藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腰以外のヘルニアも同じ事

勘の良い方なら既に気付かれているかと思いますが、
整形外科領域の理論は腰椎椎間板ヘルニアだけが破綻している訳ではありません。
頚椎(首)の椎間板ヘルニアに関しても同じ事が言えます。
 
頚椎や腰椎の椎間板が脱出(突出)し易い理由と言うのも、単に可動性が高い為であり、
胸椎の椎間板ヘルニアの話を滅多に聞かないのは、単純に可動域の広狭の違いだけです。
参考までに下記のPDFをご覧になって下さい。
では、例によって患者の話を聞いていきましょう。


頚椎ヘルニアを発症して10年経ちました。6年前とつい2ヶ月半前にレーザー手術をしました。
でも肩こり・首こり(だるさ含)・腕の違和感(だるさ)がずーっとあり、
日常生活(掃除)や仕事は体と相談しながらしか出来ません。
今、36歳の女性です。体型は小柄で細いです。(少しおばさん体型になりましたが)
どちらかというとパワフルに動きたい性格なのでイライラし、少し鬱気味になってきました。
最近、精神科にも通い出したのですが、初診は結構話を聞いてくれたのですが、
2回目からは少し経過だけ聞いて薬。という感じで「えーっ!」でした。(まだ2ヶ月弱だけど通院やめようかな?)
頚椎ヘルニアやそれに伴う症状はどうしたら解消し、
気にせず(もちろんムチャはしませんが)過ごせるのでしょうか?


加齢による頚椎椎間板ヘルニアと診断され、消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、胃薬を処方され1ヶ月ほどたちました。
右上腕から親指、人差し指まで痛みとしびれがきついです。
頚椎専門の病院なので、治療方法に疑問などはないのですが、事務職フルタイムで、
PC操作が多いので、夕方ぐらいからは頭痛、めまいなどのふらつき、吐き気なども出てきて、
毎日この繰り返しでは、痛みもひかず、悪化するばかりではないかと思っております。
担当医は、仕事をしながら3~4ヶ月かけて痛みを抑えていくのが一般的で、
痛みの起きない姿勢を心がけるようにとおっしゃるのですが、夕方ごろには限界を感じます。
何か少しでも楽になる方法をアドバイスいただければと思います。


上記2例がMRIを撮影し、椎間板ヘルニアと診断された患者です。
写真にてヘルニアを発見した場合、医師はヘルニアによる痛み痺れを原因と捉えています。
しかし、下記の2例も見てください。


半年前から原因不明の手指痺れと、手~手首の使用時の関節の痛みがあります。
手首と頸椎レントゲン、MRI、筋電図、リウマチの血液検査、脳神経外科でも脳MRI
すべて調べてみましたが病名が分かりません。
今後は大学病院での受診を考えていますが一体何科を受診すればよいのでしょうか?
現在2歳の子供の育児中で、妊娠4カ月の妊婦です。
指の痺れは昼夜問わずの睡眠時、覚醒時でもPCをしているときや読書中など指先を断続的に使う時、
痛みというのは「指を使ってスニーカーをはく」、「ドアノブを回す」、「食器洗い物をする」、
「ちょっと重みのあるものを指先で持つ」、「指をまっすぐにして拍手できない」など
日常生活のちょっとしたシーンで感じています。起きぬけは掌の開けたり閉じたりが痛くてこわばります。
指の痛い部分は細かくは左右非対称です。
指の痺れが半年前に出た時は関節の痛みはなく、その後痛みが指~手首に徐々に広がってきました。
真っ先に疑った手根管症候群はテスト含む検査でも異常なし、
関節リウマチの血液検査もかなり細かくしましたが正常でした。
来年出産を控えているので今のうちに治しておきたいと思っていますが・・・
出産時にしっかりとグリップが握れるのか、赤ちゃんをしっかり抱っこして授乳できるか、不安な日々です。
今まで受診した病院は個人経営の整形外科×2、
手専門の大きめ整形外科病院、内科、脳神経外科、病院ではないですが手法の違う整体院×2です。
頸椎レントゲンでは、痺れにつながるような頸椎のズレ、歪みはないとの診断でした。


5~6年ほど前から指先がシビレルようになっています。
もちろん病院にも3軒行きましたが、どこも原因不明です。それ以前に、このシビレの症状を
あまり理解できない、という感じでした。

<症状>
・指先のシビレは、ちょうど正座をしたときの、あの感じ。
⇒固まった感じで、ビリビリする感触。 とくに痛いわけではありません。
 本人としては、血流が止まっている感じなのですが。
・左右ともでとくに右。
・範囲は、「指先」が最も強く痺れますが、軽いものを入れると
 手首から先、手の甲~指先まで広い範囲です。
・どういう時に痺れるか…じっとしているとき。
 横になっているときが多い。 横になって本を読んでいる時とくに多い感じです。
・手を振ったりして動かすと、治ることが多い。
脳の血管に問題があるかもしれないと思い、MRも撮影したのですが、問題ありませんでした。


この2例はMRIでは原因が究明できず、その後、血液検査等々も行ったものの、
結果的に陰性だった為に原因不明と言われた患者です。
仮に僅かでも器質的異常が見つかった場合、各整形外科的理論に沿った診断名を告げられるでしょう。
 
当院にも原因不明と言われて来院される患者は多くいます。
例えば、これが椎間板ヘルニアだ狭窄症だと診断を告げられた場合は
医師の治療に先ずは乗じるでしょうから、
アレコレと手を尽くされるも全く改善する事がなく、
暫く経って相当悪化してきてから来院されるというオチもありますが、
 
