藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

不登校を解決する為の手段を考える


身体内部で生じる症状発症の多くは原因が存在すると思います。例えば坐骨神経痛であれば、L4~S3程度迄の何れか又は複合的に、その多くは椎間孔部での骨性インピンジに伴う神経実質の炎症や過剰牽引に伴う知覚神経異常による痛み自覚や、細胞実質の損傷も著しく、又は経時経年に渡り損傷を持続する事で、神経萎縮に伴う痺れや皮膚の知覚鈍麻が惹起されるものと推測されます。
このように症状惹起には原因部位があり、その原因部位に対して柔軟性惹起、例えば上記例の場合は損傷した神経周囲の小動脈拡張をコンスタントに行い続ける事で、症状の回復を求める事になります。治療はあくまで身体内部で生じている原因に対しての目的達成に向け執り行われます。
では、その症状を惹起した原因と言うのは、例えば家事や仕事や怪我等であり、又は経時経年に渡って同一姿勢や同一動作を行い続けた事による脊椎に対しての易負担や、それに伴う椎間板や椎体等の圧壊による構造的な不安定性の背景もあるかもしれませんし、生まれ持って脊椎の脆弱性を抱えていた為に、ハイリスクな発症因子を抱えているケース等、この話をするとキリがなくなりますが、症状惹起の要因は身体内部での原因部位云々以前に、患者自身が暴露する外的因子(家事や仕事、怪我等)の状況下によって左右される確率が変動するものであると思います。
今件の表題である「不登校」問題の解決に向けてどうしたら良いか、と言うのを考えていきたいと思います。尚、以下の内容はあくまで私個人が抱える症例から(継続中、相談のみも含め)、頂いた情報のみからの統合的内容でしかない為、原因や内容、不登校に至った背景は世間一般とパーセンテージや内容にズレはあるかもしれませんが、針治療を受けに来る迄の背景を持つ場合、凡ゆる薬物治療やカウンセリング等の非薬物治療も無効且つ、医療機関受診に伴い診断名等を得て、その診断名に応じた薬物治療等の受療背景も有している事を踏まえてご覧頂ければ、ご理解頂き易いのではないかと思います。

※1 訴えに対する症状に対応しようと針治療をしているものであり、其処から見えてきた様々な事例を述べている為、カウンセリング要素は一切含まれていません(カウンセリングできるような達者な口は元々私は持っていない)。疼痛性・非疼痛性症状問わず、症状「のみ」と言う観点で言えば、原因部位は相応にして把握出来る事から対応出来るのかもしれませんが、発症原因が学校と言う大きな存在が残存し続ける故、心理面で大きな負荷を浴び続ける状態に対して何とか対応出来ないものかと模索している最中と言うのが正直なとこです。その為、治療を通じて症状とは対応出来る場合もあるかもしれませんが、不登校が解決したと言う臨床成績は持っていない事を先に書いておきます。(※私にとっての不登校の解決と言うのは、治療後に短期的にも登校が出来たけど休みがちとなった、と言う事例は含めず、あくまで長期に渡り安定的に登校し続ける事が出来た事を解決と示します)
※2 下記でも述べる事になりますが、疼痛性・非疼痛性症状問わず、夏休みや冬休みと言う長期休暇に入ると、症状が軽減するケースを多く見受けます。元も子もない話になりますが、「こうあるべき」と言う姿はハード面、ソフト面問わず、誰かが理想像を押し付けているだけなのかもしれません。それが又ストレスとなれば身体・精神的にも負担は掛かり続け、症状が惹起されているケースもあります。患者さんご自身が、例えば学校に行く為に必要なストレス耐性を付けるにはどうしたら良いか、と言うのも今後の課題かもしれません。個人的には特筆した専門性を持たない学校は面白くない存在です。面白くもない、楽しくもないものに積極的に向かわなければならないのは、それだけでストレスです。その耐性を付ける為にはどのようにしたら良いかと言うのも又課題かもしれません。
※3 下記では薬物治療に対して「是非は扠措き」と前置きしていますが、その多くは症状の内容に対して鎮痛薬、睡眠薬精神安定剤抗うつ薬統合失調症治療薬、ADHD治療薬等が処方されます。これらの害反応に関しては他項で書き続けていますが、私自身は推奨すべき治療ではないと思っています。推奨すべき治療手段ではないかもしれませんが、その代替として安全に治療出来る手段は別個確立しなければならないと考えている為、そのようなジレンマも含めでの内容かもしれません。類似症例を抱えるご家族の方がご覧になられても答えは得られないと思います。何せ不登校前後に発症した症状は解決出来ても、長期に渡り安定的な登校が可能となった事例ではない為です。しかし、何かしか文章に起こしていけば解決出来る道も見つけられるのではないかと思い書いています。

