藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

通常医療と代替医療の垣根/統合医療化が困難な理由


通常医療と代替医療の垣根の最近の事情は詳しく知りませんが、通常医療内に組み込まれている代替医療的資格保有者と言うのは柔道整復師鍼灸師あん摩マッサージ指圧師かと思います。確か何かやっとけば保険の加算が取れます。
無免許も含まれて名前貸ししている所も随分あるようですが別に私は言及しません。どうせ病院に入ればやることは一緒です。後々書きますがリスクを取らない手段であれば別に免許は要らないのです。法的にどうかは知りませんが。
恐らく、この辺に従事している場合、医者が出す薬に文句は言わない(言えない)でしょうし、代替医療的治療手段の作用と、患者の飲んでいる薬の作用が逆行してようが言わない(言えない)。取り敢えずベッド並べて揉んどきゃ済みます。
リスクを取らない(取れない)のも、雇われと言う立場であれば仕方ありません。自身の保身を考えれば、患者1人を救う度にクビになっていればキリがありません。「ウチの医者が出した薬止めて」と言おうもんなら誰が飛んでくるか分かりませんがクビは飛びます。
そのようにして、リスクを取らず曖昧で甘甘な言動にならざるを得ませんが、取り敢えず電療も物療も関節を縮めたり伸ばしたりも加算されます。だから盛大に盛り込んでいくのですが、疑問に思わない患者も少なくありませんが、内部で従事している人間は疑問に思っているかもしれません。
さて、非雇われの、上の指示を要しない自由治療が可能な立場とて弱さと強さ、短所と長所もあります。スタンス上、西洋医学的治療(薬物治療やtrpブロック、手術等)で奏功しない患者層が厚くなる為、術者側が治療箇所を選定する際にも、
過去の治療手段を聴取する事により処置部位が絞られてくる⇒結果を出し易いと言う側面もあります(個人的に)。後医が名医になれる理屈に通じるものもあるかもしれません。その逆に、代替医療のスタンス上の弱みとし、既成概念による疾患論を医療機関で教え込まれ、且つ、薬物治療や手術と言う手段が残存している場合、少しでも再燃したら、即座に医療機関の指示を仰ぎ、薬物治療や手術を行う、と言うケースが散見されます。
代替医療と言う狭いカテゴリ問わず、一般患者の多くは多数派を好み、多数派に所属し、多数派である事に安堵し、多数派で行われている手段が正しいと思い込みがちですが、現実はどうでしょうか。皆して早死にに向かっているように見えるのは私だけでしょうか。
とは言え、数を集めれば良い、数を集めれば解決出来ると言う内容でもありません。代替医療の統合は、共通言語化が難しい⇒感覚的・経験則が色濃い⇒術者が異なれば再現性や確証性の低下に繋がり易く、障壁も大きく感じるものです。
しかし、これも通常医療でも同様な状態です。人が異なれば見立ても治療手段も異なる。治る場合もあれば治らない場合もある。人の命や人生ってのは変動性と不安定性が高い世界です。そこの確証性と再現性を極めて高く保持して低リスクで発展させて行くというのは骨の折れる作業かもしれず、個々に異なる身体状態との対峙は不確定要素も高いものです。そしてこの作業や検証は実は集団になっては出来ないもの。なんてったって人間には個体差がありますから反応性もバラバラ。
そんな世界であると言う前提で選択してもらいたいもの。
恐らく一般患者にとっては常に第一選択肢の治療手段を望んでいるものです。その第一選択肢と言うのが現状であれば薬物治療なのかもしれません。その為、その多くは単剤多剤問わず第一選択肢を抱えたままで他の手段をチョイスし始める傾向も強いものですが、
何があっても手放さない姿勢でいる第一選択肢の薬物が一番の治癒遅延の懸念とリスクを孕んでいる事に気が付くには相当の期間を経て、実際に有害事象に発展してから(もしくは気付かないまま一生)かもしれないですね。
それらの症状を薬剤性とするか元疾患の悪化とするか他疾患の発症とするかは扠措き、大体にして、自由度の高い謎めいた中枢神経系の諸症状を併発した場合、一番のリスクファクターを考えれば普通は薬物を疑うものですが、
