藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

【参考症例】急性離脱症状惹起の経緯


多くの患者は自然発症性の自律神経系症状に自律神経を弄る薬物を服薬する事になる事、仮説とされる病態定義が薬物により本説に切り替えられてしまう事、更に処方期限の存在しない日本では、元々減~断薬と言う概念が医学的にも薄いこと。常用量離脱や副作用を軽視している事。仮に減~断薬の意向を告げると医療(治療)拒否と受け取られがちである事など、これらは医療としての立ち位置から見た患者対応と言うよりも、自身の行う医療に対してのプライドが傷付けられたと言う人間的本能が先行しての結果とも読み取れるものです。
精神病と言う病気が仮に存在した場合、その病態定義を創った人には創った人のプライドがあるでしょう。その定義を死守する為、異なる意見は捻じ曲げ、異なる治療の副作用は過大に取り上げ、自分の治療は絶大だと誇張し、己の権威を守ろうとします。このような事象は分野問わず何処でも起きているかもしれませんが、医療と言う皮を被っている場合、見え難くなるものです。言葉で言うか言わないかは扠措き、どのような治療でも「やってみなければ分からない」のが実際のとこで、それは私も同様です。
「痛い」と言われても、その「痛い」は本人しか知りえない個の所有物で可視化出来るものではなく、不明瞭且つブラインドの状態で更に感受性も各々異なる事から、同一患者とて常に修正を加えながら治療をしていくのが一般的かもしれませんが、中枢に反応を及ぼす薬物治療は後々迄も尾を引き続ける為、状況が混沌として行き易いのかもしれません。
先日の遅発性離脱症状の2症例は「整形領域疾患→向精神薬処方→整形領域疾患の改善→処方された薬物を止める」で起きた事例であり、ある程度の理解を得られながらのスムーズな臨床例かもしれません。しかし、極めて強い不安発作や焦燥感等の精神症状が如何なる理由であれど惹起されている場合、多くは難航します。向精神薬が絡む症例は以下の参考症例1ように途中で立ち止まる例は寧ろ多く、結局は本人の意思で過量服薬、再入院を辿る例が多いものです。
1つの理由とし、辛辣ながら本人に意思がないと言うのも挙げられます。冒頭でも書いた通り減~断薬の対処が医学的にも薄い思考であれば、その考え方が浸透している事、増やして対処すると言う根底的思考が未だ根付いている事などが患者及び患者周囲で存在する場合、大体は残念ながら上手くいきません。
(本人は具合が悪過ぎて何も出来ないと言う理由もあるかもしれませんが)多くは本人からの連絡ではなく、知人友人家族から私への連絡となる為、その連絡者は向精神薬の性格や反応性に理解があったとしても、患者本人が追従出来ない限り大半は途中で立ち止まります。これらの理由もあり、「精神病診断→向精神薬処方→処方された薬物をやめた際に起きた事例」は障壁の高さを感じるものです。