事例1)不安神経症状がメインとなり不登校となったケース
「来院男女比 m2:f8」 「年齢12~18」
ヒアリングする限り、不登校を引き起こした要因は学校関係者とのトラブルや同期又は上級下級生によるイジメ、部活動内でのイジメ他、学校外に於けるお子様(主に女性のお子様)に対しての厳しい生活指導の結果が大半となります。その為、どちらかと言うと外的要素は学校と言う箱の中でのトラブルかもしれませんが、多くは人間関係が原因となると考えられ、その結果、学校と言う箱モノに対しての存在よりも、その人間がいる限り行けない…と言うケースが多く見受けられます。このような状況と言うのは成人でも多く見受けられ、仕事は面白くなくても頑張れるが、人間関係が原因で身体症状や精神症状を惹起した、又は退職に至った、と言う状況と同じかもしれません。
話は戻しますが、当該患者は初期的には塞ぎ込む、意見を発する場を失う、意見が通らない事が前提であると感じて意見を発する事が出来なくなった、何をしても評価が得られない等から、徐々に登校時間数が減り、完全に不登校になった方々です。その前後に凡ゆる身体症状や精神症状が惹起され、針治療に来られ、その時に伺った情報が主です。不安とイライラと言うのは紙一重のようにも感じられる為、「不安神経症状」と漠然と書くのは私自身如何なものかと思いますが、分かり易いように1つのまとめとしましたが、自律神経失調症うつ病パニック障害適応障害発達障害等など、様々な診断を告げられている事になります。別に誰かに対してエールを送る内容ではありませんが、このような診断名と言うのはどうでも良いと思う事、思える事が先ずは大切な事なのかもしれません。
長期的にベンゾ系を服薬して薬剤耐性が付いた方が何かの経緯で抗うつ薬や中枢神経刺激薬(ADHD治療薬)を服薬して双転⇒双極性障害と診断や、うつ症状を抱えていた方が抗うつ薬を服薬し同様に双転⇒双極性障害と診断、多剤大量療法にて幻視や幻聴等が生じた(薬剤性)統合失調症ADHD、若年性アルツハイマー(若年性認知症、又は認知症様症状の惹起)と診断等、薬物が絡む事で時系列的に(薬剤性由来で)診断名が変動していくケースも散見されるものですが、これらの話を加えていけば膨大になりますので、あくまで今回は不登校解決に向けてと言う事を主題で考えていきたいと思います。
後に症状は幾つか羅列しますが、一般的には痛みのある症状は鎮痛薬、痛みのない症状であれば睡眠薬精神安定剤抗うつ薬統合失調症治療薬、ADHD治療薬、漢方薬が一般的です。当院(藤原)来院迄の過去の治療背景や経緯はどの患者も殆ど同じで、医療機関での薬物治療やカウンセリング、校内カウンセリング、校外の有料カウンセリング、サプリ、食餌等を受療され無効だったケースです。このような流れは今件の不登校事例に限らず、そして年代限らず、整形外科領域疾患で手術や薬物治療を幾度となく繰り返し、それでもダメで初めて針治療と言うケースや、自然発症性の自律神経症状領域でも、様々な薬物治療を施され結果的に無効であり、更に害反応を呈してから初めて針治療に来るケースと似ており、未だまだ針治療と言うのは最後の手段なのだなと言う信頼性の低さ、実力不足を常々感じるものです。
薬物治療の是非は扠措き、過去の治療が当該患者にとって有効自覚があれば、わざわざ針を刺されに来る事もないかもしれませんが、これらの治療が無効であった為(又は初期中期長期問わず薬物の副作用を酷く自覚した為)針治療に来られている事になります。先ずは此れが大前提となる為、ある程度の時間は経過し、症状は重篤な状態である事が挙げられますが、例えばイジメが不登校のキッカケとなる最大要因だった場合、時系列的に1)イジメ 2)不安や焦燥、うつ症状全般 3)親御さんの厳しい生活指導 4)「頭痛、めまい、ふらつき、吐き気、耳鳴り、強い首や肩のコリ、腰痛、生理痛、多動、不注意、睡眠障害、慢性疲労等など」の順を追うケースが多いように見受けられます。1)があり、即座に2)と4)へ繋がる場合も少なくないかもしれませんが、ヒアリングする限り、3)も当該患者にとってはネガティブ因子になっているような傾向もある為、このような順番としました。
このように、大なり小なり1)~4)をループしながら悪循環が生まれた例が大半と見受けられ、最終的には完全な不登校へ繋がっている印象を受けます。4)単独でも悪循環が繰り返されるもので、「交感神経亢進→血管収縮→痛い→交感神経亢進→血管収縮→更に痛い」と言うループに陥ります。その中で私が対応出来る範囲は、2)と4)で、1)と3)は私の範疇ではないかもしれませんが、3)は早期で見直す事が出来るかもしれません。
以下は2)と4)に対して述べます。
サライがてら書きますと、イジメや厳しい生活指導等、ネガティブな因子に患者が暴露された(され続けた)場合、強い緊張状態を呈します。防御反応と書き換えても良いかもしれません。そのようなネガティブに慣れていない、耐性がない場合は尚更かと思います。古くから交感神経の過剰亢進は「fight-or-flight-or-freeze response(戦うか逃げるか)」と例えられています。この持続的な交感神経の過剰亢進により、凡ゆる身体症状や精神症状が引き起こされると考えられています。メインは交感神経が継続的に過剰亢進し続け、血管収縮に伴う凡ゆる症状や、ストレスの火消しの為に分泌されるステロイドホルモンを促す為の視床下部、下垂体、そして当該ホルモンを分泌する副腎の過剰労働が起きます。勿論これだけではないかもしれませんが、過剰な内外のストレスは、過剰な身体的負荷を患者に与え続け、何れは症状と言う形で患者に対し危険信号を送ります。