改訂ごとに増えていく精神病名も其れくらい自由度の高い症状を包括出来ているのと、それにヘイヘイ言いながら薬物を増量されても疑問に思わない患者が問題。精神病名を告げられて治る訳がないし、向精神薬を飲んで治る訳がない。精々長い目で見た場合、その先で起きる事象はドッタンバッタンの末の鎮静です。

向精神薬の肯定派と否定派は議論が平行線を辿るのは今に始まった事ではないのだが、私自身のスタンス的には否定派よりかもしれない。
そもそも、向精神薬批判をする多くは、その過去に向精神薬を服薬し、大変な想いを持った過去を持つ方々だと思うが、向精神薬を飲んだ事もない私がこれ程迄に書き続けていると言う事も僅かながらも汲んでもらいたい部分だ。
それ程迄に、向精神薬を中長期的に服薬した場合、回復過程に於ける安定性や速度と言うのは混沌とし、更に患者は患者周囲の人間を巻き込む事態に発展する、と言う面倒な状態に陥るのである。
否定派よりの理由と言うのも、向精神薬を中長期的に服薬した場合、症状の鑑別が付けられず、且つ向精神薬が由来となる症状の場合はズルズルと長期に渡り尾を引く事になる事が問題であるからかもしれない。
その為、手術前のみと言うような短期使用に限る用いられ方をされ、知らずの内に服薬していなかった的な事柄に於いては別に言及するつもりもないが、一度でも、このような緊急性の高い事象以外の日常生活を送る上で自然発症した自律神経症状や整形領域症状患者を対象に投与された向精神薬の類に関しては極めて否定的な姿勢となってしまう。
特に整形領域は向精神薬を服薬してからの時系列が簡便に追える事が出来る為、治療過程で元々の整形領域疾患が略治可能となる迄に改善したとしても、向精神薬由来の症状(副作用や常用量離脱と思しき症状)が高確率で残存し続け、
かと言って、向精神薬の有害性を既知としない患者にとっては、取り敢えず「飲めば気持ちいい、飲めば痛みが和らぐ感じがする」とベネフィットを初期的に感じた経験から、結果的に中長期的な服薬に移行するケースが後を絶たない。
その後、患者自身も薬を飲み続ける事が当たり前であり、飲んでいるから現在の(整形領域)症状で落ち着いていると思い込み、まるで何処で刷り込まれたのか「死ぬまで飲み続けるもの」と都合良く解釈してしまう場合も散見される。
その末、整形領域の疾患と言えば、多くは筋骨格系疾患等になってくるものだとは思うが、向精神薬の多くの副作用や常用量離脱の内容は如何だろうか。
筋肉は硬直し、緊張し、痙攣し、まるで整形領域範疇で他疾患が生じたと誤解する患者も多く、且つ、その情報を持って再度掛かり付け医等に相談すれば、向精神薬が増量されるか、写真を撮って器質的異常が生じていれば手術をされ⇒治らない、と言う道程を辿る患者も実は少なくない。
当たり前の事だが、薬物が原因で筋硬直や筋緊張、筋痙攣が生じているのであれば、薬物を増量しても手術しても原因は取り除かれる事はない。
それでも尚、このような傾向が後を絶たないと言うのは、やはり向精神薬の反応性が如何なるものかと言うのも周知不足であると同時に、短期的には向精神薬の増量で症状が落ち着く⇒現症状の悪化だった、と言う短絡的な図式に当て嵌めてしまう事も1つの問題だと思う。
ここで多くは大きく2群に分けられる。1つは「好きで飲んでいる」群と「止めたいけど止められない」群である。前者は基本的に自身の思考により好きで飲んでいるのであれば、治療の対象とはならない。原因を取り込み続けたままどうにかしたい、と言うのは厳しい表現かもしれないが無いものねだり、と言うものである。
後者に関しては回復の余地は十分ある。処方医との関わり方、関係性から減薬に事を運ぶ手段を講じられるし、仮にも処方医が俺様気質の場合なら理解のある他医へ流す事も出来る。
そして徐々に向精神薬の減薬時に起きうる可能性のある事象を学びながら進行させていけば、仮にも減薬過程で離脱症状と思しき症状が出たとしても、患者の精神衛生上は保たれるものである。
