藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腰痛ガイドラインを考える3

腰痛で悩んでいます。坐骨神経痛だと言われました。
もう一カ月近くになりますが、相変わらず痛みがとれません。歩行が困難なほどです。
近くの接骨院に通っていますが、さほど効果はみられません。
治るのだろうかと、ときどき不安に襲われます。
初め、整形外科でレントゲンやMRIを撮られて診断されたかぎりでは、脊椎カリエスではないとのことです。
実は、鍼灸院へも、○○院へも通いましたが、やはりだめでした。腰の痛みはちっともとれません。
○○院へは今も通っています。
中でもひどかったのは○○市から来た気功療法士です。
気を集めるという紙のような物を15万円で買わされそうになりました。
※○○院は、特定されそうな院名なので伏字にしておきます。


散々書いてきてますが、病院に通い倒しても治らない患者はアチコチ回り続ける事になります。
この段階で治れば良いものの、治らないケースも多くあり、且つ患者の弱みに付け込む商法も
多く出回っているのが、こちらの業界です。
 
鍼灸治療を一つ挙げたとしても、様々な思想や手法を用いて治療が行われているのが現状であります。
 
例えばラブ法であればラブ法という風に、効果の有無は置いておき、
確立した手法が根底としてあるが故、技術の差はあれど、全国どこでも同じ術式で治療を受けられます。
 
しかし、鍼灸治療には確立した手法というものが基本的には存在しません。
これを全人的医療と都合良く言い換える事も出来るかもしれませんが、
私にそのような都合の良い解釈は出来ません。
 
勿論、各種学会や勉強会等々に於いて、
ある程度の確立した思想や手段を用いる団体もあるかもしれませんが、
結果を伴わない場合は何の意味もなさないのです。
 
覚悟を決めて鍼灸治療院の暖簾を潜る患者のニーズは何でしょうか。
「治りたい」「何とかしてもらいたい」からです。
 
そんな患者のニーズに対して、腰痛一つ取っても100回も200回も通わせたり、
健康ジュースを売りつけたり、治らないのを医学的根拠もなく患者の原因にしてしまったりでは、
一向に鍼灸業界も日の目を見る事がないばかりか、ますます怪しくなってしまうと同時に、
国家資格であるものの、国にも何れ見離されるのではないかと戦々恐々とするハメになります。
 
では、一つお題を挙げてみます。


助けてください!
三年くらい前から腰痛に悩まされています。整形外科ではただの腰痛だと言われました。
なので毎日、鎮痛剤と湿布、整形外科で作ったコルセットをしています。
痛みの強い時は背中からお尻まで痛くて、太ももがしびれてる感じがします。
腹筋背筋、ストレッチもしています。まったくよくなる傾向がありません。逆に悪くなってる気もします。
痛みが強いときは起き上がるのも歩くのもままなりません。
なにかよいアドバイスがありましたら教えてください!お願いします!


彼に対し、日常生活でのアドバイスはどのようにしますか?
彼が今現在行っている行動には、腰痛を悪化させる原因が何点も含まれています。
そして、治療箇所と治療箇所を選別した理由を現段階で述べられますでしょうか。
この治療を行う事により、患者の症状はどのように推移していくか述べられますでしょうか。
これらの理由を治療を行う前に患者に対して告げ、結果を残す事が治療であると思います。
 
それを、都合が悪くなれば現代医学的考察から急に東洋医学的な解釈を出して
患者をケムリに巻くような状態であれば大変危険であると私は考えています。
 
ここ最近の流れで例えれば、ヘルニアを手術で取っても痛み続けるのはストレスだと言うのと同じです。
 
治らなかったら治らなかったで、治らない理由を我々は考えなければなりません。
勿論、治ったら治ったで改めて理由を患者に理解してもらえるように噛み砕き、
フォローアップしなければなりません。
 
そこで、話が和洋折衷みたいな状況になってしまうと、次に繋げられないケースが多々起こりうるでしょう。
前々から書いている、行き当たりばったりの治療に成り得るケースが積み重なっても、
経験値は増える訳もなく毎回ドキドキしますね。そんな事が無いように、
的を絞った芯のある理論を持ち合わせていない限り、双方の展望が見えない状態となってしまいます。
 
「治ればイイじゃない」
 
そんな考えは危険です。
私達は今踏ん張らなければならない時です。でなければ、いつまでもこのままです。
 
前項のガイドライン日経新聞の記事の中に「鍼灸」という文字がありましたか?
世間では鍼灸の認知度なんて残念ながらそんなものなのです。
 
明治~昭和中期に掛けて活躍した鍼灸師の顔つきは、現代の鍼灸師と比べてどうでしょうか。
この写真に写っている先生方のように誇りに満ち溢れていますか?
我々はもう一度、このような時代を築き上げなければならないのです。
 
 
イメージ 1
 
 
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~