藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

椎間板ヘルニアに対しての疑問7

ほんの一ヶ月前にいきなり腰椎椎間板ヘルニアになってしまいました。
つまりは腰の骨と骨の間にある椎間板という組織が飛び出して、
神経を圧迫することによりさまざまな症状が出るらしいのだが、
私の場合、腰は発症時も今も特に痛くなく、片足に強烈な痛みと痺れがいきなり出てきた。
緊急入院で約3週間入院生活を送り、今は自宅療養中の身。
今まで腰を痛めてぎっくり腰になったこともなかったし、腰痛はまったくなかったってわけでもないが
中腰とかつづけてその時だけ痛い程度で特にそれらしい前兆は何もなかった。
で、発症と入院までの経緯なのだが。
一ヶ月前普通に仕事をしてる最中の昼前にいきなり片足のふくらはぎが張り出したと思ってたら、
痛みが同じ箇所に出てきて痺れが出るようになった。
そして2時間ぐらいで歩くのがやっとという痛みになった。
その後は悪化する一方で、片足全体に痛みが走り、痺れがひざ下全体に及んでいた。
もう片足にはまったく症状なし。健康そのもの。座ってても何してても痛い。
ストレッチとか、シップとか試してみたけれど、ただただ猛烈に痛い。
昔足の指を3本骨折したことがあったが、それと比較にならないくらい痛い。
バファリンを飲んでみたけれど、まったく効果なし。なんぞこれ状態。
 
その日はどうしても仕事場にいないとまずい日だったので、
なんとか自分をだまして定時の18時まで居て退社して、即効で街の何でも屋的な医院にいった。
遅い時間なので専門的な病院や大きい病院はやってないし、
整形外科も診療に含まれてたので急場 しのぎととりあえずの意味で行ってみた。
診察してもらうととりあえず神経症状なのは間違いないが、原因は今の段階では不明とのこと。
痛み止め(ロキソニン)とビタミン剤出しとくから、1週間後また来てといわれて帰宅。
で、寝違いとかかもしんないし寝たら治るだろうと若干淡い期待を持って就寝。
いつも5秒で爆睡して一度も目が覚めずに朝遅刻ぎりぎりに目が覚める私が
ロキソニン飲んでるはずなのに痛みで眠れない、寝れても浅い眠りで1時間もしないうちにすぐに目が 覚めるという悪夢の時間を過ごして不眠状態。 朝いつもの時間よりかなり早く目が覚めて起きるとす  ごく眠いはずなのだが痛みが圧倒してて不眠とかどうでもいいになってた。
 
猛烈に痛い。昨日より猛烈に痛い。トイレもつらくなって出が悪くなってました。
でも会社行かないといけないと自分を追い込みながらだましだまし出社の準備をしてたが、
その間も激痛が走り、食欲も出ない。歩くのも困難になりつつあった。
本気で救急車呼ぼうか悩んだけれど痛み止めを飲んで、ほんの少しだけ会社に出社して最低限の引 継ぎだけしたら病院にいこうと決めて無理やり駅まで歩いた。
 
正直いつもはなんてことのない10分程度の道のりに3倍以上の時間をかけて、痛みを無理やり我慢し て歩いた。もうそのときにこれ、会社ってレベルじゃないとやっと決心がついて電話して休んでそのま  ま電車乗って大きめの総合病院に。
整形外科で診察してもらったのだが、問診と足の反応を調べてもらってたぶんヘルニアでしょうといわ れて唖然・・・。 そういえばこのときに気づいたのだが、足にぜんぜん力が入らなくなっていて先生の  手に完全負ける状態に。 えっ、腰は痛くなくて足が痛いのになぜヘルニア?
状態。軽く話してもらって納得。神経圧迫してるのが足の神経で足に症状が出てるとのこと。
腰が痛くなる場合もあるらしいが 個人によって同じように圧迫されているように見えても症状が
若干違うらしい・・・。
 