そのように、多くの患者は回復過程での情報を欲している事も現場感覚としては鋭敏に感じるものであるが、他者誘導が極めて強い場合も案外少なくない。
向精神薬のみならず薬を服薬する、と言う行為に対して積極的であるのは、医療従事者よりも一般患者のほうが未だ根強いものである。そのように考えると、患者のみならず患者周囲の協力や理解も回復過程では絶対に必要である事も伺える。
その為、以前も書いたかもしれないが、精神衛生上も回復過程も比較的安定しているのは1人暮らしの患者が多い。これが地方と都市部での回復速度の差に影響しているのかもしれない。多くの高齢者は未だに薬物に対して信奉性が高い。
これは情報を得られる場所が限られているのも1つの原因かもしれない。このように、薬物治療の信奉者と共同生活を送らざるを得ない環境下の患者であれば、人間関係の歪みから精神衛生も悪く、スムーズに事が運ばない事も多く見受けられる。他は、恐らく患者以上に患者の症状を理解していると言う、悪い意味での親心もあるかもしれない。
しかし、これらも考えてみたらよくよく分かる事だが、患者が抱える症状は患者しか分からないのだ。私も含めだが、外野がアレコレと患者の訴える症状に対して決めつけていく行為ほど愚かなものはないと思う。様々な可能性を秘めての現在の症状である、と言う考え方をすれば、患者に教えられる事ばかりである。
取り分け、治療ベッドに寝てれば何とかなる訳ではない向精神薬由来と推定される症状を持つ患者群と言うのは、治療反応性も特異的であり、治療部位によっては極めて厳しいリバウンド様症状に苦しむ場合もある為、相互に反応性を既知している必要もあり、患者自身の理解力も必要となる。
それを1つ1つ紐解いていく必要性もある為、只でさえ向精神薬由来で苦しいと言うのに、新たな知識を入れていき、待ち構える離脱症状に耐えうる精神力と体力を要すると迄考えれば、確かに面倒臭い。今までは薬を口に放り込んでおけば済んだからである。
それでも物事は見方を変えれば実はどれもこれも同じようなもので、ケガをするのは一瞬かもしれないが、治る迄には時間が掛かるものである。向精神薬由来の症状とて、短期間の服薬、低力価、単剤であれば早期に脱出出来る可能性もあるが、長期間、高力価、多剤であれば脱出する迄の時間は長期間に及ぶ、と言うだけである。
確かに、過去の処方内容に対して今さながら恨み節を医師や製薬会社にぶつけたくなる気持ちも分からないでもないし、訴えたい気持ちも分かるが、残念ながらこの国は致死量を超えた処方をされ、患者が死んだとしても患者は負ける国である。
そのように考えると無念であるかもしれないが、時として気持ちを切り替え、自身の回復に時間を費やし、専念する必要はあると思う。誰かを訴えたければ回復してからである。先程の通り、早期段階であれば早期回復出来る。
これは全ての物事に於いて言える事かもしれないが、仮にも今、向精神薬に対して嫌疑的な意識が僅かにでもあるのであれば、それがきっと減薬するタイミングとチャンスなのだと思う。こんなちっぽけなラムネみたいなものに人生を左右されるような時間とは決別したほうが良い。

現行医療の多くの窓口では、向精神薬の副作用や常用離脱の存在は無きものとしての現象として扱われがちである為、様々な傷病名を背負わされ、副作用や常用量離脱すらも、疾患の悪化、他疾患の併発とされる可能性が極めて高い為、更なる向精神薬の増量と言う悪循環が生まれ続けている。
情報収集能力に富む年代であれば、早期脱却の可能性もあるが、情報を収集出来ない環境、又は情報の取捨選択が出来ないような誘導行為(医療従事者である事の有無問わず。患者家族も含め)が絡む場合、限りなく向精神薬からの脱却は困難を極める。
向精神薬からの脱却には幾つかのハードルが存在すると思う。情報を取捨選択出来る能力を有し、他者誘導に負けない程の知識を患者自身が備え、且つ、減~断薬時に於いて高率で発生する離脱症状との向き合い方が無ければ、簡単に再服薬の道を辿り、降り出しに戻る。
