藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

向精神薬等由来と推定される筋硬直の症状自覚を惹起する誘発因子の推論と希望


臨床反応上から実際に目にしたものでなければ信じない性格故、中々検討も進まない部分もありますが、下記の通り、仮にも筋硬直が常用量離脱の2次的な間接的な誘発因子であり、且つ即時的な改善自覚を患者が得られれば、減~断薬の過程に於いても日常生活のQOLは比較的維持したまま成功出来るものと思います。
それでも尚、残念ながら再服薬する患者も後を絶たないのが現状です。やはり、向精神薬と言うのは極めて優秀な依存性を持っているんだろうな、と常々思います。とは言え、再服薬を責めるつもりもありません、正直残念な気持ちはありますが、患者も無念な想いを抱えながら口に放り込んだと思えば、草場の影で応援し続けたくもなるものです。

向精神薬の中長期服薬に伴う副作用や常用量離脱、離脱症状による(反跳性)筋硬直の類に関してはベンゾ系や抗うつ薬系、抗精神病薬系と若干の発症起因は異なるかもしれませんが、凡ゆる種類の向精神薬で発症する可能性があります。
今件の課題と言うのは、仮にもこれらの薬剤性由来による筋硬直の類が生じ、四肢末梢部や顔面部に対して硬直や痛み、痺れ、知覚過敏、知覚鈍麻等が生じた場合、これらの症状が1次的な誘発因子によるものか、それとも2次的に発症しているものかを検討する内容となっています。
副作用や常用量離脱、減~断薬時に於ける1次的な直接的な誘発因子に伴うものか、若しくは2次的な間接的反応によるものかの検証に関しては、先に幾つかの除外事項を考察しなければなりません。後々述べる事にもなりますが、これらの諸症状の多くは日常生活の行動量、労働内容、疲労やストレス等により憎悪し、休養を取る事で一時的にも軽快する、
と言う特徴を持っている他、傍から見ても判断がつくようなジストニー等とは異なり、症状の軽重も存在するものと思われ、一見としての判定は極めて困難かもしれませんが、非服薬者との治療反応性等を照らし合わる事で、薬剤性の筋硬直を伴っている人の特異的反応から判定も付けられるものと感じています。
先ずは幾つかを先行的に除外しなければなりませんが、既存の病態定義を仮にも信頼し、定義に沿った薬剤に対して一切反応しなかったとしても、それが明確な根拠に当たらないと考えた場合は如何なる考察も出来なくなる為、一度は深読みを避けて話を進めますが、
明確な1つの条件として、脊椎性関節炎や関節リウマチ等に対しての抗炎症作用を持つ薬物によっても症状の改善が得られず、世間一般で言われる血清反応が陰性にも関わらず筋硬直が生じていると仮定した場合、整形領域に於ける神経症状とは異なる治療反応性を持つと仮定した場合、例えば、手袋靴下型のような末梢神経障害を抱えていたとしても、
現行医療では基本的に整形領域では「原因はない」と判断された場合とて、単に治療をしてみたら頚神経系及び腰神経系の複合的神経障害による症状であったとした場合等、
これらの条件を全て除外した事を前提とし、更に継続治療に伴う累積効果が乏しい場合に関して、初めて向精神薬由来の筋硬直かと推定しても良いものかもしれませんが、取り分け、推定した上での対応に関しても更に2つに患者群は分かれます。服薬者及び減薬過程の場合、可能性として考察しなければならないのは、副作用と常用量離脱の2つを兼ね備えている状態である事です。
薬物を既にゼロとした断薬者、この場合は離脱症状としての症状に由来するもの。治療内容に特段変化を持たせる事もありませんので治療反応性は各々似たような印象を受けるものですが、服薬者及び減薬過程者に関しては服薬し続けていると言う事実が発生し続けていると言う事も考慮しなければなりません。
さて、改めて筋硬直と言う表現ですが、恐らく一般的に用いる言葉ではありません。その多くは肩凝り腰痛と表現する人もいます。筋硬直にも程度はありますし、硬直を緊張と感じる人もいれば、部位によっては既存の過去知識から痙攣と表現する人もいるでしょう。吊る、と表現しても不思議な事でもありません。