参考症例1 「急性離脱症状惹起の経緯」
以下に挙げる診断名は医療機関が提示したもので、精神病名や定義不明瞭、病態定義不十分な疾患名も書かれています。(尚、具体的な薬剤名や年齢、性別、エピソードは若干改変しています)
sex m age 65
診断名 逆流性食道炎 うつ病 線維筋痛症 
既往 特筆事項なし
15年前に逆流性食道炎様症状が惹起された事で検査。同症状の改善を見越す為に当該薬物が処方されるも著効せず2週間経過。その事を医師に伝えると「精神的なものでしょう」と言う事で、うつ病と診断され、三環系抗うつ薬とベンゾ系薬を処方。
本人曰く処方された薬物に好感触を得たのか、1週間程で逆流性食道炎様症状が改善されて以降も、日中は抗うつ薬、就寝前にベンゾ系、嫌な事があった時には頓服的にベンゾ系の服薬と、次第に量が増えていく。
(服薬量の変動迄は分かりませんが)服薬内容は変わらず約5年後、両前腕と両下腿、両背部に姿勢変化問わず持続的な疼痛他、不安感や焦燥感、睡眠障害等が出始め、これらの症状から情報を収集したところ、線維筋痛症と言う病名を見つけ、
コレではないかと言う事で遠方の病院まで診察に行き、線維筋痛症と診断を受ける。その際に抗てんかん薬を処方される。しかし当該薬物でも著効せず、次第にベンゾ系の量が増えていき、以降身体疼痛も全身に拡がり、精神症状も更に感情の起伏が激しくなってきた頃、知人の紹介で精神病院を紹介され入院となる。
入院直前迄は際限なく過量服薬する傾向があり、主にベンゾ系を服薬すると幾分落ち着く事から入院先での管理された服薬内容では納得がいかず、退院を申し出。退院以降もベンゾ系を主として服薬を継続するも症状が落ち着かない事から再入院。
この頃から過眠と不眠が繰り返される事になる。今度は高用量のベンゾ系や抗うつ薬抗精神病薬を処方された事から症状が一見落ち着いたように見えるも、患者家族が服薬内容を見て驚愕し(要は多剤大量処方)、退院と減~断薬の申し出をする。その事で病院側は患者の退院後、1週間で半分。2週間でゼロとする。
その後、間も無く当初から抱えていた全身性の身体疼痛や精神症状以外にも、アカシジア、ジスキネジア、全身の痙攣や痺れ等が出始め、再度医療機関に掛かるも相手にしてもらえず、再服薬をするも回復なし。
異なる医科を巡るも精神科の通院履歴があると言う事を理由に、入院先の精神科外来を受療するよう促されるか、異なる心療内科や精神科で向精神薬が処方される程度で回復の兆し無し。唯一ベンゾ系には若干反応していた為、ベンゾ系の過量服薬が再度始まる。その頃、当該患者と親交のある別の方より当院(藤原)に連絡が入り治療開始となる。
治療中及び直後は全身性の疼痛や極度な不安感、焦燥感は治まるも、翌日弱再燃傾向を繰り返しの治療が2度過ぎた頃、知人が患者宅に用事で伺った際、患者の姿が異様な光景に見えた事から(アカシジアやジスキネジア、不安発作状態を見ての事と思われる。知らない人が見れば確かに異様と言えば異様と言う表現も分からなくもない)そのまま車に載せ、以前の入院先とは異なる精神病院に連れて行き入院となる。
後日連絡者の方から電話を頂き伺った話では、向精神薬の点滴とECT(電気けいれん療法)を受け、微動だにせず寝ているとの事。古典的な治療を好む精神病院に入院した模様。※情報は此処まで。

