藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腰痛(慢性)

 イメージ 1右の図は起立筋群です。
 後屈させる際に働く非常に大きな筋肉です。恐らく、腰が痛い、背中が張ると来院された患者様方に、触診する際に触れる部位というのは、恐らく起立筋群になってくるかと思います。
 
 しかしながら、起立筋群って誰もが張っている事にお気づきではないでしょうか。もしかしたら起立筋群の張りを病変部位として見るのは短絡的かもしれません。
 
 「起立筋群に指圧してみる⇒そこそこ⇒じゃあここに鍼を打ってみましょう」
この図式は直ぐに成り立つものですが、効果は一時的にしか現れないですね。治療ベッドから降りて、靴を履き、玄関のドアを開けた時点で元に戻っていると思います。
 
 ではどうしたら良いか。疼痛として訴えるポイントと、アプローチを掛けなければならない箇所は異なるという事です。
この場合、非常に多岐に渡る刺鍼ポイントが存在する為、腰部に限った話と致しますが、
 
 様々な動的動作を行い、疼痛が発症するポイントが現れる場合であれば、そこに関連する筋肉に鍼をすれば良いと思います。
これは簡単ですね。治療者側としては、症状が特定されていればいるほど楽なんです。
 
 他には、様々な姿勢を作っても、ピンポイントに疼痛が発症せず、尚且つ、張りも見られずに漠然と腰が痛いという人も多くいます。
 
 過去に腰を痛めた事がある。運動不足。精神的疲労etc。
 
 このような方に対しては、頸の項の応用ともなりますが、腰部の場合、T12~L5の神経後枝付近に鍼を刺し入れる事で、改善される場合が非常に多く見られます。脳に到達する、「痛い」という感覚をストップさせてしまうのが一番手っ取り早い。
 
 器質的変化が無い方に対しては、どの部位であれ、神経後枝付近への刺激が一番良く効いている気がします。痛みに対しての対処療法ではないかと言われそうですが、痛みを取るのも治療です。痛みはQOLを一気に低下させる要因となります。ここは凄く重要な部分です。
 
 患者様の来院される時間的負担や経済的負担の軽減の為にも、先ずは痛みを取るのが先決です。
1人の患者様を10回通わせるよりは、1人の患者様を1回で治し10人の患者様を紹介してもらったほうが、よっぽど治療者側としては気持ち良いものですよ。