藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

続 基礎身体状態に於ける改善度合の差異を読み解く


画像所見の異常箇所と発痛箇所は相関しない事は常々書いてきました。
たまたま見つかった器質的所見を痛みの原因と捉えた結果、
原発処理を軽視及び無視する事となり、
矛盾の生じる治療手段の組み合わせは心身の負担を増大させているだけなのです。
 
因みに私の足の骨は10年前から一本折れたままですが全く痛みはありませんし、生活に支障もありません。
これはどのように説明するのでしょうか。
 
患者を診ずに画像所見ばかりに頼る弊害は、
原発を探る以前の問題で、入り口を間違えた治療では出口は一向に見つからなくなります。


2年程前に左胸郭出口症候群と診断され、ペインクリニックでの星状神経節ブロック、
首と後頭部の痛みからこの箇所へのトリガーポイント注射をしてもらっています。
整形外科ではリハビリもしてもらっています。

また、薬もリリカ、トラムセット、ノリトレンリボトリール、頓服でSG顆粒を服用しております。
しかし効く時と効かない時の差が激しく、効果も持って半日という感じです。
更に痛みや痺れが箇所が上半身のみならず下半身にも広がり、頭痛や首の痛みも酷くなってきています。
全て左側ですが酷い時は右側にも症状が出ます。
 
主治医に相談した所、
「頭痛や首や下半身の痛みや痺れがは胸郭出口症候群の痛みじゃないからわからない、
特に腰は若い(30代前半です)から何もないはずだ。あっても原因不明や現代医学ではわからないものは
治療出来ない。ストレス性のものだ。」と言われてしまい、途方に暮れております。
 
痛みの箇所がどんどん広がって今ある痛みは増えていて

倦怠感や休んでも疲れが全く取れない事から仕事も休みがちになっていて困っています。
本当にストレスだけの問題なのでしょうか?


参考までに胸郭出口症候群の一般的解釈としては…


上肢やその付け根の肩甲帯の運動や感覚を支配する腕神経叢
(通常脊髄から出て来る第5頚神経から第8頚神経と第1胸神経から形成される)と鎖骨下動脈は、
 
①前斜角筋と中斜角筋の間、
②鎖骨と第1肋骨の間の肋鎖間隙、
③小胸筋の肩甲骨烏口突起停止部の後方を走行しますが、
 
それぞれの部位で絞めつけられたり、圧迫されたりする可能性があります。
その絞扼(こうやく)部位によって、斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群(過外転症候群)と
呼ばれますが、総称して胸郭出口症候群と言います。
胸郭出口症候群は神経障害と血流障害に基づく上肢痛、

上肢のしびれ、頚肩腕痛(けいけんわんつう)を生じる疾患の一つです。


という訳で、日本整形外科学会から引用してきた内容なのですが、
上記の文面を見て大きな矛盾を生じている箇所に気が付くでしょうか。
 
問題を紐解くのはここからです。
上記解釈を鵜呑みにした時点で治癒はありません。
 
更にTPBを行うにも関わらず、
出されている薬はリリカ、トラムセット、ノリトレンリボトリール、頓服でSG顆粒です。
この段階でも矛盾に気付き、患者サイドが疑問を医師に投げかけなければ拗らせる結果となります。
残念ながら医療者優位となる医療現場に於いては患者は術者の言いなりになる傾向は高く、
異論を唱えなければ拗らせていく一方です。
…余談ですが随分とキツイ薬ばかり出されていますね。
 
その後、
 
>>更に痛みや痺れが箇所が上半身のみならず下半身にも広がり、頭痛や首の痛みも酷くなってきています。
全て左側ですが酷い時は右側にも症状が出ます。
主治医に相談した所、「頭痛や首や下半身の痛みや痺れがは胸郭出口症候群の痛みじゃないからわからない、
特に腰は若い(30代前半です)から何もないはずだ。あっても原因不明や現代医学ではわからないものは
治療出来ない。ストレス性のものだ。」と言われてしまい、途方に暮れております。
痛みの箇所がどんどん広がって今ある痛みは増えていて
倦怠感や休んでも疲れが全く取れない事から仕事も休みがちになっていて困っています。
本当にストレスだけの問題なのでしょうか?
 
とあります。
症状改善に至らぬ結果のストレスというのも関与しているかもしれませんが、
これは薬の副作用ではないですか?
 
そして、そもそも論として胸郭出口症候群なのですか?
 
