藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

別に針を刺されたいと思っている人間はいない(笑) 4


このような自虐的タイトルも少し続けていけば、もしかしたら新たな発見があるかもしれません(笑)
 
柳谷素霊は常々言ってました。自己批判出来ぬ男は男じゃないと。
沢田健は言ってました。浅刺し深刺しの議論をしている内は人間のクズだと。
 
鍼灸師サイドが患者ニーズに応えた結果かどうかは知りませんが、
現代日本に於いて出来上がった1つの鍼灸という手段の中に、
「刺さない針」、「熱くないお灸」というコピーの下、
傍から見たら単なる逃げ腰鍼灸になった末(全てが全てではありません)、
その結果、鍼灸業界の不甲斐ない時代が到来してしまったと言っても過言ではなく、
本来の威力を発揮出来ない鍼灸が悪い意味で表面化してしまいました。
 
鍼灸治療に来る患者は、「診てくれ」ではなく「治してくれ」の状態です。
そこに、容積変化も蛋白変性も望めない、おママゴトみたいな鍼灸は不要です。

14) 固定概念の払拭に努める事が先行課題
 
              イメージ 1
 
先日、ふと車のメーター見たら「77777」という数字が表示されていたので写真を撮ってしまいました。
多分、その時は「ラッキー」「良い数字が並んでいる」「珍しい」「今度、7の数字が並ぶのは暫く先かな」と
思いながらニヤニヤしながら車を停めて撮影したのですが、よくよく考えれば、「77776」や「77778」だって
今後見る事の出来ない数値ではあるし、7が揃っているからと言って、
何故、その数字を上記鍵かっこ内の気持ちになってしまったかと言うのも、
過去から現在に至るまでの固定概念的要素が高かった故に興じてしまったものだと、
自身の愚かさを恥じた瞬間でもありました。
 
これは何にでも言える事ですね。
鍼灸治療院という所に来る方々は、幾つかのパターンに分けられます。
陳旧例の整形領域の患者が主になるでしょうから、この部分から掻い摘んで書くと、
 
A) 検査上、異常無しと言われた(心因性含む)
B) 検査上、異常有りと言われたが、手術を検討する程でもないと言われた
C) 検査上、異常有りと言われ、手術を検討すべきと言われた
D) 術後、検査上は異常無くても、術前と同様の症状が発症した
E) 術後、検査上も異常有り(他箇所、他高位って事ね)と言われ、且つ症状も術前と同様の症状が発症した
F) 術後、検査上は異常無く、且つ術前の症状は取れたが、他部位に発症した
G) 術後、検査上も異常有りだが、術前の症状は取れ、他部位に発症した
 
大雑把に書けば、この位になると思います。
治療を行い易いのは、A)とF)の患者群になります。
それ以外は、患者側も他要因(薬物や手術、再手術)で治癒出来るのではないかという希望的観測もある為に、
観血的治療や薬物治療で「治る」という、先行的に刷り込まれている事が1つの問題となり障壁となります。
多くは手術を示唆した前提で、薬物投与のルーチンが経過観察という状態である為、
 
先が見えなくなると同時に医師及び患者側も手術を最終手段として時間を経過させる事になります。
簡単に書けば「ん?薬効かない位に痛くなった?じゃ、手術しよう」ですね。
ここに至るまで、幾点もの間違いの蓄積がある事を患者側は気づかなければならないと思うのです。
 
以前も書いた通り、
患者は自身の画像所見上から発せられる診断名と症状との関連性を絶対視する傾向に陥ります。
なんせ痛いから思考能力も低下しているかもしれませんし、写真で見える物が正しいと思い込み易いものです。
それは仕方ないと思いますが、第三者的観測をし続けている、治療現場に立っている者にとっては、
A)~G)、全ての患者群がそもそも薬物治療も手術も要らない事が分かります。
 
ここをどう伝えるか。
非常に苦悩の連続ではあるのですが、
F)の場合、患者も腹いっぱい薬を飲んで目一杯手術をして、
先方では「手術は成功です」と突き放されている状態ですから腹も座っている事でしょう。
A)の場合、異常が無いのに、睡眠薬抗不安薬抗うつ薬を出されて、
上げたいのか下げたいのか素人目にも困惑するカクテル処方ですから腹も座っている事でしょう。
 
と言う訳で、A)とF)の患者群の治療は、症状の軽重あれど、淡々したものです。
では、B)、C)、D)、E)、G)、の患者群の根本的思考をどう替えさせるか、
中長期的に渡り、患者の心身安定化にどう携われるかが課題ともなってくるでしょう。
 
でも、どうすりゃいいんでしょう(笑)
B)、C)、D)、E)、G)、若しくは極初期段階で気づいてもらう為にはどうしたら良いのでしょうか。
 
何だかんだでB)、C)、D)、E)、G)の多くの方々は現行医療を目一杯やりきって
F)やA)に移行してから来るもんだから重症度は飛躍的に高くなってくるのです。
 
治癒までの期間や治療回数を最小限で抑える為には、症状も軽い内のほうが良いに決まっているのです。
炎症期でも無いのに言われるがままに湿布を貼り、抗炎症剤を飲んでいる患者群、
姿位変化で憎悪と改善の変化を自覚しているのに神経圧迫論を信じている患者群、
先ずはここからかもしれませんが、一体、誰が言えば信用してくれるのか、常に疑問でもあります。

