人為的な介入が絶対となる手段は、効果の出方もリスクの軽重も術者に委ねられる為、日々の見直しも絶対となります。表題の通りとはなりますが、先ずは針治療と名の付く行為とて、針刺し行為には変わりません。その行為により、どのような反応が体内で起き、仮に何らかの症状を抱えている場合、どのような理由によって罹患組織にポジティブが生まれ、結果的に症状自覚がなくなるかの検討も引き続き行う必要があります。これらは治療行為そのものに再現性がなければ検討も追試も出来ない為、その1つの指標として針尖による位置確認にて、アプローチ部位を同定する手段が必要と感じています。
inflammatory mediatorを意図的に惹起させ、prostaglandin、bradykinin、serotonin等で血管拡張を促し、動脈血の強制流入等により、局所的なhypoxic conditionの改善で自覚する結果論の症状の動態変化を求む単純なフローが針治療と解釈しています。その個が持つ解剖や生理を利用する為、重症度問わず上記mediatorの発揮の際にも、病期や既往で経過は異なりますし、誘因が非日常的な病変の腫瘍や感染等の傷害、怪我等による傷害、日常的なエネルギーが加担し続けた傷害でも経過は異なります。
また、比較的中長期に渡る障害且つ受傷エピソードも希薄な障害は、症状を継続的に惹起する攻撃相手も考える必要があります。多くは自然治癒に至らないケースを取り扱う為、自然治癒に至る(至り易い)組織もどのような部位かも見えてきます。そのような中、腰部周辺で考えても症状を自覚する組織は幾つもあります。
皮膚、筋膜、筋肉、靭帯、神経、骨膜、骨、それと関節等が体内を織り成すように走行、位置して機能していますが、回復速度は部位毎の血管走行数の関与がひとつ挙げられます。例えば筋肉と靭帯であれば、血管走行数は前者が豊富な為、傷めた後に放置しても回復速度は前者が優位になります。血管が走行する組織では何らかのエネルギーが加わる事で大小問わずinflammatoryは惹起され、症状の残存理由にhypoxic conditionに陥った際の酸素分圧の保持による改善が満足に成し遂げられなかった、又は、継続的に当該部位を攻撃し続ける存在を考慮する必要があります。
これら症状継続のファクターにhypoxic conditionと部位別の血管走行数の存在を前提とし、次点に攻撃相手を考える必要があります。主にRange Of Motionの高度な脊椎高位が優先的に罹患するのか、L4やL5が目立ちます。症状群を羅列すれば当該高位の神経走行と比較的合致する為に把握出来ますが、では、当該高位が中長期的に継続する症状は何により何が攻撃されたか(されているか)を考えれば、それは骨と神経と浮かびます。
硬度的には骨>神経となり、罹患部は椎間孔部位での接触(Impingement)によるinflammatory mediatorを皮切りとした以後の組織の状態→症状自覚となる結果論は、現場感覚からもVASや日々の寛解増悪のタイミングのヒアリングで一層の確証は得られます。ではここで添付画像を見ます。
※ https://www.facebook.com/groups/445953252774442/permalink/519187428784357/ から
針尖はL1~5の椎間孔近傍を目指したものですが、各々は下位から述べると仙骨や腸骨稜を同定してL5、俗にいうヤコビーからL4、第12肋骨を同定してL3、第10肋骨を同定してL2等の杓子定規的な刺針ですが、下位からナンバリングしたケースでは、体格にもよりますが、各々の椎間孔から最大2㎝前後の上下のズレが生じる可能性があります。
この距離は幾らinflammatoryがカスケード的に伝播しても遠く、ゼロに近い距離にする為には、手指の触知では正確性が乏しく、針尖にて肋骨突起と椎体を同定後、尾側へ刺針転向(又は刺し直し、又は追加)、次点も肋骨突起と椎体を同定後、尾側へ刺針転向(又は刺し直し、又は追加)が望ましいかもしれません。
実際は椎体や椎間板の摩耗や圧壊による狭小化や滑り具合い、臥床時の腰部の回旋具合いや後彎化は存在し易い為、手指による表層からの骨度法的な確認は誤りを誘発させる可能性があり、腰椎のみならず脊椎全般で警戒はしていますが、より目的部位にゼロの距離で針を誘導させる為には、針尖で触知しながら位置確認をする重要性を改めて知るところです。
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前項では末梢神経由来の諸症状への直接的アプローチの工夫と反応の背景に触れました。どの部位に打ち分けるとしても、針尖にて骨膜との噛み具合等々で位置確認する重要性は同じですが、末梢性脳神経含む中枢神経由来には
>>inflammatory mediatorを意図的に惹起させ、prostaglandin、bradykinin、serotonin等で血管拡張を促し、動脈血の強制流入等により、局所的なhypoxic conditionの改善で自覚する結果論の症状の動態変化を求む単純なフローが針治療
を活かす事が出来ません。脊髄の栄養血管は神経根近傍を周回する為、椎間孔近傍で応用を効かせられますが、脳そのものはヒトの解剖を鑑みる限りも間接的に誘導させるような加療とならざるを得ず、都度の治療から変化自覚までも相応のタイムラグ(治療から1週間~10日後等)が発生するケースが散見されます。そのような中、脳幹から分枝する末梢性脳神経由来の諸症状は、上記で述べたタイムラグとは異なり、都度の治療から2~3日後に変化自覚を伺う機会も多く、前項の腰部や頸部と類似した末梢神経系と類似する経過を辿る例が見られます。簡単に参考例を挙げます。
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age 50 sex f
主訴 左三叉神経V1帯状疱疹後神経痛