検査中大丈夫なようにキツい痛み止めの座薬(後に知ったがボルタレンサポ50mg)
入れてもらって、MRIとレントゲンを撮ってもらって腰椎椎間板ヘルニアと確定。
ただ、痛み止めが無意味なぐらい効かない。MRI中も足が震えるぐらい痛い。
確定診断後の診察中もずっと痛くて耐えられない中、先生にこれ以上強いのだと麻薬みたいな
薬しかないし、外来でできるのはさっきみたいな痛み止め出すだけしかできないけど、
会社休めますか?とのこと。
「こんな痛みじゃ会社どころじゃないので休むしかないだろ、常識的に考えて・・・。」
と思いながら会社に事情話して休みますといって無理してもらってベッド確保してもらって即入院決   定。 まさか緊急入院するとは思わなかった・・・。
 
楽観的に診察してもらってる最中も注射とか点滴とかで帰れるものだと思ってました。
その上、まだ決定はしてないけど手術が必要になるかもしれないとのことでした。
とりあえず、かなり症状もでてるので痛み止めがてら神経ブロックを試してみてから決めましょうとのこ とでした。 ほかにもいろいろ言ってもらってたんですけど、正直痛みで話の7割ぐらいは通り過ぎるだけ でしたよ・・・。そんな感じで入院したんですがその外来で診てくださった主治医の先生がいい人で、
神経根ブロックを無理して本来してない日に早めてしてくれたり(痛みが耐えられないから)、
手術しないといけないと勝手に思い悩んで手術に決めた後も手術か保存療法(手術しないでブロック  注射などを使いながら自然治癒で治す方法)で悩む時間をくれたり。
 
結局手術は回避できて(どちらかというと回避した?みたいな)、神経根ブロック3回コースで退院でき るレベルにはなりました。ただ神経根ブロックが超絶痛い・・・。痛いのを抑えるための治療なんですけ ど、整形で一番痛い治療法だと先生に言われましたよ。
まぁ、今も若干麻痺が残ってはいるんですが痛みは安静にしてればほぼないのでいいんですが、
5分ぐらい歩くと痛みと痺れがカムバックしてきてしまうんですよね・・・。
これぐらいですんでるのも痛み止め(朝晩ボルタレン37.5mg)のおかげではありますが。
先生も言ってたんですが、日常生活に戻るのはそれほど難しくないけれど社会復帰が大変な病気だ  と・・・。 直会社に迷惑かけてるので早く戻りたいんですが、
無理すると麻痺が進行して取り返しつかなくなるといわれてるので家で安静にしてる日々です・・・。

 
治療を構築する上で重要な事は、
ヘルニアと診断された患者さんの症状を事細かく観察し、治療でフィードバックしていく事だと思います。
現場では、ここまで詳細に語ってくれる方は滅多にいません。
痛みが酷い場合、初発段階の症状等は今の痛みで掻き消されている(忘れている)事が大半でしょう。
 
今回は非常に初歩的な話ですが、重要です。
このように痛みに耐えて日々過ごされている患者さんを、診察した側の言葉遣い
(ヘルニアに対しての理論や解釈違いとも言うかもしれませんが…)
により、不安材料を与えてしまい、治癒遅延を招いているポイントが分かるでしょうか。
 
最後の一文です。
>>無理すると麻痺が進行して取り返しつかなくなるといわれてるので家で安静にしてる日々です・・・。
 
麻痺は進行しません。麻痺は麻痺です。前も書いた通り0か100かです。
(外傷による完全麻痺や不完全麻痺とは別の話ですよ
診断した医師は、知覚鈍磨や過敏状態を麻痺と解釈しているのでしょう。
痛みや痺れが強い程、皮膚に触れた時の感覚は過敏状態になったり、触れた感覚が鈍くなります。
例えば、正座を長時間した後に痺れた足を手で触ってみると、普段とは違う感覚を覚えると思います。
ザワザワ、ジリジリ、チリチリ、ジンジン等々、表現方法は異なると思いますが、この症状が進行して
取り返しがつかなくなる可能性は、ほぼゼロだと言い切れます。
言ってしまえば、只単に現状よりもっと痺れが強く感じたり、痛みを感じたりするだけです。
 