そのような患者は散々見てきたが、あまりの離脱症状の辛さに精神力や体力が持たない為、再服薬したのは確かに残念な事であるが、それは患者にとっても無念な想いでの再服薬だったかもしれない事を考えると、一概に再服薬した事に対して批判的な視線は送れないとは思う。
時として急性的に強い離脱症状が発症した場合(大概は減~断薬の速過ぎた為に起こるものであるが)、過去と同量を服薬しても症状が落ち着かない事もある。それ以上の量を服薬しても落ち着かない事もある。
このように、再服薬後に何れ位の量を飲み直しすれば、以前と同様のラインに持っていけるかは不明な為、減~断薬時は極めて慎重に行うのが肝要なのかもしれないが、その多くは「向精神薬を飲んでいる」と言う事実に急激な不安を覚え、減~断薬を急いでしまうケースが見られる。時として処方した医者が著しい速度で減~断薬する時もあるかもしれないが、それも事前に患者が知識として備えていれば特段問題はないとは思う。
冒頭にも書いた通り、現行医療の多くの窓口は、向精神薬の副作用や常用量離脱の存在は無いものとして扱う風潮がある。その裏側の理由は個々により異なるかもしれないが、薬剤性として扱う事になると後々面倒臭い事になるのは素人でも分かると思う。その理由も含まれているかは知らないが、新たな症状が出れば、それが薬剤性の可能性が極めて高くても、それを疾患の悪化、他疾患の併発と傷病名を増やしていける程の傷病名も星の数程存在する。
とは言え、傷病名が増えたからと言って、それが治癒に直接的に結び付く根拠も存在せず、無論、向精神薬が増量されたからと言って治癒に結び付く事もない。今現在、向精神薬にベネフィットを感じている方々も、中長期的将来に待ち受ける事象の多くは耐性獲得⇒常用量離脱の発症⇒向精神薬の増量のサイクルにより、最後は制御不能となる。
勿論、そのような未来予想図を知っている医者も少なくない為、これらの説明をし、患者への処方を制限しているケースも時として見受けられるが、このように、現行での薬物に対してのメリットが充足出来ない環境及び状態にいる患者群に対しては早期減~断薬の指示を出してもらいたいと切に願っているが、
やはりその多くは薬を出してコンロトールするよりも、薬を減らしてコントロールする事の難しさを既知しての事なのかもしれない。ここまで至った場合、最早患者自身で判断して減らしていくしかない。幸いにも先人患者が薬を減らす事の困難さは十二分に教えてくれてはいるが、全ての患者が不可能ではないと思う。
只ひたすら根気がいる、と言うだけの事である。それが何ヶ月何年続いてしまうかは分からないが、強い動機が備わっていれば意外にもスンナリ乗り越えられるものであるし、離脱症状群を既知していれば、時として日常生活に支障が出る程の状態に悩み苦しんだとしても、何も知らないよりは精神面では楽かもしれない。
副作用や常用量離脱と言うのも多彩な症状を出し、何でもアリな状況の為、一体どの症状が自然発症性で薬剤せいかと判定するのは非常に困難であり、且つ、自然発症性の自律神経系症状や整形領域症状も経時経年で起きる可能性もある為、
判定には困難を極めるが、仮に由来が何であったとしても、患者は症状に苦しんでいる訳なのだから、告げられた傷病名如何関係なく、症状改善を見越す手段、包括度の高い手段を考察しなければならないと思う。
復習がてら、以下は再掲となるが「抗うつ薬等の副作用」を見てみる。今回は分かりやすく「筋肉」と言う部分に絞った。これらはあくまで「副作用のみ」である。この他に常用量離脱も存在する。折角なのでベンゾ系の主作用も振り返ると「抗不安作用」「睡眠作用」「筋弛緩作用」 「抗痙攣作用」「健忘作用」であり、これを中長期的に服薬し続け、耐性が獲得された場合は何が起きるかと言うのも目星が付くとは思う。簡単に書けば逆転現象であり、「不安になる」「眠れない」「筋肉が硬くなる」etc…。

以下「抗うつ薬等の副作用」
A)副作用
B)妊婦,産婦,授乳婦等への投与
サインバルタ】(抗うつ薬)
A)関節痛 筋痛 肩こり 筋痙攣 筋緊張
B)呼吸窮迫 チアノーゼ 無呼吸 発作 体温調節障害 哺乳障害 嘔吐 低血糖症 筋緊張低下 筋緊張亢進 反射亢進 振戦 ぴくつき 易刺激性 持続性の泣き
