藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

治療レポート

下記の内容は患者様の承諾を得て掲載しています。
事情により当院で発行している治療レポートを、
ブログを介し、当該患者様にご覧頂く事に致しました。
その為、第三者の方がご覧になられても不可解な部分も多分にあります。
 
 
治療レポート 
 
○○ ○○(○○ ○○)様
 
主訴 左臀筋痛及び左大腿後面、左大腿前面への放散痛及び引き攣れ感
既往 若い時に転倒し、尾骨損傷
 
1) 尾骨損傷の保存療法による治癒過程で周辺筋群の強短縮を残存させたまま
  今日にまで至る結果が上記の主訴を引き起こした結果と捉える。
 
  転倒による臀部強打及び、長期間に及ぶデスクワークによる臀部圧迫により、
  特に左梨状筋の短縮が左大腿への放散痛を発生していた原因と見る。
 
  左梨状筋の直下には下臀動静脈が走行しており、梨状筋の短縮による血管圧迫に
  伴い、坐骨神経様疼痛が発生したと見る。
 
  デスクワークによる長期間の臀部圧迫及び、
  転倒時による強打にて広範囲に渡る臀部の筋膜炎症状が発生したと見る。
   
  下臀動静脈の持続的圧迫は、特に弁機構を持つ静脈の作用を阻害させ、
  静脈血流量を体幹側へ送る機能を低下させる要因となる。
  就寝時や座位での休息時には動静脈血流量が低下している為、ポンプ作用が上手く機能しない状態に陥っている下肢に関しては、より一層の鬱血障害が発生し、浮腫やダルさ、痛み、痺れの感覚を自覚させた結果となる。
 
2) 上記の血管圧迫及び筋膜症状により、歩行時の痛みを軽減させるが為に、
  恐々と左足に荷重を行っていた可能性がある。
 
  この事により、左足関節と左膝関節の可動性は健常時と比較した場合、
  著明な低下が見られていたと推察。
 
  更に、荷重時の痛みを軽減させる為に、腰臀部を右側屈させ、歩行時の荷重を右足に逃がそうとしていた為に右腰臀部の短縮が発生。この結果、常に左腰臀部の筋群が伸長される結果となり、より強い坐骨神経痛様疼痛並びに筋膜炎症状を生んだと見る。更に、左腰臀筋群の伸長に伴い、右腰臀筋群の持続的な短縮が発生。
 
3) 時系列として考察すると1)と2)の状況が考えられる。その後、当院を受療。
初診~4診目までの治療時に関しては、原発を左腰臀部(特に梨状筋)だけに求めていた結果、右腰臀部を蔑ろにしていた経緯があった。
 
4診目までにて、立位時に押圧すると「気持ちよい」箇所となっていた左梨状筋の起始部を気にする事が無くなった事、及び、起き掛け時や座位からの歩行時による
痛みが軽減されている事を受け、左腰臀部の問題は解消されていると捉える。
 
患者の訴える「引き攣れる」という感覚を、所謂、坐骨神経痛様疼痛の「痺れ」と混同していた結果、5診目まで「引き攣れる」という感覚を患者に残してしまった事になる。
 
4) 上記の「引き攣れる」という症状に関して考察すると、右腰臀部の持続的な短縮により、左股関節の持続的な伸展障害が発生していたと推察。
 
歩行時に於いて、左足の荷重時の不安を取り除く為に側屈傾向にあった体幹が根本としてあった為に、常に大腿部の筋群が伸張され続けた結果、後屈や前屈にて引き攣れる箇所が変化していた事が挙げられる。
 
この為、5診目にて右腰臀部のみに治療を行い、歩行をしてもらうと、左大腿の引き攣れが消失した事により、上記の推察が合致していたと考えられる。
 
 青森から鍼灸治療の意識改革を~