我々はここから異論を唱えていきます。


似たような内容をこないだ書きましたね。 http://blogs.yahoo.co.jp/anti_white_supremacy/9660755.html
 
視点が違うとはそういう事です。
 
・画像にて器質的異常を見る。(上述内容とは違いますよ)
・薬と同時に渡される紙に書かれている薬の効能を見る。
・周囲の意見を聞き同調を得る、若しくは得ようとする。
 
この時点で患者は他の意見が耳に入らない程にニュートラルな思考で居られなくなります。
実は我々が一番シンドイのが患者の思考とリンクしないという事です。
リンクしない以上、患者は結果を急ぐ余りに対処療法に走りたがりますし、
「痛くなければそれでいいや」という思考に陥ります。
その結果、様々な手段を詰め込みたがります。
湿布や薬、はたまた治効理論の怪しげな健康グッズもそうですね。
焦るあまり、このような状態に心理状態も拗れていきます。
 
治療は「痛くなくなればそれでいいや」ではありませんね。
「永続的に痛まない身体」にする事が最重要課題なのです。
 
拗れた結果、現症状が消失するケースもあります。
但し、数日後に別な症状が引き起こされるケースがあります。
 
痛みや痺れを消す…。
 
薬で何とかしようとした場合は、
薬で症状に対して蓋をしている状態であるだけで、原発は常に身体の中で疼き続けているだけです。
その為に薬が切れたら痛むのは当たり前です。耐性も出来るでしょうから薬も強くしなければならなくなるし、
その結果、副作用も強くなるのは当たり前なのです。
 
姿勢で何とかしようとした場合は、
疼痛を回避する姿勢を見つけだし維持した結果、当該関節間の筋肉の伸縮短縮の能力を損なう事となり、
他の箇所への負担の増大にて痛みを発症しうる危険性を生じます。
 
「そんな事を言ったら何も出来なくなるのではないか」との反論もあるでしょう。
「何故、何とかしようとするのですか?」と逆に私は質問を投げかけるでしょう。
極初期の受傷時期は何もせずに積極的休養を取る事が治癒への一番の早道です。
何とかしようとするあまり、最終的に拗らせる結果となるのです。
 
人間は理由があるから痛みを発しているのです。
 
何故、人間は極限まで無痛を追い求めるのか。
痛みは辛く切なく孤独を味わうかもしれません。
しかし、痛みを受容出来ない思考を持つ人間は、いつまでも拗らせ続ける事になります。
 
先ず、人間は一時的にでも同一姿勢を長時間維持した場合や反復動作を繰り返した場合、
肩凝りや腰痛なんて幾らでも発症する生き物であるという事を理解する事が大切です。
そのような初期段階で間違えた手段を介入させると拗らせ始める結果となります。
 
長時間椅子に座り続けたら、立ち上がりに腰が一時的に伸びなくなるでしょう。
長時間正座をし続けたら、足が痺れるでしょう。
時に悲しくなる事もあるでしょう。
時に気分が落ち込み自暴自棄に陥る事もあるでしょう。
タバコを吸い過ぎたら肺ガンになるリスクも増すでしょう。
砂糖を食べ過ぎたら体重も増えるし虫歯も出来るでしょう。
マクドナルドを食べ過ぎたら肥満になるでしょう。
貴方もマックを食べ過ぎて太ったからと裁判を起こしますか?
 
サバ缶食べてダイエット?
バナナや納豆でダイエット?
何故「食べない」という手段は選択出来ないのでしょうか。
 
当たり前の事を受容出来ねばなりません。
何故、自己責任である事象を責任転嫁したがるのでしょう。
 
気付きを得ぬまま薬で痛みに蓋をしたら再発するのは当たり前です。
気付きを得ぬまま疼痛を回避する姿勢を維持し続ける限り、他部位に痛みが生じるのも当たり前です。


患者のバイアスが解けた頃、我々が伝えている内容を理解してもらえることになるでしょう。
こんな状態では幾ら説得しても納得する事はないのです。
一頻り様々な現代医学的思考から派生する治療手段を行ってから
鍼灸院に駆け込む患者が大多数になるのも分かります。
 
但し、その頃には思考も身体も相当拗れている事だけは覚悟しておいたほうが良いでしょう。
鍼灸治療は一つ一つ拗れた糸を解くキッカケを差し上げていきます。
そこに答えを見つけてくれたら幸いであり、
痛みを理解し、痛みを受容出来る心身になった時に初めて痛みを感じない身体に変わっている事でしょう。

そうそう、西日本新聞がやってくれました。
世の医療を変える一つの架け橋になってくれる事を期待します。
我々の闘いは一歩一歩かもしれません。
それでも答えは患者が何れ持ってきてくれるものだと思います。
 
イメージ 1
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~