誰が見ても明瞭な不随意運動を伴えば明らかに異変と感じる事は出来るかもしれませんが、其処まで至る例も少なく、軽微(軽微と言っても、その内容は人それぞれかもしれませんが)な筋硬直を抱え、仮にも疼痛部位に湿布や軟膏を塗っても反応せず、
仮にも疼痛部位に麻酔薬を打っても薬効時間すら反応しない等と様々な背景を抱えての事かもしれませんが、勿論これすらも整形領域的反応でも珍しいものではない為、より一層の混迷を極めているのかもしれません。
それでも尚、現場に立っていれば見えてくる事も多く、治療反応性として明確な症状変動自覚を得られる部位と言うのも存在し、それらが神経根近傍や交感神経節部へのアプローチに伴い、諸症状の改善自覚と言うのを得られる方が圧倒的に多いものです(逆の視点で鑑みれば、それ以外の部位では全く反応しないと言う意味、又は乏しい)。
仮にも四肢末梢部の症状(この場合、筋硬直から派生した疼痛や痺れ、脱力、知覚鈍麻全て含む)が存在していたとしても、これらの諸症状として派生させていた要因と言うのは脊椎部への処置で軽減自覚を得られる⇒脊椎周囲の軟部組織の硬直に伴う運動神経や知覚神経、及び後根神経節等の牽引力が高度、及び摩擦に伴う神経浮腫的作用により、椎間孔部での易インピンジメント性の持続的発生により生じている諸症状でもある、と言う見方も出来るもの、更に見方を変えれば全脊椎高位の神経障害が生じている(生じる可能性がある)、と言う言い方をしても過言ではない状況に陥っているとも思われます。
但し、これも又、推測の域を脱する事が出来ないのが、患者個々の抱えている脊椎の背景と年代も考慮していかなければならないのかもしれません。向精神薬由来の諸症状は治療反応性は良いが累積結果が乏しい場合があると言う事であり、これが冒頭にも述べた通り、薬物に伴う1次的な誘発因子か間接因子かと考えた場合、体幹や顔面部の筋硬直に伴う四肢末梢部の諸症状に関しては2次的な間接性の高い誘発因子である事も伺える臨床例は多数見受けられるものです。
では、仮にも2次的な症状であった場合と仮説を立てての、更なる向精神薬追加及び継続服薬に伴う問題点としては、更に筋硬直が高まり続ける、と言うリスクを背負い続ける事になる可能性がある、と言う事でありますし、減~断薬を行おうにも離脱症状の筋硬直と言うリスクも生じるものである為、どちらの方向に進もうとしても症状は生じる可能性はあるものですが、継続服薬及び増量で筋硬直の症状改善を目的とするよりも、減~断薬による筋硬直のほうが患者の将来性を考慮すれば有意義な事かと思われます。

易損傷部(易負担部)に対して、あたかも日常生活で自然発症するような諸症状が大半である向精神薬の副作用や常用量離脱、離脱症状に関しての多くは、凡ゆる検査結果は陰性となり、因果関係も不明瞭な為、仮にも向精神薬由来である、と患者本人が思っても取り合ってもらえないケースと言うのも後を絶たないものです。
先日も記載した通り、副作用や離脱症状の存在は勿論知ってはいるものの、無きものとして、そして数週間程度で終わるものとして、更には、副作用や常用量離脱症状群すらも包括的に闇に葬れる程の病名が存在する為、その多くは行き場を失っているのも現状です。
脳に反応を及ぼす向精神薬に関しては、中枢神経系に何処までも不思議な症状を出し続ける、と言う解釈と理解が出来れば一つの安心材料に繋がるかもしれませんが、その多くの患者は其処までの解釈や理解の段階に全く到達していない、と言うのも大問題でもあり、
言われるがまま飲み続け、その内、身体症状や精神症状も増える毎に薬も病名も増えていき、身体が痛くなれば湿布を貼り、注射を打ち、効かないね、と医者に文句を垂れているようですが、その医者自身も向精神薬に伴う諸症状だなんて知らない可能性もある場合、そして明確な改善機序手段を有していない場合は凡ゆる治療が全て無効になりますし、仮に一時的に有効であったと患者自覚が生じたとしても、向精神薬由来である、と言う認識がない以上、データの蓄積は不能かとも思います。
勿論、向精神薬に精通している方々も沢山いるのは存じていますが、仮にも処方した医師が薬剤性である事を認めた場合、どうなるか、と言うのも考えれば、流石に中々認めないのが本能的行為かと思います。
