藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

コーヒーブレイク

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日本整形外科学会と日本腰痛学会は、腰痛の発症や慢性化には心理的なストレスが関与しており、画像検査などでも原因が特定できない腰痛が大半を占めるという診療ガイドライン(指針)をまとめた。
 
 重篤な脊椎疾患の兆候がない限り、すべての患者に画像検査をする必要はないとしている。腰痛があればまずエックス線で骨や神経の異常がないか調べる現在の診療の在り方が変わりそうだ。腰痛の診療指針は初という。
 
 個々の医師の経験や勘により行われてきた診療を、科学的な根拠に基づいて統一的に行うのが目的。平成13年以降の国内外の医学論文4千件から厳選した約200件を基に両学会の専門家が医師向けに策定した。
 
 指針によると、腰痛は発熱や胸部痛といった危険信号の有無などで(1)がんや外傷、感染などの重い脊椎疾患が疑われるもの(2)まひやしびれ、筋力の低下など神経症状を伴うもの(3)原因が特定できない非特異的腰痛-に分類することが重要とした。
 
 非特異的腰痛は、いわゆるぎっくり腰やストレスが原因となっているものを含み、全体の85%を占めるとの研究があるという。
 
 非特異的腰痛は、職場の人間関係や仕事量の多さ、仕事上の不満、鬱状態など心理社会的要因が関与している強い証拠があると指摘、ストレスを軽減するためにものの考え方を変える認知行動療法などの精神医学療法が有効だとした。
 
 また、安静は必ずしも有効ではなく、非特異的腰痛ならできるだけ普段の動きを維持した方が早い改善につながるという。発症から3カ月以上たった慢性腰痛には運動療法は効果があるとした。
 
 
http://blogs.yahoo.co.jp/anti_white_supremacy/8261847.html⇒当ブログ「行動を起こさぬ患者は~」
にてガイドラインって?とのご質問がありましたので、
分かり易く概要が記されている産経ニュースを引用させて頂き、掲載致しました。
 
先ずは私の考えから申し上げますと、悪性新生物や感染症、骨折等々の鑑別の為に
画像診断は大いに有効活用して頂きたいと思っています。
明確な受傷機序や原因が思い当たらなくても、整形外科に初っ端で掛かられたのであれば、
せっかくですので撮影してもらって損はないでしょう。
この段階で、鍼灸の適応か不適応かの判別が明確に可能となりますからですね。
 
で、ここからが重要です。
仮に貴方に今現在、腰痛及び下肢症状が出ていたとしましょう。
お尻からクルブシに掛けて痛いとか痺れるとか等々ですね。
恐らく本やネットで調べてみると、
それは「脊柱管狭窄症」「腰椎椎間板ヘルニア」のキーワードが
ピンポイントで貴方の症状と一致するはずです。
 
貴方が腰や足が痛いからと病院に行き、医者に促されるままレントゲンやMRI等の写真を撮ってきて、
再度医者と面を向かい合わせ、画像確認をした際、見事に
 
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この写真を突きつけられた場合、医者から
 
「腰椎の4番と5番の間から髄核がはみ出しています。ヘルニアです」
「このヘルニアが神経を圧迫しているから足に痛みや痺れが出るのです」
「手術でなければ取れません」
「しかし再発するかもしれません」
「少しの間、痛み止めの薬やリハビリで様子をみましょうか」
 
と言われるでしょう。こんな写真を見せられながら言われてしまったら
誰だってヘルニアが原因で痛いと思うでしょう。
 
そして
「会社の上司もヘルニアで相当痛がってたな…」
「友達もヘルニアでノタウチまわってたな…」
「うちのダックスフンドもヘルニアって言われて手術したよな」
と思いを巡らすかもしれません。
 
帰宅後、家族にヘルニアである事を告げると、
手術の上手い病院は何処かとの議論が始まるかもしれません。
隣の山田さんは○○病院で手術したよ云々…。
隣の佐藤さんは○○整体で治ったよ云々…。
中にはキモパパイン注入療法の話を持ち出したり、
ぶら下がり健康器を押入れから引っ張り出してくる親切心のある方もいるでしょう。
 
情報を仕入れられる環境であればあるほど、様々な治療法を目や耳にするでしょう。
まぁそれでも治らなかった場合、
「リハビリや薬でも大した効き目が無いし、
今では数泊の入院だけで治るっていうし、やっぱり手術したほうが早いよね。」
となるのです。壮絶な痛みは心を折ってしまいます。
 
で、手術。
 
手術後数日、「痛みが消えた、痺れも無い、やっぱり手術して良かった!」
と喜んでいた矢先、突如ジワジワとくるあの痛みと痺れが襲い掛かる場合があります。
 
要は痛み痺れの再発です。改めて病院に行き写真を撮る。
上と同じような写真を見せられ「再発です」と言われる。
もしくは、ヘルニアを画像所見で認めずとも、手術前と全く同じ痛みが出る。
この時点で相当どん底に気分は落ち込むもんだと思います。
 
驚かしやがって藤原のバカ野郎と思う方もいるかもしれませんが、再発率は予想以上に高いのです。
低侵襲かつ短期間で退院出来ると銘打った様々な新しい術式でも、再発するもんは再発する。
 
