藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

腰痛ガイドラインを考える1

つらい腰痛どう治療 学会が指針、タイプ別に分類

「安静」有効とは限らず  国内で約2800万人もの患者がいると推定され、介護が必要になることもある腰痛。原因は多様で突き止めるのが難しいケースもあり、何となく様子見のまま再発を繰り返す例も後を絶たない。日本整形外科学会と日本腰痛学会は昨年11月、「腰痛診療ガイドライン」を公表。医療現場などに普及し始めている。科学的な論文やデータに基づく診断・治療が広がるとの期待が高まっている。

 「いつ、どんな姿勢や動作のときに、どこが痛いか」「痛みはいつから続いているか」。
日本赤十字社医療センターの久野木順一・脊椎整形外科部長は腰痛で来院する患者に対し、
5~10分かけて丁寧に問診するよう心がけている。
 

■「原因不特定」85%
 がんや骨折を疑わせる明らかな症状があれば「危険信号」と判断。画像診断や血液検査で痛みの
もとになっている病気を特定する。危険信号まで行かなくても足のしびれや排尿障害などの
神経症状があれば、詳しい検査へ進む。
 
 ただ、現実にはこれらのいずれでもなく原因がはっきりしない「非特異的腰痛」が腰痛の85%程度を占める。
ぎっくり腰もこの部類に入る。そこで腰痛をタイプ別に分け、最適な治療を目指すために策定したのが腰痛診療ガイドラインだ。久野木部長が以前から実施している取り組みは、その内容を先取りしたものといえる。
 
 椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄(きょうさく)症など、個別の病気の診療ガイドラインは既にある。
しかし「腰が痛い」という症状全般への対応を、最新の科学的な知見をもとに使いやすくまとめた
腰痛ガイドラインはなかった。
 
日本整形外科学会と日本腰痛学会による策定委員会が約900件の論文を吟味して作成した。
腰痛は病院の整形外科だけでなく内科、外科、接骨院、整体師など様々な専門家にみてもらうケースがある。
ガイドラインが共通の基本ルールとして定着すれば、患者の安心感も広がる。
 
 複数の論文から、常識とされてきたエックス線や磁気共鳴画像装置(MRI)を使った画像検査は症状の改善には必ずしもつながらないことが浮き彫りになった。そこで、ガイドラインはエックス線検査を患者全員に実施する必要はないと明記している。
 
 MRIは危険信号をもつ腰痛患者、神経症状の合併がある患者には実施を勧めている。
ただ、非特異的腰痛ではMRIで見つかる異常と腰痛との関係がはっきりしない場合も多く、
診断に限界があるとの報告を紹介している。
 
 策定委員の1人でもある矢吹省司・福島県立医科大学医学部整形外科教授は
「エックス線画像では加齢に伴う骨の変化などしか見えない場合も多い。
それでも患者本人はショックを受けてしまう」と指摘する。要らぬ誤解を招けば治療にマイナスになりかねない。
画像を撮らないと怒る患者もいるが「検査が必要なほどひどくないと思ってもらうことも大切だ」と強調する。
 
もう一つ、多くの人が陥りやすいのが「まず安静」という考え方だ。ぎっくり腰などになると、
あまりの痛さに寝込む人は多い。しかし、ガイドラインによると「安静は必ずしも有効な治療法とはいえない」。
急性腰痛でも、痛みに配慮しながら可能な範囲で動くことが、ベッド上の安静よりも痛みを軽減し
機能を回復させる効果が見込めると記している。
 
 矢吹教授も痛みがひどい場合には鎮痛剤を処方し、腰を動かさないように気をつけながら活動するよう勧める。第一選択薬は非ステロイド性抗炎症薬とアセトアミノフェン。「短期間処方し、ある程度動ける体をつくる」
 コルセットも効果を過信しない方がよいかもしれない。ガイドラインでは、痛みの改善効果は認められないとする一方で、体を動かす機能の改善には有効だと記載している。矢吹教授は「腰痛の予防になるというデータはないが、患者自身が動けそうだと感じるケースもある。適宜、付けたり外したりするとよいのではないか」と指摘する。
 

■ストレスも関与
 多くの人が経験する非特異的腰痛を防ぐにはどうしたらよいのか。日赤医療センターの久野木部長は
「良い姿勢」「適度な運動」「楽しい仕事」「バランスのとれた食事」の4つをあげる。
心に不満を抱えていると痛みの慢性化につながるので、「忙しくても楽しく思えるような工夫を」と同部長は話す。
 
 いずれもちょっとした心がけだが、骨粗しょう症や脊柱の変形、それに伴う脊髄の圧迫などの予防にもつながる。10年単位でみると、実施するのとしないのとでは大きな差が出てくるという。
厚生労働省研究班の最新調査によると、高齢者だけでなく40~50代も約4割が腰痛を訴えている。
若いうちから運動療法などに取り組んだ方がよいだろう。
 
 運動といっても身構える必要はない。福島県医大の矢吹教授はまず簡単なストレッチから始め、
大股で歩くなど汗ばむ程度の全身運動へ進み、最後に筋力トレーニングなども試すよう勧める。
週3回以上、3カ月以上続けるのが基本だ。「生活の一部に取り入れて習慣にしてほしい」と呼びかけている。
日本経済新聞夕刊2013年4月5日付]


