藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

治療家としての初心を忘れていないか?

このような仕事をしていると、経営コンサルからの営業電話やメールが頻繁にきます。
 
「あなたの治療院を繁盛させる為にご提案が御座います。3つのコースを作りましょう。
 
 スッキリ治療20分2000円 じっくり治療40分4000円  極楽治療60分6000円
 
 この3つを作れば、大抵の患者様は真ん中の40分コースを選ぶ事になりますでしょう」 なんて。
 
少し話しは遠回りとなりますが、健康とは何かを単純に考えると、
 
・ちゃんと睡眠がとれる
 
・ちゃんと立位保持出来る
 
・ちゃんと歩行出来る
 
この3つが出来ていれば、様々な外的内的要因の各ストレスにも対峙出来るものと考えられます。
 
しかし、大抵の方は必ず何かで補正し、妥協し、日々を送っているのではないでしょうか。
 
・首や肩背部の疲労により収縮した筋肉を誤魔化す為に枕がどんどん高くなっていないか。
 
・背中や腰を支える筋肉の疲労を逃がすように、無意識の内に身体を横にして寝ていないか。
 
・元来、人間はフクラハギの少々の筋収縮と少々の靭帯にて立位が保持出来るのに、立位時間の経過と共に
 
 太ももや腰に手を当てて支える事はないか。若しくは、片足にだけ荷重していないか。
 
書けばキリがありませんが、このような無意識にも始まる動きを、脳はシグナルとして身体に反映させています。
 
これが段階を踏み蓄積されていけば、強い自覚症状として現れるのでしょう。
 
こう書けば、例えば腰痛で来院した患者に対して、腰にだけ鍼を刺してサイナラじゃ済まなくなりますよね。
 
多くの症状は、とあるキッカケから連鎖的に始まっているのですから
 
結果の部分ばかりに手を施しても根治はしにくいのですね。
 
更に分かり易くする為に、一つ症例を挙げます。
 
昨年の6月にぎっくり腰をして以来、腰(背骨)の痛み、お尻、足の痺れと痛みがつづいています。
ひどいときには、家の中を歩くのさえつらかったです。
いままで整形外科、脊髄外科4つの診断を受けましたが、レントゲンとMRIを撮っても、
骨と神経に異常はないのだから、痛みと痺れが出るはずがないと言わられてしまいました。
それでも痛みと痺れがあって、つらいから病院に来ているのに、、、と医者不振になっています。
痺れと痛みで数秒でもじっとしていることができず、2日間眠れないときもありました。
そんなひどい症状を救ったのはデパスという薬です。
そのときだけ、うそのように痛みと痺れが引いて眠ることができました。
そのあとはやはり痛みと痺れがつづいて、椅子に座るのが楽ではなく、10分くらいが限度です。
歩いても15分くらいが限度で、歩き始めはいいのですが、だんだん足が上がらなくなり、
歩幅も狭くなり、膝が曲がり、お年寄りのような歩き方になってしまいます。
お風呂は湯船につかると、調子が良くなったり悪くなったりします。お尻やももの外側が麻痺して
いるような感覚になります。
半年間ほとんどひきこもりに近い生活を送っていて、気が滅入ってきています。
せめて車の運転ができるようになればいいのですが、以前近所を少し運転しただけで、お尻と腰が
がちがちに強張り、椅子に座ることができなくなるほど悪化したので、以来怖くて運転していないです。
今は家で体操やストレッチをしたり、天気が良ければ散歩をしたりしています。
年末に新たに脊髄外科を診療して、メイラックスという薬を処方されました。
それを服用すると痛みはだんだん感じなくなってきていますが、なんだか感覚がぬけるような感じになります。
それでも薬を飲んで、運動やストレッチをしていくうちに治っていくのか、、、。
今年こそ体を治して、普通の日常生活にもどりたいし、社会復帰もしたいです。

 
鍼灸院に来院する患者さんとしては珍しい症状ではないですよね。言ってしまえばよくある症例。
 
文面を通して見ても、各医療機関を巡り倒して心身共に疲れている様子が伺えるのは、
 
長年症状に悩まされているのですから極々当たり前の事かと思います。
 
ここから大切なのが、この段階で
 
・刺鍼箇所が浮かび上がったか。
 
・刺鍼箇所を患者さんが納得出来る理由で説明出来るか。
 
・今回の治療でどこまで改善出来るかを説明出来るか。
 
・次回以降の刺鍼箇所と治療でどこまでどのように改善出来るか。
 
・治療後の患者さんに対しての日常生活での注意点を説明出来るか。等々ですね。
 
このような患者さんに対して、「今日はじっくり40分コースでしたので4000円になりまーす」
 
と軽々しく言えるか?って事ですよ。
 
これで改善出来たらまだしも、コンサルの手に掛かった治療院形態を取ると、                     
 
多くは恨めしい顔で帰る患者さんの顔を見る事になる。
 
治療は良くしてナンボです。
 
「改善出来なかったら己の顔をぶん殴り、飯も食わずに寝ずに鍛錬し続けろ。」
 
この位の勢いを持ち続けなければ芽を出せないと思います。
 
人の人生を預かっている現状を認識し、もっと真摯に取り組むべきです。
 
治療ってのは生半可なもんじゃない。
 
 
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