ジェイゾロフト】(抗うつ薬)
A)不随意性筋収縮 背部痛 関節痛 筋緊張異常(筋硬直、筋緊張亢進、筋痙攣等)
B)呼吸窮迫 チアノーゼ 無呼吸 発作 体温調節障害 哺乳障害 嘔吐 低血糖症 筋緊張低下 筋緊張亢進 反射亢進 振戦 ぴくつき 易刺激性 持続性の泣き
ルボックス】(抗うつ薬)
A)関節痛 筋肉痛
B)呼吸困難 振戦 筋緊張異常 痙攣 易刺激性 傾眠傾向 意識障害 嘔吐 哺乳困難 持続的な泣き
トレドミン】(抗うつ薬)
A)筋緊張亢進
B)副作用の記載なし
パキシル】(抗うつ薬)
A)緊張亢進
B)呼吸抑制 無呼吸 チアノーゼ 多呼吸 てんかん様発作 振戦筋緊張低下又は亢進 反射亢進 ぴくつき 易刺激性 持続的な泣き 嗜眠 傾眠 発熱 低体温 哺乳障害 嘔吐 低血糖
【レクサプロ】(抗うつ薬)
A)関節痛 筋肉痛 肩こり こわばり
B)呼吸窮迫 チアノーゼ 無呼吸 発作 体温調節障害 哺乳障害嘔吐 低血糖症 筋緊張低下 筋緊張亢進 反射亢進 振戦 ぴくつき 易刺激性 持続性の泣き
【チャンピックス】(禁煙補助剤)
A)筋痛 筋痙攣 関節硬直 関節痛 背部痛
ストラテラ】(中枢神経刺激剤)
A)筋痙縮
コンサータ】(中枢神経刺激剤)
A)筋緊張 関節痛 筋痙縮 筋痛 四肢痛 筋攣縮

機能的な症状として対称性の疼痛が高率であり、対称性の症状惹起時期に関しては、発症時期も同時であるケースが高い。整形外科的疾患からイメージした場合、頚椎症性脊髄症に近く、発症部位が両手指、両足趾、両前腕、両下腿、両上肢、両下肢、両肩頚等が左右差なく呈している場合、他、整形領域様症状である各脊椎高位神経根症状や頚椎症性脊髄症が疑われる症状、日内変動や日差変動の著しい(固定している場合もある)各種自律神経症状、且つ向精神薬の服薬がある(あった)場合。
一見、多発性筋炎、多発性神経炎、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン、ギランバレー等の自己免疫疾患と類似してくる諸症状を呈する場合や認知症様症状、ALS様症状、パーキンソン様症状、他、多くの脳疾患由来と推定される症状を呈する場合も見られる。
しかしながら各種検査が陰性であり異常がない故に、線維筋痛症慢性疲労症候群むずむず脚症候群、複合性局所疼痛症候群等と診断されている場合、アイザックス症候群様症状、スティッフパーソン症候群様症状との類似性の高度も他、明確な所見を示すパーキソニズムやアカシジア、ジスキネジア、ジストニア、過鎮静、ファシクレーション、極度な不安感、極度な焦燥感、アクティべーションシンドローム等々の明確な薬剤性由来の症状が惹起されていれば即時的に判断は付き易い。
向精神薬の作用上、脳神経系伝達物質に反応を来す為、自然発症性の自律神経系症状と極めて類似性も高く、日常生活に多大な影響を及ぼし、後述するが、初期から高力価、多剤で処方されるケースは少なく、耐性獲得に伴い増量されていく事で緩徐に症状を呈し始めるケースも少なくない。
外的刺激に対して疼痛閾値の極端な低下や上昇状態は明確に見られる。頭痛、原因不明の視力低下、異常発汗、ホットフラッシュ、めまい、耳鳴り、難聴、立ちくらみ、胸の締めつけ、喘息のようなセキ、飲み込みづらい、喉の違和感、不整脈、息苦しさ、季節に関係ない手足の冷え、下痢、便秘、生理痛、生理不順、頻尿、閉尿、夜尿症、勃起障害、慢性疲労睡眠障害、うつ症状等々は薬物由来でなくても発症する。
~主な精神症状及び身体症状~
易興奮性(イライラ・落ち着かない)、不眠、悪夢、睡眠障害、不安の増大、パニック発作、広場恐怖、社会恐怖、知覚変容(痛覚過敏等)、離人感、非現実感、幻覚、錯覚、抑うつ、脅迫観念、妄想的思考、激怒、攻撃性、易刺激性、記憶力、集中力の低下、侵入的記憶、渇望、痛み・筋肉の凝り(四肢、背中、頸、歯、顎)、ピリピリする感覚、痺れ、感覚の変容(四肢、顔、胴体)、脱力(下肢に力が入らない等)、疲労感、