ブログを通じて来院された方は「腰痛患者が多いのでしょう?」と聞かれる方が多くいらっしゃいますが、
私の所は心疾患、脳疾患、悪性新生物、整形外科的領域、口腔外科的領域の
各種専門機関での治療後(手術含む)の後遺障害に対しての治療が群を抜いているのが現状です。
医師とは異なり、取り分け専門分野を持ち合わせていないのが現状の
何でも屋的な存在が、鍼灸治療の醍醐味でもあるのかもしれません。
特に部位別料金変動制を敷いている当院に関しては、症状の大小問わず、様々な症状を持つ方が来ます。
 
実はという書き方をするのも何ですが、上記に挙げた各種後遺障害に対しての治療は
鍼灸治療以上の結果を残す手段が私には見当たらない位に効果を上げられます。
他、以前も当ブログで記載したと思いますが、所謂外傷系及び、受傷機序の明確な症状に関しても、
早期段階で結果を生み続ける事が可能です。
 
そんな中、日常生活やスポーツ、仕事での過度な負荷姿勢が蓄積された結果で発症する
肩凝りや腰痛と言われる症状を持つ患者が何故此れほどまでに溢れ、迷走し続けているのか。
これらの症状に乗じた各種治療法、各種健康器具、書籍等々が生まれては消えを繰り返しているのは、
私以上に腰痛に苦しむ方々のほうが詳しいのではないでしょうか。
 
正直言えば、肩凝りや腰痛は、命に関わるものではないので、痛みに苦しんでいる方々は中々焦りません。
そして、本当に痛くなった頃に整形外科に駆け込み、写真を撮って異常所見があろうものなら、
椎間板ヘルニア、分離症、すべり症、脊柱管狭窄症等々と各種診断名を告げられ、
治療ラインへ乗せられ、以前から散々書いていた内容を堂々巡りするハメに陥る結果となる可能性もあります。
 
もし、異常所見が無かった場合は、薬や湿布は出すものの、「原因不明」と告げられ、
彷徨う事になるのでしょう。原因不明なら薬も湿布も出さなくても良いのでは?と散々疑問も浮かびますが、
私がこんな事を書かなくても、患者自身が一番分かっている事かと思います。
 
上記の記事にも書かれている通り、患者が詳しい検査を望む事があります。
最近では症状によっては写真を撮らないケースもあるようですが、個人的には撮ってもらいたいのです。
腰痛患者の事例ではありませんが、ここ最近のケースでは単なる頭痛かと思い、町医者で
診察してもらったら風邪ですねと言われ、当院に受診され話を良く聞くと、
明らかにマズイ状態であり、MRIを撮ってもらったら脳挫傷を起こしていたという事例もありました。
 
人間の身体は分かりません。目の前で生きている患者は、ガイドライン通りの症状を出している訳では
ありません。ガイドラインの作成が時として事故を生む可能性がある事を考えると、
私自身はMRIなりで、しかと診て貰ってからでも全く遅くはないと考えています。
そこで、椎間板ヘルニア、分離症、すべり症、脊柱管狭窄症等々と言われたら鍼灸治療を受けられれば
良いと思いますし、原因不明であっても鍼灸治療は圧倒的な効果を出すでしょう。
 
前にも書きましたが、恐いのは感染症や悪性新生物、骨折等であり、
それ以外の器質的異常があった場合の整形外科的治療法では、
効果が低いという事実を、多くの術者や患者が大っぴらに口に出すか出さないかの違いで、
私が口に出して言っているだけの大人気ない存在なのです(苦笑)
 
これをご覧になって下さい。
 
230ページの右隅を抜粋します。
繰り返し収縮を負荷し疲労した筋では、乳酸の発生とともに筋細胞内のPHが6,2~6.3にまで低下すること
 
と書かれています。この一文だけで、どれだけの症状が患者に対して襲い掛かるかを
考えるだけでも、患者を治療するにあたっての治療箇所が見えてくるのではないのでしょうか。
これで痛い腰ばっかり揉んで撫でて叩いて鍼を打っても結果が生まれない事が分かるのではないでしょうか。
 
ガイドラインの挿絵の中に
・正しい姿勢を保つ
運動療法を続ける
・楽しく仕事をする
・バランスの取れた食事をする
 
と書かれていますが、あくまでこれらは健康な人に対しての理想像です。
確かに重要な事かもしれませんが、痛みに苦しんでいる方々は上記の4点を行う事も至難の業です。
これらを無理なく行える身体にする事が、我々の仕事であるべきです。
 
痛みがあれば、良い姿勢も出来ませんし、運動なんて出来ません。
痛みがあれば仕事なんて楽しめませんし、食事だって喉を通りません。
 
イメージ 1
写真の女性が良い姿勢とは思えませんが、こちらの女性にとっては楽な姿勢なのです。
しかし、この姿勢で継続的に生活を続けた場合、様々な弊害が出てきます。
とは言え、成らざるを得ない姿勢になっている患者に対してアレコレと口で指導しても
身体症状は目覚しい変化が表れないのは、当たり前の事ですね。
 
因みに、この患者が仮に来院された場合、どのような姿位で治療を行いますか?
代表的な2つの治療姿位を継続的に取った場合、治療云々関わらず、患者の腰は壊れます。
寝ているだけで寝技を掛けられるような治療姿位を誘導するだけでも壊れる位に腰痛患者はデリケートです。
 
このような限られた状況の中で患者を改善に持っていかなければならないとなると、
術者は色々と考えなければならないですね。肩凝りも腰痛も、
各種後遺障害に比べたら簡単に見えるようで実は大変難しいものであるのが分かると思います。
 
で、散らかった内容でしたが、何を書きたかったかと言うと、このガイドラインは全くの無用であり、
且つ術者と患者を彷徨わせるだけのものであるという事ですね。
具体的な内容に関しては、2に続きます。
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~