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>>臨床像考察
時系列からベンゾ系の中長期的服薬に伴う常用量離脱から生じた反跳性筋硬直(否 ジストニア)や反跳性不安を線維筋痛症と診断した事例と推測される。過ぎた話を幾ら検討しても仕方ないが、15年前の1週間の服薬のみで休薬すれば、このような事態には繋がらなかったと思われる。これはあくまで推論である事、病態に対しての見方の違いも含まれての話にはなるが、
ベンゾを過量服薬して症状が若干落ち着くと言う理由が線維筋痛症と言う疾患を落ち着ける訳ではなく、長期服薬で生じたベンゾの常用量離脱(薬剤耐性に伴い惹起された反跳作用)を落ち着けると言う行為にしか見えない。その理由も、1度目の精神病院入院で管理された服薬環境に納得がいかないと言う精神状態が物語っている。
他、当該患者に限った話ではないが、明らかに減薬スピードが速過ぎる。しかし、多くの医療機関は仮に「減薬しましょう」と協力姿勢を見せた場合でも、この位の減薬スピードはザラに聞く話なので、このような類似例は全国的にも数多くあると推測される。
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>>向精神薬の問題点を改めて幾つか
http://blogs.yahoo.co.jp/anti_white_suprema…/14112189.htmlより
1)副作用、常用量離脱、離脱症状の類が「無きもの」として取り扱われがちである事。「在るもの」とした場合、アドヒアランスは急激に低下する事を予測しての事か、知っていても言えない場合も多い
2)ベネフィットを前面に出し、リスク面の配慮・周知が行われているケースが少ない事、又はリスク面が極めてオブラートに包まれて患者にしか提供されていない事
3)他国の多くは依存性等の有害性・危険性の問題から2~4週迄と処方期限が定められているにも関わらず、日本に於いてはベンゾ系に関して処方期限が存在していない事
4)仮に患者が掛かり付け医に減薬や断薬を訴えて了承されたとしても、いきなりゼロにされたり、1weeksで半分、2weeksでゼロ等、信じられない程の速度で薬を抜かれる事
7)その事で、命を落とす程の急性離脱症状や、遷延性離脱症状、遅発性離脱症状等、社会適合どころか日常生活を奪う程の事態に追いやられる患者が後を絶たない事
6)そもそも薬を止めたいと告げると出入り禁止にされる場合もある事(止めたくても止めさせてもらえない)
7)そして一度強い離脱症状が出た場合、同一量を再服薬しても同一ラインの症状を保てなくなるケースが大半であり、症状は一層不安定となる場合が多い事
8)1番の問題は上記リスク時に於いても「元疾患の悪化」「新疾患の発症」「気のせい」「年だから」で流される可能性が高い事
9)その事で薬物の増量が行われる事
10)学校や企業等に属している場合、上司や会社等の問題で「薬を飲まなければ登校出来ない」、「出社出来ない」等の状況に追い込まれる事
11)精神疾患(「心因性」や「気のせい」「年のせい」等も含め)と言う、診断定義が元々曖昧な根底を元に、人間の性格や特性、その時の疲労や栄養状態、周辺環境等の変動による誰でも起こりうる精神「状態」を幾らでも「疾患」として衣替えさせられる事
12)薬剤性精神変調等の見落とし※薬剤に限らず酒や糖質の過剰摂取でもそうですが(参考 http://www.pmda.go.jp/files/000144134.pdf
13)「例)〇〇病は1年間飲み続けないと治らないよ」と言われる事。1年も向精神薬を飲み続けていれば既に依存性、耐性獲得により、常用量離脱発症の懸念や減~断薬時にも相当厳しい想いをする事になる

