藤原航太針灸院

痛み・痺れ・麻痺・自律神経症状の難治例の検証と臨床

押し手から得られる情報

イメージ 1押し手という解釈で良いのかわかりませんが、僕の場合は、右手には常に鍼菅と鍼を持ち、左手で刺入のポイントを定め、刺していきます。
 
 この時の左手はというと、骨の位置、筋肉の張り、硬結を確認し、目標部位が深い箇所は筋肉と筋肉の境目を探り、番手に応じた垂直圧を掛け、鍼管を滑り込ませるというのが一連の動作になってきます。
 
 上記の部分も、ある種の情報として重要な部分かもしれませんが、もう一つ重要なのは、刺鍼深度の決定も同時に行う事です。
 
 どのポイントであれ、目標の刺鍼深度まで押し手を沈める、もしくは、深層筋の場合は、目標の刺鍼深度まで沈められる所まで沈めるという事ですね。そうすると、患者様の皮膚が押し手の圧により皮膚が柔軟性を持ち、鍼を受け入れ易い状態へと変わります。
こればかりは文章で表現しにくいので、何度か試してもらうとすぐに納得してもらえるかと思います。
 
 僕が埼玉に揉みに行っていた時、按摩師に教わった事なのですが、指圧で留めるポイントと、押し手で留めるポイントは同じにしたほうが良いと習いました。例えば、太鍼や長鍼では深く沈めて押し手の圧を緩める事により、素早く鍼が送り込めるように、普段から利用する毫鍼に於いても同様に深く沈める事により、相手の皮膚の柔軟性が得られると同時に、素早く鍼を到達点に持っていく事が出来るようになります。
 
 何故このような単純な事に早く気がつかなかったと言うと、当時は新大久保の学校にて、押し手の圧は数グラムの重さで良いとばかり教わっており、それを盲信していたからなんでしょうね。
 
 何にせよ、早いスピードで目標部位に到達させられるから、効率アップにもなりますし、患者様の負担も減るかと思います。僕は、基本的に前揉捏も後揉捏も行わない人間ですから、より良いかもしれないです。2寸の鍼を鍼管から出ている2~3ミリをトントン叩いた後、ネジネジと探られながら5~6センチも押し込まれるのは苦痛でしょうしね。 前項に書いた、刺し手で必要な情報を感じながらも、一気に目標部位まで到達させる。これが出来なければ、日が暮れてしまいます。