15) と、言う訳で藤原航太鍼灸院の試してみた
 
「誰が言ったら分かってくれるんだろう」、「実践しようとするんだろう」という悩みは
別に私達の世界だけの悩みだけではありません。
 
「どうしたら、ちゃんとご飯を食べてくれるんだろう」「どうしたら、勉強してくれるんだろう」
「どうしたら仕事を覚えてくれるんだろう」「どうして上司は僕の事を分かってくれないんだろう」
「どうしたら…」「誰が言ったら…」という悩みは尽きません。
 
前も書きましたが、鍼灸治療院に来る患者は様々な経路を経て来ます。
 
A) 無理やり知人友人家族に連れられて来た
B) 看板を見て来た
C) 紹介で来た
D) ブログを見て来た
E) 病院で良くならないから来た
F) 他の針屋で良くならないから来た
G) 他の代替医療で良くならないから来た
H) 病院で針を受けろと言われたから来た
 
症状の軽重問わず、治癒に至るまで治療継続してくれる患者群というのはH)に近づく程、上昇します。
こちら側が出来る事は「針を打つ」だけで、薬の増減だの術式がアーダコーダって事もなく、
皆一様に針を打つ事しかしておらず、
生活時の注意も似たり寄ったりな事しか伝えていないにも関わらず、
この差は何なのかと考えると、別に文字に書き起さなくても理由は導き出す事は出来ます。
 
前置きが長くなりましたが、昨年末、とある内科医に協力してもらい、
歩けるのに歩かない寝たきり老人宅に一緒に出向き、
中長期的なQOL向上の為にリハビリのススメを説いてきた時の事。
 
早い話が、私が元々1人で何とか歩行運動をしてもらうよう励んでいたのに
ニッチもサッチも行かないから内科医にお願いしただけの事なのですが、
わざわざ白衣を着させ聴診器をぶら下げさせ、「歩く事は大切な事ですよ」と
寝たきり婆ちゃんに一言伝えただけで、歩き始めるのです。
 
世の中そんなものです。単なる私の愚痴を書いてしまっただけかもしれませんが
 

16) 興味本位群が危険性を孕んでいる事を知るべき
 
例えば、このブログ。
整形領域の話を書けば整形領域の未受療患者から問い合わせがくる。
精神科領域の話を書けば精神科領域の未受療患者から問い合わせがくる。
言ってしまえば、それも何かしかの縁やタイミングというものもあったかもしれませんが、
そう言う事もあって、ここ最近は当該科に属するであろう各論的要素を余り書かずにいました。
結果から言えば問い合わせは頂きますが、興味本位ではない患者群で占めてくれた事を嬉しく思います。
 
100人100様の背景を抱えている人間が訪れる医療業に関しては、
患者側に興味本位という思考が根底にある以上、治療時の危険性も孕んでいます。
 
治療には過程があり、段階があり、状態を見る為の治療スパンが存在し、
患者側の積極的休養や運動含む自助努力も必要であり、その時の症状の状態に合わせて変化していきます。
 
症状も比較的広範に渡り、
発症時期から随分と時間の経過した患者群が占めてくる鍼灸院という場所では、
1~2回の「お試し」程度の思考で来られた場合、1~2回で略治出来る群は置いといて、
治療回数と比例して変異していく諸症状に関して患者が受容出来ていれば構いませんが、
場合によっては適当に治療を止められた場合、それが負のイメージになりかねません。

17) 針治療は他の医療と一線を画する力を持っている
 
回数券を売るも、敷居を下げる為に初回割引制度を取り入れるも、健康グッズを併売するも良し。
「痛くない針」とか「刺さない針」、「熱くないお灸」等、どんなコピーを付けても良いかもしれませんが、
回数券も初回割引も健康グッズも痛くない針も刺さない針も熱くないお灸も
「治りたいと思っている患者」には関係のない事です。
  
症状を抱えている患者群が一番自覚されている事だと思いますので、
私自身が述べる事でもないかもしれませんが、何かしかの治療を行った上での、
「治癒という過程に於ける症状変異」と「単なる悪化による症状変異」では症状の出方は異なります。
 
原発部位に収束していく症状変異、及び、力価変異に於ける症状変異で無い限り、
「悪化した」と認識する必要はあると思われます。その判定に関しては、患者は分からないかもしれません。
その為に、事前に伝えておく重要性は高いのですが、患者が受容出来るか否かで又変わってくるでしょう。
 
針治療は非常に作用の強い治療手段です。
 
冒頭でも書いたように、鍼灸業界が患者ニーズを履き違えて作用を減弱させてしまった結果、
東洋医学」という単語で患者を煙に巻く老害鍼灸が溢れてしまったのです。
そんな反面教師のお陰で、私は針の作用を伸ばす事だけを考察出来たキッカケでもあります。
 
今こそ刺す針で理論構築しなければマズイと思うのです。針を刺されたいと思っている人間はいませんが(笑)。
勿論、全ての手術や薬物治療を否定しているものではありませんが、
理論破綻を起こしている手術や薬物治療よりは低リスク且つ、安全性と確実性は高いのではないでしょうか。

参考
 
2014年を振り返り
 
今までと同じ考えや行動を繰り返して、異なる結果を期待するのは狂気である
 
短時抑制と時短推奨のデメリット
 
鍼灸治療を受療するにあたっての諸注意を少々
 

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  ~針治療から病態定義の見直しを~