自身のヘルニアを調べる為に、馬尾障害(馬尾症候群)で調べてみた方なら気付いていると思いますが、
犬猫の症例が大半で、椎間板ヘルニアの人間の患者が日常生活を営んでいて、
急に麻痺及び馬尾障害が出たという話は聞いた事がありません。
※私の調べ方が不足しているかもしれません。実際に発症した方がいたら教えて下さい。
                    
麻痺というのは、動かす事も出来ず、触っても何も感じない状態の事です。
私自身の話ですが、以前は就寝時、自分の右腕に頭を乗せて一晩中眠る事が多かったようで、
起床直後の数秒~数十秒程度の間、まるっきり肘から指先の感覚が皆無で触っても叩いても痛みを
感じず、動かす事も出来ない症状を頻発していた時期があります。
簡単に言えば動かそうにも肘下は全く動かず、感覚も無い状態です。
無念にも、サタデーナイトシンドロームを一人でキメていた人間でした
若しくは、半身麻酔で手術を受けた事がある方なら、麻痺という感覚の想像が付くでしょうか。
医師が足をギコギコトントンしているのに、何も感じない状態ですね。
 
硬く重い物体が持続的に脈管を圧迫し続けていれば、
痛み痺れから麻痺へ移行する可能性はゼロではないと思います。
その為に脊柱管狭窄症の場合は、椎間板ヘルニアと比べたら
麻痺に発展する可能性はやや高いかもしれません。しかし、相当余裕はあると思われます。
大半は、何らかの事故で脊椎にダメージ(骨折含む)を受けた衝撃で神経を押さえ付けられる事で発症します。
 
では、ヘルニアと診断された患者はどうかと言うと、
内視鏡でのヘルニア手術の動画を紹介した通り、あのようなフワフワが触ったところでどうなるもんかと
 
上記の患者さんの場合は、ここまで重度だと加療しない限りまぁ歩けません。
若しくは、痛みがある程度引けるまで無制限でじっと堪えるしかない状態になります。
個人的には余り好きな言葉ではありませんが、痛みが痛みを引き起こす、痛みの悪循環ですね。
火花が火花を起こし、至る箇所で痛みが発火し続ける状態です。
かと言って、麻痺に移行する可能性はほぼ無いでしょう。
 
現に、こちらの患者さんは手術無しで問題なく回復しています。
 
突発的、或いは数日~数週間の激痛の波は、一気に患者の気持ちを萎えさせる事になるでしょう。
しかし、この状況であったとしても、「ヘルニア=痛みじゃない」「単なる筋肉痛(筋膜痛)だ」
と思い起こす事が重要です。
只、所謂ヘルニアや狭窄症のような症状を出す疾患には、
時折別な重篤な病も混じっているので、念の為に画像診断位は受けておいても良いかもしれないですね。
 

手術 vs 長期観察ランダム化トライアル283名にて一年後とベースライン比較

Magnetic Resonance Imaging in Follow-up Assessment of Sciatica
Abdelilah el Barzouhi, et. al.
the Leiden–The Hague Spine Intervention Prognostic Study Group
84%で、良好なアウトカム
椎間板ヘルニアでは良好なアウトカム 35%、不良アウトカム33%
椎間板ヘルニアある場合の良好アウトカムは85%、無い場合は83%(P=.70)
MRI評価は良好アウトカムと不良アウトカムを鑑別できず(AU/ROC 0.48)


【予約制】 0173-74-9045 (繋がらない場合は090-3983-1921)
【診療時間】 7:00~21:00 時間外対応可(追加費用なし)
【休診日】 なし お盆、正月等々も診療しております
緊急性の低いご相談に関してはメールでも受け付けております。
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イメージ 2 青森から鍼灸治療の意識改革を