で終了している
2012/6
1回目の接種後、38.9~40℃の高熱が続き、8~9月に検査入院となる。血液検査やMRI等にて異常なし。検査機関で「心因性」と判定。
2012/9
2回目の接種。38~39℃の高熱は継続。この頃より身体が動き難くなる。
2013/1
3回目の接種後、同年3月より痛みが全身に走り動けなくなる。その後、冒頭の諸症状が惹起される。全身の痛み 体全体がガクガクする 右上肢・右下腿のチクチク感 左鎖骨部痛 殴られるような頭痛 左腰部痛 視力低下 皮膚感覚の鈍麻(右半身のみ) 就寝中の不随意運動 脱毛 便秘 お腹の張り お腹がビクビクする 足の冷感 右膝が崩れ落ちる感覚 利き手の右手で箸が持てなくなる
2013/3
これらの症状により登校が出来なくなる。歩行が不可能となり同年11~12月まで車椅子使用。杖を外して歩こうと思えば歩けるが、右足が出し辛く、転倒を繰り返す為に杖を使用している。杖を外すと歩行状態は著しく悪い。

初診時のヒアリング
右上肢・右下腿の疼痛憎悪感や不随意運動が頻発するタイミングは、疲労時に強く起きるとの事。現在(2014/2)、毎日のように登校は出来ないが、所属している部活動(運動部)に見学で顔を出す時は階段昇降が多くなり、当該患者にとっては運動量が多くなる日に諸症状が強くなる。右半身の感覚は全体的に「遠い」と表現される事から、痛覚に異常が起きているか。温冷覚は正常。皮膚は全体的に硬く厚い。HPVV接種後に視力低下が著しく、当院の受診迄の期間に眼鏡を2回変えている。
2014/2 初診
針治療中、右上肢・右下腿の疼痛は消失。その他の症状は治療直後変化なし。歩行状態に関しては、針治療の痛みが残存する事から後日観察となる。左腰部痛は比較的外側の限局した疼痛の為、腎結石も疑う。発熱は持続している(朝低く、夜高い)。※左腰部痛に関しては、現段階では加療せず右半身のみの治療
2014/2 2診
初診後の経過を伺うところ、治療後から3~4日間は上肢・下腿の疼痛は皆無に感じられた模様。3~4日目以降に再燃傾向となるが、以前のに比べれば発症頻度は減少傾向。皮膚感覚の鈍麻に関しては、右下腿は若干改善されているものの、他部位は改善自覚なし。頭痛、左鎖骨部の痛みなし。以前出来なかった片足立ちが出来るようになる。歩行は徐々に安定し、やや早歩きも可能となる。膝崩れの不安が無くなる。2診目の治療直後の歩行状態に関しては、初診時と同様、針治療の痛みが残存する事から後日観察となる。※左腰部痛に関しては、現段階では加療せず右半身のみの治療
2014/2 3診
2診目以降、上肢・下腿の疼痛はなし。2~3診迄の期間、杖を外して歩行を試みるも平地で4回転倒する。2~3診迄の期間、左鎖骨部の痛みが1回出る。頭痛は時折出るが弱い。不随意運動は現在見られない(注 当該患者の不随意運動に関しては、就寝中のみに起きていた為、あくまでご家族の方がご覧になった限り)。皮膚の感覚鈍麻は改善。左腰部の限局した痛みはいつの間にか消えていた(当院ではこの時、左腰部の痛みには加療せず右半身しか治療していない)
2014/3 4診
3診目以降、小走り以上の事は出来ないが、日増しに歩行に対しての自信が付く。この頃には杖を外して日常生活を送る事が出来るようになり、~3診目迄は杖歩行での来院が、4診目には杖を外して来院出来るようになる。3診目から4診目迄の期間に平地で2回転倒。一時的に右手首にズキンズキンとする痛みが走るが、この手首の痛みが転倒に伴うものかは不明。便秘、お腹の張り、足の冷えは改善傾向。頭痛は時折出る。視力低下は依然変わらず。             
2014/6 5診
4~5診目迄の期間、就寝中に右上肢と右下肢がピンと硬直したようになる。昼夜問わず、右上肢と右下肢(以前の下腿ではなく)の疼痛が出る。全体的に少々状態としては悪いように見受けられる。
2014/6 6診
発熱が改善されている。投与されている薬(リズミック)を飲むことで左胸が痛くなる事に気付く。
2014/7 7診
部活動(運動部)を再開。部活動では問題なく動けている模様。右上肢・右下腿の痛みはなし。両下腿裏に筋肉痛様症状があるが、恐らく、部活動を再開した事によるものと思われる。確かこの日の針治療は、部活動の終了後だったと記憶している。視力低下は依然変わらず。
2014/12 8診
7診目の治療から約2週間経過した同年7月中旬に原因不明で片耳が全く聴こえなくなる。高度な突発性難聴と診断を受ける。難聴治療として、ステロイドパルス×5、高圧酸素治療、鼓室内へのステロイド注入×3を行うも、これらの治療で難聴は改善せず。又、この頃よりHPVV接種後と同様の疼痛や不随意運動等が再燃する。この時から併行して難聴改善を目的とする治療を行う。針治療直後の難聴の改善自覚なし。
2014/12 9診
右上肢及び右下腿に全般的な痺れが出ている。針治療直後の難聴の改善自覚なし。
2015/1 10診
前回の針治療後より、ザワザワと音が聞こえ始める(正確には雑音が鳴り始める感覚となる)。※難聴の回復過程に関しては、過去症例の回復過程と照合し、回復時に雑音が鳴り始める事は事前に伝えていた
2015/2 11診
前回の針治療後より、難聴は6~7割程度の回復。左側の頭痛。右腰部痛。
     