末梢の血管という細胞には副交感神経は存在せず、交感神経しか存在しません。結果、心身に緊張が生じた場合は収縮していくしか道筋はありません。その為、治療のメインは収縮した当該部位の血管拡張を目的とし、当該損傷部位のコンスタントな栄養を求め続け、症状の改善と言う段階を踏む事になります。肩頚部痛や腰部痛、又は過度な生理痛や頻尿等があれば、当該部位の末梢神経系支配領域や当該部位の交感神経節も処置対象とはなるかもしれませんが、メインは中枢神経系の諸症状でもある事から、頚部交感神経節への処置にて、延髄や脳幹、間脳(視床視床下部)を中心とした脳内全般の血流量を上げ、疼痛性・非疼痛性症状の回復を見込む事になります。
自律神経の中枢は間脳に存在する視床下部等でもある事から、結果的に不安神経症状全般の非疼痛性症状も緩和改善されるかもしれませんし、他の症状も緩和改善される事になるのかもしれませんが(これだけでは説明足らずですが)、臨床成績の評価と言うのは案外難しく、患者さんは私と治療を通して幾度となくお会いする事になる為、結果的に私と「慣れてくる」又は律儀に「気を遣う」為に評価は不能ですが、
それでも幸いな事に、親御さんが観察する限りでも、外出すら出来ない状況だったのが、例えば遠い所からなら出かけられる、見ず知らずの地域であれば積極的に出かけられる、その内、近所の外出なら出来るようになる、通院先の病院内で他者との会話もスムーズになる、と言う結果は出ているようです。しかし、大元の原因である学校への長期に渡る安定的な登校に関しては良い結果は出ていません。平たく言えば、行けそうだけど結局行けない。数日行けたが結局行けなくなった、と言う事例が大半です。
「(どんな治療だったとしても)治療をした」という親御さまの期待にお子様も応えようとしているのかもしれず、(症状改善の有無問わず)場合によっては治療直後は登校出来る場合もあるのですが、「期待に応える」と言う無理が祟り、安定的に長い登校が出来ていないのも現実です。「無理をする」という事は、結局は4)の症状を再度引き起こしてしまう事になり、先程の「頭痛、めまい、ふらつき、吐き気、耳鳴り、強い首や肩のコリ、腰痛、生理痛、多動、不注意、睡眠障害、慢性疲労(これ以外にも沢山あるかもしれませんが)」も再発傾向は高いように見受けられ、場合によっては過去よりも強い症状を出すタイミングもあるかもしれません。
それでも尚、学校から長期的に離れられる時期(夏休みや冬休み等の長期間の休み)は気持ち良く過ごしていられるのも特徴的な背景です。「登校」「不登校」問わず、多くの方は夏休みや冬休みは嬉しいものなので気持ちよく過ごせるのかもしれませんが、不登校という背景を持つ場合、学校という存在自体に対しての閾値(いきち)が極めて低い為、学校が始まる時期が近づくと(もしくは学校が始まると)、学校の事を考えてしまい症状の再発も多く散見されます。
この他に考えられる因子としては、この年代は成長期と言うカテゴリにあり、骨性にも構造的な変化が起き続けている時期です。脊椎の構造的な成長に追いつけない脊髄により引き起こされる状態が、悪い意味で症状を引き起こす後押しをしているのではないかと言うのも、1つの推測として立てられます。又は、このような基礎的身体状態を背景に持つ故に、上記症状が惹起され易い、耐性閾値が低い、と考える事も出来るかもしれません。脊髄が下方に引っ張られるという事は、脊髄の上の延髄や脳幹、間脳(視床視床下部)、下垂体にも僅かなダメージを受ける事にはなると思いますので、内分泌異常が生じる可能性と言うのも考えらます(それが数値として反映されるか否かは扠措きです)。
成長過程では再燃傾向もゼロではありませんが、成長期を過ぎた時期には症状が落ち着くケースも多く散見される事から、信頼度は高い推測である事を実経験しています。その為、疼痛性・非疼痛性症状問わず、成長過程が過ぎる迄の間、治療が継続可能であれば症状自体は安定傾向を示す、又は段階的に症状が改善するケースも多いのですが、先程のとおり原因の大元である1)を何とかしない限り症状が安定しないのも事実かもしれません。
今のところ1)に対しての解決策は出ていませんが、2)及び4)の解決が得られる事で1)への解決を間接的に押し上げている症例も僅かながら存在する事から、もう少し異なる視点で出来る事はないかと考察しているところです。
度々思う事ですが、身体内部で起きている現象と言うのは有限である為、ある程度の解決策は導き出す事は出来る場合もありますが、心理と言う無限な存在は、システマティックに解決出来ない難しいものである事を残念ながら実感しています。 

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イメージ 1 ~針治療から病態定義の見直しを~