インフルエンザ様症状、筋肉がピクピクする、ミオクローヌス、チック、電気ショック様感覚、震え、めまい、朦朧感、バランス失調、霧視(ぼやけて見える、目がかすむ)、複視(二重に見える)、眼痛、ドライアイ、耳鳴り、過敏性(光、音、触覚、味覚、嗅覚)、消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、嚥下)、体重の変化、口渇、金属様味覚、嗅覚異常、潮紅、発汗、動悸、過呼吸、排尿障害、月経異常、皮膚発疹、かゆみ、ひきつけ
~主に臨床現場で高頻度で見受けられる症状~
「顔面や背部が重い」「頸部や背部に雑巾を絞るような痛み、抓られるような痛み」 「背部が引き下げられる感覚になる」「顔面が詰まる感覚になる」「微熱の持続」「涙が出る(もしくは涙が出そうになる感覚が持続する)」「頭痛(側頭部~頭頂部~後頭部)」「耳鳴り(耳閉感も含む)」「飛蚊症」「ドライアイ様症状」「強い不安感」「強い孤独感」「両鼻共、空気は通るのに鼻が詰まった感覚がする(副鼻腔炎様症状)」「粘膜出血」
「体内(もしくは頭部)に熱がこもる感覚」「目を常に押し付けられている感覚がする」「顔面や背部が硬直するような感覚になる」「異常発汗」「口が苦くなる(金属臭や味覚障害的症状も含む)」「血圧の異常上昇」「下肢が重い」「下肢が落ち着かない」「背中を押される、若しくは引っ張られる感覚」「手指・足趾の強張り」「アロディ二ア」「動悸」「睡眠障害」 「生理痛」「胃腸障害(腹痛・便秘・下痢・便秘と下痢を繰り返す)」「過食」「食欲不振」「集中力低下」「思考低下」
脳神経系機能の異常や自律神経系機能の異常、自律神経系異常が伴う内臓機能異常、運動器疾患を彷彿とさせる末梢神経系異常の類に関しては、患者自身が薬物由来であると自覚出来る状態というのは、服薬後間もなく生じた異常により、自己判断出来るレベルである為、長期服薬で発生した種々の副作用や常用量離脱は判定し難いし、判定してもらえないケースが圧倒的に多い。
自然発症性の症状に対して向精神薬が処方されるケースが最も高いと思われるが、これらの自然発症、要は服薬せずとも自身の恒常性で治癒へ向かう可能性のある病態に対し、強制的に分泌物質の変動が及ぶ為、服薬し続ける為に病態が混沌としてくる。
線維筋痛症慢性疲労症候群、血清反応陰性関節炎の類に関しては今件では言及しないが、治療反応も異質性の高い向精神薬由来の反跳性筋硬直に関しても、治療中及び治療直後、患者によっては数日間のVAS値の著しい減少が伴い日常復帰出来るケースは多いのだが、
症状惹起の傾向としては類似性が高いのは先述の通り頚椎症性脊髄症や脳血管障害後の視床痛が挙げられ、治療反応も同様な反応を示すものの、向精神薬由来の場合、症状改善に伸びがない事が最も治療現場では敏感に感じる部分である。病態として多発性硬化症を例に挙げる人も多いが、多発性硬化症のように改善と寛解のサイクルが向精神薬由来の症状の場合、あまり見かけない。よくよく経過を観察すると異なる事が分かる。
しかし、離脱症状の急性期にも関わらず、治療中や治療直後には著しい改善自覚を得られているという事実と、その刺針箇所から鑑み考察した場合、症状惹起の原因部位はあくまで脳神経機能や脳幹部の機能破綻と言う、中枢の異常に伴う症状である事には変わらず、未だ解決に至っていないのが本音である。多くの患者は手指や足指等のあくまで末梢部の症状を日常生活では不便であると自覚する為、視点は末梢部位(遠位)に行きがちではあるが、
体幹部位も硬直している事には変わらず、治療から判断する逆視点から見た場合でも、脊髄に極めて近位な部位への刺針箇所の選定にて手指や足指等の症状の改善も得られる事から考察すると、やはり甚大な筋硬直が体幹にも及んでおり、それに伴い脊椎近辺部の軟部組織の硬直から派生する椎間孔部位での狭窄、整形外科的に言えば椎間孔狭窄や
神経根症、後根神経節由来の症状が全脊椎高位で生じていると推定してもおかしくはない現象である。純粋な整形外科領域とて単根での損傷にも関わらず厳しい症状を抱えていると言うのに、これらが多根性に渡って損傷を受けているとイメージすれば、何れ程の疼痛に曝されているかが分かると思う。