5年程前に罹患。経年的にVAS不変で左前額部や左側頭部に疼痛や圧迫感を自覚。日内のVASに多少の波はあり、疲労時に増悪
処置内容 両上頸/中頸/下頸神経節(※配置箇所や個数に個体差がある為、全頸椎高位へ処置)
経過 治療初期は都度、2~3日内は増悪自覚をするが、3~4日後より改善自覚を繰り返し、約210日程度を経て無症候となる
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このように脳幹から分枝する末梢性脳神経の諸症状は、今件の三叉神経由来に限らず、2~3日後に一旦は何らかの前向きな状態を自覚するケースが散見され、この状態は中枢神経とは明らかに異なる経過を示します。加療から2~3日内の増悪自覚例は治療初期(重症度に依存している印象)には多く、治療由来の inflammation mediator の発動と傷の大きさからも収束する期間と曲線も納得はし易いのですが、それが末梢性脳神経にも類似した経過を示す点が、私自身未だ腑に落ちた説明がし難いのが現状です。
以下は参考までに先日挙げた腰神経由来の症例です。加療後の治療由来の増悪期間を眺めます。
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https://www.facebook.com/kouta.fujiwara1/posts/3596229490468291
~ゼロベースの単純症例からリバウンドの経過とその内容を考える~
ゼロベース症例とは、その個がNSAIDsやステロイド薬等を過程で使用せず、inflammationを意図的にデリバリーして罹患部位の改善を求める治療を阻害/相殺しない症例を呼称します。結果的に刺針部位で惹起されるbradykininやprostaglandin、serotonin等のmediatorの発動動態が前以て把握し易く、事前予測が可能になります。
inflammationの曲線の描き方は、日常生活内での突発的なエネルギーで曝露するケースでは、以後、罹患部位にストレスを掛け続けなければ大概は72時間以内に収束しますし、その大概は放置していても無症候まで辿れると思います。当該mediatorは細胞を破壊する要素を持っているかもしれませんが、細胞を再構築する要素も持っている推測も可能です。それを罹患部位に定期的にデリバリーすると、参考症例のような経過を見ることが出来ます。
※病期や都度の重症度、服薬内容や基礎疾患の内容に依存/反応する治療行為は誰一人同じ経過は辿りませんが、あくまで意図的に惹起した生理反応がどのようなネガティブとポジティブを与えるかを記したものです。
治療から翌日及び翌々日から1~3日を読む限り、治療前は動作時痛のみ、治療間も無くは動作時痛と安静時痛、また、鼠径部と臀部上面のみの自覚部位が、治療間も無くは鼠径部と臀部上面、大腿外側、大腿前面となり、患部(刺針部位ともなる)の神経走行に一致した部位に症状が誘発されているのが分かります。また、いずれもこれらの期間を過ぎた後、急速に症状の軽減自覚が出来ているのも分かります。※治療スパンはリバウンドの惹起とその後の経過を都度観察する為にも、1週間から10日前後に1回程度で様子を追ったものです
age 60 sex f
・主訴(※患者表現)
右の股関節が痛い
・症状(※聞き取り分)
1ヶ月程前から階段を昇る際、段差によっては荷重の前段階で厳しい疼痛を自覚、両手で手摺りに掴まり身体を引き寄せながらでなければ昇れない。時折り右下腿裏にも疼痛を自覚。平地も逃避性跛行が見られる。X-rayで異常所見は認められず。
・所見
疼痛部位に手を当てがってもらうと、鼠径部と臀部上面となる為、そこから直線を引けばその先は股関節となるものの、疼痛自覚は「荷重時」ではなく「荷重前」。即ち股関節屈曲時となる他、患側下腿裏にも疼痛自覚もある為、これらを踏まえると罹患部位はL4の椎間孔部で何らかの理由でImpingementが惹起された事を契機に当該症状が継続していると推測。安静時痛なし。
・刺針部位
鼠径部や下腿裏の症状は推測上ではL4だが、解剖面からで可能性を捉えるとL2~5となる為、各々の椎間孔近傍と交感神経節に取る
初診後
翌々日より約72時間、元来抱える症状自覚部位の他、大腿前面全体にも牽引痛を安静時も自覚。股関節及び膝関節の屈曲がより困難となる。以後、逃避性跛行と下腿裏の疼痛が見られなくなる。症状の残存部位は臀部上面と腰部 VAS不変
次診後
翌日から約48時間、元来抱える症状自覚部位の他、患側の膝関節から上部15㎝四方程度のエリア(大腿前面~外側)に安静時痛。以後、残存症状は臀部上面 VAS7
3診後
翌日から約48時間、患側の臀部上面と膝関節外側(非裂隙)に安静時痛。以後、残存症状は臀部上面 VAS4
4診後
翌日から約48時間、患側の臀部上面と膝関節外側(非裂隙)に安静時痛。以後、残存症状は臀部上面と腰部の違和感 VAS2
5診後
翌日のみ、患側の臀部上面(上殿神経付近)の動作時痛が増強。安静時痛なし。以後、VAS0で推移
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この通り、治療後は都度一定の増悪自覚を訴えます。また、症状が軽度に移行するほどこのようなケースは見られなくなります。このような推移を末梢性脳神経でも見せることになります。解剖学的には末梢性脳神経は文字通り末梢神経扱いになるものの、「末梢神経だから」とする学問的な説明では中枢神経側の反応性とのタイムラグの説明が上手く出来ないのが現状です。
刺針部位的にも椎骨動脈や総頸動脈の拡張目的の為、脳幹経由の末梢性脳神経の走行からも、中枢性脳神経由来とて類似したタイムラグで変化しても良い印象を持つのですが、今現在もその理由は不明瞭です。
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