藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

読み物 2


炎症とは様々な侵襲に対する生体の局所あるいは全身性の反応である。
炎症の病態形成に関与しているサイトカインを炎症性サイトカインと呼ぶ。
これらの多くは単球/マクロファージ系の細胞によって産生されるが、
繊維芽細胞、血管内皮細胞などの組織間質を構成する細胞や、
炎症の過程において浸潤する好中球からも産生される。
 
感染など炎症が起こったとき、好中球などの炎症細胞浸潤が起こる。
その機序は、まず骨髄内でSCF(stem cell factor)、IL-1、IL-6、
次いでGM-CSFやIL-3が作用して骨髄系細胞の増殖、分化が起こる。
さらにGM-CSFやG-CSFが作用した好中球増多、核の左方移動が起こる。
 
増加した好中球など炎症細胞が局所に浸潤するためには炎症細胞と血管内皮細胞上に
それぞれ対応する接着因子が発現し、お互いにリセプターとリガンドの関係ではまり合うことが必要である。
この血管内皮細胞の接着分子の発現はIL-1、TNF-αなどのサイトカインによって増強される。
浸潤する炎症細胞の種類を決定する因子として走化因子が重要である。
 
サイトカインの中には強い走化活性を有するものがあり、ケモカインと呼ばれている。
好中球やT細胞の浸潤にはIL-8、単球/マクロファージの浸潤にはMCP-1、RA-NTESなどが関与する。
また、浸潤した細胞はIL-1,TNF-αなどのサイトカインによって活性化される。

発熱

発熱を誘導する物質はpyrogen と呼ばれるが、
この中で内因性発熱物質(endogenous pyrogen)と呼ばれる物質はIL-1,TNF-α、
INF-γなどのサイトカインで、これらは視床下部の体温調節中枢に作用し
プロスタグランディンE2産生を促して発熱を誘導する。
急性炎症蛋白の産生誘導

急性炎症ではCRPをはじめとする急性炎症蛋白が誘導され、
炎症の程度の指標として用いられている。急性炎症蛋白の産生誘導をするサイトカインとして
IL-1,TNF-α、IL-6などが知られている。
この3つを、このように炎症に際して産生されることから炎症性サイトカインと呼ばれている。
IL-1,TNF-αは肝細胞に作用しCRPを誘導、IL-6はフィブリノゲン、ハプトグロビンなどを誘導する。

敗血症性ショック

敗血症の時には、血中のIL-1,TNF-α、IL-8などのサイトカインが上昇する。
これらのサイトカインが血管内皮細胞や血管平滑筋細胞に作用して、
PGI2、一酸化炭素などの産生を促し、血管透過性の亢進や血管拡張を起こし、
二次的に血圧低下を起こすといわれている。

炎症の修復

炎症の修復過程において、マクロファージや繊維芽細胞から”fubrogenic cytokine” として
IL-1、TNF-α、FGF,EGF、PDGF、TGF-βなどが産生され繊維化を促進する。
ウイルス感染では初期にはnatural killer(NK)細胞が、
次いでウイルス特異的(cytotoxic T cell)が活性化、増殖し、感染細胞が排除され、治癒する。

高サイトカイン血症

血清可溶性インターロイキン(interleukin ; IL)-2 受容体(sIL-2R)、
インターフェロン(interferon;IFN)-γ、IL-6の高値を示す。


感染細胞はモノクローナルに増殖すると共に活性化されたT細胞がINF-γ、
TNF、IL-6などのサイトカインを過剰に産生し組織球を活性化させる。
活性化された組織球はさらにサイトカインを過剰に産生し、血球を貪食する。
補)
GM-CSF:granulocyte-macrophage colony stimulating factor
TNF-α:tumor necrosis factor α
INF-γ:intereferon γ
TGF-β:transforming growth factor
EGF: epidermal growth factor
FGF: fibroblast growth factor
PDGF: platelet-derived growth factor
MCP-1: monocyte chemoattractant protein-1
RANTES: regulated on activetion normal T expressed and secreted
sTNF-R: soluble TNF receptor

インターロイキン(ウィキペディアより)

インターロイキン(Interleukin:IL)とは一群のサイトカインで、
白血球(leukocyte から-leukin)によって分泌され、
細胞間(inter-)コミュニケーションの機能を果たすものをいう。
インターロイキンは免疫反応に関連する細胞間相互作用を媒介するペプチド蛋白性物質である。
初め個別に命名されリンフォカインやモノカインとしても分類され混乱したため、
1979年に整理され、ILのあとにタンパク質として同定された順に番号を付けて呼ぶことになった。
 
現在30種類以上が知られている。
免疫系の機能は多くをインターロイキンに負っており、
自己免疫疾患や免疫不全の多くの難病もインターロイキンに関係している。
主なものを示すと次のようであるが、単球やマクロファージが産生するものはモノカイン、
リンパ球が産生するものはリンフォカインにも分類される。

IL-1:マクロファージによって分泌され急性期反応を誘導する。
標的細胞(組織)は免疫系、結合組織、中枢神経系など。
IL-2:T細胞によって分泌されT細胞の増殖と分化を促進する。
がんの免疫療法に用いられる。(T細胞増殖因子)
IL-3:T細胞によって分泌され骨髄幹細胞を刺激する。
IL-4:B細胞の増殖とT細胞および肥満細胞の分化に関与する。アレルギー反応で重要。
IL-5:B細胞を刺激してIgAを産生させ、 また好酸球を刺激する。
IL-6:マクロファージを刺激して急性反応を誘導する。
IL-7:B細胞、T細胞、NK細胞の生存、分化、ホメオスタシスに関与する。
IL-8:好中球の走化性を誘導する。
IL-9:肥満細胞を刺激する。
IL-10:Th1サイトカイン産生を阻害する。
IL-11:急性期タンパク質を産生させる。
IL-12:NK細胞を刺激し、Th1細胞を誘導する。
IL-13:B細胞の増殖と分化を刺激し、Th1細胞を阻害し、マクロファージの炎症性サイトカイン産生を促進する。
IL-17:炎症性サイトカインの産生を誘導する。
IL-18:インターフェロン-γの産生を誘導する。
※モノカイン( monokine ) 単核性食細胞(単球やマクロファージ)が分泌する生物活性をもつ高分子の総称で、通常プロスタグランディンのような低分子を含まない。

人が発熱するというのは、免疫を発揮してウイルスや菌を殺すためであるという原点を忘れてはならない。

これは市販の感冒薬も同じである。
解熱鎮痛薬に近いが、別成分が入っていることもあるのでさらに治癒を妨げる。
解熱成分だけでなく他の成分(咳止め成分など)も、風邪の治りを悪くし、
最悪サイトカインストームを引き起こし、感染死を引き起こすことさえありある。
 
非常に有名な解熱鎮痛薬の話として、感染させた動物の話がある。
 
浜氏も『新版・のんではいけない薬』の中で述べているが、
 
動物実験で細菌やウイルスに感染させた場合、何も飲まなければ死亡率は九・三%であったが、
 
解熱鎮痛薬を使った場合四五・八%まで死亡率は上昇した。


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