末梢部位の諸症状と(この場合、上肢や下肢、体幹部での疼痛や痺れ、皮膚知覚異常、知覚鈍麻、温冷感異常、脱力、硬直等々)、中枢部位の諸症状(この場合、脳神経系機能異常や脳幹部異常)を一旦分別して考えた場合、刺針部位の選定も容易につくものではあるかもしれない。
問題なのは、この手の中枢神経系の機能異常を生じた諸症状を呈している患者群、特に向精神薬由来の諸症状の場合、治療継続に伴う累積結果が乏しいという点が挙げられる。
今件から見えてくるのは、世間一般で呼称されているアロディニアや中枢感作、中枢神経障害性疼痛というワードが出てくると思われるが、中長期的に生じた疼痛に対して「脳が認知した」と言う一般的な考察は異なると思われる。
勿論、痛みは「脳が認知」し、抹消へ信号を送る事にはなるのだが、「脳が痛みを認知し、記憶する」と言う観点が異なるのである。先ずは問題点として挙げられるのは、患者が過去から現在に至る迄に取り込んできた治療内容に著しい身体破壊の伴う治療手段を用いていなかったかと言う点を考察しなければならない。
とある今流行の傷病名の患者群の身体症状の初発の1つに肩頸背部(C1~TH12)の疼痛を初期的に抱えるものがある。では、この身体症状が生じた場合、どのような治療手段を取り込んだかを例にして挙げてみると、指圧マッサージを疼痛発症部位に受ける、針治療を疼痛発症部位に受ける、TrPブロックを疼痛発症部位に受ける、が代表的な例かもしれないが、治療改善自覚の伸びを獲得する為の治療手段では無い。
勿論、これらの治療手段も治療中や直後は他の諸症状と同様に一時的なりにも軽快感は得られるかもしれないが、この手段は間違いである。何故間違いであるかは解剖書でも開いてみれば理解は早いが、末梢部である所謂ポリモーダルの感作に対しての外的刺激は極めて治療効果が弱い。この手の症状に関しては、病態の根本が炎症でも無い為に解熱鎮痛剤の効果も弱く、まだ、この段階では先に挙げたマッサージや針治療やTrPブロックを疼痛部位に受ける事が患者自覚としては高い効果であると感じている。
しかし、これらの諸症状も臨床上の意義としては低く、且つ、中長期的に伴うマッサージや指圧の類を受けていた場合は、受療部位の筋組織の微細な断裂に伴う広範な血腫形成の繰り返しにより、筋組織の柔軟性が奪われ、一層の疼痛閾値の低下が招かれる可能性もある。
疼痛閾値が低下する事で、凡ゆる外的刺激に対しても過敏性を伴う。それは気温や気圧、水道から流れる水温1つとっても以前とは異なる感覚になるだろう。それを異痛症やアロディニアと表現しても良いかもしれないが、ここで再度考察すれば、中長期的に渡って脊椎脊髄近傍部へ強い刺激を加え続ける事が、症状の改善には繋がり難いどころか、症状を憎悪させ続けてしまう一因にもなると推測される。特に頸部への強い圧刺激は簡単に神経機能の破綻を起こすほど、浅層を走行している。
そして、多くの患者は疼痛閾値が低値になった事で日常生活への支障を感じる事になり、向精神薬の処方へと繋がっていくケース散見されるのだが、SSRISNRI、NASSaの類は疼痛閾値を上げる作用もある為、疼痛の軽減を得られている患者もいる事は事実だが、以前も書いたとおり、患者によっては「ナイフで手の甲を切っても痛くない」と言う状態にまで狂わされてしまう事になる。
何れ薬物とて中長期的な服薬が続けば耐性が獲得される為に効果自覚も乏しくなれば更なる増量を求める場合もあり、悪循環である事には変わりないが、即時的に鎮痛を要求する患者の気持ちも汲んで話を進めていけば、あくまでこれらの薬物で軽快感を得られるのは「痛み」だけであると言う部分に対してもスポットを当てて考えなければならない。

多くの患者は単剤処方ではない為、一概にも言えないのと同時に、高齢になるほど代謝遅延によるリスクは一層高まる。勿論、患者にとっては理解が得られ減薬する事を決意したとしても、これらの未知の症状が押し寄せてくる状況下に於いて何処まで耐えられるかという患者依存の体力や精神力も必要となる。シンプルな考えをすれば、服薬し続けている限り治らない。