写真を見せられ、もしくは最近ではガイドラインが出来たもんですから
器質的異常のある特異的腰痛の類である事を説明されると、
「やっぱりヘルニアだから痛いのよね
と思うのも無理はありません。
 
パーセンテージで言ったら原因不明患者の非特異的診断を告げられた患者のほうが
早い内に病院に見切りを付けているようですね。患者も馬鹿じゃないです。
自分の痛みと痺れを原因不明と言われた人間に何時までもくっついて歩くかと。
 
かと言って特異的の類に振り分けられて治療(手術)を行うも改善しないという…。
入り口を間違えた治療は出口も間違えます。いつまで経っても治りません。
しかし、自然治癒も有り得るこれらの症状に対しても、
 
「患者は知りません」
 
失礼な書き方に見えるかもしれませんが、一般患者は医学知識を有しておりません。
その為、誤った痛み医療の考察を述べられても、それを正しいと思うのも仕方ありません。
そして、周囲の圧倒的多数の人間、及び文献も同一の見解で述べられている為、
間違いも正しいものと解釈します。
 
そんな折に私が全く違う理論を述べ始めても信じられないのは仕方ありません。
マイノリティーは何時の時代も風当たりは強いものです。
整形外科学とは全く異なる理論を述べても、治療理論が理解し難い気持ちも分かります。
現段階では治ってから納得して頂いても良いとは思っていますが…。
 
とは言えですね、答えは患者が既に述べていますね。
せっかく患者の口から態々述べて頂いている貴重な情報は、治療に於いて最大限有効活用するべきです。
結果的に写真を撮れるという武器を持っている立場である人間が診断権を持つ以上、
写真の結果が全てを左右すると言っても過言ではないのが、危険な状態なのですね。
なんてったって、「原因不明」という言葉を画像所見にて異常のない
腰痛肩凝りの患者に示しても問題無いように国はガイドラインを策定してしまいましたからね。
 
私は患者の証言に対して治療を行います。決して診断名に振り回される治療は行いません。
参考程度に聞くだけです。患者の声一つ一つの蓄積が治療として成り立つのです。
 
上記の赤字の症例も、時間の経過と共に痛みや痺れの箇所も変化していき、
患者を余計困惑させてしまう原因となります。そしてドクターショッピングと陥った先で、
胸郭出口症候群ですね。手根管症候群ですね。足根管症候群ですねと
手術をされても尚症状は変わらず手術損の患者も実は溢れているのが現状です。
 
正直、医者も患者もどうすりゃ良いか分からない状態でしょう。
そんな折に「原因不明」と告げても許される立場の人間を私は許しません。
患者の気持ちを考えれば、死ぬ気で一緒に考えるべきです。
そもそも、患者は答えを言ってますがな…。
それでも神経圧迫論と原因不明論を突き通しますか。
そんなんじゃ何時まで経っても患者は救われません。
逃げ道を簡単に作れるような策定をしたばかりに、患者は増え続ける一方です。


38歳、男です。はじめにヘルニアになったのは2009年の2月でした。
木材を持ち上げた際に背中がプチュッと音がして痛みが走りました。
MRIを撮ると胸椎8-9間のヘルニアだと判明いたしました。
胸椎ヘルニアをネットで検索しますと、胸椎ヘルニアを内視鏡で手術をしてくださる
病院は私の調べる範囲では日本国内では見当たらず、すぐに見つかったのは韓国の脊椎専門病院でした。
その病院に相談の上、同年の8月に韓国で内視鏡手術を受けました。
術後はウソのように完治していたのですが、半年後の2010年の1月に痛みが再発しました。
MRIを再び撮ると、今回はヘルニアではありませんでした。
しかし痛みが去年のヘルニアだった時と同じ箇所で同じ痛みの感じでしたし、
半年を経過しても痛みが全く治らなかったので再び韓国の病院に行きました。
ディスコグラフィーという椎間板造影検査を受けると、患部の椎間板からは注入した液が漏れることが見つかり、
椎間板が破れていることが判明しました。その線維輪をレーザーで修復していただきました。
昨年の術後のように痛みが治るかと期待しましたが、再発ということもあって
椎間板の傷が深かったのでしょうか。術後は不意の動きをするとビクっと痛みが走ります。
この痛みは飛び出したヘルニアが脊髄に触れて痛い感じではありません。
椎間板がまだひび割れている感じがして、そこに負担がかかると椎間板が裂けようとしている感じなのです。
ライブ会場でよくやる縦揺れを少しでもすると痛みが出てきます。
決して激しい動きを真似しているのではありません。
ほんの僅かに縦の振動を加えることに耐えられていない状態です。
執刀してくださった先生に「椎間板の傷は閉じれたのでしょうか。」
と尋ねたら、「閉じたのではなく、傷のあった部分を一部削って、
そこにアイロンをかけてシワを伸ばしたように修復したのです。
3ヶ月したら椎間板が丈夫になって痛みが良くなります。」とおしゃいました。
術後まだ一ヶ月経過した段階ですので痛くても当たり前なのかもしれませんが、
手術前より痛みが増している上、椎間板の不安定感を感じるのでとても怖いです。
椎間板がずいぶんと損傷してしまった感覚です。今の状態では仕事をするのがとても辛いです。


この患者が来院されたら何処を原発と捉え治療を行いますか?
患者が痛いと言ったら痛いのです。我々が逃げたら患者は社会的死の道を辿ります。頑張りましょう。
 
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 青森から鍼灸治療の意識改革を~