2015/7 12診
同年、高校へ進学。難聴は前回の針治療後、10割の改善となるも、同年5月より、今度は反対側の耳が3~4割程度聴こえなくなる。頭痛あり。上肢及び下腿の疼痛や不随意運動はなし。右下腿の皮膚感覚が若干「遠い」模様。視力低下は依然変わらず。


※掲載のご承諾と内容のご確認を頂く為にご連絡を差し上げたところ(2016/11/10)、聴力は両耳とも回復しているとの事。視力低下は依然変わらず。

※今にして思う所感
HPVV接種後の症状を呈するパターンは大きく分けて2つあります。1つは接種直後から急激に諸症状を呈していくパターンと、もう1つは、接種後、ある程度の期間を経てから諸症状が引き起こされていくパターンです。
個人的な見解ですが、前者の場合、重症度は比較的高い印象と傾向を持ちますが、接種直後から発症したと言う事で、患者及び患者ご家族も時系列を追い易く、早い時期で治療に取り掛かれた例だと思います。勿論、どのような手段を取られるかに関しては千差万別かと思いますが、この場では言及しません。
今内容はHPVV接種直後から明確に症状が惹起された諸症状である事や、HPVV症例は他症例と比較すると極めて少数且つ特殊な部類に入る為、針治療直後の結果や後日結果の予測が全く立たず、どうなるか分からないと言うのが正直な気持ちで当時は治療を行っていたと記憶しています。ただ、問診時で1つだけ突破口を感じたのは今でも記憶にあり、それは運動量(疲労度)に比例し症状が憎悪すると言う部分です。
他、今件で特筆すべき点は、疲労度の比例に伴い、不随意運動や疼痛憎悪の自覚があった事と、難聴(突発性難聴)を発症した際に、難聴治療として行ったステロイドパルス×5と、鼓室内へのステロイド注入×3の後、HPVV接種直後の諸症状が再燃した部分です。
他のHPVV接種後の症状を抱える患者にも共通している事かもしれませんが、結果的に免疫を落とす薬物使用、又は薬物使用がなくても、その時の基礎的身体状態に沿わない程の疲労が掛かると、やはり同様に免疫は落ち、結果として症状が強く引き起こされてしまう部分かもしれません。
今現在、他のHPVV接種後の症状を抱える患者も診てはおりますが、回復過程は100人100様である事を先に述べておきます。疼痛性・非疼痛性症状問わず、様々な諸症状が引き起こされるのは多くの方々が既知されている事と思いますが、治療反応性は各々異なる為、早期に回復する人もいれば、遅延傾向を示す人もいます。
他、今件は血液検査やMRI等の検査で「異常なし」と判定が出ていますが、他の症例では、HPVV接種後に内分泌異常を数値上でもきたしている人もいます。しかし、これが何から由来するものかは現段階では分かりません。先日も記載した通り、個人的な懸念として、HPVV接種後の症状を抱えた後の薬物治療の内容や、仮にもその薬物を止める時、どのような止め方をしたかで大きく変動している印象を受けるからです。
その為、今件の内容は「回復した」と言う事実のみを汲み上げるのではなく、症状憎悪のタイミングや、症状再燃の理由等も踏まえてご覧になって頂ければと思います。「少しでも良くなりたい」と切実に願う方の参考にでもなればと思い、1例を挙げました。

参考関連(クリックでリンク先にジャンプします)


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