このように、考えられる可能性は全て考えた上で症状の由来、及び治療反応性は観察しなければならないかもしれませんが、このような事情を多く絡む以上、現実問題として、残念ながら「難しい」と言う結論にならざるを得ませんが、「難しい」を「難しくない」に変えるには、実は其れ程障壁があるものではないと個人的には思うのです。薬剤性由来の諸症状である事を先ずは認める事、症状が増えれば薬を増やし病名を増やし、と言う行為を止める事など、向精神薬反応の負の推論を幾つも立てる事をしなければ前進出来ないと思うのです。
さて、話は反跳性筋硬直に戻りますが、代表的な薬物の副作用と明瞭化されている1つにジストニーが存在しますが、一例だけですが、向精神薬を飲んでから手の小指(DIP関節)だけが変形した人を知っています。主にベンゾ系の服薬経緯があり、減薬後に変形したようです。これもジストニーの亜型から派生した骨変形と見るのも良いかもしれません。聴取する限りでも、症状自覚として身体全般が硬直した印象もないようですし、30代男性が、ヘバーデンを呈するとも考え難いものです。
しかし、実際には減薬後に小指が極めて痛くなり、気付いたら変形していたと言う実例もあり、もしかしたらベンゾ減薬に伴う体幹硬直に伴う頚神経由来の激烈な疼痛及び硬直に伴う変形であったと過程すれば腑に落ちる要素もあります。このように骨変形に至る程の激烈な疼痛に至らない迄も、この手の諸症状は極めて多いもので、一見、頸肩腕症候群や手根管症候群と捉えられがちなケース、身体所見から見ても肩甲上腕関節の亜脱臼に伴う2次的な上肢の諸症状と言うのも少なくありません。
亜脱臼の因果関係の要素にバルビツール酸が含まれているはずですが、バルビツール酸に限らず、向精神薬全般でも生じる可能性はあり、薬剤性の筋硬直(若しくは極めて強い筋弛緩)に伴い、自由度の高い肩甲上腕関節が重力に伴い前方下方転移(この段階で亜脱臼が形成)⇒上肢への諸症状の発生と言うのも可能性としてある訳です。
無論、これらも既に治療判定は出しており、自然発症性の整形領域疾患で生じる亜脱臼(肩を使いすぎて単にルーズ(ショルダー)な状態の患者)とは丸っきり異なる治療反応性を呈しているものです。このように考えれば、向精神薬由来の諸症状と言うのは2次的な因果のみならず、3次的にも4次的にも症状と言うのは輪に掛けて悪化していく可能性もあるものです。
更に厄介な事は、これらの薬剤性筋硬直と推定される群は先ほども述べた通り、日常的な行動量と比例して憎悪し、休養にて一時的な改善自覚が得られる、と言う方が大半である為、純粋な筋骨格系疾患と誰しもが見間違う、と言うものですが、
これらの常用量離脱、離脱症状及び副作用のリスクを抱える向精神薬服薬者に共通して言える事は、自然発症性の自律神経系異常や整形領域疾患、中枢神経系疾患とは異なり、極めて過敏性が高いと言うのも特徴として挙げられます。それをアロディニアと称しても良いのかもしれませんが、表現方法は扠措き、凡ゆる環境変化に対して滅法弱い印象を受けます。

凡ゆる環境変化に対して滅法弱い、と言う共通項が出たところですが、再度この事で、向精神薬由来以外の症状に関しても一度考える必要も出てきます。例えば、このような滅法弱い群と言うのは純粋な整形領域でも見られます。
僅かな体動で肩が痛い、腰が痛い、膝が痛いとしても、画像所見上では明確な占拠性病変や器質的異常も認められず、且つ鎮痛剤等の反応性も極めて悪く、自ら進んで半分寝たきりになって休養を取ってはみたものの別に其れでも治る事はない、なんてケースも少なくない訳ですし、
術者側として、仮にも肩関節関連領域筋群、腰部関連領域筋群、膝関節関連領域筋群に対して弛緩を求める⇒それが仮にも運動連鎖を考慮に入れた全身性に及ぶ処置を施したとしても治療反応性が悪いケースと言うのも実は少なくありません。とは言え、原因もこのような簡単な推測で済めば良いものですが、癒着や梗塞、術後後遺症等の損壊もあるかもしれません。
それは、先ず何故かも考えなければならないポイントかもしれませんが、先日も書いた通り、私が筋肉や筋膜を標榜する治療手段に対しての脆弱性の通り、筋肉は筋肉に栄養を送っていない、筋肉は筋肉を動かさない、筋肉は痛みを感じない等の当たり前の事象が在るにも関わらず、