病院によっては(名前は伏せときますが)、再発した場合の手術代金は半額で良いですよという所もあります。
まるでスーツ2着目半額セールのような状況ですね。
 
で、ヘルニアや狭窄が痛みの原因ではない、再発の理由云々に関しては、
以前SBの小久保選手のヘルニアに関して記述した
を含め、この前後をご覧になって頂ければご理解頂き易いかと思います。
 
このような具合に、
写真を撮ったとして、仮にヘルニアだの脊柱管狭窄症だの言われたとしても何の心配もいらないのですね。
 
このガイドラインでは、
神経症状として「筋力低下」「しびれ」「まひ」をひとくくりにしているのも一つの問題点なのです。
神経が本当に圧迫された場合は「筋力低下」や「しびれ」ではなく「まひ」が起こるという事は以前から
散々書いています。
感染症や悪性新生物でも痛みや痺れは出るモノもありますので、
それらのレッドフラッグを全て除外した上での話しとなりますが、
様々な危険信号を全て排除した上での「痛み」「しびれ」「筋力低下」に関しては、
ヘルニアだろうが狭窄してようが心配する事はないということです。
 
ガイドライン内にある「原疾患に応じた治療」の大半は始めは様子を見る為に投薬やリハビリをするけれど、
様子を見ても改善しなかった場合、悪化した場合、もしくは患者が望んだ場合、
手術での除去作業、もしくは固定作業を行いますという事を示していると思います。
 
と言う事は、鍼灸治療に於いて85パーセント以上の腰痛患者を改善に持っていけるという事になりますね。
ガイドラインの示している85パーセント内の心理社会的要因云々に関しては、術者の見定め方一つで大きく
治療結果及び予後が変化していくでしょうが、まず問題ありません。
 
何でもかんでもストレスで片付けるのは悪いクセですよ。
身体が心理社会的及び生活環境に耐えられない状態で悲鳴を発する事は良くある事です。
そこには、大きな原因が隠されていますが、見抜くか見抜けないかで
治療後の結果は大きく変化していくことでしょう。
 
「あそこの○○鍼灸院じゃ治らなかったぞ!」の声ももっともです。
それは残念ながら単に治せなかっただけです。
私も含め、そう言われないように頑張らなければならないですね。
 
医師でも鍼灸師でも治療を行う事を業としている全ての人に言える事なのですが、 
痛みの原因を仮説なりとも立ち上げられない治療は、行き当たりばったりで治る訳がないのです。
 
今回のガイドラインでは、(3)原因が特定できない非特異的腰痛-に分類することが重要とした。
と書かれています。「原因が特定出来ない⇒治せない」ということです。
そもそも特定しようと思っているのかも謎ですが、
湿布とエヌセイドばかり出して頭を傾げられても当たり前なのです。
 
※誤解を生まないように念の為書いておきますが、「ヘルニアを治す」「脊柱管狭窄症を治す」という
表現方法は、本来であれば「ヘルニアを切り取る」「狭窄した脊柱を広げて固定する」という言い方が
正確かもしれません。あくまで、鍼灸治療ではヘルニアを切り取ったりする訳ではありません。
ヘルニアや狭窄を痛みの原疾患と定める事なく、疼痛を除去していく事を治すと表現しています。
 
※本当のヘルニア、脊柱管狭窄というのは神経の完全なる圧迫による、麻痺が生じます。
この場合、膀胱直腸障害も発生します。
急遽、手術が必要となる場合もある事を頭の片隅に入れておいて下さい。
 
 
しかしなんじゃこりゃ、守屋先生、お借りします

PubMedのAbstractから
“Debating the value of spine surgery.”脊椎外科手術の有用性を検討する

AOA(アメリカ整形外科学会議)の2009年度会議での驚きの報告が書かれています。
脊椎外科手術に関する専門医の意見のようです。主な内容は以下のようなものです。

腰椎の関節固定術が腰痛治療のためによく行われる手術で、全体的な椎間板症については、外科医と患者間でわずかながら承認されてきた。しかし手術の結果とその指標については、論争の的で混乱したままである。

開示されている情報によれば、こうした手術による機能的改善が有意義であるかどうかは議論の余地があり、
手術を選択するにもコストが高い。支払う側(政府や個人)からの支持も極めて少ない。

2009年の会議では、椎間板置換術(disc replacement surgery)に対して
メディケアや民間保険は必ずしも支払うべきではないとする意見が圧倒的だった。

興味深いことに、この懐疑派の中でも
椎間板変性が慢性腰痛の主要な原因と信じている整形外科医は23%に過ぎなかった。

「もしもあなたに1つのレベルで退行性変性による慢性腰痛の経験があれば、
どんな治療のコースを選びますか?」という仮定の質問に対して、
61%が保存療法(nonoperative)と答え、38%が何もしない、と答えている。

100人以上の応答者の中で、
固定術か椎間板置換術を自分の意志で選択する、と答えた脊椎外科医はただ1人だった。

脊椎外科医は、自身の退行変性による腰痛に対しては脊椎固定術や椎間板置換術を選択しない、と言う。
ほとんど全員と言っていいくらい圧倒的多数の脊椎外科医の意志である。

選択するのは「保存療法あるいは何もしない」だそうだ。
自身は保存療法を選択するという脊椎外科医が、患者さんにはそれを勧めるというのでは解せない話である。

 医師自身が選択しない手術という手段を患者に勧める理由は何ですか?マニー?
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~