参考資料 以下臨床像及びその後の処置内容による懸念材料
鎮静や安定、抑制作用と言われているGABAが過剰分泌,又は濃度異常が発生した場合、全身性に渡るアロディニア、中枢感作、過敏性の増大、耐痛閾値や痛覚閾値の低下等に関与すると思われ、傷病名は敢えて挙げないが、臨床反応上、中枢神経系由来と思しき全身性疼痛が絡む諸症状及びGABA分布領域由来での症状や障害に対し、
GABA濃度を強制的に上げてしまう薬物等の関与が数年前から浮き彫りになり始めているのは事実。ここ最近はリウマチ反応(血清反応)や炎症反応が陰性且つ抗炎症作用を持つ薬物(NSAIDs ステロイド Tnf-α阻害薬)等でも抵抗性を示す難治例が増えた結果、更なる向精神薬投与が行われ久しいものだが、現状の難治例症状には強制的にGABA分泌を促す薬物投与の背景を抱える群も多い。
向精神薬の中長期的投与に伴う弊害の1つ、体幹硬直(筋硬直)の臨床像として既存傷病名を幾つか挙げたが、
(例1)多発性筋炎、多発性神経炎、多発性硬化症、関節リウマチ、シェーグレン、ギランバレー等の自己免疫疾患と類似してくる諸症状を呈する場合や認知症様症状、ALS様症状、パーキンソン様症状、他、多くの脳疾患由来と推定される症状を呈する場合も見られるが、各種検査が陰性であり異常がない故に、線維筋痛症慢性疲労症候群むずむず脚症候群、複合性局所疼痛症候群等と診断されている場合、アイザックス症候群様症状、スティッフパーソン症候群様症状との類似性の高度も他、明確な所見を示すパーキソニズムやアカシジア、ジスキネジア、ジストニア、過鎮静、ファシクレーション、極度な不安感、極度な焦燥感、アクティべーションシンドローム等々、
(例2)易興奮性(イライラ・落ち着かない)、不眠、悪夢、睡眠障害、不安の増大、パニック発作、広場恐怖、社会恐怖、知覚変容(痛覚過敏等)、離人感、非現実感、幻覚、錯覚、抑うつ、脅迫観念、妄想的思考、激怒、攻撃性、易刺激性、記憶力、集中力の低下、侵入的記憶、渇望、痛み・筋肉の凝り(四肢、背中、頸、歯、顎)、ピリピリする感覚、痺れ、感覚の変容(四肢、顔、胴体)、脱力(下肢に力が入らない等)、疲労感、インフルエンザ様症状、筋肉がピクピクする、ミオクローヌス、チック、電気ショック様感覚、震え、めまい、朦朧感、バランス失調、霧視(ぼやけて見える、目がかすむ)、複視(二重に見える)、眼痛、ドライアイ、耳鳴り、過敏性(光、音、触覚、味覚、嗅覚)、消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、嚥下)、体重の変化、口渇、金属様味覚、嗅覚異常、潮紅、発汗、動悸、過呼吸、排尿障害、月経異常、皮膚発疹、かゆみ、ひきつけ
一層、向精神薬に対しての害反応が明確化されるものと思われるものと同時に、先述した明確な所見が取れぬ中での主にステロイドやTnf-α阻害薬等による免疫抑制作用が絡んだ場合の弊害等、結果論としては後追いにならざるを得ない病態を持つ患者に対しての対策と言うものには過去の病歴聴取のみならず薬物投与の歴の聴取が重要視されるものと思われる。向精神薬投与に伴う副作用や常用量離脱、離脱症状を主にベンゾ系や抗うつ薬系によるものと主に3群に分けてみるが、
A)易興奮性(イライラ、落ち着かない)不眠、悪夢、他の睡眠障害、不安の増大、パニック発作、広場恐怖、社会恐怖、知覚変容、離人感、非現実感、幻覚、錯覚、抑うつ、強迫観念、妄想的思考、激怒、攻撃性、易刺激性、記憶力、集中力の低下、侵入的記憶、渇望(まれ)、頭痛、痛み/筋肉の凝り - (四肢、背中、首、歯、顎)、ピリピリする感覚、痺れ、感覚の変容(四肢、顔、胴体)、脱力(例えば下肢に力が入らない)、疲労感、インフルエンザ様症状、筋肉がピクピクする(筋れん縮)、ミオクローヌス、チック、電気ショック様感覚、震え、めまい、もうろう感、バランス失調、霧視(ぼやけて見える、目がかすむ)、複視(二重に見える)、眼痛、ドライアイ、耳鳴り、過敏性 -(光、音、触覚、味覚、嗅覚)、消化器系症状 -(吐き気、嘔吐、下痢、便秘、腹痛、腹部膨満感、嚥下障害)、食欲/体重の変化、口渇、金属様味覚、嗅覚異常、潮紅/発汗/動悸、過呼吸、排尿障害/月経異常、皮膚発疹、かゆみ
B)腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、インフルエンザ様症状、疲労感、頭痛、筋肉痛、脱力、発汗、悪寒、動悸、不眠、鮮明な夢、悪夢、めまい感、頭のふらふら感、回転性めまい、チクチクする感覚、電気ショック様感覚、振戦(ふるえ)、平衡障害、筋硬直、異常運動、不安、激しい興奮、発作的に泣く、易刺激性、過活動、攻撃性、離人症、記憶障害、錯乱、気分低下
C)かぜ様症状、頭痛、無気力、腹部痙攣、腹痛、食欲障害、下痢、吐き気/嘔吐、不眠症、悪夢、運動失調、目まい、立ちくらみ、めまい、ぼやけた視界、電気ショック感覚、痺れ、感覚異常、静座不能パーキンソン症候群、震え、攻撃性/神経過敏、攪拌、不安、気分の落ち込み
ほぼ、判別は不可能である。しかし、1つだけ分かっている事は現在の検査機器では「異常なし」となる事であるものの、諸症状が出ているのは確実でもある為、検査機器では異常が出ない程の極めて微細な損傷が各当該部位で惹起されていると言う前提で見る必要性はあると思われる。
その前提があるとすれば、これ以上の現行医療で行われる治療と言うものの中から鎮痛剤や向精神薬と言う存在を除外した上で回復を考察する必要性は高く、その逆に、鎮痛剤や向精神薬を更に投与する事は一層の身体負荷及び状況を混乱させる事態に陥る事が又分かると思う。

参考関連 (クリックでリンク先にジャンプします)


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