服薬し続けている限り如何なる治療手段にも強い抵抗性を示す。「薬を飲んで針も受ければ良くなるだろう」という、足し算的な健康獲得を根本的思考として抱えている患者の1番の要因が、「向精神薬の依存性」に由来するものであろう。しかし、事実さえ受け止める事が出来れば、幾らでも回復出来るタイミングとチャンスは存在していると思う。どのような症状に対しても言える事かもしれないが、治癒に至るまでには幾つもの障壁を患者の個人レベル、患者周囲レベル、患者協力者レベルでクリアしていく必要性がある。
そこに治癒遅延を招くような手段を1つでも取り込んでいた場合、仮にそれが周囲の親切心だったとしても治癒にストップを掛けてしまう場合もあり、日常的に易損傷、易発生する諸症状というのは発症時期から時系列に沿った対応を適宜行えば然程難しい問題ではないものだが、
如何せん十把一絡げな処方が症状の長期化を招き、回復にブレーキを掛けた事が症状の強大化、難治化を引き起こしてしまっているのが現状でもある。そのような事がないよう、事実は事実として受け止めてスタートを切らなければならない事も辛辣ながら多くある。

日本ペインクリニック学会安全委員会の有害事象調査より
ペインクリニックで行われる薬物療法ではさまざまな有害事象が発生しているが、その1つとして多剤併用がセロトニン症候群の誘因になることから注意が必要である。東海大学八王子病院麻酔科教授の益田律子氏が日本ペインクリニック学会安全委員会(委員長=札幌医科大学麻酔科学講座教授・山蔭道明氏)が有害事象の再発防止を目標に行っている薬物療法に関する2012~15年の調査結果を日本ペインクリニック学会第50回大会(7月7~9日、会長=昭和大学横浜市北部病院病院長・世良田和幸氏)のシンポジウム「安全委員会企画 有害事象報告神経ブロック・インターベンショナル治療と薬物療法にひそむピットフォール」で報告した。なお、同調査における有害事象とは、施設で発生した①死亡(実施28日以内)②心身に後遺障害を生じたもの③後遺障害はなかったが想定外治療を要したもの④薬物に関わる社会的問題―とした。鎮痛薬・鎮痛補助薬による有害事象は、ブレガバリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、トラマドール・アセトアミノフェン抗うつ薬選択的セロトニン再取り込み阻害薬SSRI)/セロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)、抗てんかん薬などで発生している。近年の傾向として、依存・乱用が強オピオイドから弱オピオイドに移行し、非オピオイド鎮痛薬の乱用・依存報告が増えている。また、抗血栓薬の休薬によるトラブルも報告されている。頻度は少ないが重大な副作用として①オピオイドによる呼吸抑制・意識障害カルバマゼピンによる重症薬疹、血小板減少、スティーブンス・ジョンソン症候群抗うつ薬+トラマドール製剤によるセロトニン症候群④プレガバリンによる視力障害、急性心不全―が報告された。また、重複処方(複数診療科)による転倒・意識障害が①プレガバリン/トラマドール製剤の単剤/複数診療科の重複処方により用量が増加した場合②多剤併用処方(オピオイド+トラマドール製剤、デュロキセチン+トラマドール製剤、プレガバリン+ベンゾジアゼピン類、多剤処方中にデュロキセチンから三環系抗うつ薬への変更)―で生じていた。多剤併用処方はセロトニン症候群の誘因となるため注意が必要である。

【電話】 0173-74-9045 又は 050-1088-2488
                             (携帯 090-3983-1921 Cメール可)
【診療時間】 7:00~21:00 時間外対応可
【休診日】 なし 土・日・祝祭日も診療しています
【PCメール    
fujiwaranohari@tbz.t-com.ne.jp お返事には数日要する場合も御座います

  ~針治療から病態定義の見直しを~