何故筋肉や筋膜に対してクローズアップばかりしているのかの業界的背景を考察した上での推論より、要は「薬じゃダメだからと異なるステージに立った代替療法家の大半が突っ込める部位は筋肉筋膜」迄である、と言う事もあり、これ以上の突っ込んだ治療を行い反応性を伺えるのは
針免許保有者か医科であればペイン科のような積極的に疼痛治療に対して挑んでいるかのどちらかしかデータを構築出来ない部分もあり、しかし、どう考えても日本世界で見ても術者層が少ない為にデータ量が少ない懸念⇒意見交換の場が少ない⇒結局は自分一人で構築していかざるを得ず、緩慢にしかベースアップ出来ないのが一つの歯痒さであるのですが、
このような様々な「良くなるだろう」的な薬物以外の保存療法的行為を用いても良くならない方々⇒それを難治例と称するものかもしれませんが、一体何処の誰が腰が痛ければ腰にアプローチし、膝が痛ければ膝にアプローチする、と言う考えを持ってしまったのか、そのような歴史迄を辿る暇はありませんが、知覚神経部の増幅行為が肩、腰、膝等の何処であれ関与しているとなると、仮に膝でVAS10⇒7だとしても残り7は膝に原因がないケースなんて相応にしてある訳です。
残り7を何処で見るかと考察すれば、膝部の神経支配領域である知覚神経部の異常である、と言う見方をするのが大変自然な事であり、その多くは結果として残せるものです。しかしながら、この7を0に持っていける手段を用いる事が出来る術者が先述の通り物理的にも限られている限り、臨床データもベースアップ出来る訳ではありません。
これらの障壁をクリアして、初めて此処で薬剤性であるかもしれない、と言う推定を立てて行くのが適切かとは思うのですが、更に深読みした場合、「薬剤性であるかもしれない」と言う事は「自然発症性かもしれない」、と言う部分も考えなければなりません。場合によっては栄養摂取の偏重により身体症状や精神症状等も出る訳ですから考えればキリがありませんし、
如何せん、人間は時間を生きている訳ですから、随所随所で凡ゆる事象は発生する可能性もあるとまで考えますと、これも又キリがない話になり兼ねない為、あくまでリスクファクターとしての1つ因子と言うスタンスで柔軟性を持って見る必要性もあるでしょう。

このように、患者に甚大な影響を及ぼすと考えらる背景を有していたとしても、「〇〇由来である」と断定的に決め付ける行為と言うのは極めて危険な行為でもあります。
勿論、何か症状に悩み苦しんでいる患者にとってみれば、術者が症状の誘発因子を決め付けてくれて回復に誘導してくれる位の肉食系を好むものかもしれませんが、残念ながら石橋を叩き壊しながら進む私は、そのような性格ではありません。
目で見えるヘルニアを手術で取っても痛いと言う人間がゴマンといるにも関わらず、端から目に見えない部分と相手をする訳ですから、あくまで推定の域と言うのは脱し難い⇒凡ゆる可能性は考えていきたい、と言うのが術者側としての本音でもあり、それが何の由来であったとしても、症状自覚が無くなれば良いんではないか?と言うのも一つのスタンスである為、試行錯誤は終わらない訳なのですが、
あくまでリスクファクターとして濃厚な由来は取り払っていかなければ判定も出来ない、と言うのが正直なところでもありながらも、残念ながら向精神薬に関しては即時的に取り払う事が出来ない(禁断症状が酷く出る懸念がある為)し、
微量且つ慎重な減~断薬をしても禁断症状が出る場合もある、そして、そもそも向精神薬が及ぼす反応性と有害性、危険性を患者側が理解しない限り、いつまでも在らぬ精神病名を抱え続けて生きる事になり、
整形領域患者群に関しては、向精神薬なんて慣れぬ性格の薬物を処方されても、恐らく知らない人間が圧倒的になってくる訳で、そして今後も恐らく整形領域疾患にも向精神薬承認され続ける可能性も考えれば(古くからベンゾ系※デパス含む やSSRIの投与はありましたが)、何処まで何が出来るか迄、考える必要性もある訳です。飲まなきゃ良いのは既に分かっているし、飲んだら危険と発信するのも簡単かもしれませんが、
飲んで具合が悪くなって行き場を失った患者の回復を促さなければならないのも現実であり、さて、治療ベッドに寝ているだけで事足りる向精神薬由来の諸症状と言うのは何処まで光を当てる事が出来るかも深く考え続ける必要性もあります。

ここで反跳性筋硬直に関して此処の段階で一旦まとめてみますと、極めて強い体幹硬直に伴い、脊髄近郊部(運動神経・知覚神経・後根神経節)から派生した椎間孔部で生じる易インピンジメント性から起きる四肢末梢の諸症状は離脱症状群の1次的誘引ではなく、治療反応上から鑑みても体幹硬直が一次であり、其処からの派生の四肢末梢部の諸症状は2次である可能性が極めて高く、
その根拠とし、四肢末梢部の諸症状に関しては極めて治療反応性は良く、即時的に改善自覚を得られると同時に、主に服薬者に関しては「服薬し続けている」と言う現状から見ても、そして針治療の作用時間から見ても改善自覚~憎悪自覚の時刻が殆ど一致する事が理由として挙げられます。
反面、断薬後に伴う離脱症状として生じている反跳性筋硬直と思しき諸症状に関しては、服薬者と同一に治療反応性は良く、その後の改善の伸びが異なる傾向にある(針治療の作用時間以上でも伸びを見せる)傾向があり、断薬した、と言う患者自身の過去努力も更なる症状改善に対してポジティブな一助になるかもしれません。
但し残念ながら、上記の内容とて、向精神薬に伴う反跳性筋硬直であるとする確固たる根拠もない、と言う現実も踏まえて考えなければならず、非服薬者との照らし合わせでしか判定出来ない状況であると言う事も踏まえておかなければならない事でしょう。
後述する事にもなりますが、1つの考え方としては治療に伴う作用時間と一致しかしないながらも症状改善自覚を得られる事が分かった場合、早期回復及び日常生活のQOLを向上させ続ける事を望む場合に於いては、針治療の作用時間と一致させた治療スパンで施術し続ける事で、その過程で可能であれば減~断薬へ進む事も出来ると言う事です。
先述の通り、顔面部の硬直等も向精神薬由来の諸症状では多く見受けられるものです。これは、無感情だとか離人症と言うような、表現が乏しい、喜怒哀楽等が出来ないと言う意味ではなく、単純に顔面部が固まる、顔面部が痛い、オデコが詰まる感覚になる、鼻が詰まる感覚になる、耳が痛い、歯が痛い、顎が痛い、と言う諸症状も多いもので、その多くは耳鼻科や歯科、脳神経系外科で異常判定はされないものでありますが、
このような諸症状に関しても、治療反応性と言う観点のみでの説明ではありますが、三叉神経が極めて関与しているものであると考えられるものです。例えば、これらの諸症状に関してはステロイドやボツリヌス注射等も全て無効であった(勿論、もっと様々な薬物治療はあるかもしれませんが)と言う経緯を持っているものであり、
表現の仕方は上手くないかもしれませんが、三叉神経の機能異常を目的とする処置を行う事で症状改善が得られるケースも多い為、顔面部の諸症状に関しては三叉神経痛(大穴でC1~3程度の頚椎の体幹硬直に伴う顔面部の諸症状)と言うのも伺いしれるものでもあります。
このように改めてですが、恐らく、反跳性筋硬直と言うのは治療反応上から見ても2次的要因である可能性が高いものです。では、仮にも2次的要因を改善させたとしても、それは残念ながら「枝葉」の症状であり「根っこ」ではないと言う点です。
そのように考えると、恐らく、目で見て触れてと言う五感の情報は大脳皮質~視床~脊髄へ派生する過程での状況を鑑みる限り、大脳皮質部に於ける神経伝達物質異常であり、それが鋭敏性を持ち患者自覚させるか、鈍麻性を持ち患者自覚をさせるかに関しては、その時々のタイミングによって異なるものの、
特にベンゾ系のような脳内全般に分布するGABAの状況を弄られた場合、見越さなければならないのは、やはり中枢への処置も同時に行い続ける必要性も極めて高い、と言う事も改めて考えなければならないものです。

時折、向精神薬による副作用や常用量離脱、離脱症状に関しては、個々の患者の一番弱い場所(部位)を狙い打ちするかのように症状を発症する、と言う表現がされていますが、個人的な解釈では、仮にも体幹硬直が生じた場合、個々の弱い部位、と言うよりも脊椎の可動域の大きい部位から派生する神経症状(体性神経・自律神経)が起きる可能性があると言う見方も出来るものです。
その為、仮にも体幹硬直に伴う脊椎近傍部からの派生での四肢末梢部の諸症状と言う推測が濃厚だとした場合、その多くは脊椎の可動域の大きい部位、及び日常生活で易負担部位が挙げられるものかもしれず、
その多くはc6、c7、c8、th12、L4、L5周辺が考察され、神経走行が解剖学上正しいとした場合、容易に上肢への諸症状、下肢への諸症状、場合によっては前胸部、肩甲間部、腰部、腹部、臀部、更に輪を掛けて内臓器の自律神経系症状も纏う、と考察すれば、「末梢部のみ」である体性神経系や自律神経系のみでも、2次的と言う間接因子にも関わらず、十分に酷い諸症状を患者に自覚させる可能性もある、と言う事も考えられます。
そこで更に中枢神経系の1次的要因が伸し掛かるとイメージすれば、更に症状は甚大かもしれませんが、幸いな事にも、2次的(以降)要因に関しては、枝葉の諸症状であるものの、枝葉は簡単に切り落とせる、と言うメリットも実はあり、その後に残った症状を1次的と、判定する事も出来るものです。
しかしながら、その多くはオーバーラップしながら時間を経過する事になる為、臨床上は「よくわからない」と言う虚しいオチになるかもしれませんが、幸いにも筋硬直が2次的誘発因子である可能性が高い、とすれば、患者に根気があり治療に対しての積極性があれば、常に症状を落とし続けながら減~断薬に励める、と言う希望にも繋がるのではないかと思います。

余談…向精神薬依存に伴う内分泌異常の弊害
ベンゾ系(睡眠薬精神安定剤)も中長期的に服薬し続ける事により耐性が獲得され、同量を服薬しながらも薬が効力を発揮しない状態に陥り、その結果として離脱症状が出始めます。これはベンゾ系に限らず、向精神薬全般でも同様な事が言えますし、耐性の獲得に関しては向精神薬に限った話ではありませんが、脳内の神経伝達物質を薬によって変動させる向精神薬の場合、様々な弊害が生まれます。
多くの医院では離脱症状の存在を知らぬ存ぜぬする為、現症状の悪化とされ更なる薬物を増量されては症状が落ち着いたと楽観している患者群も実に多いものですが、これが蟻地獄に陥る第一歩である事は多くの患者が教えてくれました。
勿論、ホントに知らない人も沢山いますし、残念ながら検査をしても「薬物による離脱症状だよ」と数値が教えてくれるものでもありませんし、極度の不安や焦燥感等の精神変調や、身体が強張る、痛い、痺れる等の身体症状は日常的にも起きる可能性のある諸症状であるが故、検査結果で異常が無い為に、その多くは不遇な対応をされているものです。
このような事は、向精神薬を好き好んで処方する人間は積極的に話す事はないでしょう。自分に都合の悪い事は隠すのが人間ですから、それは医者としての行為と言うよりも、人間的な本能なのかもしれません。
まぁそれは扠措き、ベンゾ系の中長期的な服薬に伴う離脱症状(反跳作用)はどのようなものがメインとなるか改めて復習すると、「眠れない」「不安」「筋緊張」等と、極めて日常生活に於いてもストレスになる症状群で溢れてきます。要は、ベンゾの離脱症状によりストレスを感じる、2次的要因でストレスが累積される結果に繋がる恐れがあります。
これが抗うつ薬だとしたらどうなるでしょう。例えばセロトニンノルアドレナリンの受容体に蓋をしては濃度を上げたり、自己生成の分泌量を増やしたり、時としてはSNRIとNaSSaを組み合わせる、蓋をしながら分泌量を増やして行き場を無くすような鬼畜な処方をされている患者も珍しくはありません(参考⇒カリフォルニアロケット)。
さて、このような興奮物質が脳内に必要以上に溢れていたり、若しくはベンゾ系の反跳作用の如く、常にストレスフルな状態に陥るとどうなるでしょう。精神科医が「うつ病」の発症起因として視床下部~下垂体~副腎皮質のラインを組む「HPA系仮説」を掲げる時があります。他には「モノアミン仮説」や「BDNF仮説」があります。
HPA系仮説の参考…脳の視床下部(Hypothalamus)、同じく脳の下垂体(Pituitary)、そして腎臓の上にある副腎(Adrenal gland)の3つは互いに深く関連しており「HPA系」と呼ばれています。ストレスを受けると、視床下部(Hypothalamus)からホルモン(CRHなど)が分泌され、それが下垂体(Pituitary)を刺激します。すると刺激された下垂体からもホルモン(ACTHなど)が出て、副腎(Adrenal gland)を刺激します。
刺激された副腎は、コルチゾールノルアドレナリンなどの様々なホルモンを分泌し、これらが身体に作用します。コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれており、血糖・血圧を上げたり、免疫力を低下させたり炎症を抑える働きがあることが知られています。適度なストレス負荷がかかった時に私たちが頑張れるのは、実はこのストレスホルモンのおかげなのです。血糖が上がれば脳へ糖分(栄養分)が届きやすくなるし、血圧が上がれば全身へ酸素を送りやすくなります。炎症を抑えてくれることで身体の痛みやつらさを感じにくくなります。
しかし、ストレスが過剰に続いてコルチゾールの分泌量が多くなりすぎると、糖尿病や高血圧になってしまったり、免疫力の低下から感染症などの病気にかかりやすくなってしまいます。また、HPA系には「フィードバック機構」というものが備わっており、それぞれのホルモンが分泌されすぎないようにお互いがお互いを監視しています。例えばコルチゾールが出すぎるようであれば、視床下部がそれを感知しCRHの分泌を弱めることで、コルチゾールの分泌を減らしてくれます。正常のHPA系はこのようなはたらきをするのですが、ストレスが過剰にかかった場合、このHPA系のフィードバック機構が壊れてしまうことがあります。
そうなるとフィードバックがかからなくなり、どんどんコルチゾールが分泌されてしまいます。コルチゾールが増えすぎると、先ほど説明した糖尿病、高血圧、感染に弱くなるなどの危険もあるのですが、実はそれ以外にも害があることが指摘されています。それは中枢神経に対する毒性です。
過剰なコルチゾールは脳の神経を破壊してしまうと考えられています。具体的には、脳の海馬という部分の細胞や神経の減少、海馬におけるBDNF(神経由来成長因子)の減少、神経新生の抑制が起きると言われており、これを「海馬神経毒性」と言います)
仮にもHPA仮説を信頼した場合、このような段階を踏み症状が悪化する要因に「向精神薬を中長期服薬及び減~断薬時に発生する」事も容易に想像がつきます。向精神薬を飲み続ける事で、抜け出せない病気を作り上げてしまう可能性がある、という事です。
明確な関連性迄は現段階では確証が取れるものではありませんが、向精神薬の副作用には殆ど「現症状の悪化」と言うブラックジョークが真面目に書かれています。「うつ症状」を治そうと思って抗うつ薬を飲むと、「うつ症状が悪化する」。そればかりか、仮説が薬によって本説になる為、本当の病人になりかねなくなるのも、このような理由が含まれているのかもしれませんね。
結果的に、視床下部からのフィードバック機構も派手過ぎて、副腎からのコルチゾール分泌も追い付かない(他疾患他症状を此処の段階で生じるかもしれない)⇒視床下部のフィードバック機構も副腎の機能も破綻⇒うつ症状等の悪化(この段階では精神症状のみならず身体症状も相当出ているとは思う。極めて身体が痛い、極めて身体が疲れ易い等)により日常生活に支障を来す為、何も知らなければ、やっぱ薬くれ、薬増やしてくれ⇒場合によっては上っ面だけ持ち上がる(かもしれない)⇒薬から抜けられない、ってのもあるかもしれないですね。
こんな状態に対して更に抗うつ薬を突っ込んでも良くなる気配はないのは目に見えているものです。でも、飲めば取り敢えず落ち着く(場合もある)から自身の身体よりも目先の欲求を満たす為に薬を飲まざるを得ない為、結局は薬に頼らざるを得ない状態となるのかもしれません。此れくらいまで陥ったら、立ち止まって治す勇気も時として必要なのかもしれませんね。

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※今後は、このように添付文書に記載されている副作用の中にも常用量離脱が含まれている可能性も有ると考えた上で、それが(常用量離脱の)1次的か2次的症状かと言うのも臨